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THEME 組織開発

連載・コラム共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’インタビューvol.2

Jammin’に参加して、「経営リーダー」の道を一歩踏み出してみようと決めた

2019年からスタートした共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」。2020年に第2回を実施するにあたって、第1回の参加者の方々にインタビューを行った。2人目にご紹介するのは、三菱商事の染谷悟氏だ。染谷氏は、第1回Jammin’ Awardで特別賞を獲得した「保育園・幼稚園活用プラン(マッチングコース)」の推進リーダーである。Jammin’に参加した感想、得られたもの、終了後の動向や変化などを伺った。

PROFILE
染谷 悟(そめや さとる)氏
三菱商事株式会社 デジタル戦略部 企画チーム
大学院修了後、2010年に三菱商事入社。営業向けデジタルシステムの開発・運用を担当した後、三菱商事RtMジャパンの立ち上げ、オフショア開発のプロジェクトマネジメント、スタートアップ企業への投資業務などを経て、2019年から現職。現在は、社内外と連携する産業デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)プロジェクトの企画・推進を担当。

リクルートグループの知恵を深く学べるチャンスだと思った

――なぜJammin’に参加したのですか?

きっかけは上司の誘いです。私は2019年5月からデジタル戦略部に所属し、産業DXプロジェクトの企画・推進を担当しているのですが、その前から「アクセラレーター」的な役割として、デジタル技術を活用した国内外のスタートアップ企業のビジネス拡大を、戦略面・資金面からサポートする仕事をしてきました。その経験があったため、異業種の皆さんと新たな価値を創造し、新ビジネスを立ち上げるJammin’に向いているのではないか、ということで、上司に声をかけてもらったのです。「マッチングコース」に参加することも、そのときすでに決まっていました。

数多くのアントレプレナーを輩出してきたリクルートグループの新価値創造の方法には、以前から興味がありました。ですから、Jammin’参加のお話をいただいたときは、リクルートグループの知恵を深く学ぶ良いチャンスだと思いました。その意味で、リクルートグループの王道であるマッチングビジネスを体験できるマッチングコースは、私に合っていたと思います。

参加するからには、単にリクルートグループの新規事業開発フレームワークを身につけるだけでなく、実際にビジネスとして立ち上がり、社会の役に立つ事業プランをつくりたい。そして、共創型リーダーシップのあり方をつかんで、三菱商事の社内でも実践したい。そうした想いを持ってJammin’に臨みました。

2つのグループを結びつけるマッチング手法を活用した

――実際に参加してみて、いかがでしたか?

正直に言って、最初は期待と不安が半々でした。実は、最初のセッションのとき、会場までのエレベーター経路が複雑で迷ってしまい、私は少し遅刻してしまったのです。ようやく会場に入ったら、マッチングコースは、私以外全員揃っていました。私は、その名だたる大企業から派遣された、年上のリーダーたちの言葉やオーラに、ただただ圧倒されました。優秀な方々と協働できることが楽しみだった一方で、果たしてこのなかでやっていけるのだろうかという気持ちも強かったのです。このとき私は、「Jammin’が終わるとき、『18人のなかに染谷っていたな、今度みんなで集まるから誘ってやるか』と言ってもらえるようになりたいです」と、率直に宣言したのを覚えています。

それから、私は意識して、自分のチーム以外の皆さんとも積極的に関わりに行きました。なぜなら、4人1組のチームメンバーだけでなく、コースの全員と仲良くなりたいと思っていたからです。この気持ちは終了まで一貫して持ちつづけていました。

――全5回の新価値創造セッションはいかがでしたか?

