連載・コラム
人事になったら知っておきたい10のこと 第8回
「昇進・昇格はどうやって決めるのですか?」アセスメントツールの活用
- 公開日:2020/09/18
- 更新日:2025/04/15

2023年1月30日更新
初めて人事になったとき何から学べばよいか、どのように情報収集をすればよいか、人事に異動された方からよくご相談をいただきます。
人事は、経営の中心的業務として重要な役割を担っています。昨今はテレワークやオンライン研修、シニア社員の活躍推進、など人事として対応していくべきテーマも次々と変化します。変化の激しい世のなかの動きと連動しながらも、自社の事業や戦略に合った企画を打ち出していく必要があります。そのため、「年々忙しくなっている」という声もお聞きします。
そこで本連載では、人事のなかでも、人事企画・人材開発のみなさまのお役に立ちそうなテーマを回ごとに取りあげ、ストーリー仕立てで紹介していきます。架空のキャラクターである新米人事担当の北山さんが、悩みながらも一つひとつのお題に取り組み、それに対してベテラン人事であるフクロウ先輩が解説していきます。
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- 「昇進・昇格はどうやって決めるのですか?」アセスメントツールの活用
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登場人物のプロフィール

北山ともこさん
設立10年、社員300名のIT企業に勤務する、新卒入社3年目の社員。2年間は営業に所属していたが、1カ月前、関心のあった人事部へ異動したばかり。営業ではベンチャー企業を数多く担当し、持ち前の行動力で顧客からの信頼も厚かった。
趣味はカフェ巡りとアクセサリー作り。

フクロウ先輩
同社、人事10年目のベテラン社員。人事企画や社員育成のほか、組織活性などの職務も経験。特に新人育成に力を入れており、最近配属された北山さんのことも気にかけている。
なぜフクロウの姿をしているかは社長と人事部長以外知らない。

プロローグ 「昇進は誰がどうやって決めているのですか?」
フクロウ先輩「北山さん、なんだか嬉しそうだね」
北山さん「はい! 今日ひさしぶりに友人と会うんです」
フクロウ先輩「それはいいね!」
北山さん「実は友人が昇進して、そのお祝いをしようと思って。サプライズでプレゼントも用意しちゃいました」
フクロウ先輩「きっと喜んでくれるだろうね!」
北山さん「……そういえば、昇進って誰がどうやって決めているんでしょうか? 先日人事制度について学んだので、等級については分かっているんですが……」
フクロウ先輩「そうだね。今日は、昇進・昇格をテーマにしてみようか!」
北山さん「はい!」


第1章 昇進・昇格とは?
フクロウ先輩「まずは、昇進と昇格の違いについて説明できるかな?」
北山さん「昇進は役職が上がることで、昇格は等級が上がることでしょうか」
フクロウ先輩「そうだね。等級は『資格』とも呼ぶよ。詳しく解説していくね」

昇進と昇格の違いは?
昇進とは、課長や部長といった職位(役職)が上がることを指します。
また、昇格とは、職能資格制度において資格が上がることです。職能資格制度では、職務遂行能力に基づいて各社員を1等級、2等級……などのようにランク付けし、資格が上がる場合に「昇格」と呼びます。
なお、職能資格制度では、職位と職能資格には一定の対応関係はあるものの、「昇進=昇格」とは限りません。職位に対応する等級がまたがっている場合や特定の職位のポストに空きがない場合など、昇進しても資格は変わらない、あるいは昇格しても職位は変わらないということも起こり得ます。
昇進・昇格の違いについて詳しくは
(用語集)昇進とは

北山さん「昇進や昇格は、どのように決めるものなのでしょうか?」
フクロウ先輩「会社によってさまざまだけど、人事評価や試験、アセスメント、論文作成、経営者や役員との面談などの手法のなかからいくつかを組み合わせて判断していることが多いよ」
北山さん「私が昇格したときは、上司が参加している人材開発会議で、これまでの人事評価を元に話し合って決めたと聞きました」

