人材育成・研修・マネジメント用語集GLOSSARY

心理的安全性とは

「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。

心理的安全性が高い状況であれば、質問やアイディアを提案しても受け止めてもらえると信じることができ、思いついたアイディアや考えを率直に発言することができます。
例えば、旧来の手法への提言や革新的なアイディアについてオープンに話し合える雰囲気がある組織は、心理的安全性が高いといえるでしょう。
Googleが「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果を発表したことから注目されており、心理的安全性を高めることで個人や組織の効果的な学習や革新につながると期待されています。

心理的安全性が注目された背景

心理的安全性が注目された背景
ジョン・ボウルビィの「愛着理論」など心理的安全性に似た概念は古くから存在していました。
しかし、2016年にGoogleが「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果を発表したことから、一気に注目を集めるようになりました。

Googleは2012年から約4年間をかけて、成功し続けるチームに必要な条件を探る「プロジェクト・アリストテレス」を実施。社内の数百に及ぶチームを分析対象とし、より生産性の高い働き方をしているのはどのようなチームなのか調査しました。
その結果、「心理的安全性の高いチームのメンバーは、離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイディアをうまく利用でき、収益性が高く、マネジャーから評価される機会が2倍多い」ということが判明したのです。

心理的安全性が低い職場で起こる問題とは

それでは反対に、心理的安全性が低い職場ではどのような問題が考えられるのでしょうか。
エドモンドソンがスピーチフォーラム「TED」で紹介した「心理的安全性を損なう要因と特徴行動」について見てみましょう。

■エドモンドソンの「4つの心理的安全性を損なう要因と特徴行動」

心理的安全性が低くなる原因として、4つの不安があります。

(1)無知だと思われる不安(Ignorant)
質問や確認をしたくても「こんなことも知らないのかと思われないか」と不安になり、その結果、気になることがあっても質問しづらくなってしまいます。

(2)無能だと思われる不安(Incompetent)
ミスや失敗した時に「仕事ができないと思われるのでは」と不安になり、自分の失敗や弱点を認めなかったり、ミスを報告しなかったりするようになります。

(3)邪魔をしていると思われる不安(Intrusive)
自分が発言することで「話の邪魔をしていると思われないか」不安になり、提案や発言をしなくなっていきます。

(4)ネガティブだと思われる不安(Negative)
改善を提案したくても「他の人の意見を批判していると否定的に捉えられるのでは」と不安になり、現状の批判をしなくなったり、意見があっても言わなくなったりします。

心理的安全性がもたらすメリット

心理的安全性がもたらすメリット
心理的安全性が高まることで、職場には多くのメリットがもたらされます。

■パフォーマンスが向上し、業績や成果につながる

心理的安全性が高いと、安心して仕事に集中できる環境になります。その結果、個人のパフォーマンスが向上し、仕事の効率や業績向上につながります。積極的に議論し、納得した上で目標に向かうので、目標達成のスピードも速くなるでしょう。

■コミュニケーションが活発になる

不安を感じて発言を控えることがなくなるため、個人間のコミュニケーションが活発になります。
コミュニケーションが円滑になると、メンバー同士での情報交換がスムーズになります。失敗や不正などのネガティブな情報も集まりやすくなるので、早い段階で気づいてすぐに対応が可能です。

また、どのような意見でも受け入れてもらえるという安心感があれば、創造的なアイディアや既存の考えを覆すような発想が出やすくなります。結果として現状を良くするための提言が積極的に行われるため、イノベーションが促進されます。

■エンゲージメントが高まる

心理的に安全な職場では自分の能力を生かせるため組織への愛着心が深まり、エンゲージメントが高まります。離職率も低くなるため、優秀な人材の流出を防ぐ効果も期待できるでしょう。

チームの心理的安全性を高める5つの方法

これからのリーダーには心理的安全性を高める力が求められています。そこで、職場での心理的安全性を高める方法を5つご紹介します。

(1)心理的安全性を体験できる仕組みをつくる
発言することに自体に慣れていないと、職場で自由に発言することは難しいかもしれません。そこで、1on1で上司と話す時間や部署を超えてメンバーが集まりディスカッションの場がある勉強会などを設定し、安心して雑談や対話を繰り返せる機会をつくります。業務から少し離れた場所で心理的安全性を体験することで、発言することへの不安を徐々に取り除くことができます。

(2)特定の人に偏らず発言できるようにする
自由に意見を言い合っているように見えても、一部のメンバーだけがいつも発言している場合があります。
一人ひとりが発言できているかどうかをチェックし、立場の弱い人や新しく入った人などへ意識的に発言を促すことが大切です。

(3)何のために発言するのか共通した価値観を持つ
役職や年齢に関係なく意見を伝えられる風通しの良い組織にすることは、トップダウンが多い日本の会社では難しく感じられるかもしれません。言いたいことを言うのはお客様のため」、「良い商品を作るため」であるという価値観を共有すると、チームに一体感が出て意見が言いやすくなるでしょう。

(4)アサーティブ・コミュニケーションを心掛ける
アサーティブ・コミュニケーションとは、相手を尊重しながら対等に自分の要望や感情を伝えるコミュニケーション方法です。アサーティブネスやアサーションとも呼ばれます。
アサーティブなコミュニケーション技術を学ぶことにより、要求や気持ちを適切に表現できるようになるため、心理的安全性を高めるのに役立ちます。

(5)飲み会や食事会を実施する
職場以外の場所で交流することによってリラックスした状態になり、心理的安全性が高まりやすくなります。
他の方法を実践する前に、まずは飲み会や食事会の時間で心理的安全性を高める方法を試してみるのも良いでしょう。大勢での会食が難しい場合には、2〜3人などの少人数での食事でも実践の価値はあります。

心理的安全性を高める5つの方法をご紹介しました。「心理的安全性によって責任を持たずに発言したり、言いたい放題になったりするのでは」と、心配する方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、間違えてはいけないのは、「心理的安全性は馴れ合いではない」という点です。職場での問題解決やイノベーションのための手段として心理的安全性を高めていくことを意識しましょう。

心理的安全性を高める方法については下記のコラムでも詳しくご紹介しています。
●心理的安全性を高め対等な対話でチームの活力を引き出す

上司と部下の信頼関係を築き心理的安全性を高める

職場で気兼ねなく話すためには、上司と部下の信頼関係を築くことが大切です。上司から対話の機会を増やし、アサーティブなコミュニケーションを意識して話すことが重要です。

「親しみやすさを心掛ける」「失敗や間違いは自分にもあることを部下へ積極的に伝える」「伝えたい内容を具体的な言葉を使って話す」など、普段の言動から少しずつ実践してみてはいかがでしょうか。コミュニケーションの方法を変えることが信頼関係につながり、心理的安全性のある職場へと変わっていく手助けになるでしょう。
アサーティブネスについては下記のコラムでも詳しくご紹介しています。
●アサーティブネスで心理的安全性を形成する

おわりに

心理的安全性が高い職場は、会社と働くメンバーの両方に多くのメリットがあります。1on1や勉強会、アサーティブ・コミュニケーションなど取り組みやすい方法から始めて、誰もが安心して自由に発言できる心理的安全性が高い職場を目指してみませんか。

心理的安全性についてこちらでもご案内しています。ぜひこちらもご覧ください。

●なぜGoogleは本音で語る文化を重視するのか
Google合同会社人事部長 谷本美穂氏に伺ったお話を紹介しています。

●RMS Message vol.48

上記では「組織の成果や学びにつながる心理的安全性のあり方」を取り上げています。

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