連載・コラム
さあ、扉をひらこう。Jammin’2022 owner interview vol.1
社外のいろんな人たちと共に、壁にぶつかって乗り越える経験を積める場所〈オーナーインタビュー1・NTTコミュニケーションズ様〉
- 公開日:2022/12/19
- 更新日:2024/05/16
共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」は4年目のJammin’2022を行っている最中だ。40社・273名の次世代リーダーが、約半年にわたって事業の立案に取り組んでいる。同時並行で、オーナー(人事)の皆さんが参加するオーナーセッションも開催している。セッションの中では、各社におけるJammin’の活用方法、関連した取り組みなどに関して意見交換される場面も多い。 そこで、詳しくお伝えするために、オーナーインタビューを行った。第1弾として、2022年1月より新NTTドコモグループとして法人事業の中核を担うNTTコミュニケーションズ株式会社の鈴木氏、内山氏、友井川氏にお話を伺った。
- 目次
- 社内外をつなげる「越境型リーダー」開発の中心施策としてJammin’を活用
- Jammin’のような実践の場を自分たちだけで意図的に創出するのは難しい
- 2022年はランチミーティングなど「社内Jammin’受講者の意見交換会」を開催
社内外をつなげる「越境型リーダー」開発の中心施策としてJammin’を活用
PROFILE
鈴木 雄士氏 プラットフォームサービス本部 事業推進部 担当課長(チームリーダー)
友井川 拓氏 プラットフォームサービス本部 事業推進部 主査
内山 美香氏 プラットフォームサービス本部 事業推進部 担当
――Jammin’の利用を始めた経緯を教えてください。
内山:NTTコミュニケーションズは、2020年に「プラットフォームサービス本部」を立ち上げました。
それまで別々だった6組織を束ねた本部(2022年の再編で、現在は以下図の5組織)で、2000名超の大組織です。私たち3人は、このプラットフォームサービス本部横通しの人材育成を担当しています。
プラットフォームサービス本部の大きな課題の1つは、「イノベーションを起こせる人材を育成する」ことです。今、プラットフォームサービス本部が最も重視しているのは、これからのNTTコミュニケーションズおよびNTTドコモグループの中核となり得る事業・サービスの種を次々に生み出すことです。そのために、プラットフォームサービス本部として組織を束ねました。各組織を横断し、必要があれば社外にも飛び出して、社内外の知見やサービスを組み合わせて新価値を創造していくためには、シナジーを生み出せる「越境型リーダー」が必要と考えます。組織全体として越境型リーダーを増やすことが、私たち人材育成チームの目標となっています。
かくして、私たちは越境型リーダー開発に乗り出しました。効果的な施策を探した結果、Jammin’とJammin’の総合プロデューサーである井上功さんに出会い、その熱い想いに心を奪われました。
鈴木:井上さんには、Jammin’に加えて、「イノベーション・ワークショップ」と「i-session」もご提案いただきました。Jammin’は優れた越境型リーダー開発施策ですが、一方でイノベーションをたくさん起こす組織にするためには、組織全体のイノベーションマインドを高めて、イノベーション文化を醸成することも大切です。
イノベーション・ワークショップはそのためのボトムアップ施策で、100名規模の講演会と議論の場です。
i-sessionは、両者の中間的な位置づけの取り組みで、社内のシナジーを高めていくことを期待した事業部横断イノベーション研修です。イノベーション・ワークショップは「自己越境」、i-sessionは「社内越境」、Jammin’は「社外越境」と位置づけています。
2021年、私たちはイノベーション・ワークショップ、i-session、そしてJammin’の三位一体で越境型リーダー開発を始めました。Jammin’はその中心施策です。
友井川:私は、2022年から人材育成チームに加わりました。2022年7月、NTTコミュニケーションズはNTTドコモ、NTTコムウェアと組織統合を行い、プラットフォームサービス本部にも、ドコモから合流したメンバーが加わっています。Jammin’ 2022には、それらのメンバーも早速参加してもらっています。3社のシナジーによりNTTドコモグループとして新価値を創出していくにも、やはり越境型リーダーが欠かせません。私たちはこうして、2022年からJammin’を組織融合施策の一環としても活用しています。
Jammin’のような実践の場を自分たちだけで意図的に創出するのは難しい
――Jammin’2021を活用して、いかがでしたか?
