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THEME 人事制度

連載・コラム人事になったら知っておきたい10のこと 第7回

「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」

初めて人事になったとき何から学べばよいか、どのように情報収集をすればよいか、人事に異動された方からよくご相談をいただきます。
人事は、経営の中心的業務として重要な役割を担っています。変化の激しい世のなかの動きと連動しながらも、自社の事業や戦略に合った企画を打ち出していく必要があります。そのため、「年々忙しくなっている」という声もお聞きします。

そこで本連載では、人事のなかでも、人事企画・人材開発のみなさまのお役に立ちそうなテーマを回ごとに取りあげ、ストーリー仕立てで紹介していきます。架空のキャラクターである新米人事担当の北山さんが、悩みながらも一つひとつのお題に取り組み、それに対してベテラン人事であるフクロウ先輩が解説していきます。

前回は、フクロウ先輩からビジネススキル研修について学んだ北山さん。今回は人事制度をテーマに理解を深めていきます。

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登場人物のプロフィール

北山ともこさん

北山ともこさん
設立10年、社員300名のIT企業に勤務する、新卒入社3年目の社員。2年間は営業に所属していたが、1カ月前、関心のあった人事部へ異動したばかり。営業ではベンチャー企業を数多く担当し、持ち前の行動力で顧客からの信頼も厚かった。
趣味はカフェ巡りとアクセサリー作り。

フクロウ先輩

フクロウ先輩
同社、人事10年目のベテラン社員。人事企画や社員育成のほか、組織活性などの職務も経験。特に新人育成に力を入れており、最近配属された北山さんのことも気にかけている。
なぜフクロウの姿をしているかは社長と人事部長以外知らない。


人事担当者向け研修ラインアップ

プロローグ
「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」

フクロウ先輩「初めて参加してみた人事交流会はどうだった?」

北山さん「ほかの会社の人事の方も同じようなテーマで悩んでいて、とても共感しました。これからも情報交換していきたいです」

フクロウ先輩「そうだね。ちなみに、どんな悩みを共有したの?」

北山さん「社員のモチベーションアップの話です。モチベーションの上げ方についていろいろな意見が出ていました」

フクロウ先輩「それは興味深いね」

北山さん「モチベーションを上げるには、評価や給与の面も大事だと思うんです。だから、成果が評価される制度にするなど、人事制度を改定してみたらどうかなって思いました」

フクロウ先輩「ちょっと待って!北山さん!」

北山さん「ど、どうしたんですか、フクロウ先輩!」

フクロウ先輩「人事制度を改定すれば、社員のモチベーションを上げられるわけじゃないよ。今回はこれだ……! 人事制度の基本を知ろう!」

慌てているフクロウ先輩と北山さん

リクルートマネジメントソリューションズの人事制度設計・運用支援コンサルティング

第1章
人事制度とは? マネジメントツールとしての人事制度

フクロウ先輩「北山さんは同じ人事部にいても人事制度の担当ではないから、今後のためにしっかり学んでおこう! ちなみに、人事制度説明会に参加したり、人事制度の説明資料を読み込んだりしたことはある?」

北山さん「もちろんあります! 新入社員研修の時に説明会に参加しました。あとは、評価面談があるたびに説明資料を確認するようにしています」

フクロウ先輩「ちゃんと活用しているんだね!」

北山さん「特に行動評価の基準は、すべては覚えられないので、確認するようにしています」

フクロウ先輩「いいね! 人事制度について理解できないところはある?」

北山さん「正直なところ、きちんと理解できているかは不安ですね。評価制度については、管理職研修でも扱うので、管理職研修の担当になった時に向けて、社員に説明できるようになっていないと……」

フクロウ先輩「そうだね。じゃあまずは、人事制度の全体像を知ろう!」

人事制度とは?人事制度が果たすべき役割は、事業推進に資する人と組織を創りあげること。具体的にいえば、事業を進める上で必要な人材とは誰か、必要な組織とはどのような組織かを明らかにして、そうした人材と組織を生み出すことである。しかし、この「求める人材像・求める組織像」がどんどん複雑になってきている現在、人事制度上の課題や悩みは多様化している。
人事制度は、等級制度、評価制度、報酬制度などを中心に異動・配置や育成も含めて構成されているが、求める人材像などと照らして自社にとってあるべき人事制度を考える必要がある。

