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営業管理職の育成ガイド|必要な役割・スキルと実践例
- 公開日:2026/07/27
- 更新日:2026/07/27
営業管理職に求められるのは、「自分で売る力」ではなく「チームで成果を出す力」です。
しかし営業担当者として結果を出してきた人ほど、管理職になっても「自分が動いた方が早い」という感覚を手放せずに苦労します。部下を育てる立場でありながら、自分がもっとも動いているという状況も少なくありません。
こうした課題を抱える営業管理職をどう育成すればよいのでしょうか。
本記事では、営業管理職が陥りやすい課題の構造を整理したうえで、チームの成果を引き出すマネジメントの実践ポイントを解説します。
- 目次
- 営業管理職が直面しやすい4つの課題
- 営業管理職の役割|営業職(営業担当者)との違い
- 営業管理職に求められる3つの力
- チーム成果を上げる営業マネジメント3つの実践
- 営業管理職の育成で人事担当者が押さえたいポイント
- 営業マネジメント強化の施策事例
- 営業管理職の育成で重視したいのは「チームを動かす力」
営業管理職が直面しやすい4つの課題
営業管理職を育成する施策の設計は、現場の課題を正確に把握する作業から始まります。
以下の4つは、多くの営業組織に共通して見られる課題です。
- 部下が育たず、メンバーごとの成果の差が大きい
- 報告を聞くだけで、KPI管理ができていない
- 部下への指導が感覚論になってしまう
- 自分が案件を抱えてしまい、部下に任せられない
部下が育たず、メンバーごとの成果の差が大きい
一部のトップ営業に成果が集中するケースは少なくありません。
この偏りを放置すると、異動や退職によって業績が大きく変動するリスクが高まります。若手や成果が伸び悩むメンバーが育たない状態が続けば、営業活動の多くを一部の優秀な人材や管理職が担うことになり、特定のメンバーに負荷が集中しやすくなります。
安定して成果を出せる営業組織をつくるには、トップ営業に依存せず、メンバー一人ひとりが成果を出せる状態に近づけていくことが必要です。営業管理職には、部下の課題を把握し、適切な成長支援を行える体制を整えることが求められます。
報告を聞くだけで、KPI管理ができていない
週次・月次の会議で、管理職が数字を確認するだけで終えるケースも見られます。
目標未達の報告があっても「なぜ未達だったのか」「どのプロセスに課題があるのか」まで分析できなければ、具体的な改善行動につながりません。
同じ問題が繰り返し起きるサイクルを断ち切るためにも、早めに手を打ちたい課題です。
部下への指導が感覚論になってしまう
営業管理職が感覚論で部下を指導してしまうことも、現場で多く見られる課題です。
「もっと顧客との関係を深めよう」「熱意を伝えよう」といった感覚的な言葉だけでは、部下が具体的に何を改善すればよいのかが、部下には分かりません。
こうした指導の背景には、管理職自身が成果を出してきた行動を言語化できていないことがあると考えられます。優秀な営業ほど無意識に実践していることが多く、「なぜ成果が出たのか」を説明するのが難しいため、指導が経験談や精神論に偏りやすいのです。
自分が案件を抱えてしまい、部下に任せられない
重要案件や大口顧客を前にすると、「自分が担当した方が確実だ」と考える管理職もいるでしょう。
短期的には着実な成果につながる判断かもしれませんが、本来注力すべき部下育成や組織づくりに時間を割けなくなります。結果として部下が育たず、チームの成果が管理職個人の力に依存し続ける構造が固定化してしまいます。
営業管理職の役割|営業職(営業担当者)との違い
営業担当者は自身の営業活動を通じて成果を上げますが、営業管理職に求められるのは自分が売る力ではなく、チームとして成果を再現する力です。
