用語集
OFF‐JTとは? OJTとの違いやメリット・デメリットを解説
- 公開日:2014/04/15
- 更新日:2025/07/17
企業の人材育成において、OJT(On-the-Job Training)とOFF‐JT(Off-the-Job Training)は、どちらも重要な役割を担っています。OJTは職場内での実務を通じてスキルを習得する方法で、OFF‐JTは職場外での研修やセミナーを通じて体系的に知識を学ぶ方法です。本記事では、OFF‐JTの概要とOJTとの違いを明確にし、OFF‐JTが求められる背景やその役割について詳しく解説します。
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OFF‐JTとは
OFF‐JTとはOFF-the-Job Trainingの略称であり、日常の仕事を通じて教育を行うOJTに対し、職場や通常の業務から離れ、特別に時間や場所を取って行う教育・学習を指します。一般的な企業においては、職能別・階層別教育など、人事部もしくは人材開発部が中心となって内容・予算・時期を計画し、講師や会場の手配を行うことが多いです。

他の育成方法との違い
OFF-JTの特性をより深く理解するために、OJTやSD(自己啓発)との違いについて見ていきましょう。
OJTとの違い
OJTは、現場の上司や先輩社員がついて、社内の実務を通して知識やスキルを身につける方法です。現場での指導を通じて、業務に直結する知識やノウハウを習得することができる半面、指導者のスキルによって学習の質にばらつきが出るという課題もあります。
一方OFF-JTは、研修会場やオンラインなど職場から離れた環境で、外部の講師から学ぶのが一般的です。職能別・階層別研修や講習会、セミナーなどがOFF-JTに当たります。OFF-JTは、基礎知識を落ち着いて学ぶ時間を確保しやすいというメリットがあります。研修内容が標準化されているため、育成効果にばらつきが出にくい点も特長です。
SD(自己啓発)との違い
SD(自己啓発)は、社員が自発的に行う学習やスキルアップの取り組みを指します。資格取得の勉強や読書、eラーニングの受講などが該当し、企業が費用補助などを通じて支援しているケースもあります。
一方OFF-JTは、主に企業側が主導して実施する教育であり、職能別・階層別など、組織全体の育成方針に基づき設計されているため、必要なスキルや共通認識を効率的に習得させやすいという特長があります。
OFF-JTの種類
OFF-JTは、目的や受講対象に応じてさまざまな形式や内容で実施されています。ここでは、代表的な受講スタイルと研修の種類を解説します。
受講スタイル
OFF-JTは「職場を離れて行う学び」という共通点はあるものの、近年は実施方法が多様化しています。主な受講スタイルは以下のとおりです。
集合研修
講義室や研修施設などに受講者が集まり、対面で行うスタイルです。グループワークやディスカッションを通じて、受講者同士の交流や学び合いが生まれやすいという特長があります。階層別研修や新人研修などで多く取り入れられています。
オンライン研修
WEB会議ツールを活用してリアルタイムで実施される研修です。場所にとらわれず参加できるため、遠方の拠点や在宅勤務者への対応もしやすくなります。講師との対話や質疑応答ができるなど、集合研修に近い形です。
eラーニング(非対面型)
あらかじめ用意された動画や資料などを使って、受講者が自分のペースで学ぶスタイルです。時間や場所に縛られず受講できるため、業務の合間や空いた時間の活用がしやすいのがメリットです。自己学習型ですが、確認テストやフォローアップが用意されているケースもあります。
研修の種類
OFF-JTの研修は、対象となる職種や役職、目的に応じてさまざまに設計されています。代表的な研修の種類を以下に解説します。
階層別研修
新入社員、若手、中堅、管理職など、それぞれの役割や立場に応じた研修です。例えば、新入社員向けにはビジネスマナーや仕事の進め方、管理職向けにはマネジメントや評価面談のスキルなどが取り上げられます。
職能別・課題別研修
営業・人事・技術職など、部門ごとに必要な知識やスキルに特化した内容で構成される研修です。また、組織課題に応じて、ハラスメント防止、タイムマネジメント、コンプライアンス強化などをテーマに実施されることもあります。
専門的研修
資格取得や高度なスキル習得を目的とした研修です。例えば、情報セキュリティや会計知識、法務対応など、業務上の専門性を深める内容が対象となります。外部機関と連携して実施するケースもあります。
OFF‐JTが必要とされる背景
変化のスピードが増す現代のビジネス環境において、企業が継続的に成長していくためには、人材への投資がこれまで以上に重要視されています。そのなかで、現場の実務だけでは補いきれない知識や視点を習得する方法として、OFF-JTの活用があらためて注目されています。

人的投資の重要性の高まり
デジタル化や業務の複雑化が進むなかで、社員一人ひとりのスキル向上は、企業の競争力を高めるうえでも重要性を増しています。人材を中長期的な成長の原動力と捉える考え方が広がっており、人材育成を「コスト」ではなく「将来への投資」として位置づける企業も増加傾向にあります。OFF-JTは、計画的かつ体系的な学びを提供できることから、スキルの底上げや中堅・管理職層の育成にも役立つ機会といえるでしょう。
働き方の変化
リモートワークやフレックスタイム制など、働き方の選択肢が広がるなかで、従来のOJT中心の教育スタイルでは対応しきれない場面が増えてきています。職場での直接指導が難しい環境下でも、オンライン研修や eラーニング形式のOFF-JTであれば、時間や場所にとらわれずに学びの機会を提供できます。また、職場の実務から一度離れることで、日々の業務では得づらい気づきや視点を持つきっかけにもつながります。
OFF‐JTのメリット
