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ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは? その意味とそれぞれの関係性をご紹介

  • 公開日:2024/01/17
  • 更新日:2024/03/18

企業・組織には成し遂げたい目標や目指す方向性、社会に対する存在意義があります。それらを明文化することは、社内外のコミュニケーションにおいてとても重要であり、特に昨今においては目まぐるしい社会の変化に合わせ、企業が自社の存在意義や役割を再定義することも多くなっています。そのなかで注目されるミッション・ビジョン・バリュー(頭文字を取って「MVV」とも呼称される)について、その意味とそれぞれの関係性をご紹介します。

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは

【ビジョンとは】

(1)ビジョンとは

ビジョンとは将来の「あるべき」「ありたい」姿を言葉にしたものです。ビジョンは国家や企業などの将来像を描いたものから、一個人のありたい姿を描いたものまで、さまざまあります。リーダーシップを「ある目標に向けて人や集団を動かす力」と定義するならば、ビジョンはリーダーの描く目標そのものであると共に、「人や集団の動き」「ものの見方・考え方」に影響を与える基本的な枠組みにもなります。

リクルートマネジメントソリューションズでは、研修商品のなかではRCD(リクルートキャリアデザインプログラム)で個人のビジョンを扱い、CL(変革リーダーシップの基礎研修)で組織のビジョンを扱っています。

(2)ビジョンの重要性

企業活動においても、ビジョンを掲げることは非常に重要です。前述したとおり、ビジョンは将来の「あるべき」「ありたい」姿を示したものとなるため、ビジョンが明確でないと何を目標にどこに向かって進んでいけばよいのかが分からなくなってしまいます。

企業のビジョンを示すことは、従業員にとっても企業の未来像が明確になり、「なぜ、それをやるのか」という仕事を行ううえでの意義の浸透につながります。

さらに、実現したい未来をしっかりと提示することにより、従業員はモチベーションを高め、全体が同じ方向を向いて目指すゴールへと取り組んでもらうことができるようになるのです。

また、その企業の求職者にとってもその会社が目指す未来像であるビジョンは、就職活動を行ううえで気になるポイントです。しっかりとビジョンを提示することで近い価値観を持つ人に興味を持ってもらいやすくなります。

(3)企業理念とビジョンの関係性

企業理念とは、その企業が活動していく根幹となる大切な考え方や価値観を意味しています。「企業の存在意義」「何を目指しているのか」などを従業員、ステークホルダー、顧客、世のなかに対して提示するものとなります。従業員にとっての行動指針や判断基準になり、対外的にもその企業の印象を大きく左右する要因となります。

一方で、ビジョンは前述のとおり、将来の「あるべき」「ありたい」姿であり、企業の未来像・将来的に目指すゴールとなります。

企業理念は定めてからは基本的に変わらないものですが、ビジョンはその会社のフェーズや時代の流れによって変化することがあります。しかし、ビジョンは基本的に企業理念を基に決められるため、企業理念とビジョンの関係性は深く、ビジョンは企業理念の一部ともいえます。

ミッション・ビジョン・バリューとは

多くの場面でミッションと共に語られることが多い言葉に、ビジョン・バリューがあります。その意味と関係性をご紹介します。

ミッション・ビジョン・バリューのそれぞれの意味

(1)ミッションとは

ミッション(mission)とは、「任務や使命」のことで、ラテン語で「送る」などを意味する「mittiere」に由来し、大きく分けて「到達すべき目標」「目標に進んでいくための行動」「目標や行動の必要性」という3つの要素が含まれます。企業活動においては、主に企業が果たすべき社会的使命や存在意義を表します。従業員や企業が目標を設定する際に用いられ、ビジョン実現のために「何をしなければならないのか」という部分がミッションに該当します。

(2)バリューとは

バリュー(value)とは、組織で共通する価値基準や行動指針です。企業がもつ価値観を体現したものとして、ビジョンを実現するために「どうやるのか」という具体的な行動を定めたものです。ビジョンやミッションからずれのないバリューの提示が理想的とされています。

(3)ミッション・ビジョン・バリューの関係性

前述の企業理念は、主にミッション・ビジョン・バリューの3つで構成されています。

・ビジョン:将来の「あるべき」「ありたい」姿。未来像、目標や目指すゴール。「どうありたいのか」
・ミッション:社会的使命、存在意義。ビジョン実現のために「何をしなければいけないのか」
・バリュー:価値基準、行動指針。ビジョン実現のために「どうやるのか」

ミッション・ビジョン・バリューが具体的に定められていることで、企業の存在意義や社会的なポジション、そして方向性が明確になります。ただ企業理念だけを定めても、それを実現させるための目標や指針がなければ、その企業で働く従業員にとっては抽象度が高く日常の業務への反映がしづらいものになりがちです。

