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コーチングとは? 意味やビジネスでの役割、習得方法を解説
- 公開日:2014/02/21
- 更新日:2025/11/04
コーチングとは、教えるのではなく、引き出す技術。
対話を通じて個人の主体性や可能性を引き出し、自発的な行動や成長を促します。
ビジネスの現場では個人の能力開発だけでなく、チームの関係性や成果の向上にも大きな効果を発揮します。
本記事では、コーチングの基本的な意味や役割、習得方法について分かりやすく解説します。
メンバーの力を最大限に引き出すためのヒントとして、ぜひご活用ください。
コーチングとは
コーチングとは、対話を通じて対象者が目標達成に必要なスキルや考え方を身につけられるよう支援するプロセスです。
コーチは、対象者自身の主体性と潜在能力を最大限に引き出し、自ら考えて行動を選択できるようサポートすることで、目標達成やパフォーマンス向上が期待できます。
コーチングとティーチングの違いとは?

コーチングは、ティーチングと対比して用いられる育成手法です。ここでは、コーチングとティーチングの違いについて詳しくご説明します。
ティーチングとは
ティーチングは英単語の「teaching」の「教える、指南する」という意味のとおりの手法で、あらかじめ用意された答えを対象者へ教えることを指します。
教育を受ける側が知識を持っておらず、まずは基本的な知識や手段を習得する必要がある場合に、ティーチングの手法が有効となります。
コーチングとティーチングの大きな違い
先に述べたとおり、ティーチングは知識や方法を「教える」ことです。
それに対しコーチングは、教えられる側に自分で考えることを促し、答えを「引き出す」ことといえます。
指導者はすでにある答えを覚えさせることではなく、自分で考えて決めた答えに基づく行動を取れるようになってもらうことを意識し、指導にあたることが必要です。
コーチングを行う際は、まず、指導者が対象者と対話しやすい雰囲気をつくります。
その後、対象者が直面している状況がどのようなものかを、和やかに会話しながら聞き出します。対象者の現状を把握したら、指導者は対象者に「望ましい状況」を尋ねます。
次に指導者は、望ましい状況と現状にどのようなギャップがあるかを対象者に確認します。
指導者はそのギャップをどのような方法で克服していくかを考え、対象者に「問い」を投げかけ回答を得ながら具体的な行動立案に落とし込んでいきます。ここで、対象者は自らの目標を自分で立てることができます。
その後、対象者が目標に向かって行動していけるよう、指導者はフォローを行っていきます。
次の機会を設け、対象者に実際に行動を取った後の「振り返り」をしてもらいましょう。
行動した結果、新たに気づいたことや思ったことを聞き、対象者が困難を感じているようならそれについてさらにコーチングを行います。
コーチングによる効果・メリット

コーチングの実施によってもたらされる育成面でのメリットには、以下のようなものが挙げられます。
(1)自分で考えて行動する力が身につく
対象者が自分のなかにある課題に気づき、それを自分の頭で考えて解決する力を発揮できます。
また、コーチングを受けるうちに、自分自身で課題を見つけて行動することが自然と身についていきます。
(2)行動が目標達成につながるかを考える力が身につく
自分が目標に向かって実行していることが達成に結びつくかどうかを考えられるようになります。
そのうえで、今取り組んでいることの見直しの必要性など、この先どう行動すべきかについても自身で決められるようになります。
(3)自分で選択することが継続やモチベーション向上につながる
コーチングでは、コーチの力を借りて、自分のなかにある望ましい状態に注目し、そこへ向かうための道筋も自分で考えていきます。自分の意思で選択した目標や行動なので、高いモチベーションを持って取り組むことができます。
(4)最後まで自分の力でやり遂げようとする姿勢
自主性に基づいた判断ができるようになったことで、自分の力で最後までやり遂げ結果を出そうという意欲や態度につながります。
(5)さまざまな個性や可能性が引き出される
対象者自身も気づいていなかった能力や可能性が、コーチングによって引き出されることもあり得ます。対話を繰り返すことで気づいた対象者の個性が、思いがけない活躍のきっかけとなることもあります。
コーチングを行う際に必要なスキル
指導者として部下などのコーチングを行う際には、以下のようなスキルを身につけておくとよいでしょう。
■傾聴スキル
傾聴とはただ相手の話を聞くことではなく、相手の想いに寄り添い、じっくり話を「聴く」ことです。
話の内容を否定したり善悪の判断をつけたりすることなく、相手の気持ちに共感を示し、深く理解する姿勢が求められます。
今ある事実に加え、それについて対象者がどのように思っているか、どのような課題を感じてそれをどう解決したいかまで、細かく話を聴きましょう。対象者自身が、それらを指導者に聴いてもらったことで目標や行動指針を導き出すヒントを得られます。
■質問スキル
コーチングにおける質問は「問いただす」のではなく、「対象者に気づいてもらう」ために行うものです。実際にする質問においても、「why=なぜ」ではなく「what=何」を意識的に用いるようにしましょう。