図表 人事制度設計における背景

人事制度設計・運用における、よくある問題について詳しくはこちら

北山さん「私の友人が勤めているベンチャー企業では、人事評価の制度がないと言っていました」

フクロウ先輩「組織の規模が小さかったり、日々の業務で工夫を凝らして評価に対する理解を深めたりしている企業は、制度が明文化されていない場合もあるね」

北山さん「でも、組織の規模が大きくなると、人事制度の構築が必要になってくるのですね」

フクロウ先輩「そうなんだ! マネジャーが増えたら、評価基準を合わせないと、どんな人を育てていきたいかの軸がばらばらになってしまうね」

北山さん「そうですね。では、人事制度がすでにあるのに、改定が行われるのはどのような時なのでしょうか?」

フクロウ先輩「特定の等級に多くの社員が滞留してしまったり、制度が形骸化してしまっていたり、といった制度自体を変えなければいけないタイミングがあるのも確かだね。ほかにも、事業の転換や働き方の変化を背景に、人材育成や組織活性を促していきたいといった場合にも改定することがあるね」

北山さん「最初にお話ししていた、社員のモチベーションを上げるという観点はどうでしょうか」

フクロウ先輩「もちろん、モチベーションの観点もあるね。人事制度が注目された2000年代前半は、成果主義が加速して、2000年代後半になると行きすぎた成果主義を軌道修正するために、制度改定をするトレンドがあったんだ。 2010年以降は、モチベーションやパフォーマンスをどう上げるかという観点で評価制度が改定されるトレンドだね」

北山さん「でもきっと、人事制度の改定だけじゃだめなんですよね」

フクロウ先輩「そう! 制度はあくまでルールであって、どう活用するかが大事なんだ。今回のキーワードは、マネジメントツールとしての人事制度だよ!」

第2章
評価制度に不満な理由は「あいまいさ」

フクロウ先輩「マネジメントツールとしての人事制度とは何かを理解する前に、一番身近な評価制度について考えてみよう!」

評価制度はうまく機能しているか?従業員300名以上の企業で人事業務を担当している208名に、組織・人材マネジメントに関する現状を調査した。現在表出している組織・人材マネジメントの問題をたずねたところ「評価制度がうまく機能していない」(「よくあてはまる」「ややあてはまる」合計)と答えた割合は67.8%であった。

人材マネジメントの現状

組織・人材マネジメントの実態の詳細はこちら

北山さん「社員からも評価制度について不満の声があったり、必要な人材が登用されていなくて困っていたりする、ということなのでしょうか」

フクロウ先輩「そうだね、鋭い! 評価制度に対する社員の考えをみてみよう」

評価制度に不満な理由は「あいまいさ」「自社に人事評価制度がある」と回答した20代〜40代の正社員(管理職を除く)を対象に、人事評価制度に対する意識調査を行った。
「現在の人事評価制度に対して満足しているか」との質問には、「満足している」(「とても満足」「満足」「どちらかといえば満足」合計)と回答したのは52.2%であり、約半数にとどまった。

図表 人事評価制度への満足度

また、同調査にて、評価制度に対する満足/不満足の理由を確認した。「満足している」と回答した群は、その理由として、「会社が評価制度について具体的な情報を開示しているから」(44.6%)、「何を頑張ったら評価されるかが明確だから」(41.0%)を選択する率が高かった。
さらに、「不満足である」と回答した群は、その理由として「何を頑張ったら評価されるのかがあいまいだから」(54.4%)、「評価基準があいまいだから」(47.6%)を選択する率が高い結果となった。

図表 人事評価制度への満足/不満足の理由

詳細は「人事評価制度に対する意識調査〜働きがいを高める人事評価とコミュニケーションの鍵とは?

北山さん「評価制度に不満足な理由があいまいさ、という点は非常に共感できます。評価の基準を明確にすればよいのでしょうか?」

フクロウ先輩「ルールだけ変えても、あいまいさという点は解決しない可能性が高いね。人事制度は、ルール・基準はもちろんのこと、それらを日々活用する運用の観点が大事なんだ」

北山さん「日々活用するのが大事。だからこそ、管理職研修のラインアップに、評価についての説明会や演習の時間が組み込まれているのですね」

フクロウ先輩「そう! マネジメントツールとしての制度を活用してもらうための大事な取り組みだね」

北山さん「評価者である管理職が制度を活用することも大事ですが、私のような被評価者も評価について正しく理解しておくことは大事ですよね」

フクロウ先輩「もちろん! とてもいい観点だね。評価者が部下の行動や成果を把握していなくて納得感のない評価になってしまうことはもちろん、被評価者が評価の目的と仕組みをきちんと捉えていない場合も、たちまち評価制度は機能しなくなるね」

