用語集
チームビルディングとは? 目的や手法、実践できる具体例を解説
- 公開日:2024/02/15
- 更新日:2024/11/05
チームビルディングとは?
チームビルディングとは、所属するメンバーが「自らの力を最大限に発揮しつつ」目標を達成できるようなチームをつくる取り組みを指す言葉です。
人材一人ひとりの個性や強みを尊重し、伸ばすことのできるチームビルディングは、価値観の多様化に対応する新たなアプローチとして多くの企業で導入されています。
チームワークとの違い
チームビルディングと似た言葉である「チームワーク」は、目標の達成に向けたチームのまとまりのことを意味します。
一方で、チームビルディングはチームワークの向上や個々のメンバーの成長に向けて良いチームをつくっていく取り組みのことを指します。チームビルディングに取り組むことは、メンバーの成長をはじめとした、さらなる付加価値の創出にもつながります。
チームビルディングの目的・メリット
企業では、チームビルディングは主に以下のような目的で実施されます。
ビジョンの定着
チームビルディングに成功した組織では、すべてのメンバーがチームとしての目的を深く理解し、その達成に向けて一体感を持って行動できるようになります。
そのためチームビルディングは、従業員に組織のビジョン(将来像)を強く意識させる目的で用いられることがあります。
適材適所な人材配置
能力や個性の尊重を後押しするチームビルディングには、チーム内のコミュニケーションを活発にする効果もあります。
コミュニケーションを通じてメンバー間の相互理解が深まれば、一人ひとりの強みや苦手分野がはっきりと分かり、人材の配置もより的確に行えるようになるでしょう。
心理的安全性の確保
チームビルディングによって従業員間のやり取りが盛んになると、チーム内には「ここでなら何でも相談できる」という安心感(心理的安全性)が形成されます。
その結果、意見交換はさらに活発になり、気づきや問題点を気軽に指摘できることで問題解決力の向上が期待できます。
組織のパフォーマンス向上
チームビルディングが目指す「誰もが実力を発揮できる環境の実現」は、パフォーマンスの向上や新たなイノベーションの創出にもつながります。
例えば、自分の持つスキルを周囲が認めてくれるチームでなら、メンバーはより高いモチベーションで業務に取り組めるようになり、新たなアイディアも生まれやすくなるでしょう。
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エンゲージメントとは
チームの連携強化
従業員同士の意思疎通が円滑なチームでは、おのずと業務における協力関係も強固なものとなっていくでしょう。こうして培われた連携は、チームの課題の解決やトラブルの回避に大きな効果を発揮します。
マインドセットの形成
チームで1つの目標を達成するうえでは、ものの見方や考え方といった「マインドセット」をチーム内で共有することも大切です。特に、「このチームで目標を達成したい」というマインドセットの形成は、チームの粘り強さを高めるうえで非常に効果的です。
新入社員・若手社員・中途社員の育成
従業員同士の教え合いや意見交換が盛んなチームでは、新たに加わった従業員も早くから多くのノウハウを吸収できます。また、チームビルディングにより現時点の実力をフルに発揮できるようになれば、既存のスキルもさらに磨かれていくはずです。
リーダーの育成
チームビルディングを主導するリーダーは、メンバーの管理や調整などさまざまな役割を担うこととなります。そのため、チームビルディングは人材に幅広い経験を積ませ、優れたリーダーを育てる取り組みとしても優れています。
チームビルディングの5段階プロセス(タックマンモデル)
実施すべきチームビルディングの内容は、チームの状態によっても大きく異なります。
プロセス1. 形成期(Forming)
「形成期」とは今まさにチームが誕生し、これから活動をスタートしようとしている段階です。この段階では、まずはチーム内の関係性の確立を進めつつ、各メンバーに向けてビジョンをしっかりと浸透させることに努めてください。
プロセス2. 混乱期(Storming)
