用語集
コンピテンシーとは? 意味や活用するメリット、評価の導入方法を解説
- 公開日:2014/02/27
- 更新日:2024/11/05
コンピテンシーとは、仕事で高いパフォーマンスを発揮する人物に共通している行動特性を指します。本記事では、コンピテンシーを人材育成や採用面接に活用するメリットや、導入方法を詳しく解説します。
コンピテンシーとは
コンピテンシーとは「高い成果を出す人に共通する行動特性」を指す言葉です。もともと英語で「能力」「資格」「適性」などを意味しています。ただし能力や資格そのものというより、例えば「顧客が求めるサービスを正しく理解する」「リーダーとしてメンバーの力を引き出す」といった、成果につながる行動の特徴を指します。
コンピテンシーが企業で使われるのは、主に人材育成や人事評価、採用面接などの場面です。優秀な人の考え方や仕事に対する姿勢など、行動の特徴を言語化することで、自社が本当に必要とする人材像が見えてきます。その結果を活用することで、効率的な人材育成や公正な人事評価が可能となります。
スキルとの違い
スキルとは、訓練などで身につけた専門的能力や技術のことです。語学スキルやITスキルといった能力や技術そのものを指し、可視化しやすいのが特徴です。一方コンピテンシーは、身につけた能力や技能を発揮する力を指し、可視化しにくい要素も多く含んでいます。
アビリティとの違い
アビリティとは、先天的に持っている才能や、後天的に身につけた能力です。スキルと同様、能力そのものを指します。一方コンピテンシーは、能力を成果につなげるための幅広い要素を指します。「成果を出すための総合的な能力」といってもよいでしょう。
ケイパビリティとの違い
ケイパビリティは、個人だけでなく、組織全体の能力を指すときにも使われる言葉です。業務を進めるうえで重要な能力のことで、デザイン性や効率性などがケイパビリティに当たります。一方コンピテンシーは、個人の能力や行動に焦点を合わせた概念です。
コア・コンピタンスとの違い
コア・コンピタンスとは、他社が真似できない企業の核となる能力や強みのことで、組織全体に焦点を合わせた言葉です。一方コンピテンシーは、あくまで個人の行動特性を表しています。
コンピテンシーが注目される背景・歴史
コンピテンシーは、1990年代頃にアメリカのビジネスシーンで活用されはじめた概念です。もともとは心理学用語でしたが、ハーバード大学の教授が行った調査がきっかけで、人事用語として広まりました。その調査では、採用テストの結果と採用後の実績には、あまり相関関係がないことが明らかになったのです。加えて、高い業績を出す人物には共通する行動特性〈コンピテンシー〉があることが分かり、そこからコンピテンシーは人事領域で活用されるようになりました。
コンピテンシーが日本で注目されるようになったのは1990年代頃です。バブル経済が崩壊し、多くの企業が年功序列から成果主義へシフト。明確な客観性と公平性を持つ評価基準として、コンピテンシーを取り入れました。近年は人手不足を背景に、再びコンピテンシーに注目が集まっています。組織の生産性を高めるためには、今いる従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化することが重要です。コンピテンシーは、効率的な人材育成や人事評価を可能にする手段として重視されているといえます。
コンピテンシーを活用するメリット
人事領域においてコンピテンシーを活用することで、多くのメリットがあります。具体的にご説明しましょう。
明確な基準による人事評価が可能になる
評価にコンピテンシーを活用することで、評価者の主観によるブレが生じにくくなり、公正な人事評価ができます。社内で高い成果をあげている社員の行動が評価基準となるため、評価対象者も納得感を得やすいでしょう。
自社に合った人材採用につながる
採用基準が曖昧だと、期待以上の活躍がのぞめなかったり、早期離職につながったりと採用ミスマッチが起こりやすくなります。コンピテンシーを活用すれば、採用基準が明確になり、自社で成果をあげることのできる人材の採用率も上がるでしょう。
効率的な人材育成が可能になる
コンピテンシーを活用することで、自社で必要とする人材の解像度が上がります。人材育成の方向性や従業員の改善点が見え、適切な育成プログラムや研修が設計できます。効率的に従業員を成長させることができるでしょう。
企業としての生産性が向上する
自社に合った人材採用と効率的な人材育成は、結果的に企業全体の生産性向上につながります。従業員にとっても、評価基準が明確になることで具体的な目標を持つことができます。成長の機会を的確に与えられることで、モチベーションも高まるでしょう。
