STEP

用語集

人事処遇とは? 評価基準・評価項目・決定方法を解説

  • 公開日:2025/11/10
  • 更新日:2025/11/10

人事処遇とは、社員の給与や職位などを決定することです。 適切な人事処遇を実現するためには、明確な評価基準が欠かせません。
人事処遇の定義から、評価に用いられる3つの基準と具体的な評価項目、さらに評価方法の種類や納得感を高めるための工夫までを解説します。

人事処遇とは? 評価に基づいて決まる給与・職位・待遇の総称

人事処遇とは? 評価に基づいて決まる給与・職位・待遇の総称

人事処遇とは、評価に基づいて決定される給与・職位・待遇などの総称です。
処遇の決定には、以下の2つの観点が評価基準となります。

  • 個人の能力・勤務態度といった「人」に対する評価
  • 役割や業績に対する「成果」の評価

社員の納得感を得てモチベーションを高めるためには、こうした基準に基づいた評価の根拠を客観的に示し、公平に運用することが重要です

人事処遇を決める2つの評価基準と評価項目

人事処遇の判断には、主に以下の2つの評価基準が用いられます。それぞれに応じた具体的な評価項目があります。

評価基準

評価項目

特徴

業績評価(MBO・OKRなど)

売上・利益・KPIなどの定量的成果

客観性が高く、公平性を保ちやすい。成果に基づく評価で、納得感の醸成や組織目標への貢献度の測定に適している。

コンピテンシー評価

スキル(能力・知識・専門性)や情意(姿勢・協調性・責任感・積極性)

成長支援・キャリア形成や組織力の強化につながる。行動やプロセスを評価対象とするため、潜在能力の発掘や育成に活用できる。

【業績評価(MBO・OKR)】「何を達成したか」を客観的に測る

業績評価は、社員が一定期間内に達成した成果や結果を評価する基準です。
売上や利益、KPI(重要業績評価指標)など、数値で測定できる要素が中心のため、客観性が高いのが特徴です。

具体的な評価項目

  • 売上高や利益額
  • 目標達成率やKPIの進捗状況
  • 部署や個人単位の業績実績

評価項目の意義

数値に基づく評価は公平性を保ちやすく、納得感のある評価につながります。成果に至るプロセスや個人の努力が評価されにくいため、コンピテンシー評価との併用が重要です。


【コンピテンシー評価】「何ができるか」と「どう取り組むか」を測る

コンピテンシー評価は、社員の能力や知識、専門性、さらに仕事に対する姿勢や協調性・責任感など内面的な資質を総合的に評価する基準です。社員の成長支援やキャリア開発、組織力の強化につながります。

具体的な評価項目

  • スキル(能力)
    ・専門知識や技術的スキル
    ・問題解決能力や論理的思考力
    ・マネジメント能力や対人スキル
  • 情意(姿勢・態度)
    ・チームメンバーとの協調性
    ・仕事への責任感や主体性
    ・困難に対する粘り強さや前向きな姿勢

評価項目の意義

能力評価は社員一人ひとりの強みや課題を可視化し、育成計画やキャリアパス設計の基盤となります。情意評価は組織文化の醸成やチームワーク強化に直結します。360度評価など多面的評価を取り入れることで、信頼性を高める工夫が必要です。

人事処遇の公平性を高める代表的な「4つの評価方法」

人事処遇の公平性を高める代表的な「4つの評価方法」

評価方法は、上記の評価基準を現場で運用するための手段です。主に以下の方法があります。

評価方法

分類

概要

特徴・効果

MBO(目標管理制度)

業績評価

社員が上司と対話しながら目標を設定し、達成度を評価

数値目標やKPIの達成度を測ることで、公平性の高い評価が可能。自主性や責任感の育成にもつながる。

OKR(目標と成果指標)

業績評価

企業全体の野心的な目標(Objectives)と成果指標(Key Results)を連動させる方法

頻繁な見直しにより組織の一体感を高め、変化の激しい環境への対応力を強化。

コンピテンシー評価制度

コンピテンシー評価

成果を出す社員に共通する行動特性(コンピテンシー)を基準に評価

行動面や能力・姿勢に焦点を合わせ、潜在能力の引き出しや人材育成に活用。

360度評価

コンピテンシー評価

上司だけでなく同僚・部下など複数の関係者が多角的に評価

1人の評価者による偏りを防ぎ、公平性と納得感を高める。多面的評価により信頼性が向上。

MBO(目標管理制度)

