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THEME 経営人材/次世代リーダー

連載・コラムさあ、扉をひらこう。Jammin’2021 session report vol.1

Jammin’2021始動! 41社225名が早くもホンネの交わし合いを始めた〈リーダーセッション1〉

Jammin’2021始動! 41社225名が早くもホンネの交わし合いを始めた〈リーダーセッション1〉

共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」、3年目のJammin’2021がスタートした。
9月6日(月)にオンラインで開催された第1回リーダーセッションには、昨年から大幅に増えた「41社225名」の次世代リーダーが一堂に会した。参加者たちは、これから約半年にわたって取り組む「事業案の立案」に向けて、基調講演やレクチャーを受け、チームビルディングを始めた。その様子をレポートする。
なお、今回は第1回オーナーセッションも同時並行で開催。この日、オーナー(人事)の皆さんも、次世代リーダーたちと共に基調講演に耳を傾け、オーナー同士の交流をスタートした。

Jammin’2021 開催概要



■Jammin’とは?

VUCA時代に持続的に価値創出できる日本企業を増やすことを目指す、異業種参画型リーダー開発プラットフォーム。参画企業から派遣された若手リーダーが異業種のチームを組み、約半年間かけてさまざまな社会課題を解決する新規事業案の検討・立案に取り組む。

■2021年度 開催期間

2021年9月6日(月)〜 2022年2月18日(金)

■2021年度 参加者数

225名(41社)

■2021年度 参画企業のー例(五十音順)

株式会社 アイシン/旭化成 株式会社/味の素 株式会社/エーザイ 株式会社/SMBC日興証券 株式会社/NTTコミュニケーションズ株式会社/株式会社 エヌ・ティ・ティ・データ/オムロン 株式会社/京セラ 株式会社/サントリーホールディングス 株式会社/株式会社 JERA/積水化学工業 株式会社/株式会社 デンソー/東京海上日動火災保険 株式会社/トヨタ自動車 株式会社/西日本電信電話 株式会社/日産自動車 株式会社/株式会社 野村総合研究所/阪急阪神ホールディングス 株式会社/東日本高速道路 株式会社/株式会社 日立製作所/富士通 株式会社/HOYA 株式会社/株式会社 みずほフィナンシャルグループ/三井不動産 株式会社/三菱重工業 株式会社/三菱商事 株式会社/株式会社 村田製作所/ユニ・チャーム 株式会社/株式会社 リコー ほか

2021年度 参画企業のー例

■取り組みの全体像

リーダー向けの「新価値創造セッション」(全12コース)と、オーナー(リーダーを派遣する企業の人事担当者や上司の方)向けの「オーナーセッション」で構成。開講から6カ月後に開催される「アワード」で新規事業案のグランプリを決する。

▽ Jammin’2021全体像


Jammin’2021全体像

■多彩なコースと専門家

新価値創造セッションは、過去最大の全12コースを開講。それぞれが異なる社会課題をテーマにしており、2021年度からは新たに「介護」「地方創生@七尾」「防災」のテーマが登場。各コースに参加するリーダーたちは異業種でチームを組み、そのコースのテーマとなっている社会課題を解決する新規事業案を考える。各コースには、そのテーマの専門家が伴走し、事業案への助言やフィードバックを行っていく。

▽ 12のコースと専門家

12のコースと専門家

3つの「越境経験」×3つの「行動」を通じて知の創出に挑む



2020年につづいて、Jammin’2021もオンラインで始まった。進行役は、トレーナーの吉田達と企画責任者の井上功だ(いずれもリクルートマネジメントソリューションズ)。

新価値創造セッションの目的は、225名の参加者一人ひとりが、自己と組織を継続的に変革できる「共創リーダー」として成長していく支援だ。新価値創造セッションのゴールは3つある。参加者の皆さんは、今この瞬間、ゴールに向けて走り始めた。

< 新価値創造セッションのゴール >

●世の中の「不」を基点に新価値を生み出すプロセスを学び、自社で実践できるようになること
●多様な価値観を持つ人々の知恵やエネルギーを結集し、新しい価値を創造するための力を、経験を通して獲得すること
●リーダーとしての今後のありたい姿を描き、動き出すこと