内山:2021年も2022年も、若手課長層が12名ずつ参加しています。選抜方法は各部署によって異なり、部署に任せています。
Jammin’2021の12名はモチベーションの高いメンバーが揃っていたのですが、それでも終了後の感想は二分しました。「参加して良かった!」と嬉しそうに話してくれたメンバーが多かったのですが、なかには「とにかく大変だった」と漏らすメンバーもいました。チームによっても異なりましたが、特に、現業に加えて子育てが忙しいメンバーは、土日や夜間に打ち合わせが入ることもあり、時間調整に苦しんだ印象があります。
2022年はこれを踏まえて、受講希望の社員には、Jammin’はパワーと時間を要するタフな研修であることを事前に伝えています。
鈴木:Jammin’受講後、同じチームやコースの仲間たちと関係が続いているかどうかも、個人差があります。社外人脈をしっかりと築けたメンバーもいれば、研修中のみのつながりのメンバーもいます。受講後のつながりの継続性は、課題の1つです。とはいえ、受講者のほぼ全員が、受講したことに価値を感じてくれていることは確かです。
――鈴木さんはオーナーであるだけでなく、リーダーとしてもJammin’2021を受講していますね。いかがでしたか?
鈴木:人材育成チームの誰かが実際に受講すると、受講者の気持ちをより深く理解でき、社員にJammin’を勧めやすくなる、と考えて受講しました。Jammin’は「ひきつける・いかしきる・やってみる」の3つの行動を大事にしていますが、それなら私もやってみよう、と思ったわけです。
私が参加したのは介護コースです。私のチームは、私のほかにITベンダー、不動産会社、自動車関連メーカーの4名でしたが、新規事業開発に取り組まれているメンバーからはデザイン思考を駆使したアイディアが出るなど、それぞれの業界の知見を活かし不動産観点やモビリティ観点のアイディアが活かされていました。視点や武器の違う4名が力を合わせて、自分たちの専門外である介護領域での新価値創造を目指し、やりきることができました。イノベーションを起こす際に、価値観の違うメンバーがぶつかり合いながら協力することがいかに大切かを、身をもって体験できた、と感じています。専門家・下河原忠道さんの介護に対するパッションにも感銘を受けました。
今振り返ると、私のチームは、事業アイディアを表面的に、キレイにまとめようとしていたところがありました。
最初は親戚や知人等へのヒアリングをする形で進めていたものの、下河原さんやトレーナーから厳しい指摘と熱いエールをいただき、不の手触り感を深めるためには、より現場へのインタビューが重要と気付かされました。インタビュー先を探すことにも苦労しましたが、訪問介護事業所や介護コミュニティへの参加等をメンバーで分担しながら、より介護職の現場の方へ飛び込むことにシフトしました。そうした結果、介護の現場は想像以上にIT化が全然進んでいないことが具体的に見えてきて、「不の手触り感」を感じることができました。現場の皆さんには、研修であることをお伝えしても、研修と言わずに是非現場を助けて欲しいといった声も頂き、そういった経験を通して、自分ゴト化出来たことを覚えています。最終的に事業案のプロトタイプへのご意見等も頂き、納得のいく事業案を作ることができたのです。
ハードでしたけど、この研修は個人のバージョンアップにも、組織のイノベーション力向上にも有効だと確信しています。Jammin’のような実践の場を自分たちで意図的に創出するのは難しく、とても貴重です。
内山:鈴木のように、仲間たちと一丸となって、壁を乗り越えることがJammin’の醍醐味です。その過程では、仲間たちが本気で意見をぶつけ合い、それを乗り越える経験が大事です。参加者からは、優秀な仲間と本気で意見を言い合えたからこそ、洗練された事業アイディアを出せたと聞くことが多かったです。
鈴木:私の経験からいうと、できるだけ早い段階で、チームメンバー同士の「深い自己開示」ができるとうまくいくでしょう。お互いにプライベートの状況も明かしながら、どのくらいの時間とパワーを割けるのか、何が得意で何が不得意なのか、何をしたくて何をしたくないのかといったことを正直に話し合うことが大事だと感じました。そうすれば、チームがいち早く力を合わせられるようになります。
2022年はランチミーティングなど「社内Jammin’受講者の意見交換会」を開催
――2022年はどのような工夫をしていますか?