営業担当者として優秀だった人ほど、「自分でやった方が早い」と考え、案件対応やクロージングを自ら引き受けがちです。短期的には成果につながりますが、それが続くとチームの成果が管理職個人に依存した状態から抜け出せなくなります。
本来、営業管理職には、チームで成果を出すために次のような役割が求められます。
- 営業戦略の立案
- KPI設計と運用
- メンバー育成
- 案件管理とリスク管理
- 組織づくり
営業管理職の育成では、これらの役割を理解するだけでなく、現場で実践できる状態まで支援する視点が欠かせません。
営業管理職に求められる3つの力
営業管理職育成では、課題に合わない研修や育成施策を実施しても成果につながりません。
例えば、本来は部下育成に課題があるにもかかわらず営業スキル研修を実施しても、現場の課題は解決されないでしょう。そのため、まずは自社の営業管理職がどの力に課題を抱えているのかを把握することが必要です。
ここでは、営業管理職に共通して求められる3つの力を紹介します。
戦略立案力
チーム成果が伸び悩む組織では、「誰に」「何を」「どの順番で売るか」が曖昧になっていることがあります。
戦略立案力とは、限られた人員や時間をどこに集中させ、成果につなげるかという道筋を描く力です。
例えば、勝率や単価のデータをもとに「製造業の中堅企業に営業リソースを集中させる」と決めるのも戦略立案の1つです。
目の前の案件に集中する営業担当者と違い、管理職はチーム全体を俯瞰し、市場や顧客の変化を踏まえて進む方向と優先順位を定めます。場当たり的な営業ではなく、描いた戦略に沿って組織が動く状態をつくることが、営業管理職が最終的に目指す姿です。
プロセス管理力
プロセス管理力とは、「なぜ成果が出たのか」「なぜ成果が出なかったのか」を営業プロセスから把握し、改善につなげる力です。
例えば、同じ「目標未達」のメンバーでも原因は同じとは限りません。
1人は商談数こそ十分なのに、提案からクロージングへの移行率が低く、詰めの弱さが課題です。もう1人は受注率は高いのに、商談数が足りていません。
商談数・提案件数・フェーズ移行率といったプロセス指標を見てはじめて、前者には商談を前に進める訓練を、後者には案件を発掘する仕組みを、と打ち手を分けられます。
結果だけを追っていると、こうした違いが「個人の能力差」として処理されてしまい、本当のボトルネックが見えなくなります。KPI管理が数字を読み上げるだけの「報告会」で終わっている組織こそ、プロセス管理力の育成を優先すると効果的です。
人材育成力
人材育成力とは、自分が教え込むのではなく、部下が自ら考え、成長できる環境をつくる力です。
「自分の経験を一方的に伝えるだけ」では、部下の成長にはつながりません。「問いかけを通じて考えさせるコーチング」「案件を任せる経験学習」「営業会議や勉強会でノウハウを共有する仕組みづくり」を組み合わせることで、組織的な育成が可能になります。
例えば、「今回はどこでつまずいたと思う?」と問いかけ、自ら課題に気づいてもらうことも育成の1つです。
指導が感覚論に偏りがちな管理職こそ、こうした育成の型を体系的に学ぶ機会が重要です。
営業マネジメント力向上のカギとなる力については、以下の記事でも解説しています。
【関連記事】営業マネジメント力の強化
チーム成果を上げる営業マネジメント3つの実践
営業管理職がプレイヤー思考から抜け出し、チームで成果を出せる状態をつくるには、日々のマネジメントのあり方を見直すことが求められます。ここでは、現場で実践しやすく成果にもつながりやすいマネジメントの実践ポイントを3つ紹介します。
勝ちパターンを言語化して共有する
チーム全体の営業力を高めるには、成果を出している担当者の行動や考え方を言語化し、組織で共有することが重要です。
勝ちパターンは担当者本人の経験や感覚に埋もれていることが多いため、まずは成果につながっている行動を整理します。
例えば、次の点をヒアリングすると、成果につながる共通点が見えてきます。
- どのような顧客に提案しているのか
- どのような質問で課題を引き出しているのか
- 提案時に何を重視しているのか