MBO(目標管理制度)は、社員自身が上司と対話しながら目標を設定し、その達成度を評価する制度です。
目標を自ら定め、達成度を振り返るプロセスを通じて、自主性や責任感を育む効果があります。成果に基づく客観的な評価が可能で、業績評価の代表的な手法として用いられます。

OKR(目標と成果指標)

OKR(Objectives and Key Results)は、企業全体の野心的な目標(Objectives)と具体的な成果指標(Key Results)を連動させる評価方法です。
高い頻度で目標の見直しや進捗確認を行うことで、組織全体の方向性を統一し、一体感を高めます。変化の激しい環境にも柔軟に対応できるのが特長です。

コンピテンシー評価制度

コンピテンシー評価制度は、高い成果を出す社員に共通する行動特性(コンピテンシー)を基準に評価する方法です。
行動や能力、姿勢に着目することで、潜在能力の引き出しや人材育成に活用できます。単なる成果だけでなく、成果に至るプロセスも評価できる点が特徴です。

360度評価

360度評価は、上司だけでなく、同僚や部下など複数の関係者が評価に参加する方法です。
多角的な視点を取り入れることで、一人の評価者による偏りを防ぎ、公平性や客観性を高めます。本人の納得感や信頼感の醸成にも効果的で、コンピテンシー評価を補完する手法としても活用されます。

社員の納得感を育む人事処遇の「3つの重要ポイント」

人事処遇への納得感を高めるために、重要な3つのポイントがあります。

  1. 成果だけでなくプロセスも重視する
  2. 処遇の根拠や公平性を示す
  3. 適材適所の配置で能力発揮を支援する

1.成果だけでなくプロセスも重視する

成果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫といった「プロセス」も評価の対象とすることが、公平で納得感のある人事処遇につながります。

【期待できる効果】

  • 成果が出にくい状況でも、働きぶりが正当に評価される
  • 外的要因に左右されず、公平性の高い評価につながる
  • 社員は会社への貢献を実感し、処遇への納得感と仕事へのモチベーションが高まる

2.処遇の根拠や公平性を示す

なぜその給与・職位になったのか、評価結果と人事処遇の決定を結びつけて、根拠を具体的に説明することが不可欠です。

【期待できる効果】

  • 「えこひいきではない」と感じられることで、社員の公平性への信頼が高まる
  • 処遇の理由が明確になり、次に取り組むべき課題や目標が設定しやすくなりキャリアアップにつなげることが期待できる

3.適材適所の配置で能力発揮を支援する

社員が最大限に能力を発揮できる持ち場に配置することは、公平な評価と納得感のある人事処遇を実現するための大前提といえます。

【期待できる効果】

  • 本人のスキルや特性に合わない業務による評価低下を防ぎ、能力を正当に評価できる
  • 不適切な配置による自信やモチベーションの低下、離職リスクの軽減につながる

まとめ:適切な評価と運用が、納得感ある人事処遇を支える

人事処遇とは、評価に基づき社員の給与や職位などを決定することです。
処遇の公平性と納得感を高めるためには、「人(能力・意欲)」と「役割(成果)」の両面から評価することが重要です。成果だけでなくプロセスも評価に含め、評価と処遇の関係性を明確に伝えることで、社員のモチベーション向上につながります。

リクルートマネジメントソリューションズでは人事制度を通じて実現したい目的を明確にした上で、コアとなる等級・評価・賃金・育成制度を設計し、その後の運用・定着まで一貫して支援します。人事制度に課題を抱えている方はお気軽にご相談ください。
人事制度設計・運用支援コンサルティングの詳細はこちら

おすすめの
無料セミナー

Online seminar

サービスを
ご検討中のお客様へ

電話でのお問い合わせ
0120-878-300

受付/8:30~18:00/月~金(祝祭日を除く)
※お急ぎでなければWEBからお問い合わせください
※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください

SPI・NMAT・JMATの
お問い合わせ
0120-314-855

受付/10:00~17:00/月~金(祝祭日を除く)

facebook
x