多くの課題とぶつかり、でも楽しんだ5回だったと思います。私たちはまずチーム4人で「テーマ」を考えました。15ほどの候補を出したのですが、そのなかで3人がやりたいと手を挙げたのが「保育園」でした。私も以前、保育士として働く後輩から相談を受けたことがあり、保育現場の厳しさや、なかなか変革が起きない現実を耳にしていたので、保育業界を変えるアイディアを出すことに賛成して、テーマが決まりました。

では、保育業界でいったい何をしたらよいのか。それを考える上で役立ったのが、セッション内で紹介された、「『不』を起点としたフレームワーク」でした。保育園の「不」は何で、その「不」を解消するにはどうしたらよいのかを考えていきました。もう1つ鍵になったのが、リクルートグループのマッチングの考え方です。一般的なマッチングは「個社と個社」をつなぐことを意味します。ところが、リクルートグループはニーズを持つ「グループとグループ」をつなぐことを考えるのです。私たちの場合は、最終的に「保育園と習い事教室」の2つのグループを結びつけることに決めました。このようにグループとグループを結びつけると、一人ひとりのニーズを叶えるトランザクションとデータがたくさん生まれ、社会に貢献できる大きなビジネスになっていく。このノウハウは素晴らしいと思います。
(例:オンラインで教えたい先生“たち”と、距離の制約を超えて安価に質の高い授業を受けたい生徒“たち”を結びつけるのがスタディサプリ)

これらの手法を駆使した結果、送迎なしで気軽に子どもに習い事をさせたい親“たち”の「不」、おけいこが土日と平日夕方に集中して、平日昼間が暇になりがちな習い事教室の先生“たち”の「不」、人員不足で疲弊している保育士さん“たち”の「不」。この3つの「不」のすべてを解消する、保けいこ(保育+おけいこ)マッチングサービス「ほっとペンギン」のアイディアが完成しました。

本気でつくり込むためにコースメンバー全員に声をかけた

――このアイディアを生み出す上で鍵になったのは何ですか?

ターニングポイントは3つあります。1つ目は「フィールドワーク」です。アイディアを考えている最中、私たちは、都内の大手保育園、習い事教室、厚生労働省などに自らアポイントを取って訪問し、インタビューしました。そこで現場の生々しい課題や業界特有の構造、法の制約や変化などについて、具体的に詳しく伺えたことが、私たちの問題意識をブラッシュアップする上でとても有効でした。最初は、こうした方々に直に連絡するのは少し勇気が要りましたが、実際に会ってみると、私たちを応援したり、仲間になったりしてくださる方が多く、周囲を巻き込んで積極的に進めていくリーダーシップの重要性を実感できました。このインタビューが間違いなく事業アイディアの血肉となっています。

2つ目は「コンセプトづくりから巻き込むこと」です。私たちは、アイディアを広げるためには親しみやすさと分かりやすさが大切だと考えました。子どもから大人まで親しみやすさを感じる「動物」を活用し、保育現場を楽にするイメージをつくろうと調べたところ、自分の子以外の子どもの面倒も見る動物は、ヒト以外にはペンギンとライオンだけと知りました。そこで、日々、自分の子以外の子どもの面倒を見ている保育士の皆さんが、習い事教室の先生の力を借りることでほっと一息つけるサービスということで「ほっとペンギン」という名前をつけました。そして、イメージを表現するデザイン案をつくりマッチングコース全員の意見を聞きながら、ロゴマークも選びました。このコース全体が「自らの手で選んだコンセプト」が、最終的に大きな力を持ったと感じています。

3つ目は「コースメンバーと外部企業を仲間に引き入れたこと」です。Jammin’ Awardで発表できるのは各コース1チームだけでしたから、1月にマッチングコースも4案から1案に絞り込みました。そこでほっとペンギンが選ばれたのですが、実は他にも素晴らしいアイディアがあったのです。それらを差し置いてアワードに出る以上、「他のチームが出た方がよかった」と後悔しないよう、本気でつくり込まなくてはならないという想いが強くなりました。「代表チームとして、想いを背負って結果を出す」という責任が生まれたわけです。そこで私は他の14名のコースメンバー全員に向けて、「事業アイディアをブラッシュアップするため、私たちに協力していただけないでしょうか」とメールを送りました。その想いに4名のコースメンバーが応えてチームに加わり合計8名となり、チームメンバーが増えた全国唯一のチームになりました。またJammin’外の企業2社も事業づくりに協力していただけることとなり、発表会で2社の外部企業と共に登壇した唯一のチームともなりました。

