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OJTとは? メリット・デメリットやOFF-JTとの違いを解説
- 公開日:2018/09/23
- 更新日:2025/04/14
新入社員の育成に欠かせないOJT(On-the-Job Training)ですが、効果的に実施するには適切な指導方法や課題の把握が重要です。即戦力の育成に役立つ一方で、OJTリーダーのスキルや環境によって成果が左右されることもあります。本記事では、OJTとOFF-JTの違いやメリット・デメリット、成功のポイントについて詳しく解説します。
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OJTとは? 意味や目的を解説
OJTとはOn-the-Job Trainingの略称であり、日常の仕事を通じて必要な知識・技術・技能・態度などを身につけられるよう、意図的・計画的に指導することを指します。企業内で行われる能力開発方法の1つであり、主として新入社員や若手を対象に制度化している企業が多いです。
OJTの目的は、新人の定着と戦力化の促進や早期離職の防止、OJTを担う若手~中堅社員やマネジャーの育成、共に学ぶ育成風土の醸成などが挙げられます。OJTは上司や先輩社員が指導役となり、基本的にマンツーマンで行います。上司や先輩社員がサポートしながら実務を行うことで、スキルやノウハウを着実に身につけることが可能です。業務への自信をつけることで、新入社員が抱える不安をいち早く払拭したり、職場への定着を促進したりすることも期待できます。
OJTとOFF-JTとの違いとは

OJTと似た言葉に「OFF-JT」があります。OFF-JTはOff-the-Job Trainingの略称です。
簡単にいうとOJTは「職場内」、OFF-JTは「職場外」のトレーニングです。OJTでは現場の上司や先輩社員がついて、社内の実務を通して知識やスキルを身につけます。一方OFF-JTは、研修会場やオンラインなど職場から離れた環境で、外部の講師から学ぶのが一般的です。職能別・階層別研修や講習会、セミナーなどがOFF-JTに当たります。
OJTの特徴 | OFF-JTの特徴 |
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OFF-JTについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
Off-JTとは
OJTを実施するメリット
OJTを行うことは、新入社員や指導役のOJTリーダーにもメリットがあります。
即戦力としての育成ができる
OJTは上司や先輩社員の指導のもと、実際の仕事に携わりながら行います。そのため座学で学ぶ研修などと比べ、より業務に直結する知識やノウハウを身につけることが可能です。また基本的にマンツーマンで行うため、新入社員の習熟度に合わせて進めることができるのもメリットです。学んだスキルもすぐに実践でき、効率的に即戦力の育成ができるでしょう。
OFF-JTと組み合わせることで相乗効果がある
OJTでは実践的な知識を学べますが、社内の業務に即した知識に偏り、視野が狭まる可能性があります。一方OFF-JT は体系的な知識を集中的にインプットできますが、実際の仕事へのつながりがイメージしづらいことがあります。しかしOJTとOFF-JTを組み合わせることで、実務経験を積みながら、外部から新しい情報や発想を取り入れることができます。OFF-JTで学ぶ内容も、OJTを同時に実施することで活用イメージがわき、定着しやすくなるでしょう。
職場のコミュニケーションを促進する
職場のコミュニケーションを促進するOJTでは、上司や先輩社員が新人社員とじっくり向き合うことになります。小まめなやり取りやサポートをすることで、コミュニケーションが活発になるでしょう。相手の個性や強みも把握しやすいため、良好な人間関係が築きやすくなります。新人社員も職場へ溶け込みやすくなるでしょう。
OJTリーダー自身の成長にもつながる
OJTリーダーを担う社員にとっても、スキルアップにつながります。新人に仕事を教えるためには「業務の目的」や「部署間の流れ」などを整理し、分かりやすく伝える必要があります。教え方を工夫するなかで、自分自身の業務に対する理解が深まり、指導力も向上するでしょう。人材育成やマネジメントについて学ぶ機会にもなります。
OJTしか行わないことのデメリット
OJTのみを行い、他の施策を実施しない場合には以下のようなデメリットもあります。OJTを実施する際は、これらのデメリットを補う施策を同時に行うと良いでしょう。
担当者の能力によってOJTの成果が変わる
OJTの担当者は、現場の上司や先輩社員です。一人ひとりが持つ知識や能力が違うため、育成の成果にバラつきが出るでしょう。また担当者は自身の業務と兼務して指導を行うため、業務量が増え、負担が大きくなる恐れも。その結果、満足のいく成果が出ない可能性もあります。こうした事態を防ぐためには、OJTリーダーをサポートする体制を整えることが大切。「OJTリーダー向けの研修を行う」「教育マニュアルを用意する」などが効果的です。またOJTの育成成果を評価基準に組み込むなどすると、モチベーションアップにもつながるでしょう。
