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さあ、扉をひらこう。Jammin’2021 session report vol.4

何も知らない相手に2分で事業案を伝え、アイデアの価値の高さを確認する2時間〈ピッチセッション〉

  • 公開日:2022/03/07
  • 更新日:2024/05/17
何も知らない相手に2分で事業案を伝え、アイデアの価値の高さを確認する2時間〈ピッチセッション〉

共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」は、3年目のJammin’2021を開催している。2020年度に比べ大幅に増えた「41社・225名」の次世代リーダーたちが、チームを組んで新規事業立案に取り組み、共創型リーダーシップに挑戦している真っ最中だ。今回は、12月17日(金)の夜に開催した「ピッチセッション」を紹介する。

コースとチームを完全にシャッフルして初対面の4名が一緒になる
ピッチセッションのポイントは「簡潔に説明する力」と「率直な意見を言える力」
「私は買わないと思います」「課題解決になっていないのでは」といった厳しい意見も
柔軟かつ大胆に事業案を見直すチームが昨年度より増えている

コースとチームを完全にシャッフルして初対面の4名が一緒になる

2021年12月17日の時点で、Jammin’2021の全コースが「セッション4」を終えていた。年明け2022年1月に開催する「セッション5」では、各チームが事業案の最終プレゼンテーションを行う。つまり、全チームがセッション5までに、最終プレゼンテーションで発表する事業案を完成させなくてはならない、というわけだ。そのセッション5の前に行われたのが、「ピッチセッション」である。


「ピッチセッション」とは、何も知らない相手に対して事業案を簡潔に説明し、率直に意見交換する場だ。今回のピッチセッションでは、コースとチームを完全にシャッフルして、ほぼ初対面の4名が一緒になる場をつくった。ルールは以下のとおりだ。

[1]誰か1人が、事業案を簡潔に説明する(2分)
[2]その事業案について率直な意見交換を行う(8分)
[3]以上を4人分繰り返す

1回目のセッションが終わったら、休憩を挟んで、もう一度コースとチームをシャッフルして別の4人1組の初対面チームをつくり、2回目のセッションを行った。任意参加の場、かつ金曜日の夜の開催でありながら50名以上の参加者が集まり、セッションに夢中になっている間に、2時間はあっというまに過ぎていった。

セッション全体像とピッチセッションの位置づけ

セッション全体像とピッチセッションの位置づけ

ピッチセッションのポイントは「簡潔に説明する力」と「率直な意見を言える力」

ピッチセッションで分かることは、事業案の「提供価値」及び「ビジョン」の明確さと魅力だ。何も知らない相手に提供価値とビジョンを端的に伝えられなければ、優れた事業案とはいえない。優れた事業案とは、「一言でいうと○○」とエッセンスを分かりやすくまとめて話せるアイデアなのだ。ピッチセッションは、それが明らかになる場である。

そのときにポイントとなるのが、発表側の「簡潔に説明する力」と、聴く側の「率直な意見を言える力」だ。ピッチセッションは、まず新規事業案をたった2分で説明しなければならない。そのため、説明力を試され、鍛える場でもある。この訓練は、そのまま最終プレゼンテーションにも生きるだろう。もう1つ、2分のプレゼンテーションを聞いた他の3名は、率直な意見を伝えることが大切だ。周囲が感じたことをストレートに伝えなければ、ピッチセッションの効果は出ない。つまり、これはJammin’が目指す「ひきつける・いかしきる・やってみる」リーダーシップを体現するうえでも大切になる、自分の思いを率直に伝える姿勢や力を磨く2時間でもあったのである。

「私は買わないと思います」「課題解決になっていないのでは」といった厳しい意見も

実際にはどうだったのか。参加者の様子を簡単にお伝えしたい。


まず、多くの参加者が、2分という時間の短さに苦労していた。特に1回目は時間切れになってしまう参加者が多く、「全然時間がない」と漏らす者もいた。ただ、2回目は全体的に1回目よりも説明が上手になっていた。

率直な意見に関しても同じで、1回目は上手に意見を言えない参加者が散見されたが、2回目はより率直な意見の交わし合いが行われていた。「発想が面白い」「解決したい『不』に共感しました」「ぜひ実現してほしいです」というポジティブな意見も飛び交っていたが、「私は買わないと思います」「イメージが湧かない部分がありました」「課題解決になっていないのでは」といった厳しい意見もよく出ていた。なかには「この商品ができたら使いたい」「本当に使います?」と意見が分かれるシーンもあった。多様な視点があるのだから当然のことだ。総じてみれば、多くのチームが率直な意見の交わし合いを行っていた。

また興味深かったのが、コースごとの違いが見えたことだ。あるコースはどのチームも資料がシンプルなのだが、あるコースは細部まで作り込んでいた。「ワクワク」というキーワードが流行しているコースもある。なぜこうしたことが起こっているかというと、Jammin’とは、多様な専門家と多様な受講者の相乗効果によって、創発的な学びが起きる場だからだ。225名もの多様な業種・職種・個性の受講者が集まり、多様な専門家の関わる12のコース、47のチームに分かれていくと、自然とそれぞれにカラーが生まれていく。だからこそ、シャッフルすることでさらに多様な気づきを得られるのだ。今回も、コース&チームをシャッフルしたことで、こうした違いから気づきを得た参加者が多かった。

リーダーの行動

柔軟かつ大胆に事業案を見直すチームが昨年度より増えている

ピッチセッション終了後、Jammin’2021全体を統括する吉田達(弊社トレーナー)とプログラム開発者の千秋敦彦(シニアコンサルタント)にインタビューした。

2人によれば、Jammin’2021では、これまで以上に事業案の見直しが活発だという。

「柔軟かつ大胆に事業案を見直していくチームが、昨年度よりも増えています。事業案をどんどん変えていくことに抵抗がない方が多くなったようです。世のなか全体が『まずやってみよう』とする時代になってきましたが、そうした社会変化とシンクロしています。とはいえ、これほど短期間での方針転換は、大企業ではまず起こり得ないでしょう。Jammin’ならではの経験を積めている方が多いのではないでしょうか」(吉田)。

そうした変化の背景には、Jammin’2021のプログラムを改良した効果もあるようだ。

「コースとチームを完全にシャッフルしたのはピッチセッションが初めてですが、実はコース内でのチームシャッフルはすでに何度か行いました。Jammin’2021では、そうやって多角的な視点から意見をもらい、事業案を改善したり見直したりするチャンスを、昨年度以上に増やしているのです。セッション4が、まさにチームシャッフルの対話の場でした。その効果を感じながらピッチセッションに来た参加者が多かったと思います。ピッチセッションでも、さらに多様な視点を獲得されたに違いありません」(千秋)。

「コース内チームシャッフルの場を増やしたことで、コース内の一体感も増しました。それから、Jammin’2021では事業検討ステップに改良を加えており、いまどのステップにいるかがより分かりやすくなっています。そうした点で手応えを感じている参加者も多いようです」(吉田)。

先ほども触れたとおり、ピッチセッションは学びの場としても設計されていた。

「参加者のなかには、感じたことをストレートに伝える力がまだまだ弱い方が多い、と感じました。2分で説明する力が必要な方も少なくありませんでした。自分の力不足に気づく2時間にもなったのではないでしょうか」(吉田)。

「初対面の相手の視点から学ぶ。お互いのアウトプットから学ぶ。思いを率直に伝えてアドバイスする方法を学ぶ。ピッチセッションが、さまざまな学びの場になったのであれば嬉しいです」(千秋)。

【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。


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