※「新価値創造セッションの特長」と「これからの時代に求められるリーダー」の詳しい説明については昨年の開催レポートを参照

Jammin’では、「異業種」「社会課題」「新規事業案」という日常業務から離れた3つの越境経験のなかで、「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」というリーダーに求められる3つの行動を通じて、新たな知の創出に挑んでもらう。

▽ Jammin’で挑戦する3×3


Jammin’で挑戦する3×3

Jammin’の全体像と新価値創造セッションの説明の後、プログラムは「チームビルディング」に移った。なお、チームビルディングの際は、「いかしきっているチーム」になってもらうため、開放、目的設定、創造を意識してほしい、というアドバイスが送られた。

時を同じくして、「オーナーセッション」も開講した。オーナーセッションとは、Jammin’参画企業の人材開発責任者・担当者(オーナー)向けのプログラムだ。Jammin’の活動に賛同するオーナーたちも自ら学びながら、リーダーの成長を一緒になって応援していく。

▽ 並行して開催されたオーナーセッションでの交流の様子

並行して開催されたオーナーセッションでの交流の様子

ソーシャルインパクト経営でビジネスを伸ばせる



午後は、2名のゲストによる基調講演から始まった。

1つ目の講演テーマは、「ソーシャルインパクト(社会価値向上)経営」だ。ボストン コンサルティング グループの社会貢献グループの日本リーダーである折茂美保氏(マネージング・ディレクター&パートナー)に語っていただいた。

▽ 参加したトレーナーによるグラフィックレコーディング[1]


参加したトレーナーによるグラフィックレコーディング[1]


折茂氏によれば、従来の経営では、企業の社会的責任と売上・利益・株主価値は切り離されていたが、今後は社会的影響を戦略・価値創造と統合して捉える「ソーシャルインパクト」の考え方が一般的になる。

例えば、大気中のCO2濃度が急速に上昇し、世界の自然環境に大きなネガティブインパクトを与えているため、すでに120カ国以上が2050年までのカーボンニュートラルを宣言している。こうした動きを受けて、グローバル企業を中心にさまざまな動きが起きている。石油・ガス業界では再生可能エネルギーへの転換をいち早く図る動きが進んでおり、メガファーマのなかには世界人口の80%に製品が届くよう薬価を安く調整する会社が出てきた。再生可能な農場づくりなどを通してゼロ・ウェイスト(廃棄物を減らす環境的取り組み)を目指し、環境負荷を極力減らしている日用品メーカーもある。欧米では、環境や社会価値に配慮しない会社には投資しない金融機関が増えているという。

実は、こうしたソーシャルインパクトに注力する企業の多くはビジネスが伸びており、ソーシャルインパクトと経済的リターンは両立し得る、と折茂氏は主張する。なぜなら、ソーシャルインパクトの追求は、新たな市場の開拓、ビジネス革新、サプライチェーンリスクとコストの低減、ブランド強化とプレミアム価格の実現、優秀な人材の惹きつけ、経済社会の不可欠な要素などにつながるからだ。折茂氏には最後に、ソーシャルインパクトを事業・経営に組み込むための「10の要諦」を教えていただいた。質疑応答では50以上の質問がチャットに並び、参加者の関心の高さが見て取れた。

▽ ソーシャルインパクト経営を行ううえでの10の要諦


ソーシャルインパクト経営を行ううえでの10の要諦

DXの実現には社員の腹落ちを促す専門職「ハスラー」が欠かせない



2つ目の講演テーマは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」だ。講演者は、株式会社エクサウィザーズ代表取締役社長の石山洸氏である。エクサウィザーズは、アメリカの調査会社 CB Insightsが選ぶ、2021年の世界で最も有望なAIスタートアップ100社「AI 100」に選出されたAIプラットフォーマー(exaBase)だ。

▽ 参加したトレーナーによるグラフィックレコーディング[2]


参加したトレーナーによるグラフィックレコーディング[2]


