連載・コラム
「サーベイ疲れ」を防ぐ! 効果的な従業員サーベイの活用法 第2回
サーベイ選びと実施のコツ
- 公開日:2025/02/17
- 更新日:2025/02/17

経営層や人事が組織の状況を把握したり、課題改善のヒントを得たりするために実施する従業員向けサーベイ。第1回では、従業員向けサーベイのトレンドと、従業員が「サーベイ疲れ」を感じるポイントやその理由を中心に解説しました。第2回は「サーベイ選びと実施のコツ」をテーマに、サーベイの目的の置き方や選定時のポイントを解説します。
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- サーベイの活用方法・事例
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- サーベイ選びと実施のコツ
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どのような目的でサーベイを導入するのか
第1回で「サーベイにはさまざまな種類があり、目的・用途に応じて選ばれている」と説明したとおり、サーベイ実施は、「そもそも、どのような目的でサーベイを導入するのか?」について考えるところから始まります。まずはテーマを決めたうえで、後述する「サーベイを選ぶ際のポイント」に沿って、自社に合うものを選ぶとスムーズに選定できます。
サーベイには多様なテーマがありますが、昨今、特によく耳にするテーマは「エンゲージメント向上」です。経済産業省が発表した「伊藤レポート」が取り上げたことでも注目が集まったテーマですが、人的資本開示の文脈からエンゲージメント状態の把握まで、さまざまな理由でエンゲージメントをテーマにしたサーベイを導入する企業が増えています。
弊社が行ったエンゲージメントに関する調査(2024年)でも、76.6%の企業がエンゲージメント向上に「取り組んでいる」、もしくは「取り組みを検討している」と回答しています(図表1)。また、「取り組んでいる」と回答した企業のうち約70%の企業がエンゲージメントサーベイを実施していると回答しています(図表2)。
<図表1>エンゲージメント向上のための取り組み
Q.エンゲージメント向上のための取り組みについて、お勤めの会社の状況に最もあてはまるものを選択してください。

※図表・グラフの数値は、小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100.0%にならない場合があります。
<図表2>実施している取り組み/実施を検討している取り組み
Q.すでに実施している取り組みを、あてはまるものからお選びください。また、これから実施を検討している取り組みをお選びください(あてはまるものを全て選択)。

実際にエンゲージメントサーベイの導入を検討している企業の担当者に話を聞くと、背景には「若手の離職が増えており、少しでも離職を防止したい」「業績向上のために、より前向きに仕事ができる風土に改革したい」といったさまざまな課題があり、その出口としてエンゲージメントサーベイを実施する企業が多いようです。
かつてはエンゲージメント以外にも「従業員満足度」や「コンプライアンス意識」を測りたいというニーズもありましたが、「従業員満足度」についてはエンゲージメントの概念が主流になってからあまり聞かなくなってきました。「コンプライアンス意識」のような特定のテーマは、エンゲージメントサーベイに項目を追加して調査することが多いようです。
エンゲージメントについてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
◆【コラム】人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第3回
「エンゲージメントを高めることがなぜ必要なのですか?」
サーベイを選ぶ際のコツ
サーベイ導入にあたっては「社外のサービスを使う」「社内で専用のものを作成する(内製する)」という2つの選択肢があります。内製するメリットは、測りたいテーマや社内の状況に応じて柔軟に設計でき、自社に合った内容にできるという点です。一方で、サーベイの設計に必要な専門的なスキルを持つ人材が社内に必要だったり、他社や世のなかの平均値と比較しづらかったりするというデメリットもあります。
社外のサービスを使う場合はどうでしょうか。たくさんのサービスから何を基準に選べばよいのか分からなくなることがありますが、サーベイは導入して終わりではなく、実際に使ってみて効果を実感できることが望ましく、選定時には細心の注意を払いたいものです。実際に社外のサービスを選ぶ際のポイントを4つご紹介します(図表3)。
<図表3>サーベイを選ぶための4つのポイント

