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次世代リーダー育成・選抜

次世代リーダー育成のポイントを徹底解説

  • 公開日:2024/04/01
  • 更新日:2026/03/02

次世代リーダー育成(次世代経営者育成)とは、企業の将来を支えるリーダー(企業や事業、職能のトップ)を意図的・計画的に輩出していくために、候補者を選抜し、研修やタフなアサインなどを通じて、徹底的に鍛え上げていく取り組みのことです。本記事では、次世代リーダー育成に関して人事担当者が抱える悩みや難しさを整理したうえで、企業における次世代リーダー育成の進め方を解説します。

本シリーズ記事一覧
次世代リーダー育成・選抜
計画的な経験デザイン
次世代リーダー育成・選抜
経営リテラシーの習得
次世代リーダー育成・選抜
ハイポテンシャル人材の評価・選抜
次世代リーダー育成・選抜
次世代リーダー育成のポイントを徹底解説
次世代リーダー育成とは
次世代リーダー育成のよくあるお悩み
次世代リーダー育成の難しさ
次世代リーダーに必要とされる視点や能力
次世代リーダーの育成に有効な「8つの経験」
次世代リーダー育成の進め方
次世代リーダー育成の事例
リクルートマネジメントソリューションズの次世代リーダー育成の特徴
次世代リーダー育成のポイントまとめ

次世代リーダー育成とは

「次世代リーダー育成」(企業によっては「経営人材育成」)の定義はさまざまですが、一般的には、「企業の将来を支えるリーダー(経営人材)を意図的・計画的に輩出するため、主に部長・課長層から候補者を選抜し、研修や困難な仕事の割り当てなどを通じて、徹底的に鍛え上げていく取り組み」を指します。

次世代リーダー育成のよくあるお悩み

弊社が人事担当者と管理職層を対象に実施した調査(マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2024年)では、企業課題の1位が「次世代の経営を担う人材が育っていない」という結果でした。次世代リーダー育成は企業の持続的成長を左右する重要なテーマですが、人事担当者としてはその重要性ゆえに「失敗できない」というプレッシャーや、前例のない取り組みへの不安を感じることもあるのではないでしょうか。
弊社でも、日ごろから以下のようなご相談をいただいています。

  • 経営から「将来の幹部を育ててほしい」と要望されたが、何をすればよいか分からない
  • 社員を選抜して研修を行うのが初めてで、どうやって候補者を選べばよいか分からない
  • 研修の最後で経営陣向けに提言をさせているが、受講者のアウトプットが物足りない
  • 研修による明確な効果が感じられなかったが、見直しポイントが分からない
  • 仕事を通じて人が育つことは理解しているが、配置や登用までは手をつけられていない
  • 自社の常識や慣習にとらわれない、広い視野を持った人材を育てたいが方法が分からない

次世代リーダー育成の難しさ

上記のようなことが担当者の悩みの種となる背景には、次世代リーダー育成特有の難しさがあります。環境変化が激しく、「VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代」といわれるなか、前例の踏襲から脱却し、変革を牽引していく経営リーダーへの期待はますます高まっています。そうした背景から、「次世代リーダー育成」は多くの企業で重要な経営課題の1つと考えられており、実際に取り組む企業が増えています。しかし、育成施策に満足している企業は20%未満(弊社「経営人材育成実態調査2012」より)と少ないのが現状です。これは次世代リーダー育成特有の難しさに起因するもので、具体的には以下の4つの困難が挙げられます。

(1)学習にかかる期間が長い

経営を担ううえで必要となる能力が多岐にわたり、座学だけでは身につきにくいことから、アクションラーニング・実践・振り返りを組み合わせた教育プログラムを採用する企業が増えています。このようなプログラムを実施するには数カ月~1年程度の期間が必要で、単発の研修実施に比べると、長い期間を要し、かつプログラム設計の難度も高まります。

(2)学習してから実際に知識・スキルを使うまでの「空白期間」が長い

育成の対象者(候補者)は通常40歳前後ですが、実際の役員昇格は50歳前後です。約10年の「空白期間」に研修の学びを生かす機会が少ないと、せっかく学んだ知識やスキルが定着しないまま、風化してしまいます。