内山:社内のJammin’受講者間で意見交換ができるように定期的に「ランチミーティング」を開催しました。弊社は2021年にJammin’に初めて参加しましたが、Jammin’受講者は、参加中には別コースや他チームの状況を知る機会はないため、社内メンバーでの意見交換を目的としたランチ会を開催しました。10コースに12名が参加しており、「情報交換と息抜きの場」として、各コースの情報共有をしたり、進め方の意見交換ができることが彼らにとって有益です。社内の仲間が相手だとホンネやお困りごとを話しやすいです。事務局としても参加者皆さんの意見を参考にしていただき、今年度の施策検討に活かしています。
友井川:ランチ会は、プラットフォームサービス本部内の「越境コミュニティ」にもなります。部門をまたいだ業務の相談をしたり、業務以外のことをホンネで熱く語り合ったりもしていて、社内の貴重な場です。
今後はさらに、Jammin’受講者の輪のなかにJammin’卒業生の「タテの関係」も加えていき、社内Jammin’コミュニティを分厚くしたいと考えています。受講後に、Jammin’で得た経験や知見や人脈を実業務に活かすまでには、ある程度の時間がかかります。だからこそ、社内Jammin’コミュニティのメンバーが協力し合うことで、Jammin’の成果を業務に活かすまでの時間を短縮したり、より良く活用できたりするのではと期待しています。
――オーナーセッションはいかがですか?
鈴木:人事育成の課題はどの会社でも似ているため、他社の人事育成の成功・失敗も含めた事例が参考になります。ですから、オーナーセッションでは皆さんの人事育成の事例を伺えるのが嬉しいです。もちろん、私たちも情報を提供しています。今後も人事同士でいろいろな情報を交換していきたいです。
友井川:同じ人事課題を、違う角度・違う文化で解決しようとしているのが興味深く、オーナーセッションから得られる気づきは多いですね。
内山:先日のオーナーセッションで、トレードワルツの染谷悟さんが登壇されました。そのご縁で染谷さんにイノベーターとしてNTTコミュニケーションズで講演いただく予定です。オーナーセッションでは、社外イノベーターとつながる機会も得られました。
▽ プラットフォームサービス本部 事業推進部の皆様(左から鈴木香都美氏、内山氏、鈴木雄士氏、友井川氏)
――最後に、読者にメッセージをお願いします。
鈴木:受講者の皆さんは、ぜひ苦しんでください。苦しさを乗り越えた先に成長があります。そのプロセス全体をぜひ楽しんでください。社外・業務外でチャレンジできる自由を100%活かしてください。そしてみんなで越境しましょう。
友井川:Jammin’を通して、社外を見ること、社外の人たちとつながることが大事です。まずは思いきって飛び込むことから始めてください。
内山:優秀な他企業のリーダーの皆さんと、未知の分野、未知の現場に飛び込んだからこそ、得られるものがあります。ぜひ、仲間たちと真剣にぶつかり合い、共に壁を乗り越える貴重な経験をしていただけたらと思います。
【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。
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