企業全体の理解をするための研修には向いていない
OJTは日々の実務を中心に指導を行うため、それだけでは全体像を把握しにくいというデメリットがあります。そのため企業理念や経営戦略といった、企業全体の価値観・考え方などの理解を深めるには向いていないといえるでしょう。こうした実務以外で必要な知識は、集合研修などを取り入れてカバーするのがお薦めです。
職場の負担が増える
OJTは先輩社員や上司が業務の時間を割いて行うことになります。そのため、新入社員をOJTだけで育成しようとすると誰かが付きっ切りになり、その職場での業務の負担が一時的に増えてしまいます。OFF-JTを併用して育成を行うことで担当者側の負担を減らすことができます。
OJTリーダーに求められる役割

OJTリーダーに求められる役割は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下の4つが挙げられます。
【1】新入社員を一人前に動けるようにする
OJTの目的は、新入社員に仕事の基本を教えて、一人前に業務を遂行できるように育成すること。無計画に行うと時間がかかるため、最初に目標とゴールを明確にすることが大切です。目指すべき姿を明確にし、「どのようなスキルを」「いつまでに習得するか」という育成計画を立てましょう。現場の管理者や人事担当と一緒に作成すると効果的です。
育成計画を立てたら、実際の業務に関する指導を行います。以下のステップを繰り返すとスムーズに進められるでしょう。
- OJTリーダーが実際の業務をやってみせる
- やってみせた業務の意味や背景を説明する
- やってみせた業務を新入社員にやってもらう
- やってもらった業務に対してフィードバックを行う
育成計画は、定期的に進捗状況を確認します。必要に応じて計画の修正や改善を行うことで、着実に新入社員を成長に導くことができるでしょう。
【2】報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を教える
会社はチームプレイであり、自分1人で進めることはできません。他のメンバーとのコミュニケーションが不可欠です。特に会社の仕組みや業務の理解が不十分な新人や後輩の場合、自分1人で業務を進めてしまったり、逆に何も進められなかったりする場面が出てきます。そのため、他のメンバーとスムーズな意思疎通が取れるように、「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」を教えることが重要です。
まずは、報告・連絡・相談のそれぞれの違いを指導しましょう。「報告」は部下が上司へ仕事の経過や結果を伝えること、「連絡」は自分の意見を含めずに情報を関係者へ伝えること、「相談」は迷ったときに同僚、先輩社員、上司から助言をもらうことを指します。
また、新人や後輩にホウレンソウを身につけてもらい、進捗状況をその都度報告させることで、自分の業務を持ちながら指導を行うOJTリーダーの業務負荷を軽減できるという副次的効果も期待できます。ホウレンソウを小まめに行うことで、お互いの距離も縮まります。新入社員が何でも相談できる関係を築くことで、職場にも馴染みやすくなるでしょう。
【3】成長目標を共有するなどして新入社員のやる気を高める
入社したばかりはやる気に満ちあふれていても、次第にやる気を失ってしまい、せっかくの才能を生かせないケースがよくあります。このような状況に陥る原因の1つは、OJTリーダーの指導法です。まだ半人前の新人や後輩が、さまざまな場面で失敗するケースは少なくありません。きちんと話を聞かずに怒ってしまうようでは、相手を萎縮させてしまいます。どんなときでも相手の話をさえぎらずに意見に耳を傾け、相手に主体性を持たせることが大切です。また設定した目標をしっかり共有し、伴走することも大切です。目標達成度を定期的に確認し、励ましながら進めることで、新入社員のやる気も高まるでしょう。
【4】仕事への責任感を持たせる
学生時代は、「まだ学生だから」という理由でバイト先などでも注意されることも少ないです。そのため、学校を卒業して新社会人になったばかりの新入社員のなかには、仕事への責任感が希薄な者もいるでしょう。このような社員に対しては、仕事への責任感を持たせることから指導を始める必要があります。クライアントからの信頼は、約束を守ることの積み重ねによって得られます。納期やアポイントメントといったクライアントとの約束は、確実に守らなくてはなりません。仕事への責任感を持たせるために、約束を守ることの重要性をしっかりと理解させましょう。
OJTの基本的な5ステップ
OJTは、実務を通じて新入社員のスキルを育成する方法ですが、効果的に実施するためには適切な手順が必要です。
マニュアルを用意する