石山氏が最初に語ったのは、DXが経営に与えるインパクトの大きさである。この数年、事業のDXを進めたことで大きな成功を収めているいくつかの日本企業の事例を共有しながら、DXはビジネスを飛躍させる可能性をおおいに秘めていることを示した。次に触れたのは、DXが業界を一変させる「XDay」のことだ。ほとんどの日本企業は、自社が属する業界はXDayをすでに迎えたか、遅くとも3年後にはやって来ると考えているという。つまり、DXは避けられない現象であり、すでに多くの業界・ビジネスを大きく変えているのだ。

石山氏はDXキャンパスという変革の型を使って、さまざまな事例を紹介してくれた。例えば、例えば、日本のスタートアップであるPLANTXは、植物の成長スピードを2倍にする画期的な植物工場を開発し、農業のかたちを変えようとしている。DXではこのように事業を構想し、ビジネスを変革していくことが大事なのだ。石山氏は、そのほかにも北米のShopify(フィンテック)など、国内外のさまざまなDX事例を詳しく語ってくれた。

石山氏は最後に、DXを組織で動かす際に欠かせない存在「ハスラー」に触れた。ハスラーとはDXのアイデアを社内に伝播させ、DXが必要だと社員に腹落ちさせるプロフェッショナルのことだ。彼らはfunny・love・fantasyを武器にしながら、時間を通じて、嘘(フィクション)を本当(ノンフィクション)にしていく。石山氏は、社内に優れたハスラーがいるかどうかがDXの成功を左右するという。以上で講演は終わったが、その後の質疑応答もおおいに盛り上がり、石山氏は自身の失敗例、ハスラーの人材要件、DXによる飛躍の秘訣などを惜しみなく教えてくれた。

センスメイキング理論のプロ「ハスラー」が体現するFLTの法則

「伝統工芸品、本当に欲しい?」「いや、正直そんなに……」

基調講演の後は、「事業検討ステップのレクチャー」に移り、井上が新規事業案の要件、アワードなどの具体的な説明や、今後の指針となる「事業検討ハンドブック」のレクチャーを行った。

次の「社会課題の全体像共有」では、最初に一人ひとりが事前に調べてきた「社会課題全体マップ」をチームで共有し合った。ネット上に公開されているデータを収集・分析してきた参加者が多かったが、なかにはマインドマップでアイデア創出を試みたり、現場情報を収集して手触り感のあるマップを作成したりしている方もいた。なお、グローバルコースは初日から資料も対話もすべて英語を使っている。

社会課題全体マップを共有し終えたチームは、残り時間で対話に入った。当然ながら、いきなり「不」を絞り込むのは難しく、各チームとも誰かが全員の意見を書き出しながら、意思決定を模索していった。この対話では早くもホンネが飛び交い始めた。例えば、文化コースのあるチームでは、「伝統工芸品、本当に欲しい?」「いや、正直そんなに……」というような会話がなされていた。こうした生々しい話の交わし合いが始まると、対話の質がぐんと深まっていく。

次に、「コース内共有」を行った。各チームがコースメンバーに向けて、今の対話の内容を共有する場だ。コースによっては、初日から参加者が進行役となって、参加者主導でコース内共有を進めていた。

一日の最後は「フィールドワークの実施に向けて」の案内だ。次回までの課題の紹介と、「不の構造化シート」をどのように活用すればよいか、フィールドワーク課題をどうやって進めればよいかの説明があった。その後は、チームごとにどうやって進めるかを話し合った。

こうして長い一日が終了したが、キックオフは最初の一歩にすぎない。これから各チームとも、約6カ月間の長い道のりのなかで何度も話し合い、フィールドワークを一緒に進め、自分たちが解決したい「不」を見定めて新価値創造へ向かっていく。本連載はこれからJammin’2021の各セッションの状況や専門家インタビューなどを紹介しながら、6カ月間の歩みに伴走していく。


【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】


※なお、昨年のJammin’新価値創造セッションの様子についてはJammin’特設サイトでもご紹介しています。
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。


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