導入事例
マネージャーを「プレ研修」「新任研修」「360度サーベイ」「コーチング」で段階的に育成
株式会社日本政策投資銀行(DBJ)

- 公開日:2025/10/14
- 更新日:2025/10/14
事例概要

背景・課題
私たち日本政策投資銀行(DBJ)は投資強化を進めているため、DBJバンカーには「外部ステークホルダーを巻き込む力」や「チームパフォーマンスを最大化する力」がこれまで以上に求められるようになりました。そこで鍵となるのが、マネージャーの「ピープルマネジメント力」です。人事部には、マネージャーたちを段階的に高いレベルまで育成し、ピープルマネジメント力を高める仕組みづくりが求められていました。

検討プロセス・実行施策
10年ほどで「プレマネジメント研修(以下、プレ研修)」「新任マネジメント研修(以下、新任研修)」「360度サーベイ(以下、360度サーベイ)」「コーチングプログラム(以下、コーチング)」を用意しました。「DBJらしい人事施策」にこだわり、大胆なカスタマイズをお願いしてきました。プレ研修ではフレームワークを学び、新任研修では実践的コミュニケーション力を高めてもらいます。さらに360度サーベイとコーチングで内省を促し、成長を後押ししています。

成果・今後の取り組み
「プレ研修」「新任研修」は、意図通りの成果が出ています。また、それぞれの研修の導入後、1on1を実施するマネージャーが明らかに増えました。「360度サーベイ」も1on1の普及に一役買っており、それ以外にもさまざまな面でマネージャーの言動を改善しました。より深い内省支援を希望するコーチング適性の高いマネージャーたちは「コーチング」で能力をどんどん高め、尊敬されるマネージャーに変貌を遂げています。
背景・課題
マネージャーを高いレベルまで育成する仕組みづくりが求められていた
藤崎:私たち日本政策投資銀行(以下、DBJ)の前身は、1951年に設立された日本開発銀行です。終戦間もない日本を復興させるためには「重厚長大産業」の育成が不可欠で、エネルギー、鉄鋼、造船といった産業分野に対し、重点的に資金を投入する必要がありました。そこで民間金融機関を補完する役割を担うことを目的に立ち上げられたのが、政府系金融機関としての日本開発銀行でした。その後、DBJは2008年に株式会社化(民営化)しましたが、基本的な使命は設立時から変わっていません。創造的金融活動によって、今後の日本に欠かせない産業や企業を長期的に支え育成することで、経営課題と社会課題の両方を解決し、未来の日本を共につくるのが私たちのミッションです。「金融力で未来をデザインします」という企業理念は、まさにそのことを表しています。

現在のDBJは、お客様のニーズに柔軟に対応する「投融資一体」サービスを特徴としながら、アドバイザリーやナレッジ、アセットマネジメントなど多様なソリューションを提供しており、最近は特に「投資」を強化しています。
以前は長期融資が極めて大きな柱となっていましたが、現在は積極的に投資も行い、リスクマネーを供給して、お客様にとことん伴走するビジネスに変わりつつあります。なぜなら、社会や産業がめまぐるしく変化する現代では、長期融資だけでは対応できないケースが増えているからです。DBJが投融資一体サービスを通じてお客様と一緒に走り、そのビジネスを育むことが、お客様の成功可能性を高める時代になったのです。
こうしたビジネス面の変化を受け、私たちは2017年に現第5次中期経営計画の前身である第4次中期経営計画を立案した際に、企業理念体系などを再整理しました(ビジョン2030)。そのなかで、4つのDNA(長期性、中立性、パブリックマインド、信頼性)や価値観(挑戦・誠実)などの変わらない要素をあらためて確認しながら、変えるべきところを変えました。
「投資強化」に際しては、DBJが、これまで以上にお客様や多様なステークホルダーと密に関わるということが必要です。その際、お客様やステークホルダーを力強く巻き込んで、関係者全員で同じ方向を向いて前進する必要があります。つまり、今後のDBJバンカーには、周囲の人々を惹きつけたり、相手を説得したりする力がより求められるのです。また、そのときに経済価値と社会価値の両立を目指して、広い視野で俯瞰的にかつ深く物事を考えることも欠かせません。私たちには「コンセプチュアルスキル(物事の本質を見抜く力、複雑な状況を理解し概念化する力)」も求められるわけです。さらに、すべての仕事はチームで行われるため、チームに貢献し、チームパフォーマンスを高める視点も必要です。
一言でまとめると、今後のDBJバンカーには、従来以上に高い能力が求められるのです。そこで鍵となるのが、マネージャーの「ピープルマネジメント力」です。現在のDBJでは、マネージャーが部下を育成し、ケアする必要性が高まっているのです。しかし、DBJは伝統的に自律性が高い社風で、メンバー一人ひとりが自ら考えて創意工夫し、どんどん行動を起こしています。こうした組織のマネジメントは難しく、マネージャーにも高い能力が求められます。そこで、私たち人事部には、マネージャーたちを段階的に高いレベルまで育成する仕組み、特にピープルマネジメント力を高める仕組みづくりが求められていました。
検討プロセス・実行施策
「DBJらしい人事施策」のために、研修が柔軟にカスタマイズできる点も魅力
藤崎:私たちは、過去10年ほど、マネージャーたちを段階的に高いレベルまで育成する仕組みづくりを進めてきました。具体的には、「プレ研修」「新任研修」「360度サーベイ」「コーチング」の4つの施策を用意してきました。リクルートマネジメントソリューションズには、この4つすべての企画提案・設計・運営などに関わってもらっています。私たちの内実や考えをよく理解したうえで踏み込んだ提案をしてくれるので、本当に助かっています。

