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人事データとは何か? 基本から活用方法までを人材開発の視点で整理する

  • 公開日:2026/03/23
  • 更新日:2026/03/23

近年、「人事データ」という言葉を耳にする機会が増えています。その背景には、人的資本経営への注目の高まりや、人材不足・人材の多様化といった環境変化があります。企業にとって、人材はコストではなく、価値創出の源泉である資本として位置づけられるようになってきたのです。それにともなって人的資本の価値を最大化しよう、そのためにデータで可視化しようという動きが活発になっています。

こうしたなかで、人材開発・育成担当者にとって、人事データの活用は今後注力すべきポイントの1つといえます。ただし重要なのは、分析手法そのものを高度化することではありません。人事データをどのように意思決定や施策につなげていくか、という視点です。

本記事では、人事データの基本を解説したうえで、どのように人事データの活用を進めていくかを考えていきます。

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目次
人事データとは
人事データとして活用されるデータの例
人事データの主な活用シーン
人事データ活用で注意したいポイント
人事データ活用の事例
人事データ活用を進めるための考え方

人事データとは

まずは、人事データの基本を解説します。

人事データの基本

人事データとは、一般的に「企業が人事施策や意思決定に活用するために整理・蓄積された、人に関する情報」と定義されます。採用、配置、育成、評価、登用など、人事に関わるさまざまな判断を支える基盤となる情報です。

人事データというと定量的な数値データをイメージされがちですが、必ずしもそれだけではありません。例えば、年齢や勤続年数、研修受講回数といった数値化できる情報は定量データに該当します。一方で、意識調査の自由記述回答、評価コメント、面接所見などは定性データと呼ばれます。人事データは、こうした定量・定性両方の情報を含む点が特徴です。

また、対象となるのは正社員に限りません。契約社員、パート・アルバイト、派遣社員など、自社の事業活動に関わる「人」に関する情報全体が人事データに含まれると考えられます。

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企業が持つ他のデータとの違い

人事データは、労務データや勤怠データなど、人事が扱う他の言葉と混同されることがあります。労務データや勤怠データは、労働時間や残業時間、休暇取得状況など、主に労務管理や法令対応を目的としたデータを指します。

これに対して人事データは、より広い範囲をカバーします。労務データを含みつつも、採用時の情報、育成履歴、能力や志向性、評価結果など、人材の成長や活躍を捉える情報が含まれます。管理のためのデータにとどまらず、将来に向けた意思決定に生かす点が特徴です。

なぜ今、人事データが注目されているのか

人事データが注目される背景の1つが、人的資本経営の浸透です。人材への投資や育成の成果を、経営の視点で説明することが求められるようになっています。

また、経営と人事の接続がより強く求められている点も理由の1つです。勘や経験だけに頼った人事判断ではなく、一定の根拠を持って説明できる状態が期待されています。さらに、人事データベースや分析ツール、AI技術の発展により、以前よりもデータを扱いやすくなったことも、活用の可能性を広げています。

人事データとして活用されるデータの例

人事データの収集や活用のイメージをつかむために、どのような人事データがあるのかを見ていきましょう。

行動履歴データ

行動履歴データとは、社員がこれまでどのような経験を積んできたかを示す情報です。具体的には、入社日、異動歴、配属履歴、担当業務の変遷、研修受講履歴などが該当します。これらのデータを整理することで、個人がどの領域で経験を積んできたのか、どのような育成機会を経てきたのかを把握できます。人材育成計画や配置検討を行う際の基礎情報となり、キャリアを考えるうえでも重要な役割を果たします。

個人属性データ

個人属性データには、年齢、居住地、学歴、取得資格、入社形態などが含まれます。これらは人事データのなかでも基本情報として位置づけられ、他のデータと組み併せて活用されることが多い情報です。例えば、資格情報と研修履歴を合わせて見ることで、知識の習得状況を把握することができます。一方で、属性情報は機微(センシティブ)情報にあたるため、利用目的を明確にし、判断の前提条件として慎重に扱うことが求められます。

自己回答/自己評価データ

能力検査や性格検査、意識調査など、本人が回答する形式のデータも重要な人事データです。スキルレベルの自己認識や、仕事に対する志向、価値観を把握する手がかりとなり、育成や配置を検討する際の参考情報として活用されます。ただし、自己評価には主観が含まれるため、結果をそのまま鵜呑みにするのではなく、行動履歴や他者評価と組み合わせて解釈することが重要です。

他者評価データ

人事考課、面接結果、360度評価結果など、第三者が評価した情報も人事データに含まれます。上司や同僚、部下といった複数の視点から得られる評価は、本人では気づきにくい強みや課題を把握する材料となります。一方で、評価者の立場や評価基準による影響も考慮する必要があります。評価結果だけを見るのではなく、その背景や評価プロセスを踏まえて読み取ることが重要です。

