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連載・コラムさあ、扉をひらこう。Jammin’2021 owner interview

社員が社外の仲間たちと本気でぶつかり合える越境プログラムを探していたらJammin’に出会えた

社員が社外の仲間たちと本気でぶつかり合える越境プログラムを探していたらJammin’に出会えた

共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’2021」が終了した。2020年から大幅に増えた「41社・225名」の次世代リーダーたちがチームを組んで新規事業立案に取り組み、共創型リーダーシップに挑戦した。2021年9月6日のキックオフセッションから始まり、2022年2月18日の「Jammin’ Award」でゴールを迎えた。終了後の参加者たちは、早くもJammin’の成果を自社内で発表したり、Jammin’で得た経験を自社に還元したりしている。その実例として、エーザイ株式会社の社内越境しゃべり場「Eトーーク!」を紹介しながら、エーザイのJammin’オーナーであり、「Eトーーク!」の仕掛人でもある上村敏之さんのインタビューをお送りする。
 

Jammin’参加者の2人が社員100名以上の前で事業案をプレゼンテーション



エーザイの社内越境しゃべり場「Eトーーク!」は、人事部が定期的に開催している、社員同士が仕事からプライベートまで、自身のさまざまな体験について語らう社内オンライン対話の場だ。2022年3月7日に開催した「Eトーーク!」では、特別編「異業種メンバーとの新規事業開発」と題して、エーザイからJammin’2021に参加した3名のうち、小林清夏さんと佐藤修次さんの2人が、Jammin’の成果である事業案を発表し、Jammin’を通じた越境体験からの学びを共有した。当日は100名以上ものエーザイ社員がオンラインで参集した。

▽「Eトーーク」イベント告知ロゴ  毎回、「最近、雑談していますか?」という投げかけとともに告知されている


Eトークロゴ


全12あるコースのうち、小林さんはインバウンドコース、佐藤さんは地方創生@雄勝コースに参加。それぞれチームメンバーと一緒に創り上げた事業案を、社員の皆さんに向けてプレゼンテーションした。Jammin’の最終セッション後の新しい動きについても共有されるなど、Jammin’での最終提案時とまったく同じか、それ以上の濃度・密度のプレゼンテーションとなった。発表後は、オーナー(人事)の上村敏之さんがファシリテーターとなって、2人に直接質問したり、視聴者の質問チャットを受けて活発な質疑応答を行った。ここでは、その場で話されたJammin’からの学びに関するコメントを紹介する。


小林さんの画像

 小林 清夏 さん
 インバウンドコース参加

――Jammin’で特に印象に残ったことは何ですか?

小林:序盤に井上功さん(弊社Jammin'プロデューサー)から、「小林さんのチームのアイディアにはリアリティがない。事業案に近いサービスを一度体験した方がいい」と言われ、実際に皆でサービスを受けたことが、その後の発想の転機になったことは今も記憶に残っています。頭だけで考えず、とりあえずやってみることの大切さを学びました。

佐藤:私が一番印象深かったのは、雄勝町(宮城県石巻市雄勝町)の住民の方から、「打ち上げ花火で終わらない事業案を作ってください」と言われたことです。その想いを受けて、私たちは実際の取引先を見つけたりするなどして、事業案の実現性にこだわりました。


――Jammin’で得られたものは何ですか?

佐藤:Jammin’では、自分がこれまで培ってきた仕事のやり方が意外と役に立ちました。エーザイの仕事の方法論は間違っていないのだ、社外でも十分に通用するのだ、と分かったのは嬉しいことでした。また、「エフィカシー=根拠のない自信」を大事にして、最後まで成し遂げることの大切さを体感できました。


佐藤さん画像

佐藤 修次 さん 地方創生@雄勝コース参加(後列右から2番目)。Jammin'のチームメンバー・地元協力者の方とともに

 

小林:世の中の「不」を発見すること。「不」を解決できる優れたアイディアを生み出すこと。そのアイディアから現実的に継続できる事業案を創り上げること。この3つすべてを実現しないと、本当に成り立つ事業案にはならないのだ、とよく分かりました。


――Jammin’での経験は今の仕事に生かせそうですか?

小林:世の中の「不」を起点にしてソリューションを生み出すプロセスは、多くの仕事に共通することです。リーダーとして周囲を巻き込みながら、このプロセスをやりきった経験は、今後どんな仕事に就いても生きてくるはずです。

佐藤:エーザイの仕事の進め方とJammin’の考え方には共通点が多く、Jammin’の考え方のなかには、エーザイでそのまま活用できる知見がいくつもあります。


――次回参加したいと考えている方へのメッセージをお願いします。

佐藤:特にフィールドワークが大変でしたが、得られたものは多かったです。多くの方にお勧めしたい越境プログラムです。ただし、Jammin’を始める前には、家族にこれから半年間は忙しくなると伝えて理解を得た方がよいと思います。

小林:Jammin’では驚くほど「放置」されます。細かい指示などもなく、一切が、チームに任されるのです。すべては参加者次第、チーム次第なのですね。チームメンバーで力を合わせて事業案を生み出していく道のりは本当にしんどかったですが、終わった今はかけがえのない宝物です。

