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THEME 組織開発 人事制度

連載・コラム人事になったら知っておきたい10のこと 第1回

「何かいい研修ないですか?」

初めて人事になったとき何から学べばよいか、どのように情報収集をすればよいか、人事に異動された方からよくご相談をいただきます。
人事は、経営の中心的業務として重要な役割を担っています。変化の激しい世のなかの動きと連動しながらも、自社の事業や戦略に合った企画を打ち出していく必要があります。そのため、「年々忙しくなっている」という声もお聞きします。

そこで本連載では、人事企画・人材開発のみなさまのお役に立ちそうなテーマを回ごとに取りあげ、ストーリー仕立てで紹介していきます。架空のキャラクターである新米人事担当の北山さんが、悩みながらも一つひとつのお題に取り組み、それに対してベテラン人事であるフクロウ先輩が解説していきます。

基礎知識のインプット、情報収集のヒントになれば幸いです。


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登場人物のプロフィール

北山ともこさん

北山ともこさん
設立10年、社員300名のIT企業に勤務する、新卒入社3年目の社員。2年間は営業に所属していたが、1カ月前、関心のあった人事部へ異動したばかり。営業ではベンチャー企業を数多く担当し、持ち前の行動力で顧客からの信頼も厚かった。
趣味はカフェ巡りとアクセサリー作り。

フクロウ先輩

フクロウ先輩
同社、人事10年目のベテラン社員。人事企画や社員育成のほか、組織活性などの職務も経験。特に新人育成に力を入れており、最近配属された北山さんのことも気にかけている。
なぜフクロウの姿をしているかは社長と人事部長以外知らない。

プロローグ
「何かいい研修ないですか?」

朝8時のオフィス。出社している人はまだ少ない。
人事に配属されたばかりの北山さんは、来週の会議に向けて資料を作成していた。
人事部長から、「来年度の新入社員研修についてコンセプトをつくってみて」と頼まれており、その会議で部長に提案しなければならない。
人事に異動して初めて任された大きな仕事だが、真っ白な提案資料を前に頭を抱えていた。
自分が新入社員だった頃の研修について思い出そうとするが、とても緊張していたことと、名刺交換や電話応対の練習、同期と打ち解けるのに必死だったことしか思い出せなかった。

北山さん「自分が入社した頃とは違うだろうし……」

フクロウ先輩「どうしたの? 独り言?」

北山さん「フクロウ先輩! おはようございます」

フクロウ先輩「おはよう。早い出社だね」

北山さん「はい。来週の会議で提案する新入社員研修の案がまとまっていなくて……」

フクロウ先輩「よかったら、相談に乗るよ」

北山さん「ありがとうございます! あの〜何かいい研修ないですか?」

フクロウ先輩「何かいい研修か……いい質問だね。研修を企画するときのポイントが分かれば、その答えは見つかるかもしれないね」

研修を企画するステップを知ろう

研修を企画するときは、課題解決の基本的なステップに沿って考えていこう。
まずは、対象となる受講者の育成目標と現状を比較し、問題を具体的に挙げる。そして、問題を解決するための育成課題を設定しよう。育成課題はすべて洗い出し、優先順位をつけて「行動に移すこと(お題)」を明らかにするのがポイントだよ。

育成課題が明らかになったら、どのような方法で解決していくか検討していく。
研修で解決する場合は、まず研修のねらい(何のためにこの研修を実施するのか)、そしてゴール(この研修実施によって、受講者にどうなってほしいか、発言・行動・態度など)を設定する。そして、研修の要件(受講者・テーマ・所要時間・プログラム・フォロー内容など)を決めていこう。

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フクロウ先輩「早速このステップに沿って、新入社員研修の企画を考えてみよう」

育成目標の確認

北山さん「引き継いだ資料のなかに、昨年度の新入社員の育成目標がありました」

フクロウ先輩「来年度の新入社員には、どのように育ってほしいか考えてみよう」

北山さん「どんなことを考えればいいのでしょうか?」

フクロウ先輩「配属直前と1年後の新入社員の状態や行動のほか、必要な知識・スキル・スタンスなども考えてみるといいね。3年後まで描けると、長期育成のシナリオが関係者の間で共有できるよ」

北山さん「来年度は新入社員の数が倍になり、10名入社予定です。事業も拡大しているので、新入社員に期待されていることが今年度から少し変わっているかもしれません」

フクロウ先輩「経営戦略の方向性や、事業の変化に沿って軌道修正をしていこう」
 

ステップ1 現状の把握

フクロウ先輩「社会全体と会社、それぞれの傾向を把握することで、より現状が鮮明になってくるよ。例えば、こんな調査もあるから参考にしてみよう」

2019年新入社員調査 今年の新入社員は何を求めているのか?
個性を大事にする新入社員の生かし方




昨年まで不動の1位だった「社会人としてのルール・マナーを身につけること」に代わって、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が首位になりました。

「個性を大事にする新入社員の生かし方」についてもっと知りたい方はこちら

北山さん「自分が新入社員だった頃は、ビジネスマナーが身についているかを非常に気にしていました。傾向が変わってきているのですね」

フクロウ先輩「最新の社会全体の傾向を知ることで、自社の場合はどうか、比較して考えることができるね」

北山さん「今年度の新入社員については、研修の様子を先輩から聞いてきました。来年度入社予定の内定者については、本日、採用担当の先輩からお話を聞く予定です。他に情報収集しておいた方がいいことはありますか?」