(3)候補者への期待や施策のゴールを明確に伝えにくい

日本企業の人事管理上の特徴である「遅い昇進」や「横並び志向の強さ」により、選抜した後も、本人にリーダー候補としての期待を明示することをためらう企業が少なくありません。(2)で記したように「空白期間」が長いため、将来のポジションを明確に約束するのが困難なことも、候補者への期待を明確に伝えにくくしている一因です。しかし、対象者としては、期待を明確に伝えられなければ、学習のモチベーションを維持するのが難しいのは当然です。

(4)費用対効果がはっきりしない

(1)~(3)の理由から、研修を始めたものの、その後の経過観察やフォローが続かず、一時的な研修の提供で終わってしまい、結果的に費用対効果がはっきりしないことが、次世代リーダー育成における大きな問題となっています(図表1)。

<図表1>次世代リーダー育成における問題点

次世代リーダー育成における問題点

(5)次世代リーダーのプール群が不足している

「新価値創造・イノベーションが起こせていない」「難しい仕事に挑戦する人が減っている」「中堅社員が小粒化している」といった課題が、次世代経営人材になり得るプール群の不足につながっています。また、「やりがいのある仕事が減っている」ことも「優秀な人材が流出している」ことにつながるため、より早期、若手の時期からチャレンジ機会を与えることの重要性が高まっています(図表2)。

<図表2>会社の組織課題

会社の組織課題

出典:「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2024年」リクルートマネジメントソリューションズ(2024)

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次世代リーダーに必要とされる視点や能力

次世代リーダー育成の難しさを理解したうえで、次に考えるべきは「どのような能力を育てるべきか」という問いです。ビジネス環境が急速に変化するなか、求められるリーダー像も大きく変わってきています。かつての成功体験や従来型のマネジメント手法だけでは、これからの時代を牽引するリーダーは育ちません。では、次世代リーダーには具体的にどのような視点や能力が求められるのでしょうか。

今日的なマネジメント観「認知的多様性」の醸成

現代のリーダーには、マネジメントの基礎知識や基本スキルに加え、多様なメンバーの異なる視点や価値観、知識を活用して、事業課題や組織課題を解決する「認知的多様性」が求められます(図表3)。「認知的多様性」は、特に未知の取り組みにおいて、組織やチームの重要なマネジメント観の1つです。認知的多様性を生かす例として、いくつか例をご紹介します。

<図表3>認知的多様性

認知的多様性

【VUCA】適切かつ迅速な決断の例

大手自動車メーカーが電気自動車の開発に着手した時、多くの社員は反対。しかし、認知的多様性のあるチームは、将来の環境規制や消費者のニーズの変化を予測し、電気自動車の開発を推進。

【Digitalization】イノベーションの推進の例

スタートアップ企業がAIを活用した新しい金融サービスを開発した時、エンジニア、デザイナー、マーケターなど異なる部署のメンバーが協働し、短期間でプロダクトを開発。

【Sustainability】中長期視点での経営の例

環境保護NGOが再生可能エネルギーを推進するキャンペーンを展開した時、科学者、経済学者、社会学者など異なる分野の専門家が協働し、政策提言や市民運動を展開。

意思決定力の研鑽

上位階層になればなるほど求められるのが「意思決定」です。意思決定には、「価値前提」と「事実前提」があります。確からしい「事実前提」に立脚した意思決定に加え、最終的な経営のありようは、経営者の「価値前提」で大きく異なってきます(図表4)。

<図表4>価値前提と事実前提

価値前提と事実前提

次世代リーダーの育成に有効な「8つの経験」

弊社では、先行研究やこれまでの支援事例を基に、「リーダー育成に必要な8つの経験」を定義しています(図表5)。配置・異動やプロジェクトアサインなども含め、意図的・計画的に経験付与をしていくことが重要です。また、「リーダー育成に必要な8つの経験」には日常の仕事では積みづらい経験もあるため、異業種交流型の研修の活用も有効です。

