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共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’2020新価値創造セッションレポートvol.1

多様な力を結集してリーダーシップ開発と社会課題解決を目指すJammin’2020、スタート

  • 公開日:2020/11/20
  • 更新日:2024/06/03
多様な力を結集してリーダーシップ開発と社会課題解決を目指すJammin’2020、スタート

2019年度からスタートした共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」。いよいよ第2期のJammin’2020がスタートした。9月7日(月)にオンラインで行われた新価値創造セッションのキックオフには、28社132人の次世代リーダーが集まり、この後約半年間かけて取り組む事業案の立案に向けて、チームビルディングやレクチャーを行った。その様子をレポートする。

Jammin’2020 開催概要
Jammin’2020 キックオフレポート フィールドワークを通して仲間と共に学び合う半年間
目指すのは「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」リーダー
アフターコロナの政策課題とソーシャルインパクト
社会課題をめぐる議論 お互いの関心や視界が刺激に
「刺激になった」「考えるのが楽しみ」「制約を前向きに」

Jammin’2020 開催概要

■Jammin’とは?
VUCA時代に持続的に価値創出できる日本企業を増やすことを目指す、異業種参画型リーダー開発プラットフォーム。参画企業から派遣された若手リーダーが異業種のチームを組み、約半年間かけてさまざまな社会課題を解決する新規事業案の検討・立案に取り組む

■2020年度 開催期間
2020年9月7日(月)~2021年2月12日(金)

■2020年度 参加者数
132名(28社)

■2020年度 参画企業(五十音順)
SMBC日興証券 株式会社/株式会社 エヌ・ティ・ティ・データ/キリンホールディングス 株式会社/サントリーホールディングス 株式会社/清水建設 株式会社/積水化学工業 株式会社/株式会社 デンソー/株式会社 電通/東京海上日動火災保険 株式会社/トヨタ自動車 株式会社/西日本電信電話 株式会社/日産自動車 株式会社/日本電気 株式会社/野村證券 株式会社/阪急阪神ホールディングス 株式会社/株式会社日立製作所/富士通株式会社/株式会社 みずほフィナンシャルグループ/三菱商事 株式会社/株式会社 リクルート ほか

Jammin’2020 開催概要1

■取り組みの全体像
リーダー向けの「新価値創造セッション」(全10コース)と、オーナー(リーダーを派遣する企業の人事担当者や上司の方)向けの「オーナーセッション」で構成。2020年度はすべてオンラインで実施する。「アワード」で新規事業案のグランプリを決する。

Jammin’2020 開催概要2

■多彩なコースと専門家
新価値創造セッションは全10コースに分かれ、それぞれが異なる社会課題をテーマにしている。各コースに参加するリーダーたちは異業種でチームを組み、そのコースのテーマとなっている社会課題を解決する新規事業案を考える。各コースには、そのテーマの専門家が伴走し、事業案への助言やフィードバックを行う。

Jammin’2020 開催概要3

Jammin’2020 キックオフレポート フィールドワークを通して仲間と共に学び合う半年間

Jammin’2020は全セッションがオンライン開催となった。9月7日10時、キックオフは定刻通り始まった。進行役は、企画責任者の井上功と、トレーナーの吉田達だ(いずれもリクルートマネジメントソリューションズ)。彼らは参加者に向けてオンラインセッションのマナーを伝え、挙手機能やチャットの練習をした後、早速Jammin’の全体像と新価値創造セッションの説明に入った。

Jammin’2020 キックオフレポート フィールドワークを通して仲間と共に学び合う半年間

新価値創造セッションの目的は、132人の参加者一人ひとりが、自己と組織を継続的に変革することができる「共創リーダー」として成長することだ。そのゴールは3つある。参加者は、いまこの瞬間、ゴールに向けて走り始めた。

〈新価値創造セッションのゴール〉
世の中の「不」を基点に新価値を生み出すプロセスを学び、自社で実践できるようになること
多様な価値観を持つ人々の知恵やエネルギーを結集し、新しい価値を創造するための力を経験を通して獲得すること
●リーダーとしての今後のありたい姿を描き、動き出すこと

Jammin’の新価値創造セッションには、2つの大きな特徴がある。1つ目の特徴は、活動のメインが「フィールドワーク」であることだ。Jammin’2020には、10の新価値創造セッションコースがある。参加者は各コースに分かれて、コース内で4~5名のチームを組み、チームごとにフィールドワークに取り組む仕組みになっている。フィールドワークでは、チーム全員が力を合わせながら、一人ひとりが主体的に動く必要がある。フィールドワークとは別に、コースメンバー全員(キックオフは参加者全員)が集う全5回のセッションと1回のミニセッションがあるが、それらはあくまでも、フィールドワークの合間に戻ってきて、エネルギーや知恵を補給するベースキャンプのような場にすぎない。フィールドワークが主で、セッションは従なのである(なお、追加で現地探索セッションが入るコースもある)。

