導入事例
360度サーベイを実施し、「マネジメントアップデート」を開始
鈴与商事株式会社

- 公開日:2025/04/07
- 更新日:2025/04/07
事例概要

背景・課題
ビジネス環境が急速に変化しつづけているため、経営層が意思決定して部店長(部課長)たちに伝える従来型のマネジメントが限界を迎えつつあります。部店長が経営層と現場の結節点となり、部課の戦略立案に積極的に関わって、スピーディーに変化に適応する必要性が高まってきました。そこで私たち人事部は、マネージャーの自己変容を支援する「マネジメントアップデート」の取り組みを始めました。

検討プロセス・実行施策
マネジメントアップデートの第一歩として、360度サーベイを実施しました。当初、部下が上司を評価サーベイすることを懸念する声もありましたが、現状を認知し、自己変容を行うために必要な施策であることを丁寧に説明することで、理解と承認を得られました。マネージャーにサーベイ結果を渡し、皆で話し合ってもらう「フィードバックセッション」は、最初は緊張感がありましたが、終了時には多くがスッキリした顔をしており、満足度も高かったです。

成果・今後の取り組み
今回の360度サーベイ「MOA」やフィードバックセッションは、部店長たちにとって、現状を認知し大きな気づきが得られる機会となりました。この結果を具体的な成果や行動変容につなげるため、これからも定期的にアンケートを取り、成果を観察していきます。今後は、360度サーベイを行動変容につなげる仕掛けの実施や、マネージャーに定期的にMOAを受けてもらう構想もあり、今回のMOAを起点にして「マネジメントアップデート」を進めていく予定です。
背景・課題
マネージャーたちに求められた、従来型のマネジメントからの脱却

岡本:鈴与商事は、鈴与グループの総合商社として、エネルギー・建材・化学品・電機機器・オフィス製品など、さまざまな商材を、法人から個人のお客様まで幅広く提供しています。
ご存じのとおり、現在はあらゆる領域のビジネス環境が急速に変化しつづけています。
例えば、私たちの基幹ビジネスはエネルギー領域ですが、ガスもガソリンも電気も値上がりが続いています。何よりもGX(グリーントランスフォーメーション:化石燃料から太陽光発電・風力発電などが中心の産業構造へ転換する取り組み)が進んでおり、エネルギービジネスは抜本的な変革を求められているのです。
私たちも「2050年度カーボンニュートラル」を目標に掲げ、省エネ・電化・ゼロエネ化を積極的に推進しています。加えて、オフィス製品はDX商材やAI商材が当たり前になりつつあり、さまざまな変化が全領域で起こっているのです。
多くの企業がそうであるように、従来型のマネジメントが限界を迎えつつあると認識しています。これまでのように、経営層が情報を十分に把握したうえで意思決定し、部店長(部課長)たちに伝えるスタイルは、環境の変化が速くなり、情報量も爆発的に増えている現在では、うまくいかなくなってきたのです。
具体的には、部店長が経営層と現場の結節点となり、部課の戦略立案に積極的に関わって、スピーディーに変化に適応する必要性が高まってきました。マネージャーが経営層の考えや方針を理解しながら、一方でお客様の声や現場ニーズも的確に把握し、主体的にビジネス変革を進めなくてはならない時代になったのです。
瀬戸:同時に、現代のマネージャーは、多様な部下一人ひとりのキャリアや成長を丹念にマネジメントすることも求められます。しかし、私たちの場合、業務量の増加によってマネージャーのプレイヤー業務が増える傾向にあるため、マネジメントに多くの時間を割くことが難しい状況です。そのなかで、経営層と現場の結節点としての役割も担うことになり、マネージャーの負担はどんどん大きくなっていました。
こうした状況を受けて、私たち人事部は、マネージャーの自己変容を支援する「マネジメントアップデート」の取り組みを始めました。
検討プロセス・実行施策
経営層の理解を得て、360度評価システム「MOA」を実施

瀬戸:マネジメントアップデートの第一歩として、私たちは360度サーベイを実施することにしました。マネージャー自身が周りからどう見えているかを知ることが、自己変容のきっかけになるだろうと考えたからです。
当初、部下が上司を360度サーベイで評価する形式に懸念を抱く声もありました。一方で、マネジメントをアップデートする必要性も高まっており、マネージャーが現状を認知し、自己変容を行うために必要な施策であることを丁寧に説明することで、理解と承認を得られました。
リクルートマネジメントソリューションズの360度評価システム「MOA」を選んだのは、以前から利用していた同社の階層別研修の振り返りプログラムとしても活用でき、一貫性のある研修プログラムを提供してもらえることが大きな理由です。過去の実績から、安心して任せられる信頼感もあり、加えてリクルートマネジメントソリューションズが、私たちのビジネス・組織・社風などをよく理解してくれている点もプラスに働きました。
多くのマネージャーにサーベイ結果を正面からポジティブに受け止めてもらえた