次世代リーダーを越境体験を通じて育成する
異業種交流型リーダーシップ開発研修

<図表5>リーダー育成に必要な8つの経験

経験

概要

① 責任者としての覚悟や主体性を問われる経験

責任者としての判断や意思決定など、当事者意識を持つことを迫られる

② 事業、社会における責任・影響を実感する経験

成功体験やアクシデントなどを通じて事業の存在意義や仕事の価値、社会への影響を実感する

③ ヒト・モノ・カネをマネージする経験

ヒト・モノ・カネの裁量権を持ち、全体最適を考えたうえで意思決定・実行を担う

④ 権限が及ばない人を動かす経験

自分より立場が上の人物や他部門の関係者など、権限外で人を動かす

⑤ 経営者・実力者の物の考え方や覚悟に触れる経験

経営者からのフィードバックやその道のプロフェッショナルの薫陶などによって覚悟や視座の高さに触れる

⑥ 多様な価値観の人と仕事をする経験

社外や海外などで、従来の価値観と異なる人と仕事をしたり、マネジメントしたりする

⑦ 従来の知識・経験が通用しない状況のなかで成果を出す経験

全く異なる職務・職位につくなど、過去の知識や経験が通用しない環境で成果を出す

⑧ 自分なりの問題意識に基づき目標を定め、行動する経験

従来のやり方や考え方に疑問・違和感を持ち、自分なりに課題を設定して実行する

次世代リーダー育成の進め方

では、どうすれば効果的に次世代リーダーを育成することができるでしょうか。

まずは、企画の段階で経営と人事が一体となり、次世代リーダー育成の「必要性」や「期待成果」を明らかにしておくことが重要です。先に述べたように、次世代リーダー育成の取り組みは長期にわたり、さまざまな関係者を巻き込むことになります。関係者の意識統一・目線合わせのためにも、最初のゴール設計が重要です。弊社の調査では、自社の次世代リーダー育成の取り組みに満足している企業は、そうでない企業に比べて、事前に「目的」や「身につけるべき能力要件」を明確にしていることが分かっています。

次に、研修だけでなく、異動や配置による新たな仕事経験の付与までを含めた育成計画を立てることが必要です。育成を目的とした異動や配置を実施するためには、経営者が関わる推進体制を構築できるかどうかが鍵となります。そのうえで、候補者一人ひとりにどのようなチャレンジの機会を与えるべきかを考えるために、人材アセスメントや研修で本人の強み・弱みを明らかにして、経営や人事、あるいは必要に応じて候補者の上司と共有しておく必要があります。

目的やゴールを明確にし、経営者を巻き込んだ推進体制を整えることは、次世代リーダー育成の大前提です。そのうえで、育成プロセスにおける主な課題としては、次の3点が挙げられます。

(1)ハイポテンシャル人材の評価・選抜

次世代リーダーの候補者としての要件は何かを定義した後、誰が何を見てどのように評価して選抜するかを設計することが重要です。複数の手法を組み合わせ、また複数の観察機会を通じて、人材を多面的に評価しながら候補者を徐々に絞り込んでいきます。

(2)経営リテラシーの習得

経営を担ううえで必要となる知識やスキル(経営リテラシー)を学んだ後、実際にそれらを使って自社事業の現状について分析し、事業の将来を構想することで、候補者の視野・視界を広げます。さらに、自社事業について考え抜くことで、リーダーにとって必要不可欠な事業に対する「当事者意識」の醸成を併せて狙います。

(3)計画的な経験デザイン

経営リテラシーの習得と併せて必要なのが、その知識を実践する機会となる"仕事経験"の提供です。この経験を通じて経営者に必要な能力が身につくと共に、経営者としてのスタンスを形成することにもつながります。