2つ目は、参加者が一人で学ぶのではなく、仲間と共に「学び合う」ことだ。トレーナーや専門家はもちろんのこと、チームの仲間、コースの仲間、さらにはJammin’の仲間やフィールドワーク中に出会う人たちと共に学ぶのだ。特に、Jammin’には多種多様な会社からさまざまな参加者が集っているため、仲間から学ぶことが多い。第1回の参加者の多くが、そう語ってくれた。今回もきっとそうなるはずだ。

目指すのは「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」リーダー

続いて、進行役の井上・吉田が、「これからの時代に求められるリーダー」について説明した。一言で言えば、これからの時代は「VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性の4つの頭文字を取った言葉で、変わりやすく分かりにくい性質のことを指す)」である。VUCA時代に求められるリーダーは、以下の3つの行動をよく行っているという。

〈VUCA時代に求められるリーダーの行動〉
●ひきつける……顧客価値を起点に実現したいこと(Why・What・How)を自ら考え、周囲の協力を引き出せるような魅力的なストーリーをデザインし、語る
●いかしきる……多様なステークホルダーと、対話を通じてより良い協働体制を築き、多様性を生かしたアウトプットに結びつける
●やってみる……トライ&エラーを素早く繰り返し、得られた情報を柔軟に活用する

目指すのは「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」リーダー

ここまで説明してから、プログラムは「コース内交流」「チームビルディング」に移った。まずはコースごとにブレイクアウトセッションに分かれ、メンバー同士で自己紹介をしてもらった。そしてさらにチームごとに分かれて、お互いの理解を深めてもらった。なお、チームビルディングの際は、「いかしきっているチーム」になってもらうため、開放(ぶっちゃけてみる/違いに着眼し、楽しむ/背景にある思いや経験を知り合う)、目的設定(実現したい世界観をイメージする/たまには青臭く議論する/目的そのものを更新する)、創造(まずは実現性度外視で拡散する/妥協ではなく「第3の案」を目指す/ちゃぶ台返しを恐れない)を意識してほしい、というアドバイスが送られた。

ここでお昼休みに入った。お昼休みもチームごとに分かれ、親睦を深めてもらった。

アフターコロナの政策課題とソーシャルインパクト

午後は、2名のゲストによる講演から始まった。

最初は、経済産業省・金指壽氏(経済産業政策局 産業創造課長)の講演だ。タイトルは「With/Postコロナを踏まえた政策課題」。前段として、With/Postコロナの企業戦略と課題、テレワークの実態とメリットと課題、地方移住への関心の高まり具合、海外との往来制限による問題、経済社会の在り方に関する国際的議論などに触れた後、金指氏が取り組んでいる「オープンイノベーション促進」と「拡大未来投資会議」について語っていただいた。

質疑応答では、バーチャルな学習の場の用意、両利きの経営(知の探索と知の深化をバランスよく行う経営)、地方創生の担い手の定着、ゾンビ企業をできるだけつくらないこと、といった話題で盛り上がった。特に印象的だったのは、「尊敬する私の上司は、実行力に溢れている。ビジョンだけでは実現できない。皆さんにはぜひ、ビジョンと実行力の両方を追求していただきたい」という金指氏のメッセージだ。Jammin’もまさに金指氏と同じ方向を目指している。

次の講演は、ボストンコンサルティンググループ(BCG)でソーシャルインパクト部門のリーダーを務める折茂美保氏(マネージング・ディレクター&パートナー)による「With/afterコロナにおけるソーシャルインパクト経営の在り方」である。折茂氏は、新型コロナ収束シナリオに触れた後、コロナ後の社会変化を考える枠組として「4つのD」、すなわちDistance(フィジカル空間における距離の確保)、Decoupling(変様するグローバリズム)、Digital(社会・経済のオンライン化)、Degrowth(社会・経済の持続化)を紹介した。

アフターコロナの政策課題とソーシャルインパクト

そうした前提を踏まえた上で、BCGが注力する「Total Societal Impact(TSI、社会価値向上)」の重要性について語っていただいた。折茂氏によれば、従来の経営ではCSRと売上・利益・株主価値は切り離されていたが、今後は、自社が社会に与える影響を戦略や価値創造と統合して捉えるTSIの考え方が一般的になるという。例えば、石油・ガス業界では、環境負荷を考えて、天然ガスへの転換をいち早く図っているグローバル企業がある。また、メガファーマのなかには、世界人口の80%に製品が届くよう、薬価を安く調整する会社が出てきた。原料生産の環境負荷を極力少なくする努力を惜しまない飲料メーカーもある。さらに先進諸国では、このような環境や社会価値への配慮をしない会社には、もはや投融資をしない金融機関が増えてきているという。

