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アジリティとは? ビジネスにおける重要性や向上のポイント、企業での活用事例を解説
- 公開日:2025/01/21
- 更新日:2025/01/21
状況が目まぐるしく移り変わる現代のビジネスシーンで必要とされているのが、変化に素早く柔軟に対応する力「アジリティ」です。本記事では、そんなアジリティの定義や企業にもたらすメリットなどを紹介します。
アジリティとは?
アジリティとは、「軽快さ」「機敏さ」といった意味を持つ英単語であり、ビジネスにおいては物事を判断して行動する際の素早さを指します。具体的な例としては、事業の業績が変動した際に、その内容を踏まえて経営方針を転換する速さなどがアジリティにあたります。
ただし、アジリティには実際の速度の速さだけでなく、迅速に動くために必要な判断力や柔軟さといった要素も含まれます。そのため、速度を表す「スピード」や反応の速さを意味する「クイックネス」とは異なる、総合的な能力を指す言葉として使われています。
アジリティが注目されている背景
アジリティという概念が昨今ビジネスシーンにおいて注目を集めるようになった背景には、現代の社会状況の激しい変化があります。予期せぬ災害や価値観の多様化により、現代は従来の常識が通用しない、不確実で不安定な「VUCA」と呼ばれる時代に突入しています。
そんな先の見えないVUCA時代において、企業がビジネスを成功させるためには、あらゆる事態に的確かつ迅速に対応する力=アジリティが欠かせません。こうした理由から、近年では多くの企業でアジリティを重視した施策が進められています。
企業がアジリティを高めるメリット
アジリティが向上することは、企業に以下のようなメリットをもたらします。
柔軟な対応が可能になる
アジリティの高い企業では、所属する従業員1人ひとりが主体的に状況を判断し、取るべき行動を考えて実行する力を持っています。そのため、企業を取り巻く状況が変化した際も、変化の実態を自ら把握して臨機応変に対処することができます。
また、柔軟なスタンスは新たな分野への挑戦や、斬新なアイディアを実行する際にも助けとなります。実施を素早く決断できる力があれば、撤退の決断も早期に行えるため、リスクを恐れず多くの事柄にチャレンジできるのです。
生産性が高まる
従業員のアジリティが高まることは、業務における判断や意思決定を迅速にし、生産性の向上や業務フローの効率化にも効果を発揮します。
特に、業務で重大なトラブルが発生した場合には、すぐに適切な対応を取れるか否かがその後の生産性を大きく左右します。アジリティを向上させることは、こうした業務上のリスクに備えるという点でも有効な取り組みです。
従業員のリーダーシップが養われる
アジリティには迅速に行動するための能力として、素早く正確に状況を把握する判断力や、考えをまとめて実行に移す決定力なども含まれています。
判断力や決定力は自分1人で動く場合はもちろんのこと、集団を率いて行動する場面でも求められる、組織のリーダーには欠かせない資質です。つまり、アジリティの高い企業は、従業員のリーダーシップを育む環境としても適しています。
ノウハウが企業に蓄積される
高いアジリティを誇る組織では、短いスパンで判断と行動が繰り返されるため、短期間でより多くのノウハウが蓄積されます。
さらに、蓄積されたノウハウは判断材料や行動のヒントとして活用され、組織のアジリティのさらなる向上に貢献します。たとえ判断や行動に失敗してしまったとしても、その経験は今後同じ失敗を回避するうえで役立つことでしょう。
アジリティが高い組織の特徴
ここからは、優れたアジリティを持つ組織に見られる特徴を紹介します。
組織のビジョンが明確である
想定外の事態に対処するうえでは、目指すべきビジョンがはっきりしていることが大切です。明確なビジョンを掲げて周囲と共有していれば、混乱した状況のなかでも行動方針にのっとった一貫性のある対応が可能となります。
こうした理由から、アジリティの高い企業では目標や将来像が具体的に設定されており、その内容が従業員にも十分に浸透していることが多いです。
状況判断能力が高い
アジリティの高い企業には、変化の激しい環境でも現在の状況を冷静に判断し、的確に対応するための強固な体制が整っています。
例えば、現場の従業員からの報告が上層部まですぐに共有され、上層部の決定が現場まで即座に伝達されるといったスムーズな連絡体制もその一例です。
リーダーシップを持った従業員が多い
リーダーに必要な決定力や指導力といった能力が育まれる環境であることから、アジリティの高い企業の従業員にはリーダーシップに優れた人材が多い傾向にあります。
入社時点ではリーダーシップに欠けていた従業員も、すでにリーダーシップを持つ仲間たちと切磋琢磨することで、次第にリーダーの資質が身についていく好循環が生まれます。
柔軟な発想力と応用力がある
組織が直面する課題のなかには、既存のアプローチが通用しないものも存在します。そこで必要となるのが、常識にとらわれない柔軟な発想力や、物事の可能性を引き出す応用力です。