自分たちの企画に周囲を巻き込むのはとても怖いことですが、何かのスイッチで本気になれば、自然と言葉や行動が生まれ、それに応えてくれる仲間が見つかることが分かりました。簡単に言えば、共創型リーダーシップが偶発的に生まれ、みんなでアイディアを磨けたことが、最終的に特別賞をいただけた大きな要因の1つだと考えています。
結果的に、Jammin’ Awardでは、育児経験者の皆さんから「そういうサービスが欲しかった!」という声を多くいただくことができました。日本社会に本当に必要なビジネスアイディアを生み出せたのではないか、と思っています。

「たかが」をやめれば、きっと楽しめる場

――Jammin’終了後の状況はいかがですか?

ほっとペンギンの事業プランは、現在チームメンバーの1人が自社のメンバーと実現しようとアプリ開発に着手している最中です。また協力を表明してくださった外部企業2社同士での動きも始まっています。また、一部のコースメンバーとは本業の方でコラボレーションの提案があり、他の部署を巻き込んだ打ち合わせに発展したりしています。セッション後に「みんなと仲良くできるかな」と不安に思いながらも、毎回飲み会に参加し、そこで多くの方と話し合い、仲良くなれたおかげです。

それから、本業の話をすると、実はJammin’の最中に、今後も「アクセラレーター」として事業企画や戦略・財務モデル構築など、裏方として事業経営者をサポートする道を邁進していくのか、それとも一度は自ら事業経営の最前線に立ってアイディアを提案し、周りを巻き込みながら実現していく「経営リーダー」の道を進んでみるのか、決断を迫られていました。ちょうどそのときに、Jammin’のなかでインタビュー対象者やコースメンバー、外部の企業を自ら巻き込んでいく行動を取ったことで、本業でも、経営リーダーの道を一歩踏み出してみようと決心しました。この決断ができたのは、Jammin’の影響が大きいと思います。

現在は、多種多様なステークホルダーを巻き込む産業DX の経営リーダーにチャレンジしている真っ最中です。Jammin’で良い素振り、良い練習をさせていただけたと思っています。

――最後に、これからJammin’に参加する方々にメッセージをお願いします。

会社とは異なるポジションで、安全・自由な立場に立って、普段なかなか会えない方々の話を伺いながら新価値創造に取り組めるチャンスというのは、他にそうそうないと思います。こういう研修の機会が与えられたときに「たかが」研修と思えば半年間の研修期間は、「たかが」研修に使った半年間という価値になると思います。でも「せっかくの」研修と自らが思い、目的意識を持って活動することで、価値ある半年間を過ごすことができます。Jammin’は、各企業から素敵な仲間たちが集まっており、楽しみながら成長できる場所です。ぜひJammin’を最大限満喫し、素晴らしい仲間と共に世のなかを驚かせるような新価値創造にチャレンジしてください!

【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。


※共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」とは
異業種交流を通じた次世代リーダー育成を望む複数企業が集い、先が見通せない混迷の時代に活躍できる次世代リーダーを、他社の人材との交流を通じて育成するプログラム。プログラムの核となるのは、「地方創生」「AI」「ドローン」などテーマごとにコース(※)に分かれて行う新規事業案の立案。最終的には全コースから選ばれた事業案の中からグランプリを決する。
別途、人材を送り出す側である各社の人事(オーナー)向けのプログラム(オーナーズセッション)も組まれている。
(※2019年度)

バックナンバーvol.1 もし自分を変えたくないのなら、Jammin’に参加しない方がよいと思う
関連記事■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’オーナーズセッションレポート
vol.1 イノベーションとリーダーシップを考える
vol.2 イノベーションと人事の役割を考える
vol.3 続・イノベーションと人事の役割を考える
vol.4 イノベーションにおける人事の役割を共創する

■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’セミナーレポート
vol.5 VUCA時代に求められるリーダーとは

■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’ Awardレポート
vol.6 37の切磋琢磨の頂点に輝く新規事業案とは

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