STEP

用語集

キャリアパスとは? キャリアプランとの違いや制度の導入を解説

  • 公開日:2023/06/22
  • 更新日:2024/06/21

「キャリアパス」とは、日本語に直訳すると「キャリアを得るまでの道」という意味になります。すなわち、キャリアパスは企業などの組織内においてキャリアを積み重ねていくために必要な過程や道筋を示すものです。

例えば、目指す職務、職位などの目標に対して、必要なスキルや経験、至るまでの工程を明確化し提示することです。これを制度にしたものを「キャリアパス制度」と呼びます。

キャリアパス制度は、従業員が目指す仕事やポジションに就くまでにどのような仕事をいつまで経験し、必要なスキル、能力をどのくらいのレベルで身につけるべきかを示します。キャリアパス制度によって昇進条件や基準が明確化することで、従業員が主体的に目標に向かうよう促す効果も期待できます。

行動につながる若手向けキャリア研修
「キャリアアクションプログラム 若手向け」

行動につながる中堅向けキャリア研修
「キャリアアクションプログラム 中堅向け」

従業員のキャリアデザインを支援するための「キャリア志向調査(R-CAP)」

キャリアプランとの違い

キャリアプランとの違い

キャリアパスとしばしば混同されがちな言葉に、「キャリアプラン」があります。キャリアパスがおもに企業が従業員に対して提示する「職務や職位に就くまでの道筋」であるのに対して、キャリアプランは働く人が自分自身で考える将来の目標や目標までの計画を指します。

そのため、キャリアパスのように企業のなかで完結する目標や工程とは異なり、キャリアプランの場合はキャリア形成を目的とした転職や独立も選択肢となり得ます。この点が、キャリアパスとキャリアプランの違いといえるでしょう。

キャリアパスが注目される背景

キャリアパスの注目が高まりつつある背景には、「終身雇用制度、年功序列制度の崩壊」などが関係しているとされます。

従来の日本では、終身雇用制度や年功序列制度が機能しており、年齢に合わせて役職や給与が上がるため、個人がキャリアを意識し自身で設計する必要はありませんでした。

しかし、近年では働き方の多様化によって、「一企業で定年まで働きキャリアアップを目指す」というケースは減少しつつあります。そのため、個人が自身のキャリアを考え、必要な経験を積むことが求められているともいえるでしょう。

キャリアパスは目指すキャリアまでに必要なステップやスキルを可視化するため、「どの経験を積むべきか」が一目でわかります。自身のキャリアを考える従業員にとって、キャリアパスは重要な指標の一つになっているのです。

キャリアパス制度を活用すれば、従業員の意欲向上や優秀な人材の確保、育成にも効果が期待できます。キャリアパスは、人手不足問題を解消する手段としても注目されているのです。

キャリアパス制度を導入するメリット

キャリアパス制度を導入するメリット

次に、キャリアパス制度の導入によってどのようなメリットが得られるのか、詳しく解説します。

モチベーション向上

前述したとおり、キャリアパス制度の導入によって目指したいキャリアまでの道筋を明確にすることで、従業員のモチベーション向上が期待できます。

キャリアパス制度によって、現在の業務が将来のビジョンにどのようにつながるかはもちろん、キャリアアップのためにどのような目標を設定すべきなのかが把握可能です。それにより、身につけておく能力や経験もわかります。

キャリアパス制度を導入することで、将来の姿を目指すために何をすべきかがより具体的に理解できるため、能動的に業務に取り組む意欲を培うことができるのです。

離職率の低下

企業の経営や事業の長期的な継続には、「人材の確保」が重要です。そのためには、新しい人材を確保すること、離職率を下げることが欠かせません。

キャリアパス制度を導入して採用時に応募者にキャリアパスを提示すれば、入社後に働いている姿や働き方をより具体的にイメージしてもらうことができ、応募者の入社率を高める効果が期待できます。

