用語集
エンゲージメントサーベイとは? 無駄にならない実施のステップとポイント
- 公開日:2026/01/05
- 更新日:2026/01/05
組織の現状を客観的に把握し、改善に生かすことが求められる時代になっています。その手段として注目されているのがエンゲージメントサーベイです。
従業員の企業への愛着や誇り、仕事への熱意を数値で捉え、離職の兆候や経営メッセージの浸透度を確認する手がかりとなります。適切に設計・運用すれば、人事施策の基盤となり、企業と従業員の信頼関係を強めることができます。
エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは、従業員エンゲージメントを数値化し、組織の現状や課題を定量的に把握するための調査です。従業員エンゲージメントとは、企業と従業員との間における確固たる信頼関係を意味します。
エンゲージメントサーベイでは、従業員の企業への愛着心や忠誠心、仕事に対する誇りややりがい、関与度、熱意などを可視化できます。
エンゲージメントサーベイの種類:
- パルスサーベイ:月次や隔週など高頻度で実施する短い調査
設問数は5〜30問程度で、従業員の状態変化を継続的にモニタリングする目的に適しています。
- センサス:年1〜2回、全社規模で実施する網羅的な調査
設問数は30〜100問程度で、全社的な傾向や部門ごとの課題を幅広く把握するのに有効です。
エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査との違い
エンゲージメントサーベイとよく混同される言葉に「従業員満足度調査」があります。両者は調査対象や目的が異なるため、どちらを実施するかは、組織の成熟度や改善したいポイントに応じて判断するとよいでしょう。
項目 | エンゲージメントサーベイ | 従業員満足度調査 |
|---|---|---|
調査対象・目的 | 企業への愛着心や忠誠心、仕事に対する誇りややりがい、関与度、熱意を可視化し、モチベーションや主体性を高める改善策につなげる | 給与・待遇・職場環境などの満足度を測定し、働きやすさの改善につなげる |
活用例 |
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エンゲージメントサーベイの目的
エンゲージメントサーベイは、従業員の声を数値化し、組織の状態を把握する調査です。
主に2つの目的で活用されます。
- 会社と従業員が相互に信頼し合い、持続的に成果を創出するための組織課題を抽出する
- データに基づき、人事施策の立案、実施、モニタリングを行う
会社と従業員が相互に信頼し合い、持続的に成果を創出するための組織課題を抽出する
エンゲージメントサーベイは、事業の持続的な成長に向けた組織課題を明確にするための調査です。企業ビジョンの浸透度や、上司・同僚との関係性などを数値化することで、課題を早期に発見できます。職場の人間関係の悪化やモチベーション低下など、離職につながる問題への迅速な対応にもつながります。
データに基づき、人事施策の立案、実施、モニタリングを行う
エンゲージメントサーベイで得られたデータは、人事施策の立案・改善に直結します。定期的に実施しエンゲージメントの推移を把握することで、具体的な改善策の検討や、施策の効果のモニタリングを行うことができます。
具体例:
- 職場のコミュニケーション不足が判明
→定例ミーティングや1on1面談の導入、情報共有ツールの活用促進
- 将来的なキャリアの見通し不足が判明
→ キャリアを考える機会や研修を導入
エンゲージメントサーベイで期待できる効果
エンゲージメントサーベイを実施すると、組織の現状把握から人材定着、採用力の強化まで、複数の効果が得られます。
- エンゲージメントの状態や人・組織の課題の把握
- 離職の防止
- 採用ブランディングやPRの強化
- 職場改善や風土改革
エンゲージメントの状態や人・組織の課題の把握
エンゲージメントサーベイを通じて現状を可視化することで、エンゲージメント向上をはじめとする人事施策の検討材料として活用できます。特に人事責任者として着任した際には、各組織の状態を正しく把握し、施策を検討するうえで有効な手段となります。
離職の防止
定期的にエンゲージメントサーベイを実施・分析することで、組織ごとの離職の兆候や潜在的な要因を早期に察知できます。兆しを見逃さず、先回りしたケアや対策を講じることで、離職リスクを下げる効果が期待できます。
採用ブランディングやPRの強化
投資家や求職者に向けて企業の魅力を数値化して伝えられるため、採用ブランディングやPRの強化につながります。近年は財務面だけでなく、人や組織に関する情報の開示も企業に求められています。エンゲージメントサーベイを活用すれば、従業員のモチベーションや組織の状態を数値化でき、人的資本に関するKPIとしての開示に活用できます。
職場改善や風土改革
