用語集
リーダーの役割とは? 種類・必要なスキル・育成方法まで徹底解説
- 公開日:2025/07/14
- 更新日:2025/07/16
変化の激しいビジネス環境において、リーダーには組織の方向性を示し、メンバーを導く多様な役割が求められます。目標設定やメンバーの育成、働きやすい環境づくりなど、その役割は多岐にわたります。本記事では、リーダーの基本的な役割から育成のポイントまでを詳しく解説します。
リーダーの役割とは
リーダーとは、チームを目標達成へ導くために具体的な責任と役割を担う存在です。ここでは、リーダーに求められる主な役割を解説します。

目標・目的の設定
リーダーはまずチームの目指すべき目標や目的を明確に定め、メンバー全員に周知・共有します。目指すべきゴールが定まっていない、またはそれぞれのメンバーが異なる方向を見ているといった状態では、組織の方向性は定まりません。明確な共通目標を示すことで、メンバーの行動を1つの方向に揃え、組織全体を前進させることにつながります。
達成計画の立案と進捗管理
目標が決まった後は、リーダーはその達成に向けた具体的な行動計画を策定し、実行状況を管理します。「何を・いつまでに・誰が行うか」といった道筋を示し、必要なリソースを手配してチームに指示を出します。さらに、計画通りに進んでいるか常に進捗を把握し、遅れや問題があれば早めに対処して軌道修正します。リーダーが先頭に立って道筋を示すことで、メンバーは安心して業務に取り組めます。
メンバーのモチベーション向上
チームの生産性を高めるには、リーダーがメンバーのモチベーションに積極的に働きかける姿勢が大切です。メンバーの様子を観察し、意欲が下がっている場合は声をかける、課題を抱えている場合は具体的なサポートを行うなど、タイミングを見極めた対応が求められます。また、リーダー自身が前向きに粘り強く業務に取り組む姿勢を示すことで、周囲の士気を引き上げるという影響力も持ちます。モチベーションを高めるためには、メンバーが努力や成果を正当に評価される環境づくりも欠かせません。
メンバーの育成
リーダーには、メンバー一人ひとりの成長を支援し、チーム全体の力を引き出す役割があります。そのためには、各メンバーのスキルや経験を把握し、適切な成長機会を提供することが大切です。日々の業務を通じて、前向きなフィードバックを行い、必要に応じて業務を任せるなど、信頼を示すことも育成の一環です。こうした積み重ねが、チーム全体の底上げにつながります。
働きやすい環境の整備
リーダーには、メンバーが安心して力を発揮できる環境づくりを進める役割もあります。例えば、働き方やルールの見直し、長時間労働の改善や柔軟な勤務スタイルを取り入れるなど、無理なく働ける仕組みをつくることが求められます。また、メンバー全員に目を配り、負担の偏りや不公平感が生じないよう配慮することも大切です。誰もが気持ちよく働ける環境を整えることが、チームの生産性につながっていきます。
リーダーの種類
組織やチームの目的や状況に応じて、リーダーに求められる役割は異なります。ここでは、日常のマネジメントや人材との関わり方という視点から、代表的な6つのリーダーシップの種類を紹介します。
種類 | 特徴 | 適した場面 |
---|---|---|
ビジョンリーダーシップ | 信念と未来像で方向性を示し、周囲を巻き込む | 組織の変革期や、新たな方向性を打ち出す場面 |
コーチングリーダーシップ | 対話を通じて個々の成長を支援し、引き出す | 若手の育成や、ポテンシャルを引き出したいチームを率いる場面 |
調整リーダーシップ | 意見をまとめて合意を導き、協調を促す | 部門横断プロジェクト、多様な意見が集まるチーム |
仲良しリーダーシップ | 信頼関係を重視し、フラットで親しみやすい関係性を築く | 部門をまたぐプロジェクトや、多様な価値観が交錯する場面 |
実力リーダーシップ | 専門性や経験をもとに信頼を集めて導く | 小規模チームや、信頼関係の構築が重要な場面 |
指示命令リーダーシップ | 明確な指示で統率し、スピーディに進行する | 緊急対応時や、経験の浅いメンバーが多いチームを率いる場面 |
