テレワーク下のマネジメントを成功させる5つのヒント。社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクール

テレワーク下のマネジメントを成功させる5つのヒント

 新型コロナウイルスの感染防止の影響により、2020年春から、日本ではテレワークが一気に広まりました。それによって、企業のマネジメント課題への向き合い方が変化してきています。そこで、私たちリクルートマネジメントソリューションズの営業マネジャーが、多くのお客様から伺ったこと、また社内で実際に経験していることをベースに、「テレワーク下のマネジメント課題」について説明します。

【解説】:今出 智
リクルートマネジメントソリューションズ
営業統括部営業1部4グループ マネジャー
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

 テレワークが広まった当初、お客様からよく伺った悩みの1つが、「オンライン会議」や「ビジネスチャット」への対応です。オンライン会議ツールやビジネスチャットツールをどう使いこなせばよいのか。各ツールは何ができて、何ができないのか。オンライン会議に必要な資料をどのように配布すればよいか。そういったことに悩むまされる企業が多かったようです。
 しかし、2020年夏には、それらは課題ではなくなってきました。数カ月経って、多くの社員方がオンライン会議やビジネスチャットに慣れてきたからです。また、標準的なツールの使い方など標準的なやルールなどができあがってきたことも大きいと思います。
 
 その一方で、状況が落ち着いてきた頃に顕在化してきたのが、次の4つのマネジメント課題です。1つ目は、どうやって「納得感のある評価」をするか。2つ目は、いかに「メンバーの自律」を促すか。3つ目は、「経営方針(ミッション、ビジョン、バリュー)」をいかにチームに浸透させるか。4つ目は、マネジャーとメンバー間やチーム内の「対話量」をいかに増やすか。

 この4つの課題は、いずれも新しいものではなく、「コロナ禍以前から変わらない課題」です。特に前の3つ(より良い評価のあり方・自律型人材の育成・経営方針の浸透)は、いずれも何年も前から課題といわれており、試行錯誤を繰り返してきた企業も多くあります。しかし、根本的に解決できた企業はそれほど多くありませんでした。なぜなら、以前はこれらの課題を解決しなくても、なんとか組織やビジネスが回ったからです。しかし、テレワーク下では、これらの課題を解決することがいよいよ必須になったのです。
 
 なぜ4つの課題の解決が必須になったのでしょうか。一言で言えば、テレワークが働き方を大きく変えたからです。特に、次の3点が決定的に変わりました。

 1点目は、日常的なコミュニケーションの減少です。オフィスで同じ空間にいれば、自然と会話のやり取りが生まれます。しかし、テレワーク下では、放っておくと上司と部下がお互いにコミュニケーションを取らないまま、仕事を進めることになります。そのため、部下が順調に仕事を進められているか、困っていることがないかが分かりにくく、適切なタイミングで声をかけることが難しくなりました。ちょっとしたときに、経営方針を伝えるといったこともできません。当然ながら、孤独・孤立感も生まれやすくなります。

 2点目は、マネジャーがメンバーの日頃の仕事ぶりを確認することの難しさです。結果や成果は目に見えますが、プロセスはどうしても見えない部分が多くなります。被評価者から見て、納得感のある評価をすることが難しくなっています。

 3点目は、多くのチームや職種で「仕事の進め方が変わった」ことです。例えば営業なら、対面営業ができなくなり、オンラインでの営業活動が一般的になりました。そうなると、既存の仕事の進め方ではうまくいかない部分がいくつも出てきます。仕事のスタンダードが変化するのです。そのため、同じ仕事をしているのに、時間や工数が従来以上にかかるようになった、テレワークになってから労働時間が長くなったという声をよく耳にします。また、スタンダードが変わったために、以前ほどの成果を上げられなくなったケースも珍しくないようです。その結果、モチベーションが下がっている方も多いことが想定できます。
 これまで紹介したのは、テレワークによってマネジメントが難しくなった点ですが、テレワークは決して悪いことばかりではありません。テレワークのメリットをいくつかご紹介します。

 1点目は、移動時間が減ったことです。私が所属している営業部ではその効果が顕著で、通勤やお客様訪問に使っていた移動時間を、打ち合わせなどの別の業務に使えるようになったため、営業効率は確実に上がっています。これは多くの方が享受しているメリットだろうと思います。

