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連載・コラムさあ、扉をひらこう。Jammin'2021 Jammin' award report

「不」の本質を捉えた手触り感のあるアイディアがグランプリを勝ち取った〈Jammin’ Award〉

-「不」の本質を捉えた手触り感のあるアイディアがグランプリを勝ち取った〈Jammin’ Award〉

共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin'2021」が終了した。2020年度から大幅に増えた「41社・225名」の次世代リーダーたちがチームを組んで新規事業立案に取り組み、共創型のリーダーシップを高めることに挑戦。2021年9月6日(月)の第1回リーダーセッションから始まり、2022年2月18日(金)の「Jammin' Award」でゴールを迎えた。Jammin' Awardでは、社会課題テーマごとに分かれた12のコースから選出された代表12チームが、約5カ月にわたって作り上げてきた事業案をプレゼンテーションした。会場投票とゲスト審査員によって、グランプリと特別賞が決まった。この記事では、Jammin' Awardの模様を紹介する。

2021 Jammin'Awardもフルリモートで開催



Jammin'2021のJammin' Awardは、昨年に続いてフルリモートで開催した。会場にいるのは、司会の藤野里衣(弊社Jammin'責任者)、井上功(弊社Jammin'プロデューサー)を含めたスタッフ十数名と、ゲスト審査員のお二人だけだ。各コースの新価値創造プロセスを伴走したトレーナー・専門家陣もリモート参加となった。

 

リハーサルの様子藤野井上

昨年に引き続き、東京ミッドタウン日比谷の会場からオンライン中継となった。リハーサルの様子(左写真)、司会の藤野(右写真・左)と井上(右写真・右)


定刻の13時、オープニングムービーの音楽が賑やかにスタートした。41社・225名が集まったJammin'2021を、参加したリーダーたちの写真を交えて紹介するムービーと、画面いっぱいに表示されるアワードのロゴは、この日のために用意されたもの。こんなワクワクするような演出もJammin'ならではだ。

司会がJammin'の取り組みやアワードの位置づけを説明し、ゲスト審査員を紹介した。アワードのプレゼンテーション内容は、長縄美紀さん(株式会社ARTIC代表)がグラフィックレコーディングとして随時まとめていった。



高津尚志さん渋谷昭範さん
 
ゲスト審査員の高津尚志さん(左)、渋谷昭範さん(右)

まずは全12コースの代表チームが、オンラインで画面を共有しながらプレゼンテーションを行った。各チームの発表時間は10分。全チームの発表後に、審査員特別賞とグランプリを選出。グランプリは、審査員だけでなく視聴者も投票して決定する。



司会

新価値創造セッションについて紹介する司会の2人。 Jammin'では、「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」活動を通して、共創リーダーとして成長することを目指す

「すでにパートナー企業まで見つけていて、実現性が高い」本気の取り組みを評価



前半4チームのプレゼンテーションが始まった。そのチームを代表として選出したコースの専門家のコメントを司会が読み上げ、発表チームを紹介するムービーが流れる。1番手は「介護コース」だ。専門家の選定理由は、「いまの日本で最も重要な介護の『不』の解消を目指しており、コース内で一番希望を感じたアイディアだから」。介護対象となる可能性がある高齢者だけでなく、その家族も含めた支援を行う点が面白い提案だった。

2番手は「地方創生・雄勝コース」だ。宮城県石巻市雄勝町は東日本大震災で甚大な被害を受けた地域だ。地方創生・雄勝コースの皆さんは、雄勝町がまさにいま進めている「雄勝ガーデンパーク事業」に対する提案を考えた。代表チームのアイディアは、国内ではあまり育てられていない「ゴマ」を栽培しブランド化することで、雇用創出を目指すというものだ。

3番手は「働き方コース」。専門家の選定理由は「多くの人が抱えており、高い金額を払ってでも解決したいと思うような『不』だったから」である。共働き家庭の「不」に着目したこの事業アイディアの特徴は、かなり具体的なところまで踏み込んで解決策を提供しようとする点で、ビジネスプラン・収益プラン・実行プランも詳細まで用意されていた。

4番手は「防災コース」だ。専門家からは「私が考える、防災の『不』を解消するための本質は、“自助の強化”と“コミュニティ力”の向上です。この事業案はどちらにもアプローチできていました」という力強いエールが送られた。防災時に犠牲となりやすい高齢者を守るためのアイディアで、自助と共助の両方を視野に入れていた。