組織の目標やメンバーの特性に応じて、効果的なリーダーシップの種類は変わります。ここでは、日常的なリーダー行動の違いに着目しました。一方で、昨今は変化のスピードが速く、予測困難なVUCAの時代に突入しています。そうした環境下では、従来の枠にとらわれない新たなリーダー像が求められています。次節では、VUCA時代に適応するためのリーダーシップのあり方に焦点を合わせます。
VUCA時代に求められるリーダーシップとは
変化が常態化するVUCA時代では、リーダーがメンバーとの関係性をどう築くかという姿勢そのものが、チームの「安心して挑戦できる環境」を形成します。ここでは、こうした時代背景のなかで注目されている3つのリーダーシップスタイルを紹介します。

支える力で導く「サーバント・リーダーシップ」
サーバント・リーダーシップは、権限を振りかざすのではなく、メンバーを支える姿勢を重視するリーダーシップです。メンバーの声に耳を傾け、必要な支援を惜しまないことで、チームの自律性と信頼感が高まります。VUCA環境では、上意下達型の一方向的な指示よりも、一人ひとりの主体的な行動を働きかけることが成果につながるため、支援型のリーダーはメンバーが主体性を発揮できる土壌をつくる存在として、重要性を増しています。
信頼を生む「オーセンティック・リーダーシップ」
オーセンティック(=真正)・リーダーシップは、自分らしさを大切にし、誠実にふるまうことで信頼を築くスタイルです。言動に一貫性があるリーダーは、混乱や迷いが生じやすい状況でも、チームに安心感と方向性を示すことが期待できます。リーダーの「人となり」が信頼の基盤になるこのスタイルは、特に変革期に有効とされます。
安心感から挑戦を引き出す「セキュアベース・リーダーシップ」
セキュアベース・リーダーシップは、心理的安全性の高い環境をつくることで、メンバーの挑戦意欲を引き出すスタイルです。リーダーが「挑戦を見守っている」「失敗しても支える」というメッセージを送り続けることで、メンバーはリスクを恐れずに前向きな行動を取りやすくなります。変化に対応していくためにも、安心して挑戦できる環境づくりがこれまで以上に求められています。
ここで紹介したリーダーシップは、いずれも「命令する」のではなく、「支え、信じ、共に進む」姿勢を大切にしています。予測不能なVUCAの時代だからこそ、リーダーが関係性を育むことで、メンバー一人ひとりが自律的に力を発揮できる組織づくりが重要となっています。
リーダーを目指すために必要なスキルと要素
リーダーとして期待される役割を果たすためには、それを支える資質を身につけることが求められます。ここでは、実務の場で必要とされるリーダーの基本的な能力について解説します。
目標達成・計画立案力
目標を着実に達成するために、現実的な計画を立てる力が求められます。リーダーは大きな目標をそのまま掲げるだけでなく、道のりをいくつかの段階に分けて小さな目標を設定し、段階的にクリアしていくことでチームのモチベーションを維持します。何をいつまでに行うのかを明確に示し、必要なリソースやスケジュールを管理できる計画立案力は、目標達成への土台となるスキルです。
洞察力・問題解決能力
リーダーには、複雑で予測しづらい状況下でも適切に判断し、組織を前進させる力が求められます。そこで必要になるスキルが、状況の本質を見抜く洞察力と、より良い対処法を導き出す問題解決能力です。洞察力とは、ただ情報を集めるだけでなく、そこから意味を読み取り、課題の構造を把握する力を指します。問題解決能力には、セオリーに頼らず柔軟に考える力に加え、不測の事態に備えた複数の選択肢を準備しておく力も含まれます。
モチベーション管理能力
メンバーの意欲を高めるには、リーダーのモチベーション管理能力が必要です。これは、個々のメンバーの性格やコンディションを読み取り、適切な声がけや目標設計、タイミングを見極めたフィードバックができる力を指します。例えば、挑戦的な目標を設定することで成長を促す一方、過度なストレスを避けるために適切な休息や支援を提供することも、モチベーション管理の一環です。個々のメンバーを理解することが、チーム全体のエンゲージメント向上につながります。
決断力・責任感