森本:私たちは2024年10~11月に、マネージャーの関係者にアンケートを取って360度サーベイを実施した後、11~12月に「フィードバックセッション」を開催しました。フィードバックセッションとは、マネージャーにサーベイの結果をフィードバックし、その結果を受けてマネージャー同士で話し合ってもらう場です。
今回の360度サーベイは、ほとんどの部店長が対象者でした。私はフィードバックセッションの運営担当者でしたが、部店長が研修として一堂に会することが珍しく、当日は緊張感が漂っていました。
フィードバックセッションでは、360度サーベイのコメントを読んで、多くの部店長がハッとした顔をしていました。上司や部下や同僚からホンネのコメントをたくさんもらったのですから、当然だと思います。ただ、その後に部店長同士でサーベイ結果やマネジメントの悩みなどについて話し合ってもらったおかげで、終了時には多くの参加者がスッキリした顔をしていました。最終的には、サーベイの結果を正面からポジティブに受け止めてもらえたと感じています。受講満足度も高く、開催した意味がありました。
成功の要因は、フィードバックセッションの場でサーベイ結果を渡したこと
瀬戸:実は、360度サーベイの結果を、フィードバックセッションの前日に渡してからセッションに参加してもらうか、当日その場で渡すかをギリギリまで迷いました。結局、フィードバックセッション当日に渡したのですが、それが成功の要因の1つだったと思っています。
前日に渡していた場合、部下のコメントを過度にネガティブに受け取ったり、反対に良いコメントばかりでホッとするだけで終わったりと、学びが深まらなかった可能性があります。当日に渡し、その場で部店長同士で話し合ったことで、サーベイ結果が受け入れやすく、かつ学びにつながりやすくなったのではないでしょうか。360度サーベイを行う際は、フィードバックセッションが必須だと感じています。
森本:その意味では、フィードバックセッションで、トレーナーが360度サーベイの意義、サーベイ結果の見方や生かし方などを詳しく説明してくれたことが、受け止めやすさや学びの深さにつながったと思います。
岡本:当社では、マネージャー昇格時とライン長就任時のマネジメント研修や、管理者へのセミナー等は行っていますが、マネージャーの中での階層別研修等は実施できていませんでした。多くのマネージャーにとって、フィードバックセッションは久々の学びの場になり、その点でも実施してよかったと感じています。
瀬戸:実は私も、マネージャーの1人として360度サーベイを受けました。サーベイ結果は、自覚していたことも、意外なことも書かれていました。いずれにしても、指摘されたネガティブな点は改善していきたいと思っています。フィードバックセッションから1カ月以上経ちましたが、私は今もサーベイ結果をたまに確認し、自分の不足を意識するようにしています。また、フィードバックセッションでは、他のマネージャーの皆さんとあるべきマネージャー像について意見を交わし合うことができ、目線のすり合わせができた点も嬉しかったです。
成果・今後の取り組み
次は360度サーベイを行動変容につなげる仕掛けを
瀬戸:今回のMOAはまだ行ったばかりですから、具体的な成果や行動変容につながるのはこれからです(※インタビューは2025年1月に実施)。今後は定期的にアンケートを取り、成果を観察していきます。また、今回対象から漏れたマネージャーや新任マネージャーを対象に、来年度以降もMOAを実施予定です。
今後は、360度サーベイを行動変容につなげる仕掛けを行いたいと考えています。マネージャーに定期的にMOAを受けてもらう構想もあり、今回のMOAを起点にして「マネジメントアップデート」を進めていく予定です。

ソリューションプランナーの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
営業2部東海グループ
ソリューションプランナー
佐竹 勇治
鈴与商事様では主に昇進・昇格時に、各層に求められるスタンス・マインド・スキルをセットする階層別研修を実施されています。弊社研修のアンケート結果および研修内での様子から、職場環境や社員間の関係性の良さ、実直に仕事に取り組む姿勢に強みがあると感じられます。
一方、事業環境が大きく変化する状況のなかで、既存の強みを生かすだけでなくさらなる強みを見出し、伸ばしていく必要性があることを事務局の皆様と話し合いました。そのための第一歩として、まずはマネジメントの現状を正しく認知し、行動変容のきっかけを作るために360度サーベイを実施しました。
ただし、サーベイはあくまできっかけにすぎません。現状を受け止め、どれだけアップデートできるかはこれからの行動と取り組みにかかっています。研修だけでなく仕組み面の構築も含め、熱意ある鈴与商事様の皆様と共に進めていきたいと思っています。
取材日:2025/01/21

企業紹介

鈴与商事株式会社
1801年に創業し220余年の伝統を持つ鈴与グループの総合商社。物流の鈴与の販売部門から分社し1990年に設立。エネルギー・建材・化学品・電機機器・オフィス製品等さまざまな商材を法人から個人の顧客まで幅広く提供している。
近年、法人向けには、商品調達だけでなく省エネ機器の提案・VPP(仮想発電所:バーチャルパワープラント)の取り組み・バイオ燃料の導入など、エネルギー事業者として、カーボンニュートラルの実現に向けた提案を行っている。また、顧客目線から工場やオフィスの省人化、業務効率化を目指し、DXの実現に向けた総合的な提案を行っている。
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