活動を開始して間もないチームでは、時折メンバー間で意見の衝突が見られるようになりますが、これは「混乱期」というチームの発展に欠かせないプロセスです。
とはいえ、意見が食い違ったままでは業務にも支障が出るため、従業員同士がじっくりと話し合い、互いを理解できるような機会を設けることが大切です。
プロセス3. 統一期(Norming)
混乱期が終わると、チームは落ち着いた状態である「統一期」へと移行します。統一期にあるチームでは前向きなコミュニケーションが展開され、業務も安定的に進められます。
また、統一期はチームビルディングの要である「個人の能力の発揮」を目的とした取り組みに適した時期でもあるため、それぞれのメンバーに積極的に活躍の場を与えていきましょう。
プロセス4. 機能期(Performing)
目的達成に向けた活動と個々のメンバーの活躍を両立できるようになれば、チームは1つの完成を迎えたといえるでしょう。こうした「機能期」には、メンタルケアや働きやすさの向上といった、優れたパフォーマンスを長く維持するための取り組みが求められます。
プロセス5. 散会期(Adjourning)
目標の達成や業務の完了により、チームはいつか必ず「散会期」を迎えてその役目を終えます。とはいえ、チームビルディングによって育まれた能力や経験は、その後のメンバーの活躍において大きな糧となるはずです。
チームビルディングの効果を高めるポイント
チームビルディングを実施する際は、以下のようなポイントを意識することでその効果をさらに高められます。
さまざまな価値観を受け入れる
チームビルディングを開始する際にまず意識しておきたいのは、チームはあらゆる価値観を持つ従業員によって構成されているという点です。
コミュニケーションにあたっては従業員の意見をなるべく否定せず、誰もが発言しやすい雰囲気をつくることを心がけましょう。
チームの具体的な目標を設定する
1つの組織としてチームが団結するうえでは、全員で共有できる目標の存在が不可欠です。目標を定める際は、なるべく具体的かつ分かりやすい内容にすることをおすすめします。
メンバーの役割を明確にする
従業員が自らの力を最大限に発揮するためには、自分の担当分野に専念できる環境が必要です。役割を割り振る際には、それぞれの分担を明確にすることも忘れてはなりません。
メンバーの意見を尊重し、対立を恐れずに議論する
チームビルディングでは互いを尊重し合う精神が重要ですが、相手に配慮するあまり意見を言えないようでは良いチームは生まれません。問題を見過ごさないためにも、指摘すべき内容はしっかりと指摘し、チーム全体で共有できるような環境を整えることが大切です。
チームビルディングを実践できる具体例
具体的なチームビルディングの方法としては、以下のような取り組みが挙げられます。
心理的安全性を高める環境づくり
メンバーが安心して発言できる環境の確保は、チームビルディングの基本と言える取り組みです。例えば、チームでの話し合いに「お互いの発言を否定せず、一度受け止める」といったルールを設けるだけでも、心理的安全性は如実に向上するはずです。
価値観の共有を図るイベント
チーム内での価値観の共有を進めたい場合には、楽しみながらお互いを知れるイベントの実施も有効です。バーベキューや観光旅行といったイベントをチームで行えば、メンバーの結束は大幅に高まることでしょう。
主体性を促すワークショップ
ワークショップとは、何らかの制作や課題に複数人で一緒に取り組む形式の活動です。主に、参加者の協調性や主体性を育むといった効果が期待できます。
信頼関係を築く1on1
近年では従業員の意欲向上などを目的として、部下と上司が一対一で向き合う「1on1」と呼ばれる面談を導入する企業が増えています。信頼関係の構築につながる1on1は、チームビルディングの一環としても適した取り組みです。
相互理解を深めるゲーム
メンバー間の相互理解を深めるチームビルディングには、集団で行うゲームがよく用いられます。ゲームでは複数の参加者が同じルールのもとで行動するため、メンバーごとの考え方や価値観の違いが如実に表れるのです。
団結力を高めるアクティビティ
