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ゆとり世代とは? 年齢や特徴、職場での接し方のコツを分かりやすく解説

  • 公開日:2025/11/10
  • 更新日:2025/11/10

ゆとり世代とは、「ゆとり教育」を受けた世代を指します。
「ゆとり教育」は、詰め込み型の学習から、個性や思考力の育成を重視する方針に転換された教育のことです。
ゆとり教育を受けた世代には、ストレス耐性や上昇志向の面で、これまでの世代とは異なる傾向が見られることがあります。

ゆとり世代とは

ゆとり世代とは

まず前提として、人にはそれぞれ個性や価値観があり、世代だけで一括りにできるものではありません。世代というのは人間の持つ多様な属性の1つにすぎず、「〇〇世代だから必ずこうだ」と決めつけることはできません。本記事ではあくまで一般的に語られる世代の傾向としてご紹介します。

ゆとり世代はいつから?

ゆとり世代とは、一般的に 1987年(昭和62年)4月2日~2004年(平成16年)4月1日生まれ の世代を指します。

この世代は、小・中学生時代に学習指導要領の改定に基づく 「ゆとり教育」 を経験しており、従来の詰め込み型教育から個性や生きる力を重視する教育への転換期に当たります。

特に、 小学校から高校まで一貫してゆとり教育を受けた世代 は、「フルゆとり世代」や「スーパーゆとり世代」と呼ばれることがあります。おおよそ 1990年代前半~半ば生まれ が該当し、教育課程を通じて協調性や個性の尊重など、ゆとり教育の影響を強く受けた世代です。

「ゆとり世代の育成が困難」は誤解? 真の課題とは

「ゆとり世代の育成」が課題なのではなく、「誰もが育ちにくい時代」になったと捉えるのが本質です。

業務の高度化・複雑化により、かつてのように新人が自然と育つ環境は失われました。
この環境の変化に気づかず、旧来の育成手法をあてはめようとすることが、世代間のミスマッチと「育成の難しさ」を生む根本原因です。

【世代比較】ゆとり世代は、何がどう違う?

ゆとり世代の価値観は、競争よりも個性を尊重する日本独自の「ゆとり教育」が基盤となっているといわれています。

アナログからデジタルへの過渡期を経験した「デジタルパイオニア」である点が、他世代との決定的な違いです。

世代名

主な価値観

デジタル環境

主な特徴・違い

ゆとり世代
1987年度から2003年度

競争を避け、個性や協調性を重視

アナログからデジタルへの移行期を経験
「デジタルパイオニア」

ゆとり教育を受けた世代で、価値観形成に強く影響

さとり世代
主に1990年代生まれ

安定志向・現実主義
出世やブランドに関心が薄い

デジタル環境に自然に適応

必要なものだけを選ぶ合理性が強く、内向き傾向が顕著

ミレニアル世代
1981年〜1995年頃

自己実現・社会的意義への関心
バランス重視

IT成長期に育ち、PC・携帯電話を活用

グローバルな価値観を持ち、柔軟性が高い傾向

Z世代
1996年〜2010年頃

効率性や即時性を重視
個の発信に積極的

生まれたときからスマホ・SNSが普及
「デジタルネイティブ」

SNS中心に情報収集・発信し、動画文化に親和性が高い

さとり世代との違い

さとり世代は、社会不安のなかで育ち、安定やワークライフバランスを重視する点はゆとり世代と共通ですが、さとり世代はモノの見方がより現実的だといわれています。
ブランドや出世に固執せず、必要なものだけを合理的に選ぶ傾向が際立っています。

ミレニアル世代との違い

ミレニアル世代とゆとり世代の違いは、その定義の基準にあります。
ワークライフバランスを重視する点などは共通ですが、ゆとり世代が日本の「教育制度」を軸にしているのに対し、ミレニアル世代は「世界的なデジタル化」を背景とするグローバルな視点での区分である点が異なります。

Z世代との違い

Z世代との違いは、デジタル環境との関係性です。
個性や多様性を尊重する価値観は共通ですが、ゆとり世代がデジタルへの移行期を経験した「デジタルパイオニア」であるのに対し、Z世代は生まれながらの「デジタルネイティブ」です。生活や情報収集、コミュニケーションの多くをオンラインに依拠している点が特徴といえるでしょう。

ゆとり世代の特徴

ITリテラシーが高い

IT革命の渦中で育ったため、デジタル技術に対して心理的な抵抗が少ない傾向があります。新しいツールの導入や検索・SNSを活用した情報収集に積極的で、「デジタルパイオニア」ともいえる世代です。

