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HRD(人材開発)とは? 種類や助成金による支援の活用ポイントを解説

  • 公開日:2014/04/18
  • 更新日:2025/12/22

HRD(人材開発)とは、企業の成長を目的として人的資源の育成や開発を行うことです。この記事ではHRDが注目されている背景から、具体的な手法、成功させるポイント、助成金の活用まで分かりやすく解説します。

HRD(人材開発)とは

HRD(人材開発)とは

HRDとはHuman Resource Developmentの略で、人的資源を戦略的に育成・開発することです。日本語では「人材開発」と訳されます。従業員一人ひとりの能力を引き上げるための一連の施策を指し、OJTやOFF-JT、自己啓発支援、キャリア支援など、個々に合わせたさまざまな取り組みが含まれます。
企業の4大経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」において、ヒトは最も重要な要素だといわれています。特に企業の人手不足が深刻化している昨今、企業を発展させるためには従業員の能力を最大限に引き出すHRDが不可欠といえるでしょう。

人材育成との違い

人材開発と似た言葉に「人材育成」があります。人材育成は従業員の知識やスキルを高めるために、職能別・階層別などに分けて教育や研修を行うことです。一方人材開発は、組織全体の成長を目的に、従業員一人ひとりに合わせた施策を戦略的に行うものです。OJTやOFF-JT、自己啓発支援といった施策も含まれます。人材開発のなかに人材育成が含まれていると考えると分かりやすいでしょう。

HRMとの違い

HRMとはHuman Resource Managementの略で、日本語では「人的資源管理」や「人材マネジメント」と訳され、従業員を人的資源として捉え、有効活用するための仕組みを構築・運用することを意味します。具体的には採用、教育、人事などに関する制度を設計し、運用することを指します。人材の育成と開発がメインのHRDに対し、HRMは人材の管理や配置の最適化に焦点を合わせているといえます。

HRD(人材開発)の目的

HRDの目的は、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出して、経営戦略の実現や企業の成長につなげることです。そのためには、業務に関する知識やスキルを向上させるだけでは十分ではありません。組織における各人材にどのような役割が求められているのか、従業員に正しい認識を持ってもらうことも重要です。また仕事のモチベーションを維持してもらうため、キャリア開発などの施策も必要となるでしょう。多角的なアプローチによって、従業員個人の成長と企業の成長を両立させることが、HRDの目指すゴールといえます。

HRD(人材開発)が注目されている背景

なぜ今、HRDが求められているのでしょうか。その理由を3つご紹介します。

人材確保が難しくなっている

少子高齢化にともなう労働力不足や転職市場の活性化などにより、企業における人材確保が難しくなっています。企業の成長を持続させるためには、人的資源を有効活用するHRMが重要です。そのため、個人の能力を最大限に引き出すためのHRDが求められています。

エンゲージメント向上が求められるようになった

人材の定着や生産性を向上させる施策として、従業員のエンゲージメント向上に取り組む企業が増えています。HRDで従業員の成長を後押しすることは、従業員のエンゲージメント向上にもつながるでしょう。その結果、企業の業績アップや離職率の低下が期待できます。

DX推進によるIT人材不足

コロナ禍の影響もあり、社会のデジタル化が加速しています。加えて国によるDXの推進もあり、DXに対応できるIT人材の育成は急務です。そのため、従業員に新しい知識やスキルを身につけてもらうためのHRDの必要性も高まっているのです。

HRD(人材開発)の種類

HRDには、大きく分けて4つの種類があります。詳しくご説明しましょう。

OJT

OJT(On-the-Job Training)とは、上司や先輩社員が従業員の指導役となって、実務に必要な知識やスキルを教える方法です。従業員を早期から活躍する人材として育成できるほか、指導役の従業員も成長できるのがメリットです。ただし「指導役のスキルによって成果にバラつきが出る」「実務中心の指導のため、企業理解にはつながりにくい」といったデメリットもあるため、注意が必要です。

