- 公開日:2024/12/16
- 更新日:2024/12/16
リクルートマネジメントソリューションズは2024年、東京大学TLOと共同で、東京大学発ベンチャー企業にCES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)を提供するプロジェクトを開始しました。3回にわたって、本プロジェクトの内容を詳しくお伝えします。第3回は、リクルートマネジメントソリューションズで本プロジェクトを担当する柳井裕至(エグゼクティブコミュニケーションエンジニア)が、具体的にどのようなプログラムを実施したのか、どのような点にこだわったのか、ベンチャーにCESを実施する意義は何か、といったことを語りました。
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第3回
- 短時間で「幹部間の薄皮一枚の壁」を取っ払いたいなら、CESが手っ取り早い
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第2回
- ベンチャーこそCESのようなサービスを活用した方がいい
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第1回
- 2024年、東京大学発ベンチャー企業にCESを提供するプロジェクトを始動
- 目次
- 大学発ベンチャーが事業を前に進めるためには、早期に、幹部同士で「何を言っても壊れない」と思える関係構築が必要
- 遠慮・配慮・小さなプライドが邪魔をして、お互いの領域に踏み込んだコミュニケーションが起こらない
- CESは、参加者の熱を醸成し、人と人、組織と組織の間にある見えない壁を自ら吹き飛ばす
- お互いの選択場面に焦点を当てて話し合うと、個々のエネルギーが最大化された状態・場ができ上がる
- 越えられなかった一線を「前向きな感情エネルギー」で越えた
大学発ベンチャーが事業を前に進めるためには、早期に、幹部同士で「何を言っても壊れない」と思える関係構築が必要
詳しくは後ほど説明しますが、お客様がベンチャーだからといって、私たちのCESプログラムが大きく変わることはありません。本プロジェクトでもCESのオーソドックスなプログラムを提供しています。 ただ、大学発ベンチャーの場合は、参加者の皆さんとその関係性に特徴があります。参加者が「経験豊かな専門家」で、かつ「創業前はお互いにまったく関係がなかった」ケースが多いのです。今回のGaianixx様の事例もそうでした。参加者の幹部6名は40~70代のベテラン揃いで、全員が大手企業などで長く勤めた経験があり、各領域の実績やスキルが極めて豊富なプロフェッショナルでした。そうした方々が、最高科学責任者(CSO)の木島健先生(東京大学 工学系研究科 特任研究員/工学博士)が発見した「多能性®中間膜」の可能性に賭けて、同じ船に乗ったのです。 「ベテランたちなら、自分たちだけで腹を割って話し合えるのではないか?」そのような疑問を持つ方が多いかもしれません。しかし実際には、お互いのことを知らない状態で集まって、自分たちだけで短期間で腹を割って話し合えるような関係になることは簡単ではありません。現実的には、よほどチームワークづくりに長けたリーダーがいないと、このような深い話をする場を設けるのは難しいのです。 事業化の道筋をつけるための数々の難題にチーム一丸となって取り組むためには、幹部同士、「何を言っても壊れない」と思える関係構築が必要です。大学発ベンチャーの場合、それを短期間で実現しなくてはなりません。そのためにはCESを活用するのが手っ取り早い。その意味で、私たちが本プロジェクトに参加し、企業を支援することには大きな意義があると感じています。
遠慮・配慮・小さなプライドが邪魔をして、お互いの領域に踏み込んだコミュニケーションが起こらない
Gaianixx様の事例では、「開発者への畏敬の念」がポイントでした。実施前は、踏み込んだ議論をしたり、お互いに強く要望したり、必要に応じて反論したりするコミュニケーションが不足していました。その最大の要因は、全員が開発者の木島先生をリスペクトするあまり、遠慮や配慮をしすぎていたことにありました。また、各自のプライドが邪魔して、素朴な質問ができないようなことも問題になっていました。参加者の皆さんはCESを通じて、自分たちの遠慮やプライドが問題なのだと気づきましたから、今後はコミュニケーションが大きく改善されるに違いありません。
経験豊かな専門家の集まりでも、こうしたコミュニケーションの問題を抱えてしまうことは珍しくありません。特にGaianixx様のようなディープテック企業は、研究開発が組織の中心ですから、こうした問題が起きがちなのかもしれません。この種の問題には、CESが大きな効果を発揮します。