山本:また、DBJのコンピテンシー評価体系やカルチャーに合わせて、柔軟にカスタマイズしてもらえるのも嬉しい点です。私たちは「DBJらしい人事施策」にこだわっており、プレ研修も新任研修も360度サーベイも、リクルートマネジメントソリューションズのソリューションをベースとしながら、大胆なカスタマイズをお願いしてきました。その対応力を信頼しています。
「プレ研修」でフレームワークを学び、「新任研修」で実践的コミュニケーション力を高める
山本:4つの施策を少し詳しく紹介します。「プレ研修」は、名前のとおり、マネージャー昇進前のメンバー向けの研修で、リクルートマネジメントソリューションズの「管理職研修<マネジメント基礎>」をベースとしています。まずはこの研修で、マネジメントのフレームワークを学んでもらい、マネジメントの全体像とピープルマネジメントの重要性を理解してもらいます。
昇格後は、「新任研修」を受講してもらいます。この研修では「マネージャーとしてのコミュニケーション力」を実践的に高めてもらいます。マネージャーのあるべき姿を踏まえたうえで、ケーススタディを通して、自分が若手部下たちにどのように接したらよいかを具体的に考えてもらう時間です。この研修での学びは、すぐに職場で実践してもらいます。研修での学びを実践につなげ、振り返ってさらに新たな学びを得る、というサイクルを回すことが大切です。
「360度サーベイ」と「コーチング」で内省を促し、成長を後押し

藤崎:「360度サーベイ」とは、分かりやすくいえば、マネージャーの360度評価(経営人材360度評価システム/360度評価システム−オリジナル版)で、上長・同僚・部下などがマネージャー個人に対して評価・コメントをするシステムです。
私たちは毎年、マネージャーに360度サーベイを「ギフト」として手渡しています。人事部はその内容を見ておらず、評価や昇進・昇格とも無関係です。なぜなら、人事が見てしまうと、コメントの質が変わってしまうからです。全員の心理的安全性を担保するために、人事はレビューに目を通さないことにしているのです。マネージャーたちには、レビュー結果をもとに自身のあり方を見直すように伝えています。そこから何をどうするかは、本人次第です。
「コーチング(管理職向け実践支援コーチング)」も、マネージャーへのギフトの1つです。コーチングは、マネージャーが自分の内面を見つめ、自らの潜在的なポテンシャルを探し当てるためのパワフルなツールです。個人がコーチに教えを乞うのではなく、個人がコーチの支援を得て、協力してより深い問いに向き合うのがコーチングです。
360度サーベイもコーチングも、内省のためのツールです。プレ研修と新任研修でマネジメントの基礎を学んでもらった後は、360度サーベイとコーチングで内省を促し、より高いレベルに向けた成長を後押ししています。
成果・今後の取り組み
プレ研修・新任研修の導入後、1on1を実施するマネージャーが明らかに増加
山本:「プレ研修」「新任研修」に関しては、意図通りの成果が出ています。一例を挙げると、新任研修を受講した翌日から、マネージャーとしてのコミュニケーションを自分なりに意識できるようになった、と語った受講者がいました。プレ研修・新任研修を経て、このように順調に立ち上がっていく新任マネージャーが多くいます。