コンピテンシー評価の導入方法
コンピテンシー評価とは、コンピテンシーをもとに評価基準を設定し、人事評価を行うことです。高い成果につながる行動特性を言語化し、明確な基準を作ることで、客観的な評価ができるようになります。
ヒアリング・インタビュー
コンピテンシー評価を行うには、具体的な項目を作成する必要があります。コンピテンシー項目は、業種や職種、ポジションなどにより異なり、決まったフォーマットはありません。そこでまずは自社のハイパフォーマーにヒアリングやインタビューを行い、その行動特性を調査・分析しましょう。
コンピテンシー項目の抽出
ハイパフォーマーから集めた行動特性から、実際に評価基準に組み込むコンピテンシー項目を抽出します。その際、自社が必要とする人物像をモデル化すると抽出しやすいでしょう。モデルには、自社の理想的な人物像にもとづいた「理想型モデル」、自社にいるハイパフォーマーにもとづいた「実在型モデル」、両方のよいところを取り入れた「ハイブリッド型モデル」があります。
企業理念とのすり合わせ
コンピテンシー項目が企業理念とかけ離れていると、企業としての一貫性を保つことが難しくなります。コンピテンシー項目を抽出したら、企業理念とすり合わせてチェックしましょう。
企業理念とのすり合わせには、ミッション・ビジョン・バリューの理解が重要です。こちらは下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
コンピテンシー項目のレベル設定
人事評価の際は、コンピテンシー項目ごとに従業員の達成具合を確認します。達成具合を測りやすくするために、項目ごとにレベル分けをしましょう。従業員にとっても、どのくらい評価されているか理解しやすくなります。
内容を評価・改善する
人事評価を実施し、従業員の達成度を評価します。評価は従業員の自己評価をはじめ、上司や同僚など複数の立場から評価を行う「360度評価」が有効です。従業員の達成度に合わせて、次の目標や改善点などを出しましょう。
コンピテンシーを採用面接で確認する
採用面接で、候補者にコンピテンシーが備わっているか確認することを「コンピテンシー面接」と呼びます。候補者の過去の行動や問題を解決したエピソードから、自社で活躍できる能力や適性があるかどうかを見極める方法です。
コンピテンシーを採用面接で確認するメリット
続いて、コンピテンシーを採用面接で確認するメリットを紹介します。
自社に合った人材を採用できる
コンピテンシー面接では、経験やスキルだけでなく、人柄や仕事観なども含めた総合的な評価をすることができます。企業理念に沿ったコンピテンシーを設定しておくことで、自社にマッチした人材を採用することができるでしょう。
面接官による評価の偏りを防げる
採用基準が曖昧だと、面接官の主観によって評価がブレてしまう可能性があります。しかしコンピテンシーを活用することで採用基準が明確になるため、感覚や印象に左右されにくくなります。面接官が複数いる場合でも、評価のバラつきを抑えることができるでしょう。
コンピテンシーを採用面接で確認するデメリット
コンピテンシーを採用面接で確認することには、デメリットもあります。以下2点ご紹介します。
コンピテンシー項目を決めるのに時間がかかる
コンピテンシー項目は企業ごとに設定する必要があります。部署や役割によって異なる場合もあるでしょう。設定する際にハイパフォーマーへのインタビューなどが必要となるため、時間を要します。
定期的に見直す必要がある
一度設定したコンピテンシーモデルを使い続けていると、「いつのまにか時代に合わなくなっていた」という状況も出てきます。コンピテンシー項目は、時代の変化や自社の状況に応じて定期的に見直し、更新を繰り返す必要があります。
まとめ
コンピテンシーを活用することで、人材育成や人事評価においてさまざまなメリットがあります。特に人事評価は従業員のモチベーションに直結するため、公正さや客観性といった「評価の質」を高めることが重要です。弊社では人事評価者向けに、さまざまなサービスを用意しています。下記の研修では評価制度の基本や運用上のポイントを学びながら、マネジメント力を高めることができます。
また下記のサービスでは、自社独自の質問項目を用いて360度評価を行います。コンピテンシーやバリュー行動の発揮度測定、浸透促進などに活用が可能です。経験豊富な専門コンサルタントが目的に応じて最適な項目を設計し、結果の分析やフォロー施策までトータルサポートいたします。ぜひ、ご活用ください。
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