<図表1>さまざまな人事データ

データの種類

具体例

行動履歴データ

入社日
異動歴
研修受講履歴

個人属性データ

年齢
居住地
取得資格

自己回答/自己評価データ

能力検査
性格検査
意識調査

他者評価データ

人事考課
面接結果
360度評価結果

人事データの主な活用シーン

次に、これらの人事データの活用例をご紹介します。

人材育成・研修施策への活用

人事データを活用することで、育成課題を可視化しやすくなります。例えば、特定スキルの保有状況や能力検査結果、研修受講履歴などを整理することで、どの層にどのような育成ニーズがあるのかを把握でき、画一的な研修ではなく、対象者や目的を明確にした研修設計が可能になります。また、研修前後での意識調査や評価結果のデータを蓄積し、変化を確認することで、施策の効果を振り返ることもできます。育成施策を「実施して終わり」にせず、次の改善につなげるための基盤として、人事データの活用は有効な手段になります。

配置・登用・後継者計画への活用

経験や能力、志向に関する人事データを組み合わせることで、配置や登用における判断材料を充実させることができます。例えば、過去の配属履歴や担当業務、評価結果を踏まえることで、個人の強みや経験領域を整理でき、現場の印象や短期的な成果だけに頼らない、適材適所の検討が可能になります。また、後継者の育成計画においても、将来を見据えた育成候補者の抽出や育成状況の確認に人事データが活用されます。中長期的な人事戦略を支える基盤としても、人事データは重要な役割を担います。

組織課題の把握と改善

個人だけでなく組織全体の状態を把握するためにも、人事データを活用することができます。例えば、離職率や異動頻度、エンゲージメント調査の結果を部署単位で整理することで、組織ごとの傾向や変化を捉えることが可能です。数値の変化そのものを評価するのではなく、「なぜその傾向が生じているのか」を考える材料として活用することが重要です。データをもとに現場と対話することで、課題の背景理解が進み、実態に即した改善施策の検討につながります。組織開発の入口としても、人事データは有効な手がかりとなります。

人事データ活用で注意したいポイント

人事データ活用が上手くいかない場合や、これから本格的に人事データ活用を進める場合は、以下のポイントを確認してみましょう。

データはあるが活用できない

人事データ活用でよく見られる課題の1つが、「データは蓄積されているものの、具体的な活用につながっていない」という状況です。目的や課題が明確でないまま収集されたデータは、分析の方向性が定まらず、結果として使われなくなりがちです。また、分析作業そのものが目的化し、レポート作成で止まってしまうケースも少なくありません。さらに、人事部内だけでデータを扱い、現場や経営層と十分に共有されない場合、意思決定への反映が難しくなります。人事データは「何を判断するために使うのか」を起点に設計し、関係者と共有しながら活用する視点が重要といえます。

個人情報・運用ルールへの配慮

人事データの活用にあたっては、個人情報保護に関する基本的な考え方を踏まえた運用が欠かせません。どのデータを、どの目的で、誰が利用するのかを明確にし、社内ルールとして整理しておくことが重要です。また、本人への説明や同意のあり方についても、慎重な対応が求められます。加えて、人事データはセンシティブな情報を含む場合が多いため、アクセス権限の管理や取り扱い範囲の明確化も必要です。関連する制度や法令は変更される可能性があるため、定期的に最新情報を確認し、運用を見直す姿勢が求められます。

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人事データ活用を進めるための考え方

最後に、これから人事データ活用をどう進めればよいか、ヒントとなる情報をご紹介します。

目的から設計する人事データ活用

人事データ活用は、課題起点で考えることが重要です。人事戦略や経営戦略との接続を意識し、小さく始めて検証を重ねていくアプローチが現実的といえます。

人事データの活用に外部知見を活用するメリット

実際は「データはあるが生かせていない」「何から手をつければよいか分からない」といったつまずきも少なくありません。そうした場合、専門的な知見を持つ外部パートナーに相談するという選択肢もあります。外部の専門家を活用することで、客観性や専門性を補完できます。また、設計や分析にかかる実務負荷を軽減できる点もメリットの1つです。

リクルートマネジメントソリューションズによる支援

リクルートマネジメントソリューションズでは、人材開発・組織開発の知見を踏まえた人事データ活用支援を行っています。人事データを単なる分析にとどめず、人材開発・組織開発の意思決定につなげることを重視しています。豊富な現場支援の知見を生かし、課題整理から施策検討まで伴走型で支援します。

詳しくは以下をご覧ください。
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