OFF-JTは、業務を一時的に離れて学ぶスタイルだからこそ、実務では得づらい気づきや体系的な知識の習得が期待できます。ここでは、主なメリットを解説します。
体系的に学べる
OFF-JTでは、あらかじめ設計されたプログラムに沿って、基礎から応用まで段階的に知識を深めていきます。現場の経験だけでは抜け落ちがちな理論やフレームワークなども学べるため、思考の土台を築けることが特長です。
OJTが実践的なスキルの習得に比較的偏りやすい一方で、OFF-JTでは「なぜそのスキルが必要なのか」といった背景や目的も含めて学べます。
このOFF-JTのアプローチは、新入社員、若手社員、マネジメント層にとって特に有効です。
それぞれの層に対して、OFF-JTを通じて期待できる主な効果は以下のとおりです。
新入社員・若手社員
経験は浅いものの、高い成長ポテンシャルを持つ新入社員や若手社員には、OFF-JTを通じて、その成長をより加速させる効果が期待できます。
ビジネスマナーやロジカルシンキングといった、業種や職種を問わず活用できるポータブルスキルを、背景や目的と併せて深く学ぶことにより、これらのスキルを単なる知識としてではなく、さまざまな状況で応用できる本質的な能力として活用できるためです。
マネジメント層
経験豊富なマネジメント層に対して、OFF-JTは組織の中核を担うリーダーへと成長を促す効果が期待できます。
戦略的視座の向上、リーダーシップと組織運営能力の革新、変化への対応力強化といったテーマに集中的に取り組む機会を提供することで、個人のマネジメント能力を高めることが可能です。
これにより、組織全体のパフォーマンス向上と持続的な成長に貢献する人物へと導く効果が期待できます。
育成効果にばらつきが少ない
OJTは指導者のスキルに育成効果が左右されやすい一方で、OFF-JTは統一されたカリキュラムのもとで実施されるため、受講者ごとの育成効果にばらつきが出にくいというメリットがあります。複数の拠点や部署に同様の研修を展開したい場合にも、効果的といえるでしょう。
学習に専念できる
職場を離れた環境で実施されるため、受講者は日々の業務から距離を置き、落ち着いた状態で学びに集中できます。仕事の合間に学ぶのではなく、あらかじめ確保された時間でじっくりと向き合えるため、理解の深まりや自己整理にもつながりやすくなります。
社内・社外での交流が期待できる
集合研修や社内の多部門からの参加者が集まる形式では、日ごろ関わりの少ないメンバーとの交流が生まれやすくなります。
また、公開講座のように他社の参加者が集まる場では、異業種の考え方や価値観に触れることができ、視野の拡大や新たな発想のきっかけにもつながります。こうした交流によって、社内外を問わず関係性が広がり、組織の一体感や変革のヒントを得ることができるでしょう。
OFF-JTのデメリット
OFF-JTには多くのメリットがある一方で、実施にあたってはいくつかの課題もあります。ここでは、代表的なデメリットについて整理します。
時間の確保が必要となる
OFF-JTは、業務の手を止めて受講する必要があるため、受講者のスケジュールを調整し、職場内のフォロー体制を整える必要があります。特に繁忙期や人手が限られている現場では、研修のタイミングを見極める工夫が求められます。
業務に生かすまでに時間がかかる場合がある
研修で得た知識が、すぐに実務と結びつかないこともあります。将来的に役立つ内容であっても、日常業務のなかで活用する機会がすぐに訪れない場合は、学びの定着につながりにくくなる可能性もあります。こうしたケースでは、研修後のフォローやOJTとの連動を通じて、実践の場を設けることが効果的です。
コストがかかる
OFF-JTは、外部講師への依頼や研修会場の手配、教材の準備など、一定のコストを伴う場合があります。内容や規模によっては予算面の調整が必要となるため、研修の目的や期待する成果を明確にしたうえで、投資対効果を意識した設計を行うことが大切です。
OFF-JTとOJT、それぞれの効果を高めるには
OFF-JTとOJTは、それぞれ異なる特徴を持ちますが、片方だけで完結するのではなく、うまく組み合わせて活用することで、育成効果をより高めることが期待できます。
OFF-JTとOJTが連動するサイクルをつくる
OFF-JTで得た知識や考え方は、実際に現場で試し、振り返ることで定着が進みます。例えば、研修後にOJTのなかで関連する業務を任せる、上司がフォロー面談を実施するなど、OFF-JTとOJTをつなぐ流れを意識して設計することがポイントです。また、実務での経験をふまえてからOFF-JTを受講することで、学びの実感や納得感が深まるケースもあります。
「学ぶ → 実践する → 振り返る」のサイクルを回すことが、人材育成の質を高める鍵となります。
SD(自己啓発)を促す仕組みをつくる
企業主導の研修だけでなく、社員が自ら学ぶ「SD(自己啓発)」も併せて推進することで、継続的なスキルアップが期待できます。例えば、eラーニングの選択肢をいくつか用意したり、資格取得支援制度を整備したりすることで、自発的な学びを後押しする環境が整います。また、OFF-JTやOJTの学びを通じて「もっと学びたい」と感じる場面をつくることも、SDの促進につながります。企業・現場・個人がそれぞれの役割を果たしながら、人材育成を立体的に捉えていくことが大切です。
まとめ
OFF-JTは、職場を離れて体系的に学べる貴重な機会です。OJTやSD(自己啓発)と組み合わせることで、より実践的で継続的な人材育成が期待できます。働き方が多様化する今、個人と組織の成長を両立させるためにも、目的に合ったOFF-JTをうまく取り入れていくことが大切になっています。人材育成の選択肢として、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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