変化に対して苦手意識を持つ旧態依然の組織では、前例のない状況に対して有効な対応策を考え出すことは困難です。逆に、アジリティの高い組織では今までにないアイディアを創出したり、すでにあるもの同士を組み合わせたりといった方法で新しい解決策を生み出すことができます。
幅広く情報を収集している
物事の移り変わりが激しく、価値観も多様化している現代では、1つの物事を判断するのに多くの情報が必要となります。そのため、アジリティが高い組織では特定の分野や視点にこだわらず、広い視野で情報を収集していると考えられます。
さまざまな観点から多角的に情報を収集していれば、誤った情報にも気づきやすく、より正確な判断が下せます。
マーケット視点が強い
状況を素早く的確に把握できる能力を生かし、アジリティが高い企業の多くが注視している要素の1つが「マーケット」です。
マーケットの動向やそこからうかがえる顧客のニーズは、商品やサービスの質を高めるうえでの大きなヒントとなり、企業のアジリティをさらに向上させます。
アジリティを向上させるポイント
企業のアジリティを向上させるためには、以下のような点を意識しましょう。
現場に裁量権を与える
現場の従業員のアジリティがなかなか向上しない場合には、普段から指示通りに動くことが多く、自ら判断する習慣が定着していないといった要因が考えられます。そこで有効なのが、従業員1人ひとりに与える裁量を大きくするという方法です。
「自分で判断して行動できる」という権限を与えられた従業員には、状況に合った正しい行動を選択するという意識が芽生え、業務の精度や効率の向上が期待できます。
経営理念やビジョンを共有する
誤った判断を下してしまう、行動に一貫性がないといった問題が発生している組織では、多くの場合理念やビジョンが十分に共有されていません。まずは明確な方針や目標を設定し、組織内に浸透させましょう。
また、目指すべきゴールが決まったら、「いつまでに何をすればよいか」といった到達までの道筋を示すことも大切です。理念やビジョンの共有方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
業務プロセスを見直す
不安定なVUCA時代である現代において、最適な業務の進め方は常に一定ではありません。
そのため、業務プロセスは定期的に見直しを行うようにしましょう。
これまでは対応が難しかった課題も、業務の進め方を変えれば従業員のアジリティが高まり、柔軟に対処できるようになるかもしれません。
ITツールを導入する
状況の判断にあたって必要な情報の獲得や共有を円滑にすることも、企業のアジリティを高める効果的な方法です。
なかでも最新のITツールの導入は、情報のやり取りを大幅に高速化し、タイムラグを減らしてくれます。ほかには、場所や時間を問わずに情報共有ができることも利点です。
スキルアップするための環境を整える
急激な時代の変化に対応するためには、企業に所属する従業員個人のスキルアップも欠かせません。特に昨今はAIやブロックチェーンなど次々に新しい技術が生まれているため、従業員が知識をアップデートできるよう、企業も最大限サポートを行いましょう。
具体的には、新たな資格の取得にかかる費用の補助や、勉強会の開催などが有効です。そのほか、スキルアップの支援に関しては以下の記事でも解説しています。
マーケット起点で仕事をする習慣をつける
近年のビジネスシーンにおける顧客のニーズや市場動向の変化は、マーケットを起点とした考え方を習慣づけることでより把握しやすくなります。
「顧客は何を求めているのか」「市場はどこに向かおうとしているのか」といった流れを掴むことができれば、変化への対応に必要なアプローチも見えてくるはずです。
アジリティを活用した企業の事例
ここでは、実際にアジリティを重視した取り組みで成果を上げている企業の事例を紹介します。
ニトリ
家具・インテリア販売大手のニトリでは、新型コロナウイルスの感染拡大を機に従業員にヒアリングを実施し、自社が抱えるあらゆる課題を洗い出して対応に努めました。
その結果、綿密な人事戦略の確立に成功し、多くの企業が営業自粛を選択せざるを得ない状況下でも適切に店舗運営を継続できました。アジリティの発揮により、社会の変化が事業にもたらす影響を最小限に抑えることができた事例です。
日立製作所
世界的総合電機メーカーの日立製作所も、社員のアジリティ向上のために多岐にわたる施策を実施している企業の1つです。
例えば、社内では従業員への聞き取りとフィードバックを人事施策に反映し、各従業員の意識改革やスキルのさらなる強化につなげています。同社ではこうした取り組みによる社員エンゲージメントの拡大を、今後は生産性の向上や技術革新にも生かす予定とのことです。
まとめ
判断と行動というビジネスの根幹ともいえる要素を司るアジリティは、業種を問わずあらゆる企業にとって大きな価値を発揮する能力です。そのため、日頃から組織全体で向上に取り組み、活用に向けた体制を整えていくことが望ましいでしょう。
そんな従業員のアジリティ向上には、弊社が提供する各種サービスの利用も効果的です。なかでも下記の研修は、先の見えないVUCA時代に求められるリーダーシップを高め、幅広い状況に対応できる人材の育成を後押しします。
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