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ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは? その意味とそれぞれの関係性を紹介

  • 公開日:2024/01/17
  • 更新日:2024/12/20

企業・組織には成し遂げたい目標や目指す方向性、社会に対する存在意義があります。それらを明文化することは、社内外のコミュニケーションにおいてとても重要であり、特に昨今においては目まぐるしい社会の変化に合わせ、企業が自社の存在意義や役割を再定義することも多くなっています。そのなかで注目されるミッション・ビジョン・バリュー(頭文字を取って「MVV」とも呼称される)について、その意味とそれぞれの関係性を紹介します。

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは

ミッション・ビジョン・バリューとは

多くの場面でミッションと共に語られることが多い言葉に、ビジョン・バリューがあります。その意味と関係性を紹介します。

企業理念や経営理念との違い

経営理念は、企業がどのように経営を行うかを具体的に示した方針や手段を指し、大きく「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3つの要素に分けられます。ミッション・ビジョン・バリュー( MVV)とは、企業が掲げる使命(Mission)、企業が目指す姿(Vision)、価値観・行動指針(Values)を指し、企業の方向性や文化を示して、社員の行動を導く重要な要素となります。
そして、理念や価値観を具体的に日常業務でどのように実践するかを定めたものであり、社員が日々の業務において従うべき行動規範となります。

企業理念は、その企業が社会において果たすべき存在意義を明確にしたものです。経営理念は経営環境やリーダーの変化により修正されることがある一方、企業理念は企業の根本的な目的や目標を示し、経営者が変わっても変化することはほとんどありません。

ミッション・ビジョン・バリューのそれぞれの意味

(1)ミッションとは

ミッション(mission)とは、「任務や使命」のことで、ラテン語で「送る」などを意味する「mittiere」に由来し、大きく分けて「到達すべき目標」「目標に進んでいくための行動」「目標や行動の必要性」という3つの要素が含まれます。企業活動においては、主に企業が果たすべき社会的使命や存在意義を表します。従業員や企業が目標を設定する際に用いられ、ビジョン実現のために「何をしなければならないのか」という部分がミッションに該当します。

(2)ビジョンとは

ビジョンとは将来の「あるべき」「ありたい」姿を言葉にしたものです。ビジョンは国家や企業などの将来像を描いたものから、一個人のありたい姿を描いたものまで、さまざまあります。リーダーシップを「ある目標に向けて人や集団を動かす力」と定義するならば、ビジョンはリーダーの描く目標そのものであると共に、「人や集団の動き」「ものの見方・考え方」に影響を与える基本的な枠組にもなります。

弊社は、研修商品のなかではRCD(リクルートキャリアデザインプログラム)で個人のビジョンを扱い、CL(変革リーダーシップの基礎研修)で組織のビジョンを扱っています。

(3)バリューとは

バリュー(value)とは、組織で共通する価値基準や行動指針です。企業がもつ価値観を体現したものとして、ビジョンを実現するために「どうやるのか」という具体的な行動を定めたものです。ビジョンやミッションからずれのないバリューの提示が理想的とされています。

ミッション・ビジョン・バリューの関係性

前述の企業理念は、主にミッション・ビジョン・バリューの3つで構成されています。

  • ミッション:社会的使命、存在意義。ビジョン実現のために「何をしなければならないのか」
  • ビジョン:将来の「あるべき」「ありたい」姿。未来像、目標や目指すゴール。「どうありたいのか」
  • バリュー:価値基準、行動指針。ビジョン実現のために「どうやるのか」

ミッション・ビジョン・バリューが具体的に定められていることで、企業の存在意義や社会的なポジション、そして方向性が明確になります。ただ企業理念だけを定めても、それを実現させるための目標や指針がなければ、その企業で働く従業員にとっては抽象度が高く日常の業務への反映がしづらいものになりがちです。

しっかりとこの3つと紐づく形で道筋を立てて企業理念を定めることで、企業理念の実現や社員への浸透につながります。

そして、企業理念やミッション・ビジョン・バリューなどは掲げることがゴールではありません。 従業員へ「共有」し、一人ひとりの行動に落とし込み、「習慣化」するまでをゴールにすることが重要です。

ミッション・ビジョン・バリューが今なぜ企業に必要なのか

ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)は、なぜ企業に必要なのでしょうか。MVVの浸透は企業業績にも好影響があるといわれ、MVVがしっかりとあることは多くのメリットを企業にもたらします。

【MVVがあることのメリット】

(1)メンバーのマネジメントがしやすい

組織のメンバーが同じ目的・方向性で動かないと日常的な業務と姿勢に齟齬が生まれ、マネジメントが難しくなります。特に昨今は社員の働き方や目的、雇用形態や国籍なども多様化しており、いかにマネジメントがしやすい環境をつくるのかは多くの企業にとって重要なテーマになっています。MVVがしっかりと設定され、それによって企業の目標や行動指針が明確になっていることは、マネジメントがしやすい環境につながります。

例えば、一つひとつの業務の目的や目指す形を明確にし、行動指針を示すことで細かい指示を出す必要性が低下します。社員も自身の業務が何につながっているかを感じやすくなり、モチベーションが上がり、成長につながる好循環が生まれます。反対にMVVが社員に浸透していないと、常に部門長やトップに意見を聞いたり、判断を仰いだりする必要が出てくるでしょう。社員のモチベーションが下がるだけではなく、事業を進めるスピードが落ち、業績低下につながる可能性もあります。

