管理職に求められるスキルと心構えとは?テレワーク時代にも必要な管理職のスキルや役割について解説。社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクール
スクールLive

管理職に求められるスキルと心構えとは?テレワーク時代にも必要な管理職のスキルや役割について解説

2023年11月10日更新

新たに管理職・マネージャーとなった方のなかには、新しい役割への意気込みと共に、これまで経験したことのない職務内容についての不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

管理職は基本の業務を押さえることと併せて、テレワークやオンライン会議、Z世代の新人・若手の育成など、時代に合わせたマネジメントも知っておく必要があります。
今回は、新任管理職の方向けに管理職・マネージャーの役割や心構え、必要なスキルについてご紹介します。

管理職・マネージャーが知っておくべきマネジメントの基本については、
以下の研修で詳しく紹介しています。
【オンライン研修】マネジメントの基本を学ぶ 管理職基礎研修(M-BL)【2日】

管理職にはどのような役割があるのでしょうか。
上記の図表は、2022年に行った人事と管理職を対象としたマネジメントに関する調査の結果です。

企業や組織の規模、事業部の戦略などによりその役割は異なりますが、管理職にはさまざまな期待が寄せられます。調査結果の上位にも挙がっている主な役割についてお伝えします。

組織目標の達成・業務管理・進捗管理


組織のメンバーが行う業務のマネジメントは、管理職の重要な役割です。目標を達成するためにどのような方法を取るのか、どのようなスケジュールで進めるのか、それぞれのタスクをどのメンバーにアサインすべきかなど、業務のプランを考えます。予算や必要なツールなどの手配を考えることもあります。
タスク量や業務内容の割り振りが適切かどうか、メンバーのスキルを把握しながら的確に判断することが重要です。
業務の進捗についても適宜確認し、遅れている場合には、管理職はまず原因を把握する必要があります。スケジュールの遅延、予算の不足、他部署との連携ミスなどの問題が生じている際には、改善策を考えます。

業務の改善


業務改善とは、業務内容を見直して課題や問題点を洗い出し、解決することによって生産性を高め、業務の効率化を図ることです。多くの企業が人手不足に悩む現状において、管理職の役割のなかでも業務改善は重要視されています。

急速なオンライン化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など目まぐるしく環境が変化していく時代のなかで、従来の業務をただこなすだけでは会社の利益確保が難しいケースが増えてきています。
組織の新しい価値創造やイノベーションにつなげていくためには、継続的な業務の改善・効果検証のサイクルが重要となります。一人ひとりの生産性の向上・業務の効率化は必須といえるでしょう。生産性向上のためのツールを検証・導入することで改善を図ることもできます。

人材育成・サポート


人材育成も管理職の重要な役割です。上記の調査結果では、人事が管理職に期待していること、管理職層が重要だと考えている管理職の役割、どちらもトップが「メンバーの育成」となっています。
成長を期待してアサインするタスクや仕事量を調節する他、適切なフィードバックや評価、良好な関係性を維持するためのコミュニケーションも重要です。

部下一人ひとりのスキルや培ってきた経験を生かせる環境を整え、業務に反映していくことで、部下の仕事への満足度やモチベーションの向上が期待できます。

また、人材育成には「チームビルディング」が不可欠です。チームビルディングとは、メンバー同士が影響や刺激を受け合うことでチームに一体感が生まれ、個々のパフォーマンスが遺憾なく発揮できる、信頼関係のあるチームづくりのことです。 チームビルディングに取り組むには、ワークショップや社内のイベントを企画するなどの方法があります。

部下が弱みや課題を抱えている場合に業務の調整をするだけではなく、研修や講座などを活用して育成を図ることも管理職の役割です。

企業理念や戦略テーマの推進


自社が掲げる企業理念や部署全体の戦略テーマを推進させ、部下に浸透させることも管理職の役割です。

企業理念や部署全体の目標に対してメンバーの理解が足りず、目先の業務しか見えていない場合、一体感のある組織づくりはできません。組織のビジョンを管理職が自分の言葉でメンバーに語り、理解を促すことが必要です。

