管理職にはどのような役割があるのでしょうか。
上記の図表は、2022年に行った人事と管理職を対象としたマネジメントに関する調査の結果です。
企業や組織の規模、事業部の戦略などによりその役割は異なりますが、管理職にはさまざまな期待が寄せられます。調査結果の上位にも挙がっている主な役割についてお伝えします。
組織目標の達成・業務管理・進捗管理
組織のメンバーが行う業務のマネジメントは、管理職の重要な役割です。目標を達成するためにどのような方法を取るのか、どのようなスケジュールで進めるのか、それぞれのタスクをどのメンバーにアサインすべきかなど、業務のプランを考えます。予算や必要なツールなどの手配を考えることもあります。
タスク量や業務内容の割り振りが適切かどうか、メンバーのスキルを把握しながら的確に判断することが重要です。
業務の進捗についても適宜確認し、遅れている場合には、管理職はまず原因を把握する必要があります。スケジュールの遅延、予算の不足、他部署との連携ミスなどの問題が生じている際には、改善策を考えます。
業務の改善
業務改善とは、業務内容を見直して課題や問題点を洗い出し、解決することによって生産性を高め、業務の効率化を図ることです。多くの企業が人手不足に悩む現状において、管理職の役割のなかでも業務改善は重要視されています。
急速なオンライン化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など目まぐるしく環境が変化していく時代のなかで、従来の業務をただこなすだけでは会社の利益確保が難しいケースが増えてきています。
組織の新しい価値創造やイノベーションにつなげていくためには、継続的な業務の改善・効果検証のサイクルが重要となります。一人ひとりの生産性の向上・業務の効率化は必須といえるでしょう。生産性向上のためのツールを検証・導入することで改善を図ることもできます。
人材育成・サポート
人材育成も管理職の重要な役割です。上記の調査結果では、人事が管理職に期待していること、管理職層が重要だと考えている管理職の役割、どちらもトップが「メンバーの育成」となっています。
成長を期待してアサインするタスクや仕事量を調節する他、適切なフィードバックや評価、良好な関係性を維持するためのコミュニケーションも重要です。
部下一人ひとりのスキルや培ってきた経験を生かせる環境を整え、業務に反映していくことで、部下の仕事への満足度やモチベーションの向上が期待できます。
また、人材育成には「チームビルディング」が不可欠です。チームビルディングとは、メンバー同士が影響や刺激を受け合うことでチームに一体感が生まれ、個々のパフォーマンスが遺憾なく発揮できる、信頼関係のあるチームづくりのことです。 チームビルディングに取り組むには、ワークショップや社内のイベントを企画するなどの方法があります。
部下が弱みや課題を抱えている場合に業務の調整をするだけではなく、研修や講座などを活用して育成を図ることも管理職の役割です。
企業理念や戦略テーマの推進
自社が掲げる企業理念や部署全体の戦略テーマを推進させ、部下に浸透させることも管理職の役割です。
企業理念や部署全体の目標に対してメンバーの理解が足りず、目先の業務しか見えていない場合、一体感のある組織づくりはできません。組織のビジョンを管理職が自分の言葉でメンバーに語り、理解を促すことが必要です。
時代の変化にともない、「自律競争型 」の組織運営が求められています。自発的に自走できる人材を育てるためにも、社員一人ひとりが会社の企業理念やビジョンを理解し、自分たちの実現したいテーマや仕事内容に落とし込めるよう導く必要があります。
コンプライアンス・勤怠管理の徹底
担当部署のコンプライアンス、勤怠管理は管理職の基本的な役割の1つです。
昨今は感染症の流行やDX化の広がりを背景に、テレワークやオンライン会議を導入する企業が急速に増えています。テレワークやオンライン会議は勤務場所にとらわれない利便性がある一方、機密情報や個人情報の管理が必要です。また、勤怠管理がずさんになる、ハラスメント行為が発生しやすくなるといった危険性もあります。
管理職として、テレワークの導入中であってもメンバーとコミュニケーションを密にし、コンプライアンス・勤怠管理を徹底することが求められます。
その他、昨今の企業を取り巻く環境の変化から、メンバーのキャリア形成支援・多様な働き方への対応なども、管理職の役割として重要視されているといえるでしょう。
部下が自身の成長を組織全体の成長と捉え、自走できるようマネジメントしていくことが求められています。