大切なのは、手順だけでなく「なぜその行動を取るのか」という考え方まで共有することです。個人の成功体験を組織のノウハウとして蓄積できれば、属人化の解消にもつながります。
意思決定にメンバーを巻き込み、当事者意識を育てる
チームの主体性を高めるために、メンバーを意思決定のプロセスに参加させましょう。
営業戦略やターゲット選定を管理職だけで決めてしまうと、メンバーは「与えられた目標をこなすだけ」という意識になりやすくなります。
例えば新規開拓先を決める際は、管理職が一方的にターゲット業界を決めるのではなく、メンバーと議論したうえで方針を決めるのです。
【議論のテーマ例】
- どの業界に商機があると思うか
- どの顧客層なら自社の強みを発揮できそうか
- 競合との差異化ポイントは何か
議論の段階から参加してもらうと、「自分たちで決めた」という意識が生まれ、目標達成への主体的な行動につながります。
もちろん最終的な意思決定は管理職が行う必要がありますが、意思決定プロセスに参加させる機会をつくると、チームの自走力は大きく向上します。
案件管理の解像度を高める
チームの成果を高めるには、案件の進捗を確認するだけでなく、受注に向けた課題や打ち手を具体的に把握することが重要です。
営業管理職は、案件を「受注見込みが高い・低い」で評価するだけではなく、受注に向けて何が課題になっているのかを把握する必要があります。
- 何が決まれば受注につながるのか
- どこで停滞しているのか
- 次に何をすべきか
例えば、重点案件について次の内容を説明できる状態が理想です。
- 誰が意思決定者なのか
- 受注に向けて何が未決定なのか
- 競合はどこか
- どこで停滞しているのか
- 次回商談で何を決める必要があるのか
- 失注するとしたら何が原因になりそうか
こうした観点で案件を整理すると、案件ごとの課題や必要な支援が明確になり、優先的にフォローすべき案件も判断しやすくなります。
営業管理職の育成で人事担当者が押さえたいポイント
営業管理職に必要なスキルは、現場での経験だけで身につくものではありません。
戦略立案力やプロセス管理力、人材育成力といった能力を高めるために、体系的な学習機会を設けることが重要です。
フレームワークを使った課題分析の視点を身につけてもらう
営業管理職には、課題の原因を整理し、改善策を考える力が求められます。その際に役立つのがフレームワークです。
フレームワークを活用すると、課題を感覚ではなく構造的に捉えられるようになります。
例えば、次のような視点で現状を整理できます。
- どのプロセスで問題が起きているのか
- 行動の量と質どちらに課題があるのか
- ボトルネックはどこか
営業課題の分析では、以下のようなフレームワークの活用が効果的です。
フレームワーク | 主な用途 |
|---|---|
KPIツリー | 売上や目標未達の要因を分解し、改善ポイントを整理する |
MEDDIC | 大型案件の管理や受注確度の向上に活用する |
育成施策に取り入れる際は、知識として紹介するだけでなく、自社の営業課題にあてはめて考えるワークまで設計すると、現場での実践につながりやすくなります。
営業マネジメントを学べる書籍や教材を共有する
営業管理職によって、マネジメント経験や知識には差があります。特に、営業担当者から管理職に昇格したばかりの人は、営業マネジメントの全体像を体系的に理解できていない場合も少なくありません。
そのため、人事担当者には、営業管理職に必要な知識を学べる書籍や教材を共有し、学習の土台を整える視点が求められます。
例えば、以下のようなテーマごとに教材を用意すると、営業管理職に必要な視点を幅広く学びやすくなります。
- 役割・組織運営の基礎
- 課題分析・改善の視点
- 部下育成・コーチング
- 営業マネジメントの全体像
書籍を紹介するだけで終わらせず、読後に学びを共有する場を設けたり、自社の営業方針や評価制度と結びつけて整理したりすると、実務に生かしやすくなります。