時代の変化にともない、「自律競争型 」の組織運営が求められています。自発的に自走できる人材を育てるためにも、社員一人ひとりが会社の企業理念やビジョンを理解し、自分たちの実現したいテーマや仕事内容に落とし込めるよう導く必要があります。

コンプライアンス・勤怠管理の徹底


担当部署のコンプライアンス、勤怠管理は管理職の基本的な役割の1つです。

昨今は感染症の流行やDX化の広がりを背景に、テレワークやオンライン会議を導入する企業が急速に増えています。テレワークやオンライン会議は勤務場所にとらわれない利便性がある一方、機密情報や個人情報の管理が必要です。また、勤怠管理がずさんになる、ハラスメント行為が発生しやすくなるといった危険性もあります。
管理職として、テレワークの導入中であってもメンバーとコミュニケーションを密にし、コンプライアンス・勤怠管理を徹底することが求められます。

その他、昨今の企業を取り巻く環境の変化から、メンバーのキャリア形成支援・多様な働き方への対応なども、管理職の役割として重要視されているといえるでしょう。
部下が自身の成長を組織全体の成長と捉え、自走できるようマネジメントしていくことが求められています。

問題解決スキル


管理職は自組織の問題を解決していくために課題設定し、メンバーをリードしていく必要があります。個々の業務の進捗の相談に乗ったり、間違った方向に行っていないか都度確認したりするためにも、管理職自身の問題解決スキルを高め続けることは重要です。
また、いわゆる「プレイングマネージャー」と呼ばれるように、現場の業務とマネージャー業務を両立しなければならないシーンも少なくありません。今まで経験したことのない業務の管理職になる場合も、業務の構造を理解していくために問題解決スキルは役立ちます。

対人対応スキル


部下や関係部署と良好な関係を保つ対人対応スキルも必要です。優秀な管理職は、さらに「部下に働きかけ、組織の能力を最大化する能力」も有しています。部下とのコミュニケーションは新任管理職が一番壁を感じやすい課題です。
昨今はテレワークやオンラインのやり取りも増えているため、意識的に部下とコミュニケーションを取っていく必要性が増しています。

コンセプチュアルスキル


方向性やビジョンを概念化して伝えるスキルは「コンセプチュアルスキル」と呼ばれています。組織の規模が大きくなるほど部下が増え、一人ひとりに細かな指示を出すことが困難になっていきます。大規模な組織の管理職には、方針・戦略といった大きな指示で部下を動かすコンセプチュアルスキルが必要です。

また、管理職になったばかりの時期は、それまでとの視野や負担の違いに戸惑うかもしれません。以下では、新任管理職が知っておくべき心構えをご紹介します。

部下やチームの成長を考える


管理職とプレイヤーの大きな違いは「部下を通して仕事をする」ようになることです。これは大きな役割転換となるため、新任の段階では、部下との関わりがうまくもてない場合も多いことでしょう。そのような場合も、部下やチームの成長を考え、職務を遂行していくことを試行錯誤し続けることによって、次第に管理職らしい行動が取れるようになっていきます。

自身のストレスコントロールを忘れない


管理職の業務は多くのストレスや負荷をともないます。自身のストレス耐性を過信せず、適切にコントロールすることが重要です。管理職という仕事自体を楽しめる状態が理想的といえます。マインドフルネスやアンガーマネジメントなど、セルフコントロールするスキルを身につけておくことも効果的です。

管理職になったばかりであれば、役割の多さや責任の重さを感じ、迷うこともあるでしょう。しかし、管理職は成長を続けていくことでやりがいを感じられる役職といえます。

管理職昇進への意欲


新任管理職になった方のなかには、管理職に昇進することを望んでいなかった方もいるかもしれません。
弊社は2016年、「部下をもつ課長相当の管理職に就任して1年以上5年未満の男性正社員」を対象とした意識調査を行いました。
昇進前の管理職意向を尋ねたところ、431人中219人がポジティブな意向、212人がネガティブな意向と、おおよそ半数の人が昇進前は管理職になりたくないと感じていたことが分かりました。

