研修受講者からアンケート調査を実施 680人の受講者に聞く!企業の次世代リーダー育成の実態

執筆者情報
ソリューション統括部
コンサルティング部
マネジャー
岩下 広武

次世代リーダー育成に満足している企業は2割

常に企業の人材マネジメント上のトップ課題に挙げられる「次世代リーダーの選抜・育成」。その重要性は言うまでもなく、施策を導入する企業も増えています。
しかし、『RMS Research経営人材育成実態調査 2012』によると、「経営人材育成に満足している」と回答した企業は、全体の約2割にとどまっており、重要と認識しつつもいざ育成するとなると難しいというジレンマがうかがえます。
弊社では、施策の成否を分けるポイントを探るべく、「次世代リーダー育成のための研修に参加したことがある」受講者本人の感じ方・捉え方を把握するため、アンケート調査を行いました。

今回の特集では、その結果をご紹介しながら、受講者にとって重要な経験となりえる施策設計のヒントを考えていきます。

最初に、次世代リーダー育成研修の潮流について見てみましょう。

「知識学習」と「アクションラーニング」が学習方法の主流に

まず、研修のプログラムの傾向についてです。「1つのプログラムで構成された研修(単発開催型) 」と「複数のプログラムで構成された研修(シリーズ開催型) 」に分けると、全体としてはやや単発開催型の割合が多くなりますが、従業員規模が5,000名を越えるとシリーズ開催型の方が割合は大きくなるようです。

では、研修内容はどのようなプログラムで構成されているのでしょうか。

図表を見ると、「必要な知識を学ぶための講義」と「ケースディスカッション」が中心になっていることがわかります。
加えて、「会社や事業に関する分析」を行い、「今後の戦略に関する提言(プレゼンテーション) 」も比較的行われているようす。これは、受講者が実際に自社の課題について検討し、解決策を考えるというもので、一般的に「アクションラーニング」と呼ばれます。
さらに、「コーチング」も組み込みながら、一人ひとりのサポートを行っている会社も少なくないようです。

「必要な知識を学ぶための講義」の内容としては、「問題解決スキル」「リーダーシップ」と、「ロジカルシンキング」が主となっています。
また、部長相当になると、「マーケティング」や「戦略立案」といった、事業環境を捉えて今後の戦略を考えるための知識を深める傾向にあります。

弊社のお客様からも、「これまでも選抜研修を行ってきたが、お勉強で終わっていたので見直したい」というご相談がしばしばあります。そのお声に対し、アクションラーニングは有効な手段となります。一方で、受講者にかかる負担も増えますので、受講者の提言を会社としても真剣に受け止めることや、アドバイス、フィードバックといったサポートをしっかりと行う必要があることにも留意すべきでしょう。

それでは、参加した受講者の、研修に対する満足度はどうでしょうか。

受講者の満足度は総じて高い。自社事業や自分を振り返る良い機会となっている

8割の方が「満足している」と回答しており、総じて、満足度は高いといえるでしょう。 研修を担当した機関別に見ると、「社内講師」の場合は満足度が77.3%であるのに対し、「社外の教育ベンダー・教育機関」を利用した場合は満足度が85.7%と開きが見られます。

具体的に、受講者は研修を通じてどのようなことを学んだのでしょうか。
「ためになったこと・有益だったこと」について、最も選択率が高かったのは「自分自身のリーダーとしての強み・弱みが自覚できたこと」でした。リーダー育成における「内省」の重要性はよく言われることですが、研修を通じて自分を振り返り、自己と向き合う機会になっていることがうかがえます。
また、部長相当では「経営に必要な理論が学べたこと」「自社事業の現状や課題についての理解が深まったこと」もためになった点として挙げています。

研修において自社事業や自分の現状を自覚し、深く考えることを通じて、事業に対する当事者意識や自分を変えていこうとする覚悟が生まれる瞬間を、私は何度も見てきました。コンサルタントでありグローバル人材育成のご経験も豊富な船川淳志氏は、研修とは「気づき、きっかけ、覚悟」を育む場である、とおしゃっていますが、そのような機会になっているかどうかが、受講者の満足度を左右するといえるでしょう。

研修後に異動や昇進による仕事の変化があったのは3割

研修受講後1年以内に、異動や昇進があった受講者は全体の約3割でした。受講時の役職別で見ると、係長相当であった人は4割の人に異動・昇進が起こっています。

さらに、異動先や昇進後の立場で、自分を最も成長させた経験として、「プロジェクトチームへの参画」や「全く未経験の部署・業務への配属」が2割強挙げられていました。特に課長相当に注目すると、未経験の部署・業務への配属によって成長していると回答した方が最も多い結果となりました。

ミドルマネジャーの時期に、これまでの自分の知識や経験が通用しないような体験をすることが、「一皮むける」成長を促すためには重要であることがうかがえます。
また、別の質問で「ご自身が将来の経営者候補だと自覚された瞬間」として、昇進や昇格、異動、重要なプロジェクトを任された瞬間が挙がっていたことから、会社からの期待を受け止める機会にもなっているようです。

効果的な施策とするためには、「研修後」に受講者にどのような変化を与えるかも視野に入れて企画をする必要があるといえるでしょう。

事前の意欲の高さが、学習効果や事後の行動変容を促す

受講前に「将来経営者になりたい、または経営者として活躍したい」と思っていた方は、全体の半数強でした。受講時の役職が高いほど経営者志向の度合いも高くなり、一般社員では42.3%であるのに対し、部長相当では67%にのぼっています。

ではこの、「受講前の経営者志向の有無」によって、研修へのスタンス・効果にどのような違いがあるのでしょうか。

「会社や上司から研修を受講するように伝えられたときの気持ち」について、経営者志向がある群はポジティブに受け止めているのに対し、経営者志向がない群は4分の1がネガティブに捉えていることが分かります。
その結果、「研修を受けた後、自分自身を将来の経営者候補だと自覚したか」という問いについては、経営者志向があった群は87.7%が「自覚した」と回答しているのに対し、経営者志望がなかった群は24%と大きく差が開いています。
さらに、研修後の変化について、経営者志向があった群には継続した学習や周囲への働きかけといった変化が見られる一方、経営者志向がなかった群は「あてはまるものはない」と回答した人が4人に1人いて、事前の経営者志向の有無によって行動変容の度合いにも違いが見られます。

将来の経営人材として学び続けるためには、「他者から将来を託されたという強い使命感」または「自ら経営者になりたいという強い思い」が必要になります。
リクルートでは、Will-Must-Can(したい−すべき−できる)というフレームワークで人材マネジメントを考え、個人の力を最大化することを大切にしています。上記の使命感をMust、強い思いをWillだとすると、次世代リーダー育成は、一人ひとりのMustとWillを刺激しながら、経営人材として必要な知識・スキル(Can)を高め、結果として3つの輪の重なりを最大化することと捉えられます。そう考えると、研修を実施する場合も、単に知識やスキルの習得にとどまらない、使命感の伝達や個人の思いの醸成にまで目を向けた設計が求められるといえるでしょう。

関連する記事

関連する調査・研究

お問い合わせはこちらから
WEBからのお問い合わせ
資料請求・お問い合わせ
[報道関係・マスコミの皆様へ]
取材・お問い合わせ
電話でのお問い合わせ
0120-878-300

受付時間
/ 8:30~18:00 月~金(祝祭日除く)

※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください。

記事のキーワード検索
Page Top