エンゲージメントサーベイをきっかけに、職場や仕事、マネジメントにおける課題を明らかにできます。組織単位でPDSサイクルを回し、改善活動を積み重ねることで、職場の雰囲気や組織風土の改革にもつながります。
エンゲージメントサーベイが無意味と思われてしまう3つの理由
エンゲージメントサーベイの実施は、従業員エンゲージメントの向上に寄与するとされています。ただし、実施しても「無意味」と受け取られてしまうケースがあります。
実施目的が従業員に伝わっていない
エンゲージメントサーベイの目的や必要性が明確に共有されていないと、従業員は「なぜ回答が必要なのか」を理解できません。結果が会社・組織・個人にどのようなメリットをもたらすのかが不明確なままでは、本気で取り組む姿勢が生まれにくく、回答率や回答の質にも悪影響を与えます。
分析結果が改善に生かされていない
調査結果を分析しても、具体的な改善行動につながらなければ、従業員は「回答しても意味がない」と感じてしまいます。エンゲージメントサーベイ自体への信頼や次回以降の協力意欲が低下する恐れがあります。
従業員から正確な回答を得られていない
正確な回答が得られなければ、分析や改善策が的外れとなり、最終的にエンゲージメントサーベイ自体が無駄だと判断されてしまいます。質問数が過剰であったり、実施頻度が高すぎたりすると、回答の質が低下する傾向があります。負担の大きさによって形式的な回答や途中離脱が増えると、データの信頼性が損なわれます。
効果的なエンゲージメントサーベイのステップとポイント
エンゲージメントサーベイを意味のあるものにするには、実施の流れを正しく設計し、従業員の納得感を高める工夫が必要です。
意味のあるエンゲージメントサーベイの8ステップ
エンゲージメントサーベイの8ステップ | |
|---|---|
①目的を設定する | 調査の目的を明確にし、ゴールを社内で共有する |
②質問項目を決める | 目的に応じた設問を具体的かつ明確に設計する |
③従業員に目的を共有する | なぜ行うのか、結果がどう活用されるのかを丁寧に説明する |
④エンゲージメントサーベイを実施する | 計画に沿って公平かつ円滑に調査を行う |
⑤調査結果分析・課題を洗い出す | 結果を分析し、課題となる領域や組織の強みを可視化する |
⑥課題解決策を決定する | 分析結果を基に、具体的な打ち手を設計する |
⑦課題解決策を実行する | 実行計画に基づき、組織で施策を展開する |
⑧エンゲージメントサーベイを再実施する | 実施した施策の効果を検証し、次の改善サイクルへつなげる |
意味のあるエンゲージメントサーベイ実施のポイント
エンゲージメントサーベイを有効なものにするには、調査の目的を明確にし、従業員が安心して参加できる環境を整えることが欠かせません。
- 従業員にエンゲージメントサーベイの目的を共有し、理解を得る
- 目的と質問項目を明確にする
- 心理的安全性を確保する
- 労働環境の改善に活用する
- 従業員に結果をフィードバックする
- 継続的に実施する
従業員にエンゲージメントサーベイの目的を共有し、理解を得る
エンゲージメントサーベイの実施目的を事前に従業員へ明確に共有することは、回答の質と率を高めるために欠かせません。
- なぜ調査を行うのか
- 結果がどのように組織や個人の改善に使われるのか
従業員の納得感が高まり、本音での回答が得られやすくなります。
目的と質問項目を明確にする
エンゲージメントサーベイを無駄にしないためには、実施目的を明確にし、目的に沿った具体的で分かりやすい質問項目を設定しましょう。目的と質問の方向性が一致していれば、得られたデータの精度が高まり、分析や改善策の効果も向上します。
- 従業員視点で設計し、参加意欲を高める
- 質問は、従業員の意見やエンゲージメントの状態を正確に把握できる内容にする
- 会社のビジョンや経営理念に関連した質問を盛り込み、組織の方向性と一貫性を持たせる
- 質問数や実施頻度は過剰にせず、回答負担を軽減する
心理的安全性を確保する
エンゲージメントサーベイで質の高い回答を得るためには心理的安全性が不可欠です。
- 回答が人事評価に影響しないことを明確に伝える
- 目的に応じて、記名式か無記名式かを決める
- 批判や悩みも安心して共有できる環境を整える
上記のような工夫が、従業員の率直な意見や改善提案を引き出すことにつながります。
労働環境の改善に活用する
エンゲージメントサーベイの結果は、従業員の声を反映した労働環境改善に生かすことで真価を発揮します。
- 低評価の項目や過去比較で差が大きい項目を重点的に分析
- 不満やストレスの原因を特定し、労働環境改善策を立案
調査の結果を改善に結び付けることで、エンゲージメント向上と定着率向上が期待できます。
従業員に結果をフィードバックする
フィードバックが不十分だと、従業員は自分たちの意見が軽視されていると感じ、結果としてエンゲージメントの低下を招く恐れがあります。
- 調査結果を共有し、改善策や対応方針を明確に伝える
- 従業員と一緒に解決策を検討する場を設け、主体的な参加を促す
