連載・コラム
人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第5回
「会社は社員のキャリア自律を支援するべきなのですか?」
- 公開日:2025/02/25
- 更新日:2025/02/25

初めて人事になったとき何から学べばよいか、どのように情報収集をすればよいか、人事に異動された方からよくご相談をいただきます。人事は、変化の激しい世のなかの動きと連動しながら、自社の事業や戦略に合った企画を打ち出していく必要があり、「年々忙しくなっている」という声もお聞きします。
前回シリーズでは、そんな人事のみなさまのお役に立ちそうな知識を基礎編としてお届けしました。今回のシリーズでは、昨今のビジネス環境のなかで特に注目の高まっている人事トレンドについて解説していきます。架空のキャラクターである人事担当の北山さんが、ベテラン人事であるフクロウ先輩と共に人事トレンドを学ぶストーリー仕立てのコラムです。
- 人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第5回
- 「会社は社員のキャリア自律を支援するべきなのですか?」
- 人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第4回
- 「実践に繋がる研修に大切な『プレ・オン・ポスト』とは何ですか?」
- 人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第3回
- 「エンゲージメントを高めることがなぜ必要なのですか?」
- 人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第2回
- 人事データ活用とアセスメント
- 人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第1回
- 「なぜタレントマネジメントシステムが注目されているのですか?」
登場人物のプロフィール

北山ともこさん
設立12年、社員300名のIT企業に勤務する、新卒入社5年目の社員。2年間は営業部に所属していたが、人事部へ異動して3年目になる。はじめは育成担当だったが、今では人事業務に幅広く関われるようになった。趣味はカフェ巡りとアクセサリー作り。

フクロウ先輩
同社、人事12年目のベテラン社員。人事企画や社員育成のほか、組織活性などの職務も経験。特に人事部メンバーの育成に力を入れており、北山さんのことも気にかけている。 なぜフクロウの姿をしているかは社長と人事部長以外知らない。
プロローグ:キャリア研修は何のため?
朝10時、人事部があるオフィスに北山さんがPCを抱えて戻ってきました。
今日はリモートワークの人が多く、オフィスにはフクロウ先輩しかいないようです。
北山さん「フクロウ先輩、おはようございます」
フクロウ先輩「おはよう。今日は朝から会議? 何だか元気がないように見えるけど」
北山さん「営業部のマネジャー会議に呼ばれて参加してたんです。そこで、今期のキャリア研修を中止できないかと言われてしまって……。人事内で相談はしてみますが、何だか残念な気持ちになってしまっていました」
フクロウ先輩「営業部は最近若手の離職が続いてたよね。人不足で大変だから研修が難しいのかな」
北山さん「忙しいことよりも、その離職が問題みたいなんです。研修でキャリアのことを考えさせるから離職者が増えるんじゃないかって言われました」
フクロウ先輩「なるほど。それは掛け違いが起こっていそうだね」
北山さん「キャリア自律は我が社の人材育成方針にも掲げていますし、上司との1on1でキャリア支援についてもお願いしているんですけど、うまく行っていないのかもしれません……」
フクロウ先輩「キャリア自律は近年多くの企業で重要になっているテーマだね。一緒におさらいしてみようか」
北山さん「はい、よろしくお願いします!」
第1章 キャリア自律が重要視されている背景
北山さん「昨今キャリア自律が必要になった背景としては、終身雇用制が崩れ、企業側が明確なキャリアを提示できなくなっていることがあると以前教えてもらいました」
フクロウ先輩「よく理解しているね。昔は入社したら定年まで務めるのが一般的で、その間に昇進していくルートもだいたい決まっていた。でも今はそうではなくなっている」
北山さん「働く個人にとっては、今の時代はキャリアを自分で考える必要があるってことですね
フクロウ先輩「周囲で転職が当たり前になっているから、自分のキャリアに関心が高い人も多いよね」
北山さん「確かに、大学の時の友達もすでに転職している人も多いです。人によってはもう3社目って場合もあります」
フクロウ先輩「北山さんの友達ってことはまだ20代だろうから、昔の感覚だと3社目というのは多いよね。でも今では珍しくないんじゃないかな」
北山さん「そうですね。そういう時代において、働く個人のなかでキャリア自律が必要なのはよく分かります。でもあらためて考えると、会社にとってはどういう意味があるんでしょうか」
第2章 キャリア自律支援が組織にもたらすもの
フクロウ先輩「では、次はそれを考えてみようか。最近の若手はキャリアに関心が高いという話をしてきたけど、もし北山さんが自分のキャリアと今の仕事が全く関係なく感じられていたらどうかな」
北山さん「それだと、あまりやる気が起きないですね。早く転職したくなるかもしれません」
フクロウ先輩「実際にそういう風に会社を辞めてしまう『もったいない離職』というのが増えているそうなんだ」
北山さん「聞いたことがあります」
フクロウ先輩「例えば、北山さんは営業を経験した後に人事に来たよね。その時に『人事をやりたかったわけじゃないのに』とはならなかった?」
北山さん「意外な異動でビックリはしましたけど、企画職も経験してみたかったので私は前向きな気持ちでした」
フクロウ先輩「なるほど。人事ではなく企画職として広く捉えたんだね。異動の時に誰かと話したの?」
北山さん「営業の時の上司が、現場を経験した私が人事に行ってくれると心強いって応援してくれました。1on1などで前々から話していた内容と繋げて考えると、企画職のキャリアは私の将来の選択肢を広げるとも言ってくれましたね」
フクロウ先輩「上司と日頃からキャリアの話ができていたんだね。その結果、北山さんはもったいない離職もせず、モチベーション高く仕事できているってことで、これがまさに企業がキャリア自律を推進する意味なんだよ」
北山さん「キャリア研修も受けましたけど、それだけでなく実際に私を見ている上司から具体的なアドバイスをもらえたことが心強かったです」
フクロウ先輩「研修と職場でのサポートを組み合わせたキャリア自律支援がうまく行っている良い事例だね。実はキャリア自律支援では、そうやって複数の働きかけを組み合わせることが大事なんだ」

「キャリア自律」の実現には、「指針を示す」「日常への組み込み」「非日常機会の創出」「仕組みでの下支え」という4つの側面を置くと考えやすいよ。

詳細はこちらをご覧ください。
人事担当者に役立つ 「キャリア自律」の進め方 〜個と組織をともに成長させる!〜第1回「キャリア自律」の全体像の描き方

第3章 最後に
北山さん「会社がキャリア自律を支援することの意義がよく分かりました。もう一度営業部と話してみます。現場でのキャリア自律支援の現状についても聞いてみたいです」
フクロウ先輩「さっきの北山さんの体験も交えて話してみるとよさそうだよ」
北山さん「はい。離職に困っているならなおのこと必要だと思いました。」
フクロウ先輩「自身のキャリアに関して不安を抱えている若手・中堅社員が多い一方で、具体的にキャリアのために行動している人は少ないということも分かっているんだ。キャリア研修が行動のための後押しになるといいよね」
◆若手・中堅社員はなぜ「キャリア自律の第一歩」を踏み出せないのか?
北山さん「先の読めない時代だからこそ、小さな一歩でも大事だとキャリア研修で学びました」
フクロウ先輩「そのとおり! 一緒に我が社でのキャリア自律支援を進めていこう」

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