次世代リーダーに関するソリューションをまとめてご紹介
「次世代リーダー育成・選抜」資料セット

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効果的な次世代リーダーの育成法

次世代リーダー育成の事例

ここでは、次世代リーダー育成の企業事例として、毎日コムネットの声をご紹介します。

背景・課題

2023年7月、私たちは新社長のもとで中期経営計画を打ち出し、「100年持続可能な企業体へ」というスローガンを掲げました。100年持続可能な企業体を創るために今最も注力すべきことの1つは、10年後、20年後に経営層・部長層となる若手人材を育成する「次世代リーダー育成」だと考え、2023年6月から、グループリーダーを対象にした「次世代リーダー育成研修」をスタートしました。

検討プロセス・実行施策

本研修は、「若手社員の成長や協働を促せるマネジャーになってほしい」「対話やロールプレイングの時間を多く設けて実務に役立つ知恵を学べる研修にしたい」という私たちの想いを形にしました。社風に合わせて、現状課題を解決できるプログラムを作りました。研修では、受講者同士が白熱した議論をしたり共感したり、相談したりして、お互いの絆を深めたグループリーダーが多くいました。

成果・今後の取り組み

私が最も大きな成果だと考えているのは、受講者たちが業務の完遂だけでなく、「成長」や「協働」を大事にし始めたことです。また、経験豊富なグループリーダーにも学びの多い場で、彼らの多くが部下との世代間ギャップを埋めるための一歩を踏み出しました。さらに、本研修の影響は早くも周囲に波及し、上司の課長のなかにも変化しつつある人が出てくるなど、組織全体が変わり始めています。

次世代リーダー育成プログラムの全体像

私たちの次世代リーダー育成研修は、マネジメント研修や360度サーベイをいくつか組み合わせたプログラムでした(図表6)。2023年6月から2024年4月まで、5回に分けて実施しました。受講者はプログラムの合間に学びを実践し、経験や悩みを次の研修に持ってきて、学びをさらに深めていました。

<図表6>育成プログラム全体像

育成プログラム全体像

次世代リーダー育成研修の事例について、詳しくはこちら
「100年持続可能な企業体」を創るために次世代リーダー育成研修をスタート株式会社毎日コムネット

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680人の受講者に聞く!企業の次世代リーダー育成の実態

リクルートマネジメントソリューションズの次世代リーダー育成の特徴

弊社では「次世代リーダー・中堅社員の育成に課題があるのは分かるのに、何から手を付けていいかわからない」というご相談を多くお伺いしています。そのようなお悩みに対し、60年以上にわたって個・組織の成長を支援し、3200社※の研修をサポートしているリクルートマネジメントソリューションズならではの独自のメソッドで、解決に向けたご支援をしています。
※2025年3月期/HRD・OD事業のトレーニングが対象

詳しくはこちら
組織や事業変革の核となる中堅社員・次世代リーダーを育てるリクルートマネジメントソリューションズの
中堅・リーダー育成ソリューション 中堅社員研修・次世代リーダー育成支援

また、次世代リーダー育成プランもご用意しています。
<管理職・部長向け>経営視点を持つ次世代リーダー育成プラン
<若手管理職向け>将来の会社を担う人材の成長支援プラン特集

次世代リーダー育成のポイントまとめ

これまで解説したとおり、ビジネスの環境変化は激しく、「次世代リーダー育成」においてもこれまでのやり方では通用しなくなってきています。まずは、事前に次世代リーダーの「目的」や「身につけるべき能力要件」を関係者間ですり合わせることをお薦めします。
課題整理でお困りの場合は、ぜひ弊社までご相談ください。

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また、中途入社者も増え、人材流動性も高まっているなか、現在の役職者が早くから「目」を付け、社内の異動・配置転換や新規事業や海外経験等のチャレンジ機会の付与で長期的に育てることが難しくなっています。そのなかで、次世代リーダーの育成機会としては「社外の修羅場体験」の付与が注目されています。

弊社が提供する異業種交流型リーダーシップ開発研修では、さまざまな企業の次世代リーダーおよびリーダー候補者が、異業種・社会課題・新規事業案という3つの越境経験を通じて、自律共創型リーダーシップを習得するプログラムを実施しています。

詳しくはこちらのサービス詳細ページをご覧ください。
次世代リーダーを越境体験を通じて育成する
異業種交流型リーダーシップ開発研修

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