フクロウ先輩「来年度は採用要件が変更になっている点があるので要確認! 内定者全員の志望動機も聞いておくと、どういった点に関心があるのか分かるね」

北山さん「もう少し数値化された情報を調べた方がいいでしょうか」

フクロウ先輩「新入社員であれば適性検査、入社2年目以降であれば評価など、数値化できる定量情報を使って現状把握をすることもある。今回は、数値化されていないテキストベースの情報(定性情報)が多くなるね。どんなことを知りたいのか、どのような情報が社内外にあるのか、あらかじめ書き出して整理しておくといいと思うよ」
 

ステップ2 育成課題の抽出

北山さん「育成課題って具体的にどんなことなのでしょう」

フクロウ先輩「例えば、育成目標にある『信頼形成において重要な土台となるビジネスマナー』についての現状はどうだろうか」

北山さん「本来であれば、配属後すぐに活躍してもらえるように、名刺交換や電話応対などのマナーを一通りできるようになってほしいと思っています。しかし、今年度は社内で実施した研修時間が短く、あまり演習ができなかったようです」

フクロウ先輩「調査の傾向からも、ビジネスマナーへの関心は下がってきているかもしれないね」

北山さん「配属先の部長からは研修期間でしっかり身につけておいてほしい、と要望がありました」

フクロウ先輩「来年度は入社人数が増えるから、配属先で実施するのは難しいといえるね」

北山さん「配属前にビジネスマナーの基本を学び、演習期間を設けて慣れることが必要そうです」

フクロウ先輩「その調子! 他の課題も書き出してみよう。重要なことに優先順位をつけ、いつの時点で解決するといいのか、1年間のマイルストーンを描いていこう」

ステップ3 研修のねらい・ゴールの設定

フクロウ先輩「実は研修以外にも、理理念浸透や評価制度改定など、他にも解決方法があることをまずは知っておこう。その上で、研修を実施する場合は、そのねらいやゴールについて言葉にしてみよう」

研修の「ねらい」と「ゴール」とは?

ステップ4 施策への落とし込み
(研修要件を固め、詳細を決定する)

フクロウ先輩「研修の要件として、どんなことを決めないといけないかな?」

北山さん「受講者、テーマ、所要時間、あとは細かなプログラム、研修後のフォロー内容などでしょうか」

フクロウ先輩「そうだね。社内メンバーだけで受講するか、社外で他の会社の方々と一緒に受講するかという観点もあるよ」

北山さん「他社の方と受講するといろいろな観点から学べそうですね」

フクロウ先輩「社内で実施する場合には、社員が講師をするパターンと、外部の専門トレーナーが実施するパターンがある。もし社外に発注する場合は、望ましいトレーナーの特徴なども考えておくといいね」

北山さん「私が最初にフクロウ先輩に聞いた、『何かいい研修ないですか?』という質問は、やっとここで出てくるのですね……。最初は研修の内容ばかり考えて意見がまとまらなかったのですが、育成目標から順に考えることで自信を持って部長に提案ができそうです」

エピローグ
部長との会議にて

翌週、北山さんは緊張感に包まれていた。しかし、はっきりした声で部長に説明する。

北山さん「来年度の新入社員10名の育成について、1年間の研修企画をまとめました。今年度の新入社員の傾向や、現在の内定者の状態をふまえて、配属前の土台づくりとして、ビジネスマナーや段取りなどの演習を加えたいと思っています。4月の研修については、理念や事業部紹介についてはしっかりと社内で企画し、ビジネスマナーやスキル研修は外部に発注します。(中略)
この方向性で問題なければ、発注する会社の選定を始めたいと思います」

部長「人事も採用の準備などで忙しいから、基礎はプロに依頼することも考えなくてはね」

北山さん「また、今回は入社人数が多くなるため、新入社員受け入れが初めての部署もあります。配属先の上司や育成担当の方々に、最近の新入社員の傾向や育成方法について事前に把握してもらえるようなガイダンスも別途企画します。困ったときは、人事はもちろん、育成者同士で支援し合う環境を整えたいと思っています。この点についても、1年間フォローできるように考えてみてはいかがでしょうか」

部長「なるほど、それはいい考えだね。4月からは忙しくなるから、準備をしっかりしていこう。今日の定例会で他の人事メンバーにも話をしてくれないか」

北山さん「はい! ありがとうございます!」

北山さん「部長との会議はバッチリでした! 先輩、ありがとうございました!」

フクロウ先輩「今回は、研修企画の基礎を学ぶことができたね。これからも情報収集をしながら、企画の腕を磨いていこう」

北山さん「はい!」
 

あとがき

人事関連の情報収集ツールはさまざまです。書籍や雑誌、WEBなどの各メディアでは、人事業務の知識から最新のトレンドまで情報が日々アップデートされています。

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【text:北嶋理沙】

シリーズ記事第1回 「何かいい研修ないですか?」
第2回 「マネジャーになったことがなくても、管理職研修の企画はできますか?」
第3回 「配属後の新入社員を育成するには?」
第4回 「中堅社員の役割と育成のポイントを教えてください」
第5回 「リーダーに求められていることは何ですか」
第6回 「ビジネススキル研修で効果の出る企画方法は?」
第7回 「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」
第8回 「昇進・昇格はどうやって決めるのですか?」アセスメントツールの活用

「何かいい研修ないですか?」
登場人物のプロフィール
プロローグ
「何かいい研修ないですか?」
育成目標の確認
ステップ1 現状の把握
ステップ2 育成課題の抽出
ステップ3 研修のねらい・ゴールの設定
ステップ4 施策への落とし込み
(研修要件を固め、詳細を決定する)
エピローグ
部長との会議にて
あとがき
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