ワークライフバランスを重視する

「個」を尊重する教育を受け、また「努力が必ずしも報われない」経済環境を経験してきたことから、会社への帰属意識よりも私生活との両立を大切にする姿勢が強い傾向があります。仕事に人生のすべてを委ねるのではなく、働き方や時間の使い方に自分らしい価値観を持っています。

多様性を尊重する

他者と比較されない教育や、インターネットを通じた多様な価値観との接触を経験したことで、人との「違い」を個性として受け止める傾向があります。共存を重んじる姿勢が自然に根づいている点も特徴です。

ストレス環境への対応スタイル

競争や厳しい叱責が少ない教育環境で育ったため、強いプレッシャーや感情的な言葉には萎縮することがあります。一方で、穏やかな対話型の環境では力を発揮しやすい傾向があります。

出世より安定志向

「会社に尽くしても安定は保証されない」という社会を目の当たりにしてきた背景から、必ずしも昇進・昇格を最優先に考えるわけではありません。自分に合った仕事や安定した生活を重視する特徴があります。

転職への柔軟さ

終身雇用が崩れつつある時代に育ったことから、「1つの会社に勤め上げる」という価値観に縛られにくい傾向があります。キャリアアップや働き方の見直しの一環として転職を前向きに捉える姿勢が一般的です。

ゆとり世代と信頼関係を築く4つのコツ

ゆとり世代と信頼関係を築く4つのコツ

信頼関係を築く4つのコツ

対応のヒント

①不安を取り除く
「明確なゴール」を示す

目指す姿を具体化し、定期的にフィードバックする

②成長を止める
「感情的な叱責」はしない

感情ではなく論理で伝え、助言スタンスを取る

③やる気を引き出す
「プロセス評価」を伝える

プロセスを具体的に評価し、継続的に声をかける

④信頼を築く
「プライベートを尊重する姿勢」

飲み会の強制などは控え、仕事の面で信頼を築く

不安を取り除く「明確なゴール」を示す

「どうすれば一人前か」というゴールが曖昧だと、ゆとり世代は不安を感じます。ゆとり世代にとって成長とは「組織に貢献している」と実感するための手段であり、明確な目標はそのための"ものさし"だからです。

例えば、「今月中にこの業務を1人で完結させる」といった具体的な目標を設定し、「今週はここまでできたね」と定期的に進捗をフィードバックすることが、成長実感につながります。

成長を止める「感情的な叱責」はしない

感情的な叱責は、ゆとり世代の成長を止めます。「褒めて伸ばす」教育に慣れているため、頭ごなしに怒鳴られると萎縮し、問題解決への意欲を失ってしまいます。

例えば、「なぜできないのか」と感情をぶつけるのではなく、「このミスは〇〇が原因だから、次から△△してみよう」と、事実と改善策をセットで論理的に伝えるのが効果的です。

やる気を引き出す「プロセス評価」を伝える

結果だけでなく、仕事の過程(プロセス)を褒めることが、ゆとり世代の承認欲求を満たし、やる気を引き出します。「常に見てもらえている」という安心感が、モチベーションと信頼につながるのです。

例えば、成果がまだ出ていなくても、「先月の資料、グラフの見せ方が丁寧で良かったよ」や「会議の準備を工夫してくれて助かる」など、具体的な行動を評価して伝えることが重要です。

信頼を築く「プライベートを尊重する姿勢」

「仕事とプライベートは分けたい」という価値観を大切にする傾向があります。職場での信頼関係は、まず仕事での姿勢や成果を通じて築かれるものであり、過度に私生活へ踏み込むことは歓迎されにくいでしょう。

例えば、恋愛や家族など個人的な事情を深く尋ね、業務外の付き合いを強制することは避けるのが無難です。むしろ、仕事での努力や成果を正当に認めることが、自然な信頼関係の構築につながります。

※関連研修:新入社員の育て方・生かし方を学ぶ育成担当者研修

まとめ:ゆとり世代の育成は、新しい時代のマネジメントそのもの

課題は「個人」ではなく「環境」にある
育成の難しさは個人の資質が原因なのではなく、「誰もが育ちにくい時代」になったという構造的な問題だと捉えることが出発点です。

ゆとり世代の特徴
特徴は状況によって強みにも弱みにもなる

ゆとり世代は、IT技術に抵抗が少なく情報収集に積極的で、ワークライフバランスや多様性を重んじる傾向があります。ストレス環境への対応は状況によって変わり、安定志向と柔軟なキャリア選択の両方を大切にします。
こうした特徴は、環境や状況によって強みになったり注意点になったりすることも理解しておくことが重要です。

育成の工夫がマネジメントを革新する
明確な目標設定やプロセス評価といった彼らへの支援は、単なる世代対応ではありません。
あらゆる人材が活躍できる、新しい時代のマネジメント手法そのものです。

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