「売れない営業」を「デキる営業」に変えるセールストーク術。社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクール
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「売れない営業」を「デキる営業」に変えるセールストーク術

家電量販店を歩いているとよくこんな営業を目にします。
「お客様、その掃除機はとってもいいですよ。ちょっと本体を持ってみてください。すごく軽いしコンパクトなので、階段を持ってあがるのもらくちんです。排気もきれいなので、小さいお子さんがいても安心ですよ」
ところが彼女は店員の話をそれ以上聞く気が起きず、いったん売場を離れました。何故だと思いますか?
彼女はマンションで一人暮らしをしているからです。掃除機を2階に持っていく必要はありませんし、子どももいません。そのために話を聞く気にならなかったのです。

この販売員はきっと過去にこのトークで売れた成功体験があって、どのお客様にも繰り返して使っているのでしょう。
ある程度、営業経験を積み、そこそこ売れるようになった営業がよく陥る“営業都合の仮説”の悪循環です。

しばらくして売場に戻ると、別の店員が声を掛けてきました。
「お仕事で帰りが遅いと、掃除機の音が気になって夜は掃除がしにくいですよね?」
「そうなんですよ。帰宅してからささっと掃除をしたくてもなかなかできなくて……」
「それならこちらの掃除機はいかがでしょう。ちょっと電源を入れてみましょう。音が小さいでしょう。ちなみにお客様、マスクをしていらっしゃいますが、花粉は大丈夫ですか?」
「私、花粉症なんですよ。それもあって仕事から帰ったら、掃除機をかけて花粉を除去しておきたくって」
「この掃除機でしたら、フィルターの性能がとても高いので、花粉も取り除けますよ」
こんなやりとりの後、結局彼女はこの店員さんから掃除機を購入したのだそうです。

彼女が店頭を訪れたのは平日の昼間。営業の合間だったので、スーツを来ていました。
この店員は、彼女の服装や立ち居振る舞いから、バリバリ忙しく働いている女性だろうという見当をつけて、「帰宅が遅いのでは?」という仮説を立てたのでしょう。マスクをしていたことから、花粉のことにも考えが及びます。
彼女は、「この店員は私のことをよく見てくれているな」と感じ、掃除機選びの相談をする気持ちになったようです。
これが“お客様視点の仮説”です。

では、お客様視点の仮説をぶつけられるようになるためのトーク術をお伝えします。
それがお客様の心をつかむ“ときなので話法”です。

「ときなので話法」
 ときなので話法とは、以下の3つのポイントを押さえてお客様に語りかける手法です。
「とき」―○○のとき
 そのお客様ならではの、想定されるニーズや利用場面
「なので」―○○(商品)なら、○○(特徴)なので
 そのニーズや利用場面にあてはまる、具体的な商品の効能や機能
お客様ならではのメリット―○○ですよ!
 お客様ならではのメリット、お客様が嬉しいと感じるポイント、心に響く表現

たとえば、先ほどの掃除機の例の場合は、
夜、仕事帰りに掃除がしたいときこの掃除機なら、清音性が高くとても静かなのでご近所を気にせず掃除ができますよ」ということになります。
自分が扱っている商品知識がいくらあっても、「ときなので話法」はできません。お客様に関心を持ち、普段から意識を持って、考えたり観察したりしているかが問われます。ポイントはお客様のなんらかの“事実”に基づく仮説を考えることです。

ときなので話法をみがくステップは以下の通りです。
Step1.お客様に興味を持ってみる(調べる)
Step2.事実に基づいて仮説を投げかける
Step3.失敗・成功を学びに変え、次に活かす

これを繰り返していくうちに、こんなタイプのお客様にはこんな課題やニーズがあるというノウハウがどんどんたまってきます。B to Cなら主婦のツボ、OLのツボ、サラリーマンのツボ、シニア世代のツボなどです。B to Bなら「こういう業界、これくらいの規模で、こんな組織構成の企業の場合は、こういったことに困っていることが多いようだ」などです。

 昔は、社長をはじめとした経営者を一番上に書き、営業を一番下に書く組織図が主流でした。これは物づくりが上流に来て、下流に流していけば物が売れた時代の発想です。しかし、昨今伸びている会社は、ピラミッドの上下をひっくり返しています。つまり、お客様を一番上に書き、お客様と直接接点を持つ営業を組織図上の一番上に書き、技術・開発・製造・スタッフなどが一丸となって営業を支え、経営者を一番下に書くという構図です。これは単に組織図の書き方だけには留まりません。この組織図を象徴として、企業の組織文化そのものをお客様本位に変えていこうとしているのです。そして、その最前線として重要な役割を担うのが営業であり、それは単なる売り子ではなく、“お客様視点の仮説”をみがき続けることが求められているのです。

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