CESは、参加者の熱を醸成し、人と人、組織と組織の間にある見えない壁を自ら吹き飛ばす
CESのことをご存じない方のために、ごく簡単に自己紹介します。CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)は、1989年、リクルートで生まれ、以来、約35年にわたって累計1000社を超える企業に実践してきたサービスです。
一言でいえば、CESは、事業の強みの実現に向けて、働く人のエネルギーを最大限に引き出し、適切な的に注ぎ込むことを支援するサービスです。大事な要素となるのが「コミュニケーション」です。コミュニケーションによって人は五感が自由となり、情熱、決断、挑戦の力が湧き起こり、そして働く人のエネルギーが事業の場にあふれ出ます。Gaianixx様の事例でも、参加者の温度が上がり、熱を込めて言いたいことを言い合う状態がつくられたことで、あっという間に遠慮や配慮、小さなプライドという薄皮一枚の壁を吹き飛ばし、「技術系幹部6名で驚くほど簡単に具体的な目標を決めることができた」(第2回)のです。
お互いの選択場面に焦点を当てて話し合うと、個々のエネルギーが最大化された状態・場ができ上がる
では、Gaianixx様の事例でどのように熱を創造しようとしたのか、具体的に説明します。図表1は、Gaianixx様に提供した2泊3日のプログラムです。1日目と2日目前半は、私たちの代表的サービスの1つ「選択場面イマジネーションゲーム」を行いました。参加メンバーのそれぞれの「①人生のエピソード」「②仕事の喜怒哀楽」「③葛藤決断」の選択場面に焦点を当て、相互に立場に立ちながら交流していきました。
これまでどのような人生を歩んできたのか。どんな出来事に遭遇し、どう感じ、考え、判断し、行動してきたのか。どんなことに喜びを、怒りを、哀しみを、楽しみを感じて生きてきたのか。Gaianixxに入社する際、何を選んで何を捨てたのか。今、自分のよりどころとなっている体験は何か。そこから得たものは何か。自分を突き動かしたもの、支えたものは何か。選択場面イマジネーションゲームでは、このようなことを語り合い、お互いの立場に立って感じたことを交流します。そうすると、お互いの「らしさ」、譲れない価値、原動力、やりがいの源泉などを感じ取ることができ、相互信頼が高まると共に、個々のエネルギーが最大化された状態・場ができ上がるのです。
特にベンチャーの場合は、「入社動機」が大きな葛藤決断の選択場面の1つになります。中尾社長が話していたとおり、幹部の皆さんは「大手企業で相当のキャリアを積んできた者ばかりですから、Gaianixxに入社するにあたって『捨ててきたもの』があります」(第2回)。何を捨てたのかを語り合うことで、互いのこの仕事にかける想いを深く知ることにつながっていきました。
図表1:Gaianixx様向けプログラム
越えられなかった一線を「前向きな感情エネルギー」で越えた
そのうえで2日目の夜からは、自社の現在と未来について話し合ってもらいました。具体的には、CEの代表的サービスの1つ「実践課題選択ゲーム」を行いました。自社の現実を直視したうえで、一人ひとりが、「したい」「すべき」「できる」の接点に、「自分らしさ」「強み」「誇り」「情熱」を集中させることができるような、具体的なターゲット(実践課題)を設定するプログラムです。
事業の現実を適切な枠組み・視界で見つめてもらい、どうしたいのか、何をしなければならないのかを問いかけたところ、噴き出るようなコミュニケーションの場が生まれました。これまでの遠慮や配慮、小さなプライドで越えられなかった一線を、前向きな感情エネルギーで越えた瞬間です。その結果、技術系幹部6名で驚くほど簡単に具体的な目標を決めることができたわけです。
中尾社長が話していたとおり、「今回のCEセッションは『出発点』にすぎません。これからどうするのかは私たち次第です」(第2回)。とはいえ、Gaianixx様はCESを通して、厳しい現実に立ち向かう力を手に入れたはずです。難しい判断や決断後の一体感ある実践、有機的な連携が可能になり、お互いの領域に踏み込んだコミュニケーション・連携が進んでいると伺っています。初期コアメンバーの相互信頼の高さは、これから入社する人たちにも良い影響を及ぼすに違いありません。
私たちとしては、Gaianixx様のような未来を変える可能性を秘めた企業に少しでも貢献できれば嬉しいと思っています。これからも、東京大学発ベンチャー×CESプロジェクトに力を入れていきます。
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第3回
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