また、私たちは以前から上司・部下の1on1を奨励しているのですが、プレ研修・新任研修の導入後、1on1を実施するマネージャーが明らかに増えました。現在では、1on1はカルチャーとして定着してきており、ほとんどのマネージャーが四半期や毎月といった頻度でメンバーと1on1を行っています。
プレ研修・新任研修が、この変化において良い影響を及ぼしたのは間違いありません。研修を通じて、多くのマネージャーが、ピープルマネジメントでは部下の定点観測が極めて重要であり、1on1がそのための強力なツールであると認識したのです。
コーチング適性の高いマネージャーたちが能力をどんどん高めている
藤崎:付け加えると、「360度サーベイ」も1on1の普及に一役買っています。360度サーベイを実施するようになってから、多くのマネージャーが部下の声によく耳を傾けるようになったのです。この施策は、それ以外にもさまざまな面でマネージャーの言動を改善しました。その影響は大きいです。
「コーチング」は、全員に一定の効果があるタイプの施策ではないかもしれません。しかし、より深い内省支援を希望するコーチング適性の高いマネージャーたちは、コーチングによって能力をどんどん高めており、周囲をエンパワーできるマネージャー、周囲から尊敬されるマネージャーに変貌を遂げています。私たち人事部は、その高い効果を目の当たりにして、最近コーチングを受けられる人の枠を増やしました。リクルートマネジメントソリューションズのコーチの能力の高さも、成功要因の1つだと考えています。
最後に、今後について少し触れると、力を入れたいと考えていることの1つが「マネジメントの負荷削減」です。マネジメント業務は間違いなく増えており、マネージャーたちの負荷を少しでも軽くするための支援をしたいのです。
その一環として、マネジメント支援ツール「インサイズ」を近々導入する予定です。インサイズを活用して、マネージャーが部下のワークメンタリティ、性格タイプ、ストレス要因などを定期的に把握できる情報収集の仕組みを構築すれば、より効果的・効率的なマネジメントを実現できるはずです。

ソリューションプランナーの声

リクルートマネジメントソリューションズ
(営業統括部)営業2部6グループ
シニアソリューションプランナー
竹田美樹
DBJ様との取り組みで最も印象的だったのは、「DBJらしさ」への徹底したこだわりです。10年間にわたる段階的な育成体系の構築において、単なる研修の提供ではなく、DBJ様の企業理念や価値観、そして投資強化という戦略転換に沿ったソリューションづくりに伴走し、ご支援してきました。特に、「プレ研修」から「新任研修」、「360度サーベイ」「コーチング」まで、一貫したストーリーを持って詳細設計できていることが施策としての重要なポイントです。
人事部の皆様が「ギフト」という表現で語られるように、会社としてマネージャーの成長を心から願い、人事としてもそれを支援したいという想いを強く持たれています。私たちもその想いに応えるべく全力で取り組んでおり、1on1の定着やマネージャーの行動変容など、着実に成果が表れ始めていることを嬉しく思います。
取り組みはまだ道半ばではありますが、今後もDBJ様の「金融力で未来をデザインする」使命を支える人材育成に、パートナーとして貢献してまいります。
取材日:2025/08/05

企業紹介

株式会社日本政策投資銀行(DBJ)
DBJグループは、企業理念「金融力で未来をデザインします」を掲げ、持続可能な社会の実現を目指して経済価値と社会価値を両立させるサステナビリティ経営および投融資一体型のビジネスモデル展開を進めている。経済・社会の変容に応じて生じる顧客の経営課題や地域の課題に対し、「誠実」に応え、新しい金融フロンティアに「挑戦」し、特色あるユニークな金融機関として顧客ならびに地域の成長を通じて、日本の発展に貢献する。
関連するコンテンツ

- 研修
- マネジメントの基本知識を身につける

- 研修
- 部下との対話型マネジメントを実現する

- アセスメント・サーベイ
- PRO-MOA

- アセスメント・サーベイ
- MOA−オリジナル版

- コーチング
- 課長層の研修後の職場実践を促す

- アセスメント・サーベイ
- 個性を活かすマネジメント支援ツール
関連するサービス
Service
関連する
無料セミナー
Online seminar
関連する無料動画セミナー
Movie seminar
サービスを
ご検討中のお客様へ
- お役立ち情報
- メールマガジンのご登録をいただくことで、人事ご担当者さまにとって役立つ資料を無料でダウンロードいただけます。
- お問い合わせ・資料請求
- 貴社の課題を気軽にご相談ください。最適なソリューションをご提案いたします。
- 無料オンラインセミナー
- 人事領域のプロが最新テーマ・情報をお伝えします。質疑応答では、皆さまの課題推進に向けた疑問にもお答えします。
- 無料動画セミナー
- さまざまなテーマの無料動画セミナーがお好きなタイミングで全てご視聴いただけます。
- 電話でのお問い合わせ
-
0120-878-300
受付/8:30~18:00/月~金(祝祭日を除く)
※お急ぎでなければWEBからお問い合わせください
※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください
- SPI・NMAT・JMATの
お問い合わせ -
0120-314-855
受付/10:00~17:00/月~金(祝祭日を除く)