例えば「なぜうまくいっていないのか」と尋ねたいときは、「うまくいっていない原因は何だと思うか」と言い換えるとよいでしょう。
■承認スキル
承認スキルとは対象者をまず認め、そして対象者の変化や取った行動に対して評価の意思を示すスキルです。
対象者が何らかの成果をあげた際は具体的な理由を挙げて褒め、対象者のネガティブな変化に気づいた際には叱らず穏便に指摘をしましょう。
指導者が常に対象者の存在を認め、活躍を願っていることを伝えられるコミュニケーションを継続することが大切です。
このコーチングの手法に則って、上司と部下が一対一で対話を行う「1on1ミーティング」を導入する企業が増えています。コーチングも指導者と対象者が個別で対応することが原則のため、1on1ミーティングで行うと効果的です。
コーチングが有効となるケース
ビジネスにコーチングが有効に作用するケースには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、コーチングが役立つ状況についてご紹介します。
■コーチングの対象者にある程度の知識やスキルがある場合
コーチングが有効に作用するための前提として、コーチングを受ける対象者が業務についてある程度の知識やスキルを持っていることが求められます。技術や知識が不十分だと、コーチングを行っても適切な目標設定やアイディアの創出をすることが難しく、その場合はティーチングを中心とした学習で先に知識を身につけることが必要です。
■メンバーと一緒に解決策を求めたい場合
業務において未知の状況に直面したときどう対応すべきかなど、上司だけでは正解を見つけ出すことが困難な課題もあるでしょう。そのような場合、コーチングによってメンバーの力を引き出し、解決策を求めることが有効となります。
また、チーム単位で戦略を考えていく必要がある課題に直面したときも、メンバー全員で戦略を立てていくためにコーチングが役立つことがあります。
■自律性を身につけさせたい場合
コーチングは、対象者自身が考え、決定していく過程を支援するものです。受動的で「指示待ち」になりがちな社員に、自分自身で考えて答えを見つけるプロセスやスキルを身につけてもらう機会として活用することができます。
■今後の展望、将来を考える場合
社員の個性や潜在能力を発掘し、今後のキャリアパスについて考えたい場合にも、じっくり対話しながら達成可能で現実的な目標や行動指針を設定できるコーチングは有用な手段です。
<関連リンク>
【無料動画セミナー】なぜ、部長職にコーチングが有効なのか
コーチングを習得するための方法
コーチングスキルは、企業における人材育成の場でも重要性を増しています。
効率的に習得するためには、研修への参加や本格的に身につけたい場合は資格取得、また、実際に自分自身もコーチングを受けてみることがお薦めです。
それぞれの特徴やメリットを理解し、自分に合った学習方法を選ぶことで、コーチングスキルを着実に高めていけるでしょう。
セミナーや研修で実践的に身につける
コーチングスキルの習得においては、座学だけでなく実践的な経験も重要とされています。
セミナーや研修では、専門家の指導のもと、体系的な理論と現場で生かせるスキルをバランスよく学ぶことができます。
特に体験型のプログラムは、知識の理解だけでなく実践力の向上にも効果的です。
自分の目的に合った研修プログラムを選ぶことで、スキルをより効率的に学べる可能性が高まるでしょう。
コーチングの資格を取得する
コーチングを本格的に学ぶなら、資格取得も1つの手段といえます。
国家資格はないものの、民間団体が発行する認定資格がいくつか存在します。
一般財団法人生涯学習開発財団
日本で初めて導入された一般財団法人生涯学習開発財団の認定コーチ資格は、初心者向けの実践的プログラムが特徴です。
項目 | 内容 |
|---|---|
認定団体 | 一般財団法人 生涯学習開発財団 |
資格名称 | 認定コーチ資格 |
特徴 |
|
一般社団法人日本コーチ連盟(JCF)
一般社団法人日本コーチ連盟(JCF)では、コーチとして活動する資格と、指導者向けの資格の両方が選べます。
資格の種類 | 対象となる方 |
|---|---|
認定コーチ | プロのコーチとして活動したい方向け |
認定コーチング・ファシリテータ | コーチングスキルを組織内で指導・活用したい方向け |
国際コーチング連盟(ICF)
世界最大級のコーチング専門機関であり、その資格は国際的に最も認知されています。
グローバルな舞台での活動を視野に入れる場合に有力な選択肢となります。
国際コーチング連盟(ICF) 資格レベル一覧
資格名称 | 概要 |
|---|---|
アソシエイト・サーティファイド・コーチ(Associate Certified Coach / ACC) | コーチングの基礎的な学習と実践経験を積んだことを証明する、国際資格の第一歩 |
プロフェッショナル・サーティファイド・コーチ | プロとして豊富なコーチング経験を持ち、より深いスキルを体現していることの証明 |
マスター認定コーチ | 国際的に最高水準のスキルと経験を有し、コーチング分野の発展に貢献する卓越したコーチであることの証明 |
いずれも一定のトレーニング履修や経験が必要で、段階的なスキルアップを検討するとよいでしょう。
eラーニングでコーチングスキルを学ぶ
eラーニングは、動画やスライドを活用して視