興味深いのは、自社が社会に与える影響であるソーシャルインパクトを意識する企業の多くが成長していることだ。ソーシャルインパクトと経済的リターンは両立し得るのである。もっと言えば、ソーシャルインパクトの追求は、新たな市場を開拓したり、革新を促したり、サプライチェーンにおけるリスクとコストの低減を図ったりするだけでなく、ブランドの強化とプレミアム価格を実現したり、優秀な人材を惹きつけて保持したり、経済社会の不可欠な要素となったりすることにも寄与することが分かっている。折茂氏は最後に、ソーシャルインパクトの観点を事業・経営に組み込むためのアクションについてアドバイスしてくれた。質疑応答では、ソーシャルインパクトの詳細に関する質問が相次ぎ、参加者の関心の高さが見て取れた。

社会課題をめぐる議論 お互いの関心や視界が刺激に

基調講演の後は、「事業検討ステップのレクチャー」に移り、新規事業案の要件や最終ゴールであるアワードなどに関して、具体的な説明があった。また、新価値創造セッションで頼りになる「事業検討ハンドブック」のレクチャーが行われた。なお、事業検討ハンドブックの内容は追って紹介していく。

次の「社会課題の全体像共有」では、事業検討ハンドブックとワークガイドを参考にしながら、チーム内で各自の認識を共有し、今後チームとして、どのあたりで「不」を探索していくかを話し合ってもらった。参加者には事前に、参加コースのテーマについて専門家から指定された参考文献などを読んだ上で、「社会課題全体マップ」に全体像をまとめるという宿題が課されていた。チームでその「社会課題全体マップ」を持ち寄り、お互いの認識や問題意識を共有するところから議論がスタートした。

社会課題全体マップ

午前中のセッションやお昼休みにチームの親睦を深めていた効果もあり、どのチームも充実した議論になったようだ。また、持ち寄った社会課題全体マップを互いに見せ合うことで、お互いの関心テーマや視界が分かり、「その目のつけどころは面白いな」「熱い思いのある人だな」など、刺激を受けることにもなったようだ。

チームでの議論の後はコース全体で集まり、議論した内容を他チームのメンバーに共有してもらった。各コースでは、どうやってその社会課題と向き合っていくかについて意見交換がなされたようだ。例えば地方創生コースでは、オンラインという制約の中でどのように地方のリアリティを感じればよいのか、どうすれば手触り感をもって「不」を探索し、事業案につなげることができるのか、という点をめぐってさまざまな意見が交わされた。中途半端な活動にはしたくない、オンラインだからこそ、真剣に現地と向き合いたい、という参加者の意識の高さが垣間見えた。

「刺激になった」「考えるのが楽しみ」「制約を前向きに」

一日の最後は「フィールドワークの実施に向けて」の案内だ。新規事業案を立てる上で欠かせない「不の構造化シート」をどのように活用すればよいか、フィールドワーク課題をどうやって進めればよいかの説明があった。また、セッション&フィールドワークに活用できるツールも紹介された。なお、Jammin’では参加者間の交流が奨励されている。仲間と共に学び合う上では、フィールドワークだけでなく、積極的な交流が欠かせないからだ。

以上で、長い一日が終了した。チェックアウト時には、
「さまざまなバックグラウンドを持つ方との会話はとても新鮮でした」
「最初の方向性を決めるにも色々な考え方があり刺激になりました」
「難しいテーマですけれど、これからいろいろ考えるのは楽しみです」
「環境制約を、制約と考えずに、前向きに捉えて進めていきたい」
といった気づき・感想がチャットにズラリと並んだ。

この後、各コースに行われる新価値創造セッションの様子も順次レポートしていく。
多様な参加者の間でどんな化学反応が生まれ、どんな新しい価値が生み出されるのか、楽しみだ。

【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

バックナンバー

■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’インタビュー
vol.1 もし自分を変えたくないのなら、Jammin’に参加しない方がよいと思う
vol.2 Jammin’に参加して、「経営リーダー」の道を一歩踏み出してみようと決めた
vol.3 1つの企業に勤め続ける方も、Jammin’を通して「外」とつながれる社会にしたい
vol.4 Jammin’参加社員の多くが自らの業務を社会課題とつなげて考えるようになった
vol.5 テーマの枠を超えていく新規事業案がさらに増えたら嬉しい

■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’2020 オーナーズセッションレポート
23社・46名の人事が「人材戦略の進化」について語り合う

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■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’オーナーズセッションレポート
vol.1 イノベーションとリーダーシップを考える
vol.2 イノベーションと人事の役割を考える
vol.3 続・イノベーションと人事の役割を考える
vol.4 イノベーションにおける人事の役割を共創する

■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’セミナーレポート
vol.5 VUCA時代に求められるリーダーとは

■共創型リーダーシップ開発プログラムJammin’ Awardレポート
vol.6 37の切磋琢磨の頂点に輝く新規事業案とは

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