リーダーには、判断の難しい状況でも組織を代表して明確な方向性を打ち出す決断力が求められます。自信と責任感を持って決断を下すことで、メンバーは安心して自分の役割を果たしやすくなります。また、決断後はその結果について責任を持ち、必要に応じて調整や対応を行うことが重要です。リーダーの決断がメンバーに与える影響を考慮し、結果に対して責任を負う姿勢が、メンバーに安心感と信頼感を与えます。
コミュニケーション能力
リーダーには高いコミュニケーション能力が求められます。自分の目標や計画を分かりやすく周知してメンバーの理解と納得を得るだけでなく、メンバーからの意見にもしっかり耳を傾ける姿勢が必要です。一方通行の指示ではなく対話を重視し、相互理解を深めることで信頼関係を築きます。また、日頃から情報共有を徹底し、メンバーが安心して働ける雰囲気をつくることも大切です。
誠実性・公平性
誠実性と公平性 はリーダーが信頼を得るために欠かせない要素です。常に正直で誠実に行動し、メンバーを公平に扱うリーダーは周囲から厚い信頼を寄せられます。逆に、特定の部下だけを優遇するような態度を取ると、チーム内に不和が生じ、メンバーからの信頼を失いかねません。どんな時も公正な判断基準を持ち、一貫した姿勢でチームに向き合うことが、メンバーの安心感につながり、リーダーシップを発揮しやすくします。
リーダーを育成する方法
組織の持続的な成長には、次世代のリーダー育成が不可欠です。以下では、リーダーを育成するための具体的な方法を解説します。
どのようなリーダーが必要か明確にする
リーダー育成の第一歩は、組織が求めるリーダー像を明確にすることです。これには、組織のビジョンや戦略、現在の課題を踏まえ、リーダーに必要なスキルや資質を定義することが含まれます。例えば、変革を推進するリーダーが必要であれば、柔軟な思考やコミュニケーション能力が重視されるでしょう。このように、組織の方向性と連動したリーダー像の設定が、育成の土台となります。
リーダー育成計画を立てる
明確なリーダー像が定まったら、それに基づいた育成計画を策定します。計画には、育成の目的、対象者、期間、評価基準などを含めることがポイントです。また、OJT(On-the-Job Training)やメンタリングなど、さまざまな育成方法を組み合わせることで、実践的なスキル習得が期待できます。計画は柔軟性を持たせ、定期的に見直すことで、効果的な育成が目指せます。
リーダー研修を実施し、検証する
育成計画に基づき、リーダー研修を実施します。研修内容は、問題解決能力やコミュニケーション能力など、リーダーに必要なスキルを網羅することが望ましいです。また、研修後には、受講者の行動変容や業務への影響を評価し、効果を検証します。このフィードバックをもとに、研修内容や育成計画を改善し、継続的な育成サイクルを構築することが必要とされます。
まとめ
リーダーには、目標の設定やメンバーの育成など、組織を前進させるための多様な役割が求められます。時代の変化と共に、リーダーのあり方や必要なスキルも変化しています。今回紹介した内容を参考に、自身の強みを生かしながら、チームに信頼されるリーダーを目指してみてはいかがでしょうか。日々の積み重ねが、未来のリーダーシップを育てていきます。
おすすめの
無料セミナー
Online seminar
サービスを
ご検討中のお客様へ
- お役立ち情報
- メールマガジンのご登録をいただくことで、人事ご担当者さまにとって役立つ資料を無料でダウンロードいただけます。
- お問い合わせ・資料請求
- 貴社の課題を気軽にご相談ください。最適なソリューションをご提案いたします。
- 無料オンラインセミナー
- 人事領域のプロが最新テーマ・情報をお伝えします。質疑応答では、皆さまの課題推進に向けた疑問にもお答えします。
- 無料動画セミナー
- さまざまなテーマの無料動画セミナーがお好きなタイミングで全てご視聴いただけます。
- 電話でのお問い合わせ
-
0120-878-300
受付/8:30~18:00/月~金(祝祭日を除く)
※お急ぎでなければWEBからお問い合わせください
※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください
- SPI・NMAT・JMATの
お問い合わせ -
0120-314-855
受付/10:00~17:00/月~金(祝祭日を除く)