マニュアルは、業務手順や注意点を明文化し、指導の一貫性と効率性を高める役割を果たします。OJT効果的に進めるためには、まずマニュアルを用意しましょう。教わる側が自主的に学習する資料としても活用できます。
やってみせる
OJTの次のステップは、担当者が手本を示すことです。新入社員は業務の流れやコツを視覚的に理解することで、習得しやすくなります。この際、単に作業を見せるのではなく、ポイントを意識しながら実演することが重要です。また、分かりやすい手順で行い、不明点があればその場で質問できる環境を整えることも大切です。
全体像や目的を説明する
次に、業務の意図やポイントを言葉で伝えるステップです。業務の目的や背景を明確に説明することで、新入社員が作業の重要性を理解しやすくなります。また、「なぜこの手順で行うのか」「どのような注意点があるのか」など、具体的なポイントを交えて説明することで、理解を深めることが期待できます。
実際にやってもらう
説明を受けた後、新入社員自身に実際の業務をやってもらうステップです。この際、担当者は近くでサポートし、必要に応じてアドバイスします。はじめはミスすることもありますが、適切なフィードバックをしながら繰り返し実践させることで、スムーズに業務をこなせるようになります。
フィードバックする
最後に、新入社員の実施した業務を評価し、適切なフィードバックを行います。良い点を具体的に伝えることで自信を持たせ、改善点については今後の成長につながるようなアドバイスを行いましょう。また、評価する際には、一方的に指摘するのではなく、本人の振り返りを促すことで、より主体的な成長が期待できます。
OJTリーダーの育成方法
OJTを成功させるためには、適切なリーダーの育成が欠かせません。担当者自身が成長意欲を持ち、部下のスキル向上を支援できるようになることで、効果的なOJTが実現できます。
現場のマネジャーを育成に巻き込む
OJTリーダーの育成において、現場のマネジャーを巻き込むことは、組織全体の成長に直結します。まず、マネジャー自身がOJTの重要性を理解し、積極的に関与する姿勢を示すことが求められます。これにより、現場での実践的な指導が効果的に行われ、OJTリーダーのスキル向上が促進されます。さらに、マネジャーはOJTリーダーとの定期的なコミュニケーションを通じて、フィードバックやサポートを提供し、育成プロセスを強化します。組織としては、マネジャーが育成に参加しやすい環境を整備し、必要なリソースや研修を提供することが重要です。これらの取り組みにより、OJTリーダーの育成が効果的に進み、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
OJT担当者の指導力を高める
OJT担当者の指導力向上は、新人育成の質を高め、組織全体の成長に直結します。効果的な育成方法の1つに、「まねび」を活用した指導があります。これは、担当者が自身の業務遂行や問題解決のプロセスを新人に見せることで、実践的な学びを提供する手法です。さらに、担当者自身の指導スキルを向上させるための研修やトレーニングの実施も重要です。そのため、OJTリーダー向けの研修を実施することが重要です。研修では、育成対象者を理解し、中途入社者が仕事の進め方や社内での対処につまずかないように、新しい組織での仕事の仕方・支援の仕方を学び、ロールプレイを通じて身につけます。これらの取り組みにより、OJT担当者の指導力が高まり、新人の早期戦力化と組織の活性化が促進されます。
育成計画の策定と目線合わせをする
OJTリーダーの効果的な育成には、育成計画の策定と関係者間での目線合わせが不可欠です。まず、組織全体の育成方針や目標を明確にし、それに基づいた具体的な育成計画を立てます。この計画には、育成対象者のスキルや経験に応じた指導内容やスケジュールを盛り込みます。次に、現場のマネジャーやOJT担当者と定期的なミーティングを設け、育成計画の進捗や課題を共有します。これにより、指導方法や目標設定に関する認識のズレを防ぎ、効果的な育成活動を推進できます。
まとめ
OJTを上手に進めることで、即戦力を早期に育成することができ、人材育成にかかるコストも抑えられるでしょう。しかし満足のいく成果を出すには、OJTリーダーのスキルや指導力がカギとなります。新人や後輩の話に耳を傾けずに、自分の考え方を押し付けてしまうOJTリーダーもいます。しかし、そのようなOJTでは、指示待ちの人材しか育ちません。コミュニケーションを通じて、一人ひとりの個性や可能性を引き出す意識を持つようにしましょう。弊社では、新入社員のOJT担当員(OJTリーダー)を対象にした、「OJTリーダースタートアップ/フォローアッププログラム」を提供しております。新人・若手育成を取り巻く環境や、OJTリーダーにお薦めの研修をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
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