OFF-JT

OFF-JT(Off-the-Job Training)とは、研修会場やオンラインなどで、外部の講師が指導する教育方法です。新入社員向けのビジネスマナー研修や、管理職向けのマネジメント研修などがOFF-JTに当たります。体系的な知識を集中的に学べるのがメリットですが、実践的な知識を取得しづらいというデメリットもあります。

SD(自己啓発)

SD(Self Development)とは、自己啓発のことです。従業員本人の意思で外部セミナーに参加したり、本や動画などで学んだりすることを指します。セミナー参加費用の補助や、資格取得時の報奨金支給などによって、SDを促している企業もあります。企業にとってSDは教育する負担が少ないメリットがありますが、すべての従業員が主体的に取り組むとは限らないのがデメリットといえるでしょう。

タフアサインメント

タフアサインメントとは、あえて達成が難しい課題を与えることで、従業員の成長を促す手法です。例えば、役職よりも1つ高いレベルの業務やプロジェクトを任せるなどです。うまく機能すれば従業員の急成長につながるので、早急に経営層やマネジャー層を担う人材が必要な企業に向いているといえるでしょう。しかし、場合によっては従業員の負担となって離職を招く恐れもあるため、注意が必要です。

HRD(人材開発)を成功させるポイント

HRD(人材開発)を成功させるポイント

HRDを進めるにあたって、注意すべき点もあります。ここでは、HRDを成功させるためのポイントを3つご紹介します。

企業の目標や課題と一致させる

HRDの最終的な目的は、企業の成長です。そのためHRDの方向性を、経営目標や経営課題とリンクさせることが重要です。たとえ従業員が高いスキルを身につけたとしても、経営目標や経営課題からズレていると、そのスキルが宝の持ち腐れとなり、従業員自身も力を発揮できずにモチベーションが下がってしまう可能性があります。自社の目標を実現するために必要な人材像を明確にしたうえで、適切な育成計画を立てましょう。

従業員のキャリアプランを考慮する

HRDは中長期的な視点で計画的に実施することが重要です。その過程で従業員のモチベーションが下がってしまう可能性もゼロではありません。そのため、目標に沿った育成プログラムを設定するなどして、従業員が将来的に進みたいキャリアに進めるようサポートしましょう。従業員自身がキャリアを描き、目標に向かって確実に成長していると実感できれば、学ぶ意欲や仕事へのモチベーションが高まるでしょう。

従業員のキャリアをサポートするためには、キャリア研修の実施がお薦めです。下記の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

複数の手法を組み合わせる

OJTやOFF-JT、SD(自己啓発)には、それぞれメリット・デメリットがあります。組み合わせて実施することで、相乗効果を得ることができるでしょう。例えばOJTとOFF-JTを組み合わせると、職場で実務経験を積みながら、外部から最新の情報を取り入れることができます。OFF-JTで学んだ内容も、OJTで実践することでスキルが定着しやすくなるでしょう。目的に合わせて複数の手法を柔軟に活用することが大切です。

人材開発支援助成金(旧:キャリア形成促進助成金)の活用

人材開発にかかるコストでお悩みの企業には、「人材開発支援助成金(旧:キャリア形成促進助成金)」の活用がお薦めです。人材開発支援助成金は、従業員が専門知識や技能を学ぶ研修や訓練に対して支給される制度です。助成の対象は、訓練にかかる経費や実施期間中の賃金の一部です。

人材開発支援助成金のコース

人材開発支援助成金は、目的に応じて設計された6つのコースに加え、関連コースとして「障害者職業能力開発コース」が設けられています。企業の人材育成やスキルアップを幅広く支援する仕組みとなっています。

