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コミュニケーション能力を高めるには? 基本から実践まで解説

  • 公開日:2025/07/14
  • 更新日:2025/07/16

ビジネスの現場では、顧客とのやり取りや社内での業務連携、上司と部下の面談など、さまざまな場面でコミュニケーション能力が求められます。信頼関係の構築や生産性の向上、チームワークの強化を図るうえでも、言葉だけでなく、表情や態度といった非言語的な要素も含めた相互理解が重要です。本記事では、コミュニケーションの概要からコミュニケーション能力の活用例まで詳しく解説します。職場での円滑なコミュニケーションを目指す方は、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

コミュニケーション能力とは

コミュニケーション能力とは

コミュニケーション能力とは、自分の考えを分かりやすく伝える力と、相手の伝えたいことを読み解く力の双方を指します。言語によるやり取りだけでなく、表情や態度といった非言語的な要素も含む点が特徴です。ビジネスの現場では、相互理解や信頼構築の基盤として重視されており、チームワークや業務の効率化にも大きく関わるため、職場で求められる基礎的なスキルといえるでしょう。

コミュニケーションを円滑にする目的

職場におけるコミュニケーションの円滑化は、主に以下のような目的で行われます。

信頼関係の構築

組織内のコミュニケーションが円滑になると、信頼関係が育まれやすくなります。相手の立場や考えを理解しながら対話を重ねることで、認識のズレや行き違いが生じにくくなるためです。信頼関係が築かれたチームでは、情報共有や連携がスムーズに行われやすくなる点が、大きなメリットといえるでしょう。例えば、率直なやり取りが日常的に行われていれば、困りごとや違和感にいち早く気づくことができ、トラブルの予防にもつながります。また、「安心して話せる」という雰囲気があることで、互いに支援を求めやすくなり、協力関係も前向きに築けるようになると考えられます。

生産性の向上

コミュニケーションが円滑になることで、上司・部下・同僚間の連携が取りやすくなり、日々の業務もスムーズに進行しやすくなります。情報共有の質が高まることで、確認作業や手戻りといった行き違いが減り、生産性の向上につながります。特にリモートワークや部門間の連携が求められる場面では、コミュニケーション能力の重要性が一層高まります。リモート環境では、対面でのやり取りが難しいため、情報の伝達や共有が滞りやすくなります。明確な意思疎通ができないと、業務の進行に支障をきたす可能性があります。部門間での連携においても、コミュニケーションが円滑化することで協力が生まれやすくなります。業務の偏りが解消され、全体で効率的に進められるようになるため、生産性の向上が期待されます。加えて、ノウハウの共有が進むことで、一人ひとりのスキル向上にもつながっていくでしょう。

チームワークの向上

チームで協働する場面では、意見交換やフィードバック、役割分担の際などに、相手の立場を尊重しつつ率直に伝える力が求められます。一人ひとりが安心して発言できる雰囲気が生まれると、メンバー同士の意見交換が活性化し、互いの強みを生かしながら協働できるようになります。その結果、チームとしての一体感や信頼感が高まり、困難な課題にも連携して取り組める体制が整います。
こうしたチームワークの土台は、プロジェクトの成功や生産性の向上にもつながっていきます。

コミュニケーションの種類

コミュニケーションは、その方法に応じていくつかの種類に分けられます。

対話型コミュニケーション

対話型コミュニケーションとは、音声による会話を通じて行うコミュニケーションのことです。
対話型コミュニケーションには、次のような要素が含まれます。

  • 対面での口頭の会話
  • 電話による音声通話
  • ビデオ会議アプリなどを使ったオンライン会話

また、この形式の主なメリットは次のような点にあります。

  • 情報や指示をリアルタイムで共有できる
  • 相手の反応に応じてその場で調整ができる
  • 声のトーンや表情といった非言語要素を加えることで、意図がより正確に伝わる

やり取りを通じて、相手との認識のズレをその場で確認・修正できる点もメリットといえます。ビジネスの現場では、意思決定を迅速に行うためにも、このような即時性のある対話型コミュニケーションが重視されます。

テキスト型コミュニケーション

テキスト型コミュニケーションには、次のような要素が含まれます。

  • メール、手紙
  • ビジネスチャット(Slack、Teamsなど)

この形式の主な利点は以下のとおりです。

  • やり取りの内容が記録として残る
  • 相手の都合に合わせて確認できる
  • 時間をかけて内容を整理してから伝えられる

一方で、表情や声のトーンといった補足情報がないため、意図が正しく伝わりにくい場面もあります。文字だけに頼るテキスト型では、表現の仕方によっては受け手に誤解を与えてしまう難しさがあるでしょう。