事業案1

発表された事業案とチームメンバーの皆さん。介護コースAチーム(左上)、地方創生・雄勝コースCチーム(右上)、働き方コースAチーム(左下)、防災コースBチーム(右下)


最初の4つのプレゼンテーションが終わったところで、審査員からの講評が入った。「すでにパートナー企業まで見つけていて、実現性が高いと感じました」といった好意的な意見の一方で、「プレゼンテーションの前半と後半にズレがあると思いました」「事業のイメージがあまり湧きませんでした」といった厳しい意見も飛んだ。


グラフィックレコーディング

休憩中には、長縄さんの手による各コースのグラフィックレコーディングが会場から配信された

「本当に求められているのか?」容赦のない指摘も



休憩後、次の4チームのプレゼンテーションが始まった。5番手は「グローバルコース」だ。当然のようにプレゼンテーションは英語で行われた。代表チームのアイディアは、専門家が「シンプルで楽しそう、私も参加したい!」と感じたものだ。フィリピンの人々の健康改善を目指した事業案で、メンバー全員が明るく情熱的に語っていたのが印象的だった。

6番手は「文化コース」。代表チームがプレゼンテーションしたのは、お墓参りにまつわる「不」を解決するため、新しいお墓参りの形を提案するアイディアだ。加えて、檀家を抱えるお寺の経営改善もねらっていた。

7番手は「地方創生・上勝コース」だ。徳島県勝浦郡上勝町は、自治体として日本で初めての「ゼロ・ウェイスト(Zero=0、Waste=廃棄物)宣言」をしているのだが、代表チームのアイディアは、ゼロ・ウェイストブランドを広めようとするものだった。専門家からは「上勝町の課題を的確に捉えていた」と評価されていた。

8番手は「食料コース」。専門家からは「プレゼンテーションの構成がすばらしい」と送り出された。チームメンバー全員で介護食を食べてみて、その味に絶望したところから始まった事業案だ。実際に試作品を開発し、おいしくなったことを確かめたうえで自信を持ってプレゼンテーションに臨んでいた。

ふたたび審査員のコメントが入った。「耳からの情報と目からの情報が調和しており、すばらしいプレゼンテーションでした」と褒められたチームもあれば、「そのアイディアは本当に求められているのでしょうか?」と容赦のない指摘を受けていたチームもあった。

 

事業案2

発表された事業案とチームメンバーの皆さん。グローバルコースBチーム(左上)、文化コースAチーム(右上)、地方創生・上勝コースBチーム(左下)、食料コースBチーム(右下)

「審査員から何を言われようが、やりたいことはやってくださいね」実現に向けた思いを大事に



休憩後、最後の4チームが語った。9番手は「インバウンドコース」だ。代表チームの事業アイディアは、インバウンド旅行者の衣食住のうち「衣」の悩みを解決するWEBサービスだ。専門家からは「消費者のインサイトをきちんと捉えていて、潜在市場を掘り起こせる可能性がある」と評価されていた。

10番手は「教育コース」だ。代表チームは、専門家に「現場へのリスペクトを感じました。粗削りだけど、僕も一緒にやりたい!」と言わしめた。その事業案は、多くのビジネスパーソンが抱えるキャリア上の課題解決を学びの面から支援するサービスだ。現代日本の企業人がいままさに直面している課題に迫ろうとしていた。

11番手は「ヘルスケアコース」。専門家の選定理由は、「現地調査を一貫してよくやっていて、ステークホルダーをすでに巻き込んでおり、実現性が高いから」だ。日本の大きな問題の1つである「高齢者のおひとりさま問題」の「不」を解決しようとするアイディアで、高齢者と学生という意外な組み合わせによるアプローチが新鮮だった。

12番手は「地方創生・七尾コース」だ。代表チームが考えたのは、能登半島にある石川県七尾市の企業と都市部の越境人材をつなげて共創を促すことで、地域に変化を起こす事業アイディアだ。このチームはすでにビジネスの一部を始めており、その主体性や積極性が高く評価されていた。

この4組に対しては、「ターゲットが分かりやすくてよくできたアイディアですが、ただ認知度を高めるのが難しいですよね」「私は大変興味があります。ぜひ意見交換させてください」「ストーリーテリングができていないと感じました」など、審査員のお二人はさらに一歩踏み込んで講評していた。最後に高津さんが、「私たち審査員から何を言われようが、やりたいことはやってくださいね」と全員に向けてメッセージしていたのが印象的だった。

