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キャリアデザインとは? 注目されている理由や企業が支援する具体例を解説

  • 公開日:2021/03/19
  • 更新日:2024/12/02

キャリアデザインとは、将来の「ありたい姿」を明確にし、理想の働き方を考えることです。今キャリアデザインが求められている理由や、企業が従業員のキャリアデザインを支援するメリット、具体的な支援方法などについて解説します。

キャリアデザインとは

キャリアデザインとは、将来のなりたい自分を描き、その実現に向けて職業人生を設計することです。VUCAと呼ばれる、移り変わりが激しい社会では、一人ひとりが自律的に自らのキャリアデザインに取り組むことが求められています。最近は、従業員のキャリアデザイン支援に対する企業側の関心も高まっています。

職業人生を設計するにあたっては、仕事だけでなく私生活についての設計も必要となります。生活全般における仕事の比重をどれくらいにするのか、ということもキャリアデザインの大きな要素になるからです。なおここでいう生活とは、家事・育児・介護などのほか、自分の病気や趣味や習い事や地域活動、PTA活動、ボランティアなども含まれます。

また、キャリアと付く言葉には「キャリア形成」「キャリアプラン」「キャリアパス」などもあります。それぞれの意味は以下のとおりです。

キャリア形成とは

キャリア形成とは、仕事を通じて知識やスキルを習得し、職業能力を開発することです。将来のなりたい姿の実現に向けて計画的に必要な経験を積んでいく、仕事のプロセスや取り組みを指します。

キャリアプランとは

キャリアプランとは、仕事における具体的な行動計画のことです。目標に向けてどのような知識・スキルを身に付け、どのようにキャリアを積み上げていくかなど、転職や独立も選択肢に入れて考えます。

キャリアパスとは

キャリアパスは、企業や組織のなかでキャリアを積み重ねるための道筋です。目指すポジションに就くためにはどのような経験やスキルが必要か、具体的なステップを示しています。

キャリアデザインは自身が主体となって設計するもので、ライフプランも含めて考えます。一方キャリアパスは、目指す職務や職位に必要なスキルや経験、工程を示したモデルプランで、企業側から従業員に提示されることもあります。

キャリアデザインが注目されている理由

キャリアデザインが注目されている背景には、社会の変化や、企業・個人のキャリアに対する考え方の変化があります。それぞれの角度からキャリアデザインの重要性を解説します。

社会の変化

昨今は変動・不確実・複雑・曖昧を意味する「VUCAの時代」と呼ばれています。社会が目まぐるしく変化し、将来の見通しを立てることが難しい状況です。それにともない、卒業・就職・退職という、これまで当たり前だったライフコースが通用しなくなり、転職、起業、副業、学び直しなど、さまざまな選択ができる社会に変化しています。そこで、働き方や生き方を見つめ直す人が増えたのです。

企業の変化

日本では、これまでの年功序列や終身雇用が崩壊しつつあります。人材の流動性も増し、人口減少による人手不足も深刻です。今いる人材で生産性を上げ、同時に人材の流出を防ぐには、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める施策が不可欠といえます。そのための取り組みとして、キャリアデザインへの注目が高まっています。

個人の変化

個人の労働に対する価値観が変化し、働き方の多様化も進んでいます。転職は当たり前になり、フリーランスの道を選ぶ人も増えました。「人生100年時代」と呼ばれ、職業人生も長い目で見なければいけません。そのため一人ひとりがキャリアデザインに取り組み、自分らしい働き方を考えることが求められています。

企業がキャリアデザインを支援するメリット

一人ひとりが主体的に取り組むべきキャリアデザインですが、企業が支援することで、さまざまなメリットがあります。ここで主な2点を紹介します。

従業員のエンゲージメントが向上する

キャリアデザインを企業が支援することで、従業員は自分の目指す将来像を明確にすることができます。会社との関係を長期的に考え、はっきりとした目的意識を持って業務に取り組むことができるでしょう。また、「従業員の将来を大切にしている」という企業の姿勢も伝わります。その結果、エンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

離職防止や定着率の向上につながる

従業員のキャリアデザインを企業が把握することで、効率的な人材育成ができます。目標を実現するためのステップや、課題を克服するための具体的な提案をすることで、従業員が「目標に着実に近づいている」と実感できるでしょう。モチベーションも上がり、離職防止や定着率の向上にもつながります。

企業がキャリアデザインを支援するデメリット

一方、企業がキャリアデザインをサポートすることのデメリットもあります。

従業員が転職するきっかけになる場合がある

自分の目指すキャリアが明確になることで「今の会社では目標を実現できない」と考え、転職を選ぶ従業員もいるかもしれません。そのような事態を防ぐため、キャリアデザインをサポートする際は最初に「自社で成長してもらうための支援」であることを伝えましょう。そのうえで、今の環境でどう目標実現に近づくか、一緒に考えていくことが大切です。

キャリアデザインを構成する要素

キャリアデザインを構成する重要な要素を3つご紹介します。

仕事に対する考え方や価値観

「なぜ働くのか?」「どんな仕事にやりがいを感じるか?」といった、仕事に対する本質的な考え方は、キャリアデザインの土台となる重要な部分です。「やりたいことが分からない」という場合は、まずは興味や関心があることから深掘りし、徐々に仕事の考え方や価値観を明確化していきましょう。

