「教育体系」「研修体系」とは? 作り方について知りたい方へ。社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクール
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「教育体系」「研修体系」とは? 作り方について知りたい方へ

「教育体系」とは、ごく簡単に言えば、自社で実施する教育の位置づけを示した見取り図です。また、企業の組織力や従業員の能力を高めるために必要な教育の全体像を示したものです。

教育体系には、
 ●目指す人材像・組織像(教育の目的) 
 ●人材開発方針(教育のスタンス) 
 ●教育の全体像(研修体系) 
 ●研修メニュー 
などが含まれます。

なお、教育の全体像の1つとして、全社の研修をマップにしたものが「研修体系」です。言い換えると、研修体系は教育体系の一部であって、教育体系=研修体系ではありません。
教育体系で特に重要なのが、目指す人材像・組織像と人材開発方針です。つまり第一に、教育の目的とスタンスを明確にすることが大切なのです。目的・スタンスが定まれば、あとはそれに従って研修体系を構築していけばよいのです。

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教育体系を作る1つ目の理由は、「教育・研修の理由を説明しやすくするため」です。
毎回単発で研修を行うと、経営層や現場に向けて、そのつど実施理由を説明しなければなりません。対して、教育体系・研修体系を事前に作っておけば、経営層にも現場にも各研修を行う理由を説明しやすくなります。日々の研修をスムーズに行う上で、教育体系は間違いなく有用です。さらにいえば、社外の株主・取引先などに対して、人材の質を高める努力を示すときにも、教育体系が役立ちます。

2つ目の理由は、「経営理念・経営戦略・事業戦略との一貫性を図るため」です。
そもそも社員教育が何のためにあるかと言えば、経営目標を達成し、経営理念を実現するためでしょう。ですから、教育の目的・スタンスは、経営理念・経営戦略・事業戦略と直結している必要があります。つまり、経営理念・経営戦略・事業戦略との一貫性を持った教育の目的・スタンスを作ることが、経営にとって意味ある教育を実行することにつながるのです。

3つ目の理由は、「人事処遇制度との一貫性を図るため」です。
教育・研修によって高めた能力が、自らの成果と評価につながらなければ、従業員のモチベーションは十分に高まらないでしょう。また、新入社員・職位が上がった従業員・異動した従業員などには、それぞれ必要な研修を実施しなければなりません。そうしなければ、彼らは十分に役割を果たすことができません。たとえば、管理職研修を行わなければ、新任管理職が管理職業務をうまく実行できない可能性が高まります。

逆に言えば、教育体系を等級・評価・採用・配置などと密に連動させることができれば、単発の研修以上に、従業員の能力・モチベーションの向上が期待できるのです。それは、組織全体の力を上げることにもつながります。

4つ目の理由は、「教育・研修を中長期的・継続的に展開するため」です。教育体系がしっかりしていると、組織力・従業員の能力の定点観測がしやすくなります。そうすると、「新任管理職の能力が低い」「新人の立ち上がりが遅い」といった教育上の課題が明確になりやすいのです。また、そうした課題を経営層・マネジャーと共有するのもより簡単になります。つまり、早期に課題を明確にして経営層・マネジャーと共有し、スムーズに改善施策を進めるためには、教育体系が必要なのです。

教育体系・研修体系の作り方は特に決まっていませんが、基礎知識はいくつかあります。

まず重要なのが、教育には「OJT」と「OFF-JT」があるということです。
これは多くの方がご存知でしょう。OJTは日常業務を行いながら学んでいく教育訓練です。対して、OFF-JTは日常業務を離れて行う教育訓練で、いわば「研修」です。

忘れてはならないのは、従業員教育の中心はOJTだということです。
OFF-JTはあくまでもOJTを補完する存在と捉えるべきです。なぜなら、従業員の学習の70%は「実際の仕事経験」のなかで、20%は「他者との社会的なかかわり」のなかで起こる、と言われているからです。対して、研修などの「公的な学習機会」からの学びは10%に過ぎません。つまり、学習の90%はOJTにあるのです。

ただし、現場メンバーのOJTを機能させるためには、管理職層の部下育成力を高めるOFF-JTが欠かせません。ですから、特に管理職層向けのOFF-JTを充実させることが肝要です。それは、管理職層の負荷軽減にもつながります。

また、OJTの成果を高める上で効果的なのが、「経験学習サイクル」です。経験学習サイクルとは、具体的な経験をしてから(経験)、それをじっくり振り返り(省察)、そこから得た学びを他の状況でも応用できるように概念化して(概念化)、新しい状況で実際に試してみる(実践)、という循環のことです。従業員が経験学習サイクルを自ら回せるようになると、日常業務からの学びが飛躍的に増えます。研修などで経験学習サイクルを教えることにも意味があります。

優れた研修体系を作る第一歩は、まずOFF-JT(研修)の種類を把握することです。選抜型研修・アセスメント・キャリア開発研修・選択型研修・テーマ別研修・職種別階層別研修などをうまく使い分け、組み合わせながら構築していく必要があります。

なお、リクルートマネジメントスクールでは、教育体系・研修体系の作り方を詳しく教える人事向けの講座を定期的に開催しています。教育体系・研修体系の作り方の具体的な方法やコツを知りたい方は、ぜひこちらにご参加ください。

はじめての人材開発担当 ~人材開発の仕事の全体像をつかもう~(229)

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