 

事業案3

発表された事業案とチームメンバーの皆さん。インバウンドコースCチーム(左上)、教育コースDチーム(右上)、ヘルスケアコースBチーム(左下)、地方創生・七尾コースCチーム(右下)

グランプリに輝いたのは文化コース! 発想の転換と本質を突く事業案が票を集めた



以上で全チームの発表は終了だ。審査員特別賞は審査員のお二人が選ぶが、グランプリは視聴者の投票で選ばれる。ただし、すべてのプレゼンテーションを視聴した人だけが投票に参加できるルールになっている。休憩を挟んで、いよいよ審査員特別賞とグランプリが発表された。

審査員特別賞・渋谷賞は9番手にプレゼンを行った「インバウンドコース」! 渋谷さんは「課題特定から解決策の立案まで一貫して分かりやすく、カスタマージャーニーも明確でした。このアイディアの課題はサービスの認知度アップです。ぜひそこにチャレンジしてください」とコメントした。続いて、チーム代表者は「全員が忙しいなか、何とかオンラインで集まって頑張ることができました。本当にこのメンバーと組むことができて良かったです。これからも一緒にやっていきたいと思っています」と語ってくれた。

審査員特別賞・高津賞は2番手の「地方創生・雄勝コース」! 高津さんは「プレゼンテーションの伝え方も組み立ても優れており、なぜその事業案を選んだのかがよく整理されていました。また、すでに現場で協力者を得ているなど実現可能性も高く、今後が楽しみです」と褒め称えた。チーム代表者は、「すばらしい賞をありがとうございます。引き続き雄勝を支援していきたいと思います」と熱く語った。

そしてグランプリに選ばれたのは、「文化コース」だった!(発表6番手) 「『不』に対する発想の転換がすばらしく、手触り感がある点も好印象でした。オペレーションにはさらなる工夫が必要ですが、ぜひ良いサービスにしてください」(渋谷さん)、「『不』の本質を捉えた大切なアイディアだったから、応援する人が多かったのでしょう。私たちの生活の奥にある課題をしっかりと汲み取れたことが成功要因だと思います」(高津さん)と、審査員の評価も高かった。チーム代表者は「チームメンバーに恵まれました。夜遅くの打ち合わせが多かったのですが、挫けることなくここまで来ることができました。私たちの新しいコンセプトを皆さんに共有できてよかったです」と喜びを表現してくれた。

文化コーススライド

「『不』の本質を捉えている」と高く評価された文化コース代表チームの発表資料より

「エフィカシー」や「しなやかマインドセット」を大事にしてほしい



最後に、審査員お二人の全体講評があった。「新規事業で一番大切なことは何かと聞かれたら、私は『エフィカシー』だと答えます。エフィカシーとは、未来に対する自信です。根拠がなくて良いんです。『私にはできる』と思う勘違いこそが、成功の秘訣なのです。私たちはエフィカシーを持つことで、都合の悪い現実にも真摯に向き合え、仲間を増やしていくことができます。Jammin’では、『ひきつける』『いかしきる』『やってみる』と言っていますが、エフィカシーとほぼ同じ意味です」(渋谷さん)。

「私からは、キャロル・S・ドゥエックが提唱する『しなやかマインドセット』を紹介します。しなやかマインドセットとは、自分の能力は伸ばすことができるのだ、いまはできないこともできるようになるにちがいないのだ、と考える気持ちのことです。これもエフィカシーと似た意味です。これからはエフィカシーやしなやかマインドセットを大事にしながら、会社の人たちとJamを楽しんでください。今日は、良い時間を過ごすことができました。楽しかったです」(高津さん)。

最後に、弊社Jammin'プロデューサーの井上功が締めた。「いま高津さんがおっしゃっていたとおり、越境先のJammin'で得たものを現業で生かしていただくことが大事です。今後も新価値創造に挑んでください」。

18時前、エンディングムービーが流れると、発表チームや視聴していた参加者たちはそれぞれの5カ月をしみじみと振り返っているようだった。
「どの事業案もよく考えられていてさすがだと思ったし、聞いていてとてもわくわくした」
「自チームはアワードには出られなかったが、審査員の講評がとても学びになった」
「演出がとても素敵で、あっという間の5時間だった! Jammin'最高!」
など、興奮冷めやらぬ様子のコメントがアンケートにも寄せられた。


【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。


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