研修やワークショップを開催する
研修やワークショップは、営業マネジメントの考え方や実践事例を学ぶ方法の1つです。ケーススタディや他者との意見交換を通じて、自組織の課題を客観的に捉え直すきっかけにもなります。
営業管理職の育成がうまくいかない背景には、営業部門特有の課題を扱わず、一般的な管理職研修のみで完結してしまうケースがあります。
そのため人事担当者には、部下育成や案件管理、プロセス管理など、営業管理職が実際に直面する課題を想定し、実践力を高める機会を設計する視点が欠かせません。
こうした営業現場に即した学習機会の一例として、リクルートマネジメントソリューションズの「営業マネージャー研修」があります。
同研修では、高業績を上げ続ける営業チームのマネジメント事例をもとに、営業管理職に求められる役割や行動原則を学びます。
メンバー育成やプロセス管理など営業現場で直面する課題を扱いながら、職場で実践するためのアクションプランまで策定できる点が特長です。
営業マネジメント強化の施策事例
営業管理職の育成では、管理職個人の経験や感覚に頼るだけでなく、組織として共通の「型」をもつことが重要です。営業組織が拡大するほど、メンバーの経験やスキルの差は広がりやすくなります。これを放置すると、営業戦略の立て方や顧客への提案方法が人によってばらつき、組織全体の成果が安定しません。
ここでは、リクルートマネジメントソリューションズの営業研修を導入したスパイダープラス株式会社の事例を紹介します。
以下は、スパイダープラス株式会社の事例から、営業管理職の育成に関わる部分を一部抜粋したものです。
しかし、即戦力の建築業向け法人営業経験者は多くなく、現在はさまざまな業界の法人営業経験者や営業未経験者を、キャリア採用で幅広く採用しています。その結果、営業メンバーのヒアリングスキルや企画提案スキルなどにバラツキが生まれており、営業部門としてスキルの底上げが急務となっていました。
(中略)
エンタープライズ営業のマネージャー・メンバーとSMB営業のマネージャーには、戦略立案力を高める営業研修「MATRIX」を受けてもらいました。彼らには、キーパーソンの選定方法やキーパーソンと会うための方法論を特に学んでもらう必要があったからです。
(中略)
研修実施から半年ほど経った現在(※取材は2025年1月に実施)、エンタープライズ営業・SMB営業ともに、MATRIXやFOCUSⅡで学んだ営業の基本の型が、早くもチーム内の共通言語として根づき始めています。
その大きな理由は、日々の業務に基本の型を活用しているからです。エンタープライズ営業は、アカウントごとにMATRIXの型を使って営業戦略を立てる仕組みに変え、SMB営業の営業プロセスにも、同様に基本の型を導入しています。
その結果、社内でのディスカッションにおいて、誰もが日常的に基本の型を使うようになったのです。営業資料にも、MATRIXやFOCUSⅡの用語が当たり前のように盛り込まれています。
この事例では、営業メンバーの増員にともなうスキルのバラツキに対し、営業の基本の型を共有する研修を実施しています。特にマネージャー層には、戦略立案力を高める営業研修を導入し、営業戦略を共通の型に沿って考えられる状態を目指しました。
営業管理職の育成では、知識やスキルを学ぶだけでなく、日々の業務で活用できる型として定着させる視点が重要です。
営業管理職の育成で重視したいのは「チームを動かす力」
営業管理職の育成がうまくいかない組織の多くは、研修の内容ではなく「育成テーマのズレ」に問題があります。
営業担当者として優秀だった人が管理職になると、営業担当者時代とは別の力を求められて戸惑います。この構造を理解したうえで、戦略立案力・プロセス管理力・人材育成力の3つを軸に育成テーマを設計することが、現場に変化をもたらす施策の土台となるのです。
研修設計や施策の具体化については、お気軽にご相談ください。
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