非言語(ノンバーバル)コミュニケーション

非言語コミュニケーションとは、言語以外で伝えるコミュニケーションのことです。
具体的には、次のような要素が含まれます。

  • 身振り手振り、姿勢
  • 表情、視線・アイコンタクト
  • 声のトーン、話す速さ、間の取り方

印象や関係性に影響を及ぼすため、対話の際は言語以外の要素にも気を配る必要があります。

ビジュアル型コミュニケーション

ビジュアル型コミュニケーションとは、視覚情報を使って相手に内容を伝えるコミュニケーションのことです。
具体的には、以下のような手段が含まれます。

  • 図解やフローチャート
  • 写真やイラスト

主に、対話やテキストによるコミュニケーションを補完する目的で活用されます。

コミュニケーション能力を構成する要素

コミュニケーション能力は、単なる会話力ではなく、「伝える」「聴く」「読み解く」といった複数のスキルで構成されます。ここでは代表的な4つのスキルを紹介します。

言葉で伝える力

自分の考えや意図を、相手にとって分かりやすく、誤解のないように伝える能力です。論理的な構成や適切な言葉選びにより、情報を正しく伝達することが求められます。

相手の話を聴く力

相手の話を注意深く聴き、内容を正確に理解する能力です。話を遮らずに聴く姿勢や、的確な質問によって相手の意図や背景を引き出す力も含まれます。

非言語で伝える力

表情や態度など、言葉以外の手段で感情や意図を伝える能力です。非言語的な表現を適切に活用することで、メッセージの伝達力が高まります。

相手の伝えたいことを読み解く力

相手の表情や態度、声のトーンなどから、言葉にされていない感情や意図を察知する能力です。相手の立場や状況を理解し、適切に対応するためのスキルです。

コミュニケーション能力が高い人とは

前節で解説した「伝える」「聴く」「読み解く」といった構成要素を、状況に応じて適切に使い分けられる人は、コミュニケーション能力が高いといえます。これらの要素をバランスよく高めることで、コミュニケーションの質が上がり、ビジネスシーンでも円滑な関係づくりがしやすくなります。ここでは、コミュニケーション能力が高い人の特徴を紹介します。

論理的に話を組み立てている

相手に伝わりやすくするために、話の構成を工夫できる人は、コミュニケーション能力が高いといえます。例えば、伝える内容が長くなる場合には、最初に結論を伝えると相手が話の全体像を理解しやすくなります。短時間で本質を伝えられるため、会議や商談などでも重要とされるスキルです。
話の構成をサポートする代表的なフレームワークには、以下のようなものがあります。

項目

PREP法

SDS法

構成

  • 結論:最初に主張を述べる
  • 理由:その理由を説明する
  • 具体例:実例を挙げて裏づける
  • 再主張:再度主張を簡潔に伝える
  • 概要:話す内容の概要を先に伝える
  • 詳細:詳しい説明や背景を補足する
  • まとめ:話の要点を簡潔に再提示する

特徴

「だから私は〇〇すべきだと考えます」という形で、一貫性のある説得力が生まれる

話全体の流れを先に提示することで、聞き手が迷わず理解できる構成

話す順番を工夫することは、相手の理解度を高め、印象に残る伝え方につながります。

聴く力が優れている

コミュニケーション能力が高い人には、「話す力」だけでなく「聴く力」に優れているという特徴もあります。相手の話にしっかり耳を傾け、途中で遮らずに最後まで聴く姿勢は、相手がより話しやすくなり、得られる情報もさらに多くなります。ビジネスシーンにおいては、傾聴力がやり取りの質に影響を与える場面も少なくありません。例えば、顧客との商談ではニーズを丁寧に聞き取ることで要望を把握することができ、より良い提案につながります。

非言語コミュニケーションを意識している

コミュニケーション能力が高い人は、言葉だけでなく、表情や態度、声のトーンといった非言語的な要素にもこまやかな配慮をしています。例えば、穏やかな表情やうなずきは、相手に安心感を与え、スムーズな対話を促すサインとなります。また、話の内容と態度が一致していることで、相手に誠実な印象を与え、信頼関係の構築にもつながります。「何を話すか」だけでなく、「どう伝えるか」にも意識を向けられるかが、コミュニケーション能力の高さを支える重要な要素といえます。

相手に合ったコミュニケーションができる

一方的な伝え方ではなく、相手の性格や状況をふまえた対応ができるのも、コミュニケーション能力が高い人の特徴です。例えば、論理的な話を好む人には理路整然とした説明を、感情に重きを置く人には共感を重視するなど、相手のスタイルに寄り添う姿勢が大切です。このように、相手の特性を意識しながら伝え方を工夫することで、対話の納得感が高まり、意思疎通のズレを減らせます。さらにビジネスの場では、上司・部下・顧客など関わる立場が多様であるため、それぞれに合った対応ができるかどうかが円滑な業務遂行に影響します。

