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人材育成の目標管理 運用の課題とMBO活用のポイントを解説

  • 公開日:2026/01/26
  • 更新日:2026/01/26

多くの企業で目標管理は導入されていますが、「目標を設定して評価はしているものの、部下の成長につながっている実感がない」「評価面談が形式的になっている」といった声も少なくありません。

本来、目標管理は業績を管理するためだけの仕組みではなく、日々の行動を方向づけ、部下の成長を支えるための重要なマネジメント手法です。しかし実際には、目標が曖昧なまま運用されていたり、評価が結果確認にとどまっていたりすることで、その効果を十分に発揮できていないケースも見られます。

本記事では、まず「目標管理」とは何かを整理したうえで、目標管理が形骸化しやすい理由と現場でよくある課題を明らかにします。そのうえで、目標管理を人材育成に生かすための考え方と、MBO(目標管理制度)を実践的に運用するポイントを解説します。

目次
目標管理とは
人材育成につながらない目標管理の課題と解決策
目標管理を人材育成に生かすための対話のポイント
変化する環境で求められるMBO(目標管理制度)の活用
まとめ|目標管理で人材育成と組織の成果を実現する

目標管理とは

目標管理とは

目標管理とは、組織や個人が目指す成果に向けて、「何を」「いつまでに」「どのレベルで達成するのか」を明確にし、その達成状況を継続的に確認・評価していくマネジメントの仕組みです。

単に目標を設定して結果を評価することが目的ではなく、目標設定・実行・振り返りのプロセスを通じて、日々の行動を適切な方向に導くことに本質があります。

適切に運用された目標管理は、

  • 部下が期待されている役割や成果を理解する
  • 自身の課題や改善点に気づく
  • 上司との対話を通じて学びを深める

といった点で、人材育成にも有効に機能します。

▼目標管理の主な役割

  • 行動の指針:取り組むべきことを明確にする
  • 成長の支援:振り返りを通じて学びと改善を促す
  • 組織成果への接続:組織成果を生み出すために、個人が担うべき役割や行動を目標として設定する

人材育成につながらない目標管理の課題と解決策

目標管理は、本来、組織成果と人材育成の両立を支える有効な仕組みです。しかし実際の現場では、その意図が十分に共有されないまま運用され、期待した効果を発揮できていないケースも少なくありません。

その結果、目標設定や評価が「制度としてこなすもの」になってしまっていることがあります。目標の立て方や評価の手法が形式化すると、部下にとっては「何をどう頑張ればよいのか」が見えにくくなり、上司にとっても育成につながる関わりが難しくなります。

結果として、目標管理が業績管理や評価のための仕組みにとどまり、人材育成に十分に生かされない状態に陥ってしまうのです。

ここでは、目標管理の現場でよく見られる3つの課題を取り上げ、それぞれに対する具体的な解決策を解説します。

課題①|目標が曖昧で、行動や達成基準が共有されていない

目標管理がうまく機能しない最初のつまずきは、部下自身が立てた目標が抽象的なままで、行動や達成基準が十分に言語化・共有されていないことです。

「頑張る」「意識を高める」「レベルアップする」といった表現は、本人としては前向きな意図であっても、日々の業務のなかでどの行動に力を入れればよいのかが曖昧になりがちです。また、経験やスキルに対して背伸びしすぎた目標や、逆に無難すぎる目標も、挑戦や成長につながりにくくなります。

▼解決策
目標は部下が主体的に設定することを前提にしつつ、SMARTの原則(具体的、測定可能、達成可能、関連性、時間制限)を手がかりに、行動と成果の両面が具体的にイメージできる状態まで上司との対話を通じて磨き上げていくことが重要です。

その際、上司は目標を「与える」のではなく、

  • なぜその目標を設定したのか
  • どのような行動や工夫を期待しているのか

といった観点で問いかけやフィードバックを行い、部下とすり合わせることで、目標への納得感と実行可能性を高めていきます。

課題②|評価が結果だけに終始し、振り返りにつながらない

目標が設定されていても、評価が結果の確認や点数付けにとどまってしまうと、部下は「何を改善すればよいのか」「次に何を伸ばせばよいのか」を理解できません。

特に、期末の評価面談だけで振り返りを行う場合、日々の行動や試行錯誤について十分に振り返ることができ、結果の確認に話が偏りがちになります。そのため、どの行動が成果につながったのか、どこを改善すべきだったのかが明確にならず、学びが次の目標や行動に生かされにくくなります。

▼解決策
評価は、結果だけでなくプロセスや工夫した点にも目を向けることが重要です。
定期的な進捗確認や中間フィードバックを通じて、

  • うまくいった点とその理由
  • つまずいた点と改善の方向性

を具体的に言語化することで、評価が「次の成長につながる振り返り」に変わります。

課題③|上司と部下の対話が不足し、軌道修正ができない

目標管理が形骸化する背景には、上司と部下の対話不足があります。普段から目標をめぐる対話が少ないと、目標のズレや行動の偏りに気づけず、①の曖昧な目標や②の形式的な評価が放置されてしまいます。

また、部下の強みや負荷感が把握できないままでは、現実的でない目標設定や一方的な評価につながりやすくなります。

▼解決策
進捗や困りごとについて日常的に対話することが重要です。
その際、上司から一方的に指摘するのではなく、

  • 「どこまで進んでいるか」
  • 「やりにくさはないか」
  • 「今、何に悩んでいるか」

といった問いかけを行い、目標を軸にした対話の習慣をつくることで、目標管理が育成の仕組みとして機能し始めます。

目標管理を人材育成に生かすための対話のポイント

前述した3つの課題に共通しているのは、目標の内容自体は共有されているものの、その意図や行動レベルでのイメージが上司と部下のあいだで十分にすり合わされていないことです。