一般的な昇進・昇格の選考プロセス


フクロウ先輩「昇進・昇格の考え方には、2つの方式があるよ。1つは『卒業方式』といって、現在の役割を果たす能力が十分習得できたに場合に昇進・昇格する方法。そしてもう1つは、『入学方式』といって、上位の役割を果たすのに必要な能力が備わったときに昇進・昇格する方法だよ」
北山さん「そうなると、育成の方法も異なってきそうですね」
フクロウ先輩「そうだね。ところで、入学方式の場合、上位の役割を果たすのに必要な能力が備わっているかどうかを、どう見極めたらいいだろう?」
北山さん「うーん、日頃の仕事を期待以上にできている、とかでしょうか……?」
フクロウ先輩「上位の役割の仕事を任されていない場合もあるし、客観的に判断することは難しいよね。だから、適性検査などのアセスメントツールというものを利用するんだよ」
北山さん「アセスメントツール、詳しく知りたいですね」
フクロウ先輩「アセスメントツールは、特に管理職の昇進・昇格にあたって使うことが多いんだ」
北山さん「たしかに、プレイヤーから管理職になったら、これまでよりも広い視野が求められますね」
フクロウ先輩「直近の実績だけではなく、管理職としてのポテンシャルを見極めることが必要だね」
第2章 昇進・昇格の課題
フクロウ先輩「昇進・昇格でよく出てくる悩みはどんなものだろうか?」
北山さん「昇進や昇格をした後に成果を出せる人材の見極めが難しい、というのはよく聞きますね」
フクロウ先輩「そうだね。対して社員側は昇進・昇格の結果に対する納得感が低かったり、そもそも意欲的ではなかったりすることもあるね」
北山さん「最近は、マネジャーになりたくないっていう社員も増えてきましたね」
フクロウ先輩「うん、悩ましいね。本人の意欲もそうだし、必要な能力が備わっていないと、昇進・昇格の対象となる管理職候補者も少なくなっていくよ」

昇進・昇格の課題
2018年に実施した弊社の調査では、昇進・昇格における問題点として、「現管理職の後に続く人材が枯渇してきている」「昇進・昇格要件(基準)があいまいで納得性がない」「管理職全体の質(レベル)が低下してきている」が挙げられました。

詳しくはこちら
「なぜあの人がマネジャーに?」という問いに答えられる 将来の活躍が期待できるマネジャーを選ぶためのヒント
不確実性や多様性が高まり、企業内の人員構成が変化するなか、管理職に求められる要件も変化し続けており、昇進・昇格の選考段階で、今後成果を上げる人材の見極めも難しくなってきています。さらに、中堅社員の小粒化による後継人材である管理職候補者の枯渇も懸念されるところです。これは単に能力開発という側面だけではなく、管理職候補者となる世代が昇進・昇格に魅力を感じなくなっているという本人の動機の側面でも大きな課題となっています。



第3章 昇進・昇格にアセスメントツールを活用する
北山さん「アセスメントツールってどういったものなのでしょうか」
フクロウ先輩「アセスメントツールは、普段であれば人の目で情報収集するような主観的な要素を客観的な情報で補うためのものだよ。例えば適性検査や360度評価ツール。あとは、ケース演習で行動や思考の特徴を評価するアセスメントもあるね」
北山さん「昇進・昇格の選考だけで使うものなのでしょうか?」
フクロウ先輩「昇進・昇格以外にも、採用や人材育成の一環として使う場合もあるよ。例えば、将来の幹部候補を選抜・育成するための次世代リーダー育成で使うケースもあるね」
北山さん「なるほど。これまでフクロウ先輩から学んだことを振り返ってみると、何のために使いたいかをきっちり決めておく必要がありそうですね」
フクロウ先輩「そうなんだ! どんな力を、どんな目的のために測るのか? それを明確にしておくんだ」

企業人の成果創出モデルにおける測定対象と手法
人の能力や特性にはさまざまな階層があります。自社の置かれている環境や現在の経営戦略によって、活躍する人材のタイプは変化します。求める人物像や人材育成の方針などに照らして、必要な能力や特性を明確にしたうえで、それらを測定する必要性やアセスメントの方法を検討します。
参考:
人事になったら知っておきたい10のこと ~人事トレンド編~ 第2回
人事データ活用とアセスメント


北山さん「こう見ると測る対象は全然違いますね。何を測っているかが分かれば、アセスメントされる側として納得感も高くなりそうです」
フクロウ先輩「そうだね。得意なことが分かればそこを伸ばせるし、苦手なことがあったとしてもどうやって補完するか考えるきっかけにもなるね」
北山さん「これらの能力や行動などをどうやって測るんでしょう?」
フクロウ先輩「次は、アセスメントツールの種類を見てみよう」

アセスメントツールの種類

各手法のメリット・デメリットを把握したうえで、人事評価や上司の推薦などと組み合わせ、複合的に測定することが望ましい。

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フクロウ先輩「応用編として、アセスメントツールで測ったデータを活用して、会社で活躍する人材の傾向を分析すると、自社の傾向がよりはっきりと見えてくるね」
北山さん「HR Techへの活用ですね」
フクロウ先輩「そうだね。任せる仕事や育成の方法、組織体制などを見直すきっかけにもなるよ。昇進・昇格の全体像は伝わったかな?」
北山さん「はい! 私は管理職候補の育成を推進できるように、人材育成の仕事をますます頑張りたいと思います!」

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あとがき
人事関連の情報収集ツールはさまざまです。書籍や雑誌、WEBなどの各メディアでは、人事業務の知識から最新のトレンドまで情報が日々アップデートされています。
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【text:北嶋理沙】
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