コミュニケーション能力を高める方法

ここからは、コミュニケーション能力を高める具体的な方法を解説していきます。

コミュニケーション能力を高める方法

研修や講座に参加する

コミュニケーション能力は、単なる「話し上手」「聞き上手」という感覚的なものではなく、体系的に学ぶことで身につけられるスキルです。独学で限界を感じた場合や、より高いレベルを目指す場合は、専門家による講座や研修の活用が有効です。特にビジネススキルとしてのコミュニケーション能力を高めたい方には、ロールプレイングやグループワークといった双方向型の研修プログラムがお薦めです。受講者同士の相互フィードバックや講師からのアドバイスを通じて、自分の対話力における課題を把握できる点も、研修や講座を受講するメリットです。

話し方伝え方を工夫する

研修などで学んだ知識やコツは、日々の仕事のなかで意識的に使ってみることが定着への第一歩です。会議やメール対応、面談など、さまざまなシーンで「伝え方」や「言葉選び」を工夫しながら実践を重ねましょう。また、習得したスキルをさらに自分のものにするには、人に教えられるレベルまで高めることも効果的です。経験を積み、内容を理解できたと感じたら、後輩や同僚に共有してみることで、自分自身の理解もより深まります。

積極的に耳を傾ける

積極的な傾聴とは、相手の気持ちや考えを相手の立場に立って理解しようとする姿勢を指します。聴き手には、自分の感情を正直に表現しながらも、相手の話を遮ったり、すぐに否定したりしない配慮が求められます。こうした態度が、安心して話せる雰囲気づくりにつながります。また、5W1Hを意識した質問を通じて話を深掘りすることも、理解を深めるうえで有効です。日頃から「聴くこと」に意識を向け、チーム内でのロールプレイを通じて実践を重ねることで、傾聴の質を高めていくことにつながります。

非言語コミュニケーションに力を入れる

自分では意識していない非言語的な振る舞いが、相手にどのような印象を与えているかを知るには、他者からのフィードバックが有効です。例えば、身振りのクセや表情の硬さなどは、グループでの対話を通じて可視化できます。また、メッセージ内容と態度が一致していないと、信頼を損ねる要因にもなり得ます。日常の会話のなかで、表情や態度が自分の意図と合っているかを意識して確認してみましょう。

相手に合わせたコミュニケーションを意識する

人間関係を良好に保つためには、相手の状況や性格に合わせて伝え方を調整することが求められます。また、近年では相手を尊重したうえで自分の意見を主張する「アサーション」「アサーティブ・コミュニケーション」といった考え方も注目を集めています。

アサーション

アサーションは「自己主張」という意味の英語で、相手も自分も大切にするという姿勢に基づいたコミュニケーションスキルです。アメリカで提唱されたこの考え方は、近年ではストレス軽減やハラスメント対策の観点からも注目されており、職場でも実践が広がっています。アサーションにおける「自己主張」とは、ただ自分の意見を押し通すのではなく、相手の立場を尊重しながら、適切に自分の意見や感情を伝えることを意味します。こうした姿勢があることで、否定されることなく発言しやすい雰囲気が生まれ、心理的安全性のある職場や、風通しの良い人間関係の構築にもつながるでしょう。

コミュニケーション能力が生かせるビジネスシーン

コミュニケーション能力は、業務を円滑に進めるうえで欠かせないスキルです。さまざまなビジネスシーンでその力が発揮されます。

プロジェクトマネジメント

プロジェクトを円滑に進めるには、関係者との情報共有や意思疎通が欠かせません。進捗状況の報告や課題の相談をスムーズに行うためには、相手に伝わりやすい言葉選びや、状況を適切に把握する聴く力が求められます。信頼関係を築きながら、チーム全体の方向性を揃えるうえでも、コミュニケーション能力は重要な役割を果たします。

コーチング

コーチングは、相手の気づきや目標達成に向けた自発的な行動を促すことが目的です。質問の仕方や反応の仕方1つ で、相手の考え方やモチベーションに大きな影響を与える場合があります。一方的に指導するのではなく、相手の話にしっかり耳を傾け、対話のなかから気づきを引き出すことが求められます。特に、傾聴力や相手のスタイルに寄り添う姿勢が必要といえます。

プレゼンテーション

自分が伝えたい情報を魅力的かつ分かりやすく聞き手に伝えるためには、高いコミュニケーション能力が求められます。論理的な構成に加え、表情や声のトーンなど非言語の工夫も必要です。聞き手の反応を意識しながら進めることで、より説得力のあるプレゼンテーションにつながります。

ディベート

意見が異なる相手と議論を進めるディベートでは、相手の主張を理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力が求められます。冷静に対話を進めることや、柔軟に意見を受け止める姿勢も大切です。相手とのやり取りを通じて互いに理解を深めようとする意識が、健全な議論の進行を促進します。

まとめ

コミュニケーション能力は、ビジネスのあらゆる場面で重要なスキルです。言葉だけでなく、非言語の要素や相手に合わせた工夫を取り入れることで、業務の効率化につながります。日々の実践や研修など、自分に合った方法で少しずつ磨いていくことが大切です。

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