目標管理を人材育成につなげるためには、目標を設定して終わりにするのではなく、目標を起点にした継続的な対話を通じて、行動や成長を支援していくことが欠かせません。

ここでは、管理職が目標管理を形骸化させず、部下の成長を支えるために押さえておきたい対話のポイントを、3つのステップに分けて整理します。

現状を具体的に把握する

目標管理を機能させるためには、まず部下の現在の仕事の状況や状態を正確に把握することが欠かせません。目標を定めたり見直したりする前に、これまでの取り組みや日々の行動、感じている課題を整理することで、実態に即した目標設定や支援が可能になります。

この段階では、「目標に対する評価」を行うのではなく、事実を丁寧に言語化することが重要です。

▼具体的に確認したいポイント

  • 現在担っている役割や主な業務内容
  • これまでの取り組みと、そこから得られた成果
  • うまくいっている点と、その背景にある工夫や強み
  • うまくいっていない点や、やりにくさを感じている場面
  • 本人の状態(モチベーション、負荷感、不安や迷い など)

目標のイメージを明確にする

現状を整理したうえで次に行うのが、「目標を達成した状態とはどのようなものか」を具体的に共有する対話です。目標の文言自体は共有されていても、達成時のイメージや判断基準が曖昧なままだと、日々の行動がぶれやすくなります。

ここでは、数値目標の確認にとどまらず、「どのような状態になっていれば達成といえるのか」を具体化することが重要です。

▼共有すべきポイント

  • 目標の内容と達成基準の再確認
  • 目標が業務や組織成果とどうつながっているか
  • 達成時に想定される具体的な状態(成果物・数値・行動の変化など)
  • 達成できているかどうかを判断する視点

目標のゴールイメージをすり合わせることで、上司と部下のあいだで判断軸がそろい、その後の行動設計や振り返りが行いやすくなります。

達成の道筋を描く

目標のゴールイメージを共有したうえで、次に考えるのが目標達成に向けた道筋です。
ここでは、いきなり細かい数値管理に入るのではなく、「目標達成のために、どの行動や取り組みに重点を置くか」を整理していきます。

日々の業務と目標を結びつけ、何に時間やエネルギーを使うべきかを明確にすることで、目標が実行レベルに落とし込まれます。

▼検討したいポイント

  • 目標達成に直結する主要な業務やタスク
  • 成果に影響する具体的な行動や取り組み
  • 業務の優先順位や取り組み方の方向性
  • 想定される障害やリスクと、その対処の考え方
  • 進捗を確認するための節目やチェックポイント

この対話を通じて、「何をすれば目標に近づくのか」が明確になり、目標管理が日常業務の指針として機能し始めます。

変化する環境で求められるMBO(目標管理制度)の活用

変化する環境で求められるMBO(目標管理制度)の活用

管理職を取り巻く環境は、業務の高度化・複雑化が進み、計画どおりに物事が進まない場面が増えています。加えて、リモートワークや業務の分業化が進むことで、上司が部下の行動や状況を日常的に細かく把握することも難しくなっています。

こうした環境下では、期初に設定した目標を前提に、その達成度だけを期末に確認する従来型の目標管理では、変化への対応や軌道修正が後手に回りやすくなります。結果として、目標管理が「評価のための手続き」にとどまり、日々のマネジメントに十分に生かされない状態に陥りがちです。

本来、目標管理のPDCAは、環境や状況の変化を踏まえながら、日常業務のなかで柔軟に回していくものです。そのためには、MBO(目標管理制度)を単なる人事評価の仕組みとして捉えるのではなく、変化を前提に目標を見直し、行動を調整するための実践的な枠組として活用することが重要になります。

関連記事:MBO(目標管理制度)とは?

MBOがもたらす3つのメリット

MBOは単なる人事制度ではなく、管理職の日常マネジメントを支える実践的なツールです。

▼MBOの具体的なメリット

  • 目標の明確化:マネジメントの方向性が定まり、優先順位をつけやすくなる
  • 対話の機会創出:評価面談を通じて部下との信頼関係が深まる
  • 自律的なマネジメント:管理職自身が計画的に育成を進められる

これらのメリットにより、部下の成長と組織成果の両立を実現しやすくなります。

MBO導入・見直しのポイント

MBOを効果的に機能させるには、管理職の評価力とコミュニケーション力を高めることが重要です。特に、上司と部下が目標について十分に対話することで、納得感のある評価が実現し、部下の成長とモチベーション向上につながります。

MBOの導入や見直しにあたっては、管理職向けの研修を活用し、目標設定や評価フィードバックのスキルを体系的に習得することをお薦めします。

弊社では、MBOを「制度」から「育成の仕組み」へと変える支援を行っています。詳しくはサービスページをご覧ください。

まとめ|目標管理で人材育成と組織の成果を実現する

人材育成を効果的に進めるうえで、管理職による日常的なマネジメントの質を高めることは欠かせません。その中核となるのが、部下の成長と組織成果の両立を支える「目標管理」です。

目標管理は、期初に目標を設定して終わる制度的な取り組みではなく、日々の業務のなかで進捗や行動を振り返り、必要な支援や軌道修正を行う継続的なプロセスです。現状把握、対話、フィードバックを重ねることで、部下は自らの現在地と次に取るべき行動を理解し、成長につなげることができます。

変化の激しい環境下では、管理職がすべてを把握・管理することは困難です。だからこそ、MBO(目標管理制度)を人事評価のための仕組みにとどめず、日常のマネジメントを支える実践的なフレームとして活用することが重要になります。目標管理を通じた継続的な関わりが、部下の自律的な行動と人材育成の質を高めていくのです。

目標管理の質を高めたい方は、ぜひ弊社の研修プログラムもご検討ください。

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