体を動かすアクティビティには、参加者同士のコミュニケーションを活発化し、チームワークを育む効果があります。特に社外で取り組むアクティビティは、日常と異なる環境のなかで開放的な気持ちになりやすいことから、親睦を深めるきっかけとして最適です。具体的なアクティビティの例としては、各種スポーツやツリークライミング、登山、カーリング、ラフティングなどが挙げられます。
リモートワーク下のコミュニケーション
コロナ禍以降はリモートワークの増加により、社員同士が別々の空間で業務にあたることも増えています。お互いの交流が少ないとチームビルディングも難しくなりやすいため、オンラインワークショップやバーチャルオフィスなど、リモートワーク下でもコミュニケーションを取りやすい仕組みを導入するとよいでしょう。
チームビルディングに取り入れたいゲームの例
チームビルディングの手法としてゲームを取り入れたい場合には、以下のようなゲームがおすすめです。
アセンブリーゲーム
アセンブリーゲームとは、配られたパーツをもとに、チーム全員がそれぞれ同じ形・同じ大きさのものを組み立てるゲームです。その目的は、自分や他人の行動の傾向、協力のためのヒントなどを見つけ出すことにあります。
コンセンサスゲーム
コンセンサスゲームではある課題について、グループ全員が納得する回答を模索します。正解がある課題の場合は集団行動の有効性の再確認、正解がない課題の場合は互いの価値観や考え方の相違に気づくことが主な目的です。
ブロックゲーム
ブロックを使ってモデルと同じものを組み立てるブロックゲームは、効率的な業務の進め方や協働のポイントを見つけることを目的としています。
NASAゲーム
NASAゲームは、アメリカの社会心理学者ジェイ・ホールが考案したコンセンサスゲームの一種です。このゲームでは「月面に不時着してしまった宇宙飛行士」になりきって、200マイル先に待機している母船になんとかたどり着かなければなりません。そこで生存率をあげるために、大破した宇宙船から見つかった15個のアイテムの優先順位を決めます。最初は各自で、最終的にはチームで15個のアイテムの優先順位を決め、NASAの模範解答により近い答えを導き出したグループが勝利です。皆で1つの結論を導くために意見を言い合うことから、楽しみながらチームの仲を深めることができます。
マシュマロチャレンジ
マシュマロチャレンジは、20本の乾燥パスタと1つのマシュマロを使って、より高いタワーを作るゲームです。タワーは自立可能なもので、かつ頂上にマシュマロを置く必要があります。「どのチームよりも高いタワーを作る」という共通の目標を通して、PDCAやコミュニケーションの大切さを学ぶことができるゲームです。
チームビルディングを実施する際の注意点
チームビルディングは現状のチームのパフォーマンスをよりよくするための取り組みですが、以下の3点に注意が必要です。
適切な目標設定を行う
チームビルディングを意識したい時は、チームの目標を設定する際に「皆にとってちょうどよい難易度」にすることが大切です。「自分の能力では達成できないのではないか」とメンバーを焦らせるような難題や一方的なビジョンを上から押しつけてしまうと、チームとしての一体感が育ちにくくなってしまいます。
メンバーと相談して役割を決める
目標設定の時の注意点と同様ですが、チームに何らかの役割を割り振る際も、リーダーが一方的に決めるのではなく、メンバーと相談しながら決めましょう。メンバーの意見を取り入れずにリーダーが役割を決めてしまうと「やらされ仕事」になりやすく、チームへの貢献意識も低くなりがちです。
適性に合わせたチーム編成を行う
チームビルディングを行う際の基本的な注意点としては、メンバーの適性や相性を考慮してチームを組むことが挙げられます。チームビルディングは確かにチームワークを高める手法ですが、グループワークがもともと好きではない人には効果が薄いほか、個々の極端な能力差や不和を完全にカバーするほどの効果は期待できません。一人ひとりの適性や相性を踏まえたチームを組むことで、チームビルディングの難度を下げることができるでしょう。
まとめ
人材一人ひとりの個性や強みを最大限に伸ばすことができる、チームビルディングの概要や実践方法についてご紹介しました。
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