人材開発支援助成金のコース

コース名

概要

人材育成支援コース

職務に関連する知識・技能を習得させる訓練や、非正規雇用労働者の正社員化を目指す訓練を行った場合に、経費や賃金の一部が助成される

教育訓練休暇等付与コース

有給の教育訓練休暇制度を導入し、従業員が実際に休暇を取得して訓練を受けた場合に助成される

人への投資促進コース

デジタル人材や高度人材の育成訓練、自発的な能力開発、定額制訓練(サブスク型)を実施した場合に助成される

事業展開等リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げなどにともない、新しい分野で必要な知識・技能を習得させる訓練を実施した場合に助成される

建設労働者認定訓練コース

建設関連の認定職業訓練や指導員訓練を実施した場合、訓練経費や賃金の一部が助成される

建設労働者技能実習コース

建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させた場合に助成される

その他の関連コース

障害者職業能力開発コース

障害者の職業能力を開発・向上させる施設を設置・運営した場合、その費用の一部が助成される

「人材開発支援助成金」. 厚生労働省 . https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html(参照 2025-09-24).

人材開発支援助成金の受給要領

人材開発支援助成金を受けるには、雇用保険の適用事業所であることや、審査・調査に協力することなど、共通のルールを満たす必要があります。

▼共通の支給要領
【雇用保険適用事業所であること】
支給申請日および支給決定日の時点で、雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主である必要があります。

【審査・調査への協力義務】
支給判断や適正な運用のために必要な書類を整備・保管し、労働局の求めに応じて提出・提示、実地調査に協力することが求められます。これには、法令で義務づけられている書類の適切な保管や、指定期日までに書類の提出または提示が行われない場合は不支給または支給決定取消となることへの承諾が含まれます。

【個別要件の充足】
「第2 各助成金別要領」に定めがある場合は、助成金ごとに定める要件を満たしていることが必要です。

人材開発支援助成金の申請方法

人材開発支援助成金の申請では、支給申請書、支給要件確認申立書、および必要な添付書類を提出します。

▼申請方法

  • 提出書類:支給申請書、支給要件確認申立書(様式第1号・電子申請時は不要)、必要な添付書類
  • 申請方法:e-Govや雇用関係助成金ポータルから電子申請が可能。原本提出が必要な書類は写しを添付
  • 提出先:原則は管轄労働局長。承認があればハローワーク経由での申請も可能
  • 初回申請時の追加書類:支払方法・受取人住所届、通帳の写しなど振込口座を確認できる書類。口座は事業用口座を指定

▼申請の流れ

  1. 期間を守って申請:訓練終了後、原則2カ月以内に申請(休日は翌開庁日まで、災害等の場合は特例あり)
  2. 必要書類を提出:支給申請書・確認申立書・添付書類を、電子申請または管轄労働局に提出。初回申請時は口座情報も必要
  3. 審査・補正対応:書類に不備があれば労働局から補正を求められ、期限内に直さないと不支給になる
  4. 書類の保存:提出書類や添付資料は5年間保管する義務がある

雇用関係助成金に共通の支給要領(共通要領)「第1 共通要領」. 厚生労働省 .
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001511384.pdf(参照 2025-09-24).

助成を受けたい場合は事前に厚生労働省の公式ホームページなどでコースや受給要領、併用可能の条件など、注意事項を確認しておきましょう。
▶︎厚生労働省:人材開発支援助成金

まとめ|HRD(人材開発)で従業員の能力を最大限に引き出す

人材の確保が課題となっている今、「在籍している従業員を大切に育て、一人ひとりにしっかり活躍してもらう」という考え方が重要になっています。しかし時代の変化と共に効果的な育成方法も変わるため、担当者にとっては悩みも多くなるかもしれません。
弊社では、人材開発に関するさまざまなサービスをご提供しています。例えば下記の研修では、新入社員が本来持っている意欲と力を引き出しつつ、自分で考え、自ら動ける自律的な人材へと育てるためのポイントを学ぶことができます。新入社員はもちろん、育成担当者の成長にもつながる内容となっていますので、ぜひご活用ください。

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