また、入社前後における企業、応募者双方のギャップも軽減され、入社後のミスマッチによる離職も減り、定着率の向上も期待できるでしょう。

優秀な人材の獲得

キャリアパスの提示は、企業が従業員に対して成長を望んでいることや、キャリアアップまでのサポートをすることを応募者にアピールできます。そのため、成長意欲の高い社員を確保しやすくなるでしょう。

また、応募者にキャリアパスの詳細を伝えることで、「人材育成が行き届いている企業」と前向きな印象を与えられるはずです。

キャリアパス制度を導入するステップ

キャリアパス制度の概要や重要性、メリットは把握していても、「実際に導入する際はどのようなステップを踏むべきなのかわからない」という方も少なくないでしょう。ここからは、キャリアパス制度の導入方法について、ステップごとに解説します。

等級制度の設計

まずは、職務や職位といったキャリアに応じて、階層や等級などを設計します。

例えば、主任、係長、課長、部長といった役職をもとに等級を設定するのが一般的です。また、役職がつかない職位の場合も、勤続年数や取得している資格、スキルなどをもとに細かく設定していくとよいでしょう。

人事評価制度の設計

次に、設定した各階層、等級別に必要な評価基準を設計します。

企業における人事評価制度は、従業員の能力やスキルが基準の「能力評価」、従業員が業務で出した成果が基準の「業績評価」、従業員の意欲や勤務態度が基準の「情意評価」などがあります。

これらの評価をもとにより具体的で明確な評価項目を策定、自社に適した評価基準を設定します。人事評価基準は従業員が次の階層、等級への昇格を左右する重要な要素となるため、すべての従業員が納得できる公平かつ透明性のある基準が求められます。

人事評価の手法は、設定されている目標までの達成度を評価する「目標管理制度」や、上司、同僚、部下などさまざまな従業員の視点から評価する「360度評価」などが挙げられます。人事評価の手法も評価基準と同様、公平性や透明性が確保できるものを採用しましょう。

給与制度の設計

次に、設定した階層ごとに給与設定を行います。一般的に、階層や等級が上がるにつれて求められるスキルは高くなり、業務の責任や難易度も高くなるでしょう。したがって、それらを加味して階層に応じた待遇(給与)を設定します。

また、設定した給与制度は社内の従業員全員が確認できるように開示することも効果的です。開示することで従業員一人ひとりが給与額を把握できるため透明性が増し、意欲向上や前向きなスキルアップを促すことにつながります。

研修の実施

従業員が階層や等級に応じた能力やスキルを習得できるように、各種研修を実施していくことも重要です。

キャリアアップに必要な資格の取得やスキルアップに役立つ研修などを実施することで、従業員のキャリアパスのサポートにもつながります。研修を実施する際は、各職務や等級に応じた適切なタイミング、適切な内容を企画するように心がけるとよいでしょう。

企業における研修は、実務をベースにした「OJT」や、ある程度の期間実務から離れ、セミナーや勉強会に参加する形式の「Off-JT」があります。また、従業員が自主的にスキルや能力習得のために学ぶことを経済面から支援する「SDS」も、研修の一つです。

これらの研修を適切に組み合わせて実施することで、より効果的な研修が実施できるでしょう。

まとめ

目指したい職務や職位までに必要な工程やスキルを可視化するキャリアパス制度は、従業員のモチベーション向上や離職率の低下、優秀な人材の獲得に役立ちます。ただし、これらのメリットを最大限得るには、適切な内容、基準で制度を設計することが重要です。

キャリアパス制度を導入する際は、階級や等級ごとの基準や条件を明確に定め、誰に対しても納得感のある評価制度を設けましょう。公平性や透明性のある制度を用いることで、従業員全員が目標に向かって前向きに職務やスキルアップに取り組むことにつながります。

おすすめの
無料オンラインセミナー

Online seminar

サービスを
ご検討中のお客様へ

電話でのお問い合わせ
0120-878-300

受付/8:30~18:00/月~金(祝祭日を除く)
※お急ぎでなければWEBからお問い合わせください
※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください

SPI・NMAT・JMATの
お問い合わせ
0120-314-855

受付/10:00~17:00/月~金(祝祭日を除く)

facebook
x