自分の強みや個性

知識、スキル、経験、自主性、リーダーシップなど、自身が持っている資質を整理します。ポイントは「企業の目線」で考えることです。転職エージェントになったつもりで、自分のセールスポイントをまとめてみましょう。自分自身では気づかない部分もあるため、他者から客観的に評価してもらうのもお薦めです。

理想の仕事・働き方を実現するために必要なスキル

理想の仕事や働き方を実現するために、どのような能力やスキルが必要かを整理します。今自分が持っているスキルと照らし合わせることで、今すべき具体的な内容が見えてくるでしょう。ただし、今持っているスキルが将来も生かせるとは限りません。今後起こるかもしれない社会状況の変化なども想定して考えることが重要です。

キャリアデザインを設計する流れ

キャリアデザインを設計する際は、どのような手順を踏んだらよいのでしょうか。具体的な流れについて見ていきましょう。

過去を振り返る

自己理解を深めるために、過去のキャリアを振り返ります。これまで行ってきた業務、得た知識やスキル、経験などを洗い出してみましょう。やりがいを感じたことや苦手だったこと、困難に直面したときにどのような行動をしたのか、という点も重要な要素です。客観的に自分を見つめ直すために、適性検査や適性診断ツールなどを活用してもよいでしょう。

目標とする姿を考える

「どんな業務に携わりたいか」「どのようなキャリアを歩みたいか」など、将来の目標を考えます。具体的な仕事が思い浮かばない場合は、「生涯現役でバリバリ働く」「田舎でのんびり暮らす」といった理想の生き方でも構いません。「満員電車に乗りたくないから、リモートで働きたい」というように、「やりたくないこと」から目標を絞り込むことも有効です。

現在との差を分析する

今の自分と目標の姿を照らし合わせて、現在とのギャップや解決すべき課題を明確にしましょう。

例えば「40歳までに独立する」という目標を掲げたとします。その目標から逆算して、「30歳でマネジャーになる」「35歳で転職する」など段階的にステップを設定していきます。同時に、目標のポジションに就くために必要な経験やスキルも整理します。

するべき行動を決めて実行する

解決すべき課題が見えたら、具体的な行動を決めて実行に移します。例えば「マネジャーを目指して、新しいプロジェクトに立候補する」「資格を取得する」などです。将来の「ありたい姿」を明確に描ければ、日々の業務にもモチベーション高く取り組めるようになります。新しいことにも積極的にチャレンジできるようになるでしょう。

企業がキャリアデザインを支援する具体例

キャリアデザインの支援は、具体的にどのように行えばよいのでしょうか。主な支援方法を3つ紹介します。

キャリアデザイン研修

多くの企業で実施しているのが、キャリアデザイン研修です。従業員がキャリアを考えるきっかけになり、具体的なキャリアデザイン方法も学ぶことができます。キャリアデザインは定期的に見直して修正することが大切です。研修は一度だけで終わらせず、キャリアの節目ごとなどに定期的に行いましょう。

キャリア面談

従業員が抱える悩みや課題を把握するために、個別でキャリア面談を実施するのも効果的です。従業員が目指す方向性や理想の姿が明確になれば、効率的にサポートすることができます。目標までの道筋を具体的に提示することで、従業員のモチベーションもアップするでしょう。

人事制度の整備

従業員が望むキャリアを実現するために、人事制度を拡充する方法もあります。例えば希望する部署に異動しやすい「社内公募制度」や「社内FA制度」などです。育児や介護で退職した従業員を再雇用するジョブリターン制度なども有効です。

キャリアデザインを支援する際の注意点

キャリアデザインを効果的に支援するには、いくつか注意すべきポイントがあります。

目標を限定的に捉えない

キャリアデザインは長期的に取り組むものです。目標は職種などを限定せず、自分が実現したいことに照らし合わせて、複数の選択肢を持つことが大切です。

例えば「人事コンサルタントとして独立したい」と限定してしまうと、軌道修正がしにくくなってしまいます。しかし「将来は独立して、多くの人の悩みを解決したい」という目標なら、幅広い選択が可能です。状況の変化に合わせて、より柔軟にキャリアを積み重ねることができるでしょう。

主体的に取り組める内容にする

キャリアデザインは従業員が主体的に取り組むものです。義務化したり強制したりするのは避けましょう。また、企業が希望する人材像やキャリアパスを押し付けないように注意が必要です。キャリアデザインの重要性を理解してもらい、支援制度を整えることで、従業員が自発的に取り組めるような環境をつくることが大切です。

まとめ

変化が多く先が不透明な昨今、すべての人にキャリアデザインが求められています。本来は従業員一人ひとりが自発的に取り組むものですが、企業がサポートすることでさまざまなメリットが生まれます。従業員の可能性を広げ、エンゲージメントを高めるためにも、積極的にサポートしてほしいと思います。

支援方法にお悩みの場合は、プロに相談するのもお薦めです。弊社ではキャリアデザインに関するさまざまなサービスを提供しています。若手向け・中堅向けなど役職に応じた研修も用意していますので、ぜひご活用ください。

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