(2)メンバーのエンゲージメント向上につながる

近年、企業の経営において「エンゲージメント」に注目が集まっていますが、実は、MVVは、エンゲージメントに大きな影響があるといわれています。「エンゲージメント(engagement)」とは、メンバーが組織に愛着心をもち、組織とメンバーの相互理解ができている関係性を指します。

エンゲージメントが高い企業は、MVVへのメンバーの共感度が高く、離職率も低くなる効果が期待できます。離職率の低さは採用活動でも役立ちます。人事戦略の実現・成功のためにも、MVVは重要な要素といえます。また、分かりやすいミッションとビジョンがあることで、組織の役割や本来の目的が明確になり「自社を理想に近づけよう」というモチベーション向上にもつながります。

以下の記事では、エンゲージメントについて説明しています。併せて参考にしてください。
エンゲージメントとは

(3)経営者とメンバー間の風通しがよくなる

経営者とメンバー間の風通しがよくなる

MVVがしっかりと社内で共有されていれば、「そのやり方はMVVにそぐわないと思う」など、MVVを起点としてトップや上司に意見を言いやすくなる効果があります。こうした率直な意見の積み重ねが、風通しのよい職場環境を形成していきます。

MVVの策定方法

MVVの策定する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
以下、4つの項目に分けて解説します。

自社の事業や目的を整理する

まずは、自社の事業や目的を明確に整理することです。最初に、自社の現状を把握し、経営陣や従業員の意見を集約することが重要です。社長や役員のビジョンや価値観を反映させるために、インタビューやワークショップを活用し、自社の強みや市場での立ち位置を分析します。これにより、創業時からの思いや将来の目標が明確になり、MVVの基盤が築かれます。

ステークホルダーの意見を集める

次は、自社を取り巻くステークホルダーの意見を集め、分析することです。従業員、顧客、投資家、社会などのステークホルダーが自社に何を求めているかを把握することが重要です。また、競合他社のMVVも調査し、他社と異なる自社独自の価値を明確にしましょう。これにより、自社のポジションが定まり、他社にはない独自のMVV策定につながっていきます。

ミッション・ビジョン・バリューを決める

MVV策定のステップのなかでも重要な部分が、ミッション・ビジョン・バリューの設定です。

  • ミッション(使命): 企業が社会に対してどのような貢献をするかを明確に定めます。社会情勢や顧客のニーズ、競合他社のMVVも意識して策定します。
  • ビジョン(展望): ミッションを基に、将来の目標や理想とする姿を描きます。具体的で客観的な内容を心がけましょう。
  • バリュー(価値観): 実際の行動を示す価値観を定めます。従業員の意見も取り入れ、反映させることが大切です。

こうして策定されたMVVは、企業の方向性を明確にし、管理者と従業員が共有する目標と行動基準となります。

社内に浸透させる

策定したMVVを全社員に共有し、日々の業務に生かすには社内への浸透が重要です。まず、説明会やワークショップを開催し、MVVの意義や具体的な活用方法を全社員と共有します。また、日常業務や意思決定の基準としてMVVを組み込み、評価・表彰制度に反映することで実践を促します。さらに、ポスターや社内ツールで視覚的に訴求し、定期的なフィードバックを基に運用を見直すことで、MVVを組織全体の文化として定着させます。

MVVを社内に浸透させる対策

前述のとおり、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」は設定するだけでなく、その浸透を行うことが重要です。社内に浸透させるための施策として有効なものをいくつか紹介します。

【MVVの浸透に最適なタイミングとは?】

(1)新入社員研修のタイミング

新入社員(新卒・第二新卒・中途)の定着や活躍を後押しするうえでは、研修の場で会社理解を促すことが大切です。MVVは新入社員の会社に対する帰属意識の向上に直結します。研修の場においては、単にMVVの説明をするだけでなく、以下のような研修内容を取り入れる工夫を推奨します。

  • MVVが定められた背景・経緯を伝える
  • MVVを体現するような事業や仕事の事例を紹介する
  • 会社のMVVを踏まえた、個人ビジョンを考えるワークを行う

(2)管理職研修のタイミング

管理職研修のタイミング

管理職には現場を統括する立場としてリーダーシップを発揮することが求められますが、どういったリーダーシップを発揮すればいいのかに悩む管理職の人も多いでしょう。そういった悩みを解決するヒントになるのが、自社のMVVや組織風土です。管理職研修の場であらためて「自社のMVVや今の事業フェーズを踏まえ、どういったリーダーシップを発揮してほしいのか」を伝え、学びを深めることには大きな意義があります。

(3)人事評価のタイミング

自社のMVVと評価制度を連動させることは、「MVVに沿った行動促進」や「評価への納得度の向上」において非常に重要です。定期的に行う人事評価こそ、しっかりとMVVと連動させて実施することで、MVVの定着を促進する絶好の機会となります。

MVVを明確にし、人事戦略・事業戦略の実行につなげることが重要

MVVを明確にすることで、従業員に同じ理想像を描かせ、行動意欲を高める効果が期待できます。また、取引先や顧客をはじめ、社会全体に企業の存在意義をアピールすることにもつながるでしょう。MVVは従業員のエンゲージメントを高め、人事戦略や事業戦略の実行に大いに役立ちます。経営層をはじめ、管理職がMVVを深く理解・共感し、社員に浸透させていきましょう。

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