エンゲージメントサーベイへの信頼感と次回以降の協力意欲が高まります。
継続的に実施する
エンゲージメントは常に変化するため、定期的なエンゲージメントサーベイで状態を追跡し、改善サイクルを回すことが重要です。
- 新たな課題発生時にも即座に対応できる
- 改善策の効果を検証し、組織の成長と共に施策を更新できる
一度きりではなく継続的に実施することで、長期的な組織力強化が可能になります。
エンゲージメントサーベイの質問項目例

エンゲージメントサーベイの質問項目を設計する際は、組織改善につながる情報を網羅的に収集できるかが重要です。従業員のエンゲージメントは大きく「仕事」「職場」「会社」の3つに分けて捉えることができます。さらに、「仕事」「職場」「会社」すべてに横断的に影響を与える「負担感」が存在します。この4つを併せて把握することが、従業員の本当の状態を理解する第一歩です。
1. 仕事へのエンゲージメント
「仕事の意味・価値の実感」「仕事の充実感」「仕事を通じた成長・貢献実感」を得られている状態を指します。
仕事へのエンゲージメントに影響を与える主な要因として、「個人」と「上司(個人への支援)」が挙げられます。
【主な要因:個人】
従業員一人ひとりが「仕事に対する認識」を深め、「自己の特徴理解」を通じて自分の強みや価値観を把握しながら、成長につながる「機会の活用・創出」に取り組んでいるかどうかがポイントになります。
【主な要因:上司(個人への支援)】
上司が個人の自律性や成長を支援し、仕事に意味づけをしているかを確認します。
1.仕事へのエンゲージメントの質問例 | ||
|---|---|---|
【主な要因:個人】 | 仕事の裁量 |
|
自己の強みや価値観 |
| |
成長機会 |
| |
【主な要因:上司】 | メンバーの自律支援 |
|
経験学習の促進 |
| |
2. 職場へのエンゲージメント
「組織成果へのコミットメント」「職場の心理的安全性」「職場への貢献意欲」をもって、目標や成果の実現に向けて積極的に関わろうとしている状態を指します。職場へのエンゲージメントに影響を与える主な要因としては、「職場」と「上司(職場への支援)」が挙げられます。
【主な要因:職場】
職場の「PDSサイクル」がきちんと回り、戦略や目標の設定から振り返りまでを継続できているか、また「職場のコミュニケーション」が円滑かどうかがポイントとなります。
【主な要因:上司(職場への支援)】
上司が方針や目標を共有し、メンバーが協働・成長できる環境をつくっているかを確認します。
2.職場へのエンゲージメントの質問例 | ||
|---|---|---|
【主な要因:職場】 | 社内外の環境認識 |
|
相互理解 |
| |
【主な要因:上司】 | 目標共有・リーダーシップ |
|
経験学習の促進 |
| |
3. 会社へのエンゲージメント
「会社の理念や製品・サービスへの共感」「会社の将来への期待」「ロイヤルティ」を通じて、会社に対する愛着や信頼を持っている状態を指します。会社へのエンゲージメントに影響を与える主な要因としては、「経営トップ層」と「仕組み・体制」が挙げられます。
【主な要因:経営トップ層】
「経営トップ層のリーダーシップ」と「経営トップ層の現場に対するコミュニケーション」が、社員の信頼や将来への期待に大きく影響します。
【主な要因:仕組み・体制】
「人事制度・仕組み」と「組織体制・連携」が整っているかどうかが、社員の納得感や働きやすさにつながります。
3.会社へのエンゲージメントの質問例 | ||
|---|---|---|
【主な要因:経営トップ層】 | 変化対応 |
|
ビジョン発信 |
| |
【主な要因:仕組み・体制】 | 評価・登用 |
|
組織体制 |
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4. 負担感
負担感は、仕事へのエンゲージメント、職場へのエンゲージメント、会社へのエンゲージメントのすべてにマイナスの影響を与える可能性のある要因です。
【主な要因:負担感】
「仕事や人間関係の負担感」「マンネリ感・不適応感」が代表的な要素として挙げられます。
4.負担感の質問例 | ||
|---|---|---|
【主な要因:負担感】 | 仕事の負担感 |
|
仕事のマンネリ感 |
| |
エンゲージメントサーベイまとめ:企業と従業員との間における確固たる信頼関係のために
エンゲージメントサーベイは、実施するだけでは意味がなく、調査の目的と質問の設計から、フィードバックや改善策の実行までを一貫して行うことで初めて効果を発揮します。「意味のあるエンゲージメントサーベイ」にするためには、従業員への丁寧な説明や心理的安全性の確保、継続的な改善のサイクルが不可欠です。
組織の現状を正しく把握し、働く人の声を経営の意思決定に反映させる第一歩として、エンゲージメントサーベイを活用してみてはいかがでしょうか。
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