しっかりとこの3つと紐づく形で道筋を立てて企業理念を定めることで、企業理念の実現や社員への浸透につながります。

そして、企業理念やミッション・ビジョン・バリューなどは掲げるだけがゴールではありません。 従業員へ「共有」し、一人ひとりの行動に落とし込み、「習慣化」するまでをゴールにすることが重要です。

ミッション・ビジョン・バリューが今なぜ企業に必要なのか

ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)は、なぜ企業に必要なのでしょうか。MVVの浸透は企業業績にも好影響があるといわれ、MVVがしっかりとあることは多くのメリットを企業にもたらします。

【MVVがあることのメリット】

(1)メンバーのマネジメントがしやすい

組織のメンバーが同じ目的・方向性で動かないと日常的な業務と姿勢に齟齬が生まれ、マネジメントが難しくなります。特に昨今は社員の働き方や目的、雇用形態や国籍なども多様化しており、いかにマネジメントがしやすい環境をつくるのかは多くの企業にとって重要になっています。

MVVがしっかりと設定され、それによって企業の目標や行動指針が明確になっていることは、マネジメントがしやすい環境につながります。

例えば、一つひとつの業務の目的や目指す形を明確にし、行動指針を示すことで細かい指示を出す必要性が低下します。社員も自身の業務が何につながっているかを感じやすくなり、モチベーションが上がり、成長につながる好循環が生まれます。

反対にMVVが社員に浸透していないと、常に部門長やトップに意見を聞いたり、判断を仰いだりする必要が増えるでしょう。社員のモチベーションが下がるだけではなく、事業を進めるスピードが落ち、業績低下につながる可能性もあります。

(2)メンバーのエンゲージメント向上につながる

近年、企業の経営において「エンゲージメント」に注目が集まっていますが、実は、MVVは、エンゲージメントに大きな影響があるといわれています。「エンゲージメント(engagement)」とは、メンバーが組織に愛着心を持ち、組織とメンバーの相互理解ができている関係性を指します。

エンゲージメントが高い企業は、MVVへのメンバーの共感度が高く、離職率も低くなる効果が期待できます。離職率の低さは採用活動でも役立ちます。人事戦略の実現・成功のためにも、MVVは重要な要素といえます。

また、分かりやすいミッションとビジョンがあることで、組織の役割や本来の目的が明確になり「自社を理想に近づけよう」というモチベーション向上にもつながります。

以下の記事では、エンゲージメントについて説明しています。併せて参考にしてください。
エンゲージメントとは

(3)経営者とメンバー間の風通しがよくなる

経営者とメンバー間の風通しがよくなる

MVVがしっかりと社内で共有されていれば、「そのやり方はMVVにそぐわないと思う」など、MVVを起点としたトップや上司への意見がしやすくなる効果があります。こうした率直な意見の積み重ねが、風通しのよい職場環境を形成していきます。

MVVを社内に浸透させる対策

前述のとおり、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」は設定するだけでなく、その浸透を行うことが重要です。社内に浸透させるための施策として有効なものをいくつかご紹介します。

【MVVの浸透に最適なタイミングとは?】

(1)新入社員研修のタイミング

新入社員(新卒・第二新卒・中途)の定着や活躍を後押しするうえでは、研修の場で会社理解を促すことが大切です。MVVは新入社員の会社に対する帰属意識の向上に直結します。

研修の場においては、単にMVVの説明をするだけではなく、以下のような研修内容を取り入れる工夫を推奨します。
・MVVが定められた背景・経緯を伝える
・MVVを体現するような事業や仕事の事例を紹介する
・会社のMVVを踏まえた、個人ビジョンを考えるワークを行う

(2)管理職研修のタイミング

管理職研修のタイミング

管理職には現場を統括する立場としてリーダーシップを発揮することが求められますが、どういったリーダーシップを発揮すればいいのかに悩む管理職の人も多いでしょう。

そういった悩みのヒントになるのが、自社のMVVや組織風土です。管理職研修の場であらためて「自社のMVVや今の事業フェーズを踏まえ、どういったリーダーシップを発揮してほしいのか」を伝え、学びを深めることには大きな意義があります。

(3)人事評価のタイミング

自社のMVVと評価制度を連動させることは、「MVVに沿った行動促進」や「評価への納得度の向上」において非常に重要です。定期的に行う人事評価こそ、しっかりとMVVと連動させて実施することで、MVVの定着を行う絶好の機会となります。

MVVを明確にし、人事戦略・事業戦略の実行につなげることが重要

MVVを明確にすることで、従業員に同じ理想像を描かせ、行動意欲を高める効果が期待できます。また、取引先や顧客をはじめ、社会全体に企業の存在意義をアピールすることにもつながるでしょう。

MVVは従業員のエンゲージメントを高め、人事戦略や事業戦略の実行に大いに役立ちます。経営層をはじめ、管理職がMVVを深く理解・共感し、社員に浸透させていきましょう。

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