連載・コラム
人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第4回
「実践に繋がる研修に大切な『プレ・オン・ポスト』とは何ですか?」
- 公開日:2024/08/26
- 更新日:2024/09/06
初めて人事になったとき何から学べばよいか、どのように情報収集をすればよいか、人事に異動された方からよくご相談をいただきます。 人事は、変化の激しい世のなかの動きと連動しながら、自社の事業や戦略に合った企画を打ち出していく必要があり、「年々忙しくなっている」という声もお聞きします。
前回シリーズでは、そんな人事のみなさまのお役に立ちそうな知識を基礎編としてお届けしました。今回のシリーズでは、昨今のビジネス環境のなかで特に注目の高まっている人事トレンドについて解説していきます。架空のキャラクターである人事担当の北山さんが、ベテラン人事であるフクロウ先輩と共に人事トレンドを学ぶストーリー仕立てのコラムです。
- 目次
- 登場人物のプロフィール
- プロローグ:現場は「本当に実践につながる研修」を求めている
- 第1章 課題設定と課題の可視化
- 第2章 研修の「プレ・オン・ポスト」を考える
- 第3章 終わりに:これからの企業研修
登場人物のプロフィール
北山ともこさん
設立12年、社員300名のIT企業に勤務する、新卒入社5年目の社員。2年間は営業部に所属していたが、人事部へ異動して3年目になる。はじめは育成担当だったが、今では人事業務に幅広く関われるようになった。趣味はカフェ巡りとアクセサリー作り。
フクロウ先輩
同社、人事12年目のベテラン社員。人事企画や社員育成のほか、組織活性などの職務も経験。特に人事部メンバーの育成に力を入れており、北山さんのことも気にかけている。 なぜフクロウの姿をしているかは社長と人事部長以外知らない。
プロローグ:現場は「本当に実践につながる研修」を求めている
北山さん「フクロウ先輩、熊野部長ってご存じですか?」
フクロウ先輩「営業部の熊野部長? 彼なら入社したころから知っているよ。僕が彼の育成を担当していたんだ」
北山さん「え! フクロウ先輩は熊野部長より年上なんですか? 本当に年齢不詳ですね……」
フクロウ先輩「ふふふ、よく言われる。それで、熊野部長がどうしたの?」
北山さん「先日、今年度実施する管理職研修についてご意見いただいたんです。営業マネジャーは忙しいなか参加するのだから、学んで終わりではなく職場での実践につながる研修に必ずしてほしいって」
フクロウ先輩「それは大事なことだね」
北山さん「はい。もちろん普段から研修がちゃんと実践につながるように企画しているつもりですが、最近は熊野部長だけでなくそういう期待が高まっている気がするんです。だからこの機会にもう一歩実践に繋がる企画を考えたいと思っています」
フクロウ先輩「確かに企業の研修も、オンライン化などのIT活用のツールをはじめどんどん進化しているから効果への期待も以前より高まっているのだろうね。では一緒に、研修を実践につなげるためにはほかに何が大事か考えてみようか」
北山さん「はい、よろしくお願いします!」
第1章 課題設定と課題の可視化
フクロウ先輩「実践につなげるためには、最初の課題設定が大事なんだ。今年度の管理職研修はどんな内容にする予定なの?」
北山さん「人事部長からはコーチングを学ばせてはどうかと言われています。最近若手の育成で難しさを感じている管理職が多いそうなんです」
フクロウ先輩「そういった現場の課題感は大事だね。実際に管理職の人に聞いてみたり、上司となる部長にもヒアリングしたりするといいね」
北山さん「確かに、自分でもヒアリングして課題感を具体的にイメージできた方がいいですね。来週、研修会社の人と会うので、コーチング研修について紹介してもらう予定でした」
フクロウ先輩「それもいいけど、我が社が感じている組織の現状や課題感を伝えてよいプランを提案してもらうのもアリだよ。研修会社はいろんな会社の支援をしているから、課題に合ったプランをよく知っているはずだよ」
北山さん「なるほど。最初からコーチング研修と決めつけない方がいろんな提案をしてもらえるかもしれませんね」
フクロウ先輩「ビジネスにおいてはなんでもそうだけど、研修の実施においても課題を設定しておくことはとても大事だ。実践につなげるためにはまず課題を設定していないと振り返ったときに本当に効果があったかが分からないからね」