管理職になりたくないと感じていた理由には、「自分には管理職は向いていないと思っていたから」「報酬面でのメリットが少ないから」「面倒な調整業務などが増えそうだから」といった項目が多く挙げられました。

また、「現場の仕事のほうが面白い」「自分のやりたい仕事ができなくなる」といった、現状のプレイヤーとしての仕事に満足しているからこそ、管理職という役割に魅力を感じていなかった人もいました。

管理職意向の変化


管理職へ昇進した後の管理職意向の変化を調査した結果、ネガティブに感じていた半数以上の人が、ポジティブな意向に変化しているという結果になりました。
もともと管理職意向に対してポジティブだった人が、昇進後にネガティブに変化した割合は、1割程度に収まっています。

最初は管理職の職務に対して前向きに考えられなくても、昇進後にさまざまな実務を経験していくなかでやりがいを感じられるようになり、心情が変化した人が多いことが分かります。

部下の成長が自分のやりがいになる


同調査で管理職としてのやりがいについて尋ねた項目では、もともとネガティブな意向からポジティブな意向に変わった人が、他の変化タイプと比べて「部下が生き生きと仕事をしているとき」を選択した割合が特に多くなっています。
また、「自分が管轄する組織が、目標より高い成果をあげたとき」「部下が成果をあげたとき」「部下が成長したとき」といった項目を選択した人も多くいました。

管理職として部下の育成に関わり、部下と協力して目標を達成したことや部下の前向きな成長を感じられたことが、自分にとってのやりがいにつながっているのです。

昇進後に初めて「管理職として仕事をしたい」と思えるようになったエピソードを尋ねた自由回答では、「担当者では埒があかなかった案件のトラブルを、管理者の権限で解決してあげられたこと」「これまで上手くいっていない業務を受けたが、自身の意思でチーム全体を巻き込んで取り組み、業績を上げ、かつメンバーが成長する喜びを感じることができた」といった、部下に関するコメントが複数ありました。

管理職意向に関する調査結果について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。
管理職になりたくなかった人でも得られる管理職の醍醐味

部下の育成は多くの方にとって経験したことのない職務であるため、最初は戸惑うかもしれません。また、管理職として責任を負うことにプレッシャーを感じることもあるでしょう。
しかし、この調査結果からも分かるように、経験してみてから管理職のやりがいや喜びを感じられるようになった事例は多くあります。
まずは管理職としての役割をよく認識・理解し、部下との面談などでコミュニケーションを図るところから始めても良いでしょう。

また、管理職になったからといってすぐに管理職としてのスキルやマネジメント力が身につくわけではありません。実践して成長することが前提ではありますが、管理職研修やセミナーなどを受けることで管理職の心構えを学ぶことも有用です。

今回は、管理職の役割や心構え、必要なスキルについてご紹介しました。
管理職はマネジメントと部下の育成という重要な役割を担う立場です。管理職の心構えを日々意識し、問題解決力、対人スキルやコンセプチュアルスキルなどの必要な能力を身につけることにより、管理職として成長していくことができます。

管理職が知っておくべきマネジメントの基本については、以下の研修で詳しく紹介しています。
【オンライン研修】マネジメントの基本を学ぶ 管理職基礎研修(M-BL)【2日】

また、以下の事例もご参照ください。

【事例】3カ月間の管理職研修で、課長層の部下育成意識を高める。NMAT・M-BT・フォローアップ研修の併用で未来をキヅク(気づく・築く)研修を 株式会社オカムラ

【事例】「M-BT」なら現代の新任管理職に意識変化を起こせると感じた コマツ(株式会社小松製作所)

【特集】中小・中堅企業向けマネジメント力強化