 2点目は、思った以上にオンラインでできることが多いということです。営業に関して言えば、対面の方が得られる情報が多いことは間違いありませんが、オンラインでも、意外と問題なくお客様とやり取りできています。営業はオンラインでも十分に可能だ、と分かったことは大きな気づきでした。

 3点目に、自宅や生活圏に近いところで働いている分、気分転換しやすくなったこともメリットでしょう。

 4点目に、組織や会社の枠を超える「越境」や「コラボレーション」をしやすくなったことも大きいと思います。例えば、私は先日、社内の他の営業部のオンライングループ会に出席して、普段であれば話せない遠隔地のメンバーとも情報を共有する機会を得ました。お互いに関わり合うこと、学び合うことが飛躍的にやりやすくなりました。
 それでは、テレワーク下のマネジメント課題をどうしたら解決できるのでしょうか。ここからは5つのポイントを提示したいと思います。

(1)「納得感のある評価」を実現する方法 
●目標管理制度を変える
プロセスを問わず、成果だけを見るようにすれば、シンプルに評価できるようになります。また、自律型社員の育成にもつながります。

●1on1の機会を増やす
マネジャーとメンバー間のコミュニケーションが増えれば、プロセスの見える部分が増え、評価の納得感が高まります。

(2)「メンバーの自律」を実現する方法
●メンバーの自律を促す「自律支援型マネジメント」を行う
ただし、「タイミングに合わせた関わり」が重要です。例えば、先の緊急事態宣言時のように混乱や不安が大きな時期には、自律支援よりも直接的なサポートが重要です。メンバーのテレワーク環境を整えたり、メンバーの孤立を防いでメンタルケアを行ったり、テレワーク下の仕事の新たな進め方としてスタンダードをつくったりする方が先決なのです。混乱や不安がなくなり、状況が落ち着いてきたら、そのときにはじめて「自立支援型マネジメント」を行うようにしましょう。

●自律している社員を高く評価する仕組みをつくる

●自律への気づきを得られる場を用意する

●自律型社員を育成できる教育体系を構築する

●メンバーの自律を上手に促すマネジャーを育成する

(3)「経営方針の浸透」を実現する方法
●ミドルマネジャーがメンバーに経営方針(ミッション、ビジョン、バリュー)を伝え、それが自チームでは具体的にどのようなことを意味するのかを例示します。経営方針の浸透は、メンバーが腑に落ちるまで、粘り強くつづけ、メンバーの共感を呼び起こす必要があります。

(4)「チーム内の対話」を実現する方法
●1on1など、会話ができる機会を増やす

●オンライン上のフリースペースを用意し、同僚同士や、組織間を超えた先輩後輩が関わる場を設ける
例えば、Zoomなどでチームの誰もがいつでも気軽に参加できるオンライン会議の場を用意します。そこを「バーチャルなオフィス空間」に見立て、テレワークしているときにはチームのみんなができるだけ参加するようにします。話したければ話してもよいし、話さなくてもかまいません。何も話さないまま、つなぎっぱなしで仕事していればよいのです。気楽な雑談も歓迎します。そのような場をつくると、ちょっとした情報共有やノウハウの共有ができるようになります。また、「体調、大丈夫ですか?」といった確認もしやすくなるでしょう。オンライン上のフリースペースは、さまざまな意味で有効です。

(5)「マネジャーをフォロー」する方法
●ナナメの関係でフォローし合う
マネジャーの仕事内容が大幅に変わってきているため、悩みを抱えるマネジャーが非常に増えてきています。そうした悩みは1人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。とはいえ、直属の上長・部下に相談するのは難しいことも多いでしょう。そんなときは、「ナナメの関係」で相談し合うことをお勧めします。つまり、隣の部署や他部署の上長に相談するのです。オンライン会議を使えば、簡単に越境し、相談し合うことが可能です。

 テレワーク下のマネジメント課題を解決するのは決して簡単ではありませんが、解決に近づいていくことは可能です。ぜひ、ともに前に進んでいきましょう。

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