上司と部下が話している様子

北山さん「部下が評価基準に対して、自分の仕事の結果や経緯を説明できない時は要注意ですね。実は私も、目先の仕事ばかりに気を取られてしまい、長期的に仕事を組み立てていくことは上司だけの仕事だと思っていた時期がありました……」

フクロウ先輩「なるほど。その失敗経験から、評価基準を見直すようになったのかな?」

北山さん「はい、そうなんです。当時の上司から、評価制度について丁寧に教えてもらい、自分で目標を設定して振り返るようになりました」

フクロウ先輩「北山さんも反省を生かしているし、上司も評価をマネジメントツールとして使っているよい例だね!」

北山さん「はい! 当時の上司は、1on1ミーティングで私のキャリアについても一緒に考える時間をつくってくれました。人事部に異動希望を出したのも、それがきっかけだったんですよ!」

フクロウ先輩「そりゃすごい! 仕事の成果だけでなく、北山さんの指向やスキルをちゃんとみてくれていたんだろうね」

評価では何をみるのか? 評価制度では、成果(業績)や行動などを決められた基準で評価することが多く、それらの組み合わせで総合的な判断がされる場合もある。特に行動評価については、コンピテンシーや360度評価などを活用することがある。
また、適性把握のために、基礎的能力や性格的特性指向を測る場合もあり、これらは潜在的かつ変化しにくいため、評価ではなく配置転換やキャリア形成の参考情報として用いられることがある。

評価対象のイメージ(成果創出モデル)

1on1ミーティング導入時に陥りがちなポイントと会話例

第3章
人事制度のトレンド

北山さん「今日の人事交流会では、OKRを導入しようという人事の方がいました。OKRってどんなものなのでしょうか」

フクロウ先輩「OKR(Objectives and Key Results)だね。評価制度の主流であるMBO(Management By Objectives and Self Control)はビジョン実現に向けて網羅的、かつ期間が固定されているから、ビジネス環境の変化に対応しきれないことが多くなってきたね。OKRでは、組織でフォーカスすべきストレッチな短期目標を設定して、スピード感を持ってチームで仕事を回していくことを目的にしているよ」

北山さん「なるほど。組織づくりについては、ノーレイティングやティールといった新しい考え方もどんどん出てきていますね」

フクロウ先輩「そうだね。でも新しい考え方や方法を知っておくことはもちろん大切だけど、それより大事なことがあるんだ」

北山さん「どんな組織にしたいか、どんな人材を育成したいかを共有して、自分たちの会社に合った人事制度を構築する、ということでしょうか」

フクロウ先輩「そう! もちろん、今はビジネス環境がものすごいスピードで変化しているから、納得感のある評価ができるよう、日頃から上司と部下が対話をすることが大事になってくるね」

北山さん「1on1ミーティングの機会を活用して、日頃の業務の成果や伸ばしたいスキル、これからのキャリアについてマネジャーと話をしようと思います」

フクロウ先輩「うんうん。どんどん成長しているね!」

北山さん「あっ、今日フクロウ先輩に教えてもらったことも話そうと思います!」

フクロウ先輩「人事交流会の報告も忘れないようにね!」

1on1の様子を想像している北山さんとフクロウ先輩

あとがき

人事関連の情報収集ツールはさまざまです。書籍や雑誌、WEBなどの各メディアでは、人事業務の知識から最新のトレンドまで情報が日々アップデートされています。

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【text:北嶋理沙】
シリーズ記事第1回 「何かいい研修ないですか?」
第2回 「マネジャーになったことがなくても、管理職研修の企画はできますか?」
第3回 「配属後の新入社員を育成するには?」
第4回 「中堅社員の役割と育成のポイントを教えてください」
第5回 「リーダーに求められていることは何ですか」
第6回 「ビジネススキル研修で効果の出る企画方法は?」
第7回 「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」
第8回 「昇進・昇格はどうやって決めるのですか?」アセスメントツールの活用

「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」
登場人物のプロフィール
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「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」
第1章
人事制度とは? マネジメントツールとしての人事制度
第2章
評価制度に不満な理由は「あいまいさ」
第3章
人事制度のトレンド
あとがき
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