北山さん「そういえば、熊野部長から研修の実施を通じて営業部のマネジメントの傾向や課題が分かるとありがたいというご意見もいただいていました」
フクロウ先輩「熊野部長はとてもよく考えてくれているね。研修に立ち会ったり、研修後の報告を受けたりすることで組織や受講者の特徴がよく分かるという経験は北山さんもしてきたよね」
北山さん「はい。これまで担当していた新入社員研修では、研修を通じて一人ひとりの特徴や今後の課題がとてもよく見えました。管理職研修でもそういう報告を受けられるようにしたいです」
フクロウ先輩「最近は定性的な情報だけでなく、他社と比較したレポートを出してくれる研修もあるよ。定量的なレポートがあると社内での報告にも活用できていいね。研修の前にも後にもきちんと課題を設定しておくことが実践につながる研修の第一歩になるよ」
第2章 研修の「プレ・オン・ポスト」を考える
北山さん「課題が設定できてテーマが決まったとして、実際に研修を企画していく際に大事なことは何ですか?」
フクロウ先輩「研修の企画で大事なのはプレ・オン・ポストの設計だよ」
北山さん「ええっと……。確か、プレが研修の前、ポストが研修の後、オンが研修の場のことですよね」
フクロウ先輩「そのとおり。プレ・オン・ポストは研修の設計に必須のポイントだからしっかり理解しておこう」
リクルートマネジメントソリューションズではプレ・オン・ポストを3つのACTでつなげた管理職研修を提供しているよ。
◆マネジメントの基本知識を実践的に学ぶ管理職研修
北山さん「今回熊野部長が気にしている『職場での実践』というのは、ポストの部分に当たりますよね」
フクロウ先輩「そう、そして実践につなげるためには、その前のオンの場で何を実践するか計画しておくことがとても重要になる」
北山さん「研修のオンの場は忙しいなかで仕事を離れて集まるので、時間が限られているのがいつも悩ましいポイントです」
フクロウ先輩「そこで、大事になってくるのが今度はプレの場なんだ。研修の受講前に上司などからしっかり期待を伝えて研修に臨んでもらうことはもちろん、最近では知識のインプットなどオンの場で時間を取るのはもったいないことは事前に学んできてもらうケースも増えているよ」
北山さん「確かに、今は知識のインプットはオンラインでもできますもんね」
フクロウ先輩「そう。せっかく受講者が時間を取って集まるオンの場は、ディスカッションで理解を深めたり、職場で実践するための計画を考えたりする時間に使えると有効活用できるよね」
北山さん「職場実践の状況もウォッチできた方がいいですね」
フクロウ先輩「そうだね。1人では実践につなげにくいこともあるから、上司のサポートや実践へのリマインドを設計しておくことが大事だ。あらかじめその形で設計されている研修も増えているよ」
下図は、リクルートマネジメントソリューションズで研修後の職場での実践をサポートするために大事にしている5つのポイントだよ。
どんな研修でもこのポイントを意識して組み立てるといいね。
北山さん「プレ・オン・ポストを含めて研修を設計すれば、実践につながる研修になりそうですね。熊野部長にも話してみます」
第3章 終わりに:これからの企業研修
北山さん「プレ・オン・ポストでのデータ活用や事前のオンライン学習など、企業研修もどんどん新しくなっていきますね」
フクロウ先輩「そうだね。ただ、学習形態については学校などの学生向けの方がどんどん進んでいるから追いついている段階ともいえそうだね」
北山さん「確かに。私の姪も小学生ですが、学校から配布されて、1人1台タブレットを持っていると言っていました」
フクロウ先輩「大学でもパソコンを使ったアクションラーニングの授業などが当たり前になっているね。そういう世代が社会人になったら、研修にデータやオンラインを活用しない方が違和感あるかもね」
北山さん「私も世のなかに乗り遅れないように企画力を磨いていきたいです。新しいことをするのはワクワクします」
フクロウ先輩「一緒に頑張ろう!」
【text:石岡 由紀子】
◆ リクルートマネジメントソリューションズの研修サービス
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