① 測りたいテーマを測れるか
サービス選定時には、「自社が測りたいテーマを本当に測れるか」をしっかりと確認することが重要です。「実施して結果を見てみたら、思っていたような内容ではなかった」「結果を活用しようとしたが、うまく使えなかった」という声を聞くこともあります。
フレームや要素、項目、実際のアウトプットなどを事前に確認し、必要に応じてベンダーの担当者に相談して、実施後の活用イメージを持てる状態にするのがよいでしょう。その際には、ただ「エンゲージメントを測りたい」ではなく、「自社で定義している・測りたいエンゲージメントは○○と△△の要素であり、それらを測れるものにしたい」と具体的に確認することが大切です。
また、サーベイは全社単位で実施し、結果を経営層に返却・報告することも少なくありません。事前に経営トップ層が測りたいテーマや意向を確認しておくと、導入もスムーズに進むでしょう。
② サーベイの品質は確かか
社外のサービスを導入するメリットの1つが品質です。社外のサービスは、専門家や大学教授などの有識者が設計・監修していたり、専門的な方法で妥当性や信頼性の検証を行っていたりすることが多く、一定の品質が担保できる可能性が高いといえます。サーベイは想像以上に繊細で、1つの項目の表現が少し異なるだけで結果に大きな影響を与えることもあります。
選定時には、「サーベイのフレームの妥当性や信頼性の高さが検証されている」「サーベイの結果指標と業績などの成果指標の関係性が立証されている」など、品質が担保されているかどうかを確認するとよいでしょう。
③ 実施のイメージが湧くか
サーベイの実施にあたっては、回答属性の設定や回答者情報の登録、回答開始のアナウンスや回答のリマインドなど数多くのタスクが発生します。特に、小規模かつ高頻度に組織や個人の状態を測るパルスサーベイの場合は、回答案内やリマインドの頻度も上がります。
人事担当者が日常業務で忙しいなかでも実施できるよう、発生するタスクや遅れのない遂行のイメージが湧くかどうかは、選定時にも大事なポイントといえます。ベンダーによっては実施のサポートをサービスとして提供していることもあるため、初回の導入で不安がある場合は利用してみるのがお薦めです。
また、過去に類似施策を導入したことがある場合は、その際の成功・失敗事例などを確認しておくのも助けになるでしょう。
④ 結果活用の用途に沿うか
サーベイは実施して終わりではなく、実施後に結果を活用できて初めて価値を発揮するといっても過言ではありません。自社でどのように結果を活用したいのかを明らかにし、活用用途に沿った機能を有するサービスを選ぶこともかかせません。
結果の活用にあたっては、全社(人事や経営層)と現場(部署や職場)で用途を分けると考えやすいでしょう。例えば、全社では会社全体および各部門・機能横断でのコンディションを把握し、そのなかでも特にコンディションが悪い部門・機能は現場で結果を活用してもらう、といったイメージです。
サーベイ活用についてより詳しく知りたい方は、こちらも併せてご覧ください。
まとめ
サーベイは全社単位で・ほぼすべての従業員を対象に実施することが多いため、人事が関わる施策のなかでも比較的規模が大きく、影響範囲も大きいものと想定されます。そのため、具体的な運用イメージをもとに、導入前に細部まで検討しておくことが大切です。
特に社外のサービスを導入する場合は、経営層などの意思決定者の意向も確認したうえで、あらかじめ実施・活用のイメージができる、自社に合ったサーベイを選ぶことが望ましいでしょう。イメージを持っておくことで、実施準備を始めてからも慌てることなく対応でき、ベンダーの担当者や意思決定者にも相談しやすくなります。
では、サーベイを実施した後は、どのように結果を活用すればよいのでしょうか。第3回では「サーベイの活用方法と事例」をお伝えします。
執筆者

サービス統括部
HRMサービス推進部
組織サーベイグループ
マネジャー
相木 正輝
大手小売サービス、広告代理店勤務を経て、2012年、リクルートマネジメントソリューションズ入社。コンサルタントとして約7年間、企業の組織開発や人事制度設計業務に従事。現在は、アセスメント・サーベイの開発部門にて、組織診断サービスの設計や組織開発サービスの開発、サーベイ導入企業への支援などに携わっている。
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