プレゼンテーションのふるまいだけで2人の本気を感じられて嬉しかった

「Eトーーク!」終了後、小林さんは、こう語った。「Jammin’のなかで、『いかしきる』ことがずっと苦手でした。でも、最後にトレーナーから『周囲をいかしきるためには、まずは自分をいかしきった方がいい』とアドバイスをもらったとき、その言葉がすとんと腹に落ちたのです。今日もまずは自分をいかしきろう、という気持ちでプレゼンテーションに挑んだのですよ」。2人のリーダーは、自分たちの新しい扉を開き世界を変える一歩を、確実に踏み出していた。

「Eトーーク!」仕掛け人で、Jammin'オーナーとしてこうしたリーダーの成長を支援している上村さんに、あらためて話を聞いた。


上村敏之さんの画像"

上村 敏之 さん
人財開発本部
タレントディベロップメント部

――まずは今日の感想を教えてください。

上村:正直に言って、今日、2人がここまで真剣にプレゼンテーションをしてくれたことは、とても刺激的でした。「私たちは〜〜を実現したい」と、堂々とプレゼンテーションする姿は、エーザイ社員というより、もはやその事業の代表者でした。プレゼンテーションのふるまいだけで2人の本気を感じることができ、とても嬉しかったです。今日欠席した1名も含めた3名全員に、私が想定していた以上の経験をしてもらえた、と感じています。

Jammin’の最中、私は3名が参加するオンラインセッションを何度もオブザーブしました。小林のチームも佐藤のチームも、惜しくもJammin’ Awardに登壇する代表チームには選ばれなかったのですが、2チームともコース内の最終プレゼンテーション後に、「納得いきません。もう一度チャンスをもらえませんか?」と食い下がる姿が印象的でした。どちらも本気で雄勝町のため、サービス対象者のためを思って悔しがっていたのです。3名ともチームメンバーと仲が良くて、全員で楽しみ、喜び、悔しがっていた姿が目に焼きついています。


――なぜJammin’に参画を決めたのですか?

上村:エーザイは hhc(ヒューマン・ヘルスケア)という理念を大事にする会社で、理念を共有する仲間の一体感は強いのですが、一体感が強いために社内のタコツボ化も起こり得てしまうという懸念がありました。そこで私は、社員が社外の仲間たちと本気でぶつかり合える「越境プログラム」を探していたのです。斜に構えたり、言い訳したりできないような、厳しいプログラムを求めていました。そうした厳しい越境を経験する社員が増えれば、タコツボ化を未然に解消できるのではないかと考えたのです。

Jammin’の話を伺ったとき、「私が探していたのはまさにこれだ!」と直感的に思いました。例えば実際に事業化された事業案があるかどうかなども、伺いました。事業化こそ、参加者が真剣に取り組んでいる何よりの証拠だと思うからです。そのほかにも、Jammin’の参加者がいかに本気でこの研修に取り組んできたのかに関するエピソードも多く聞くことができ、Jammin’に参画することを決めました。

Jammin’参加者が帰ってきた後の社内支援体制を整えることが大切だ



――参加する3名はどのように選んだのですか?

上村:完全手挙げ制です。社内広報には「つらいビジネス経験をしてみませんか?」と率直に呼びかけました。そのためだと思いますが、今回の応募は6名だけでした。さらに面談を行い、「自らを変えよう」と、すでに自分なりに動き出していた、特に意欲の高い3名を選び送り出しました。



▽ エーザイのJammin’2021社内広報文(抜粋) 
ときに「つらいビジネス経験」に本気で取り組むからこそリーダーとして成長していけるというオーナー上村さんの思いがこもっている

Jammin募集


――エーザイにとってJammin’はどのような場ですか?

上村:いい意味で、社内の当たり前を疑う機会になることを期待しています。会社のなかでタコツボ化するのではなく、Jammin’参加者には、社外の空気感、エーザイとは違う考え方、ビジネスの厳しさを感じ、そこから学び、社内にも広めてもらえたら、と思っています。次回は、新価値創造のプロフェッショナルである新規事業開発メンバーにもぜひ応募してもらいたいですね。

一方で、私たち人事も頑張る必要があると思っています。例えば、Jammin’参加者が帰ってきた後の社内支援体制を十分に整えることが大切です。上司や周囲のサポートがなければ、Jammin’参加者は社内で孤立しかねません。私たちは今回、参加者の上司にしっかりと事前説明をして、参加中・参加後のサポートをしてもらいました。今後は上司だけでなく組織全体の理解を高めながら、Jammin’をはじめとする越境の取り組みをさらに活性化させていくつもりです。


――最後に、今後、Jammin’にどのようなことを期待していますか?

上村:大切なのは、やはり本気になれること。「研修だから」と、それらしいふるまいをしてやりすごすような場では意味がありません。これからも、そしてこれまで以上に、参加者が本気でぶつかり合える場、チーム全員で力を尽くして取り組める場を用意していただけたら嬉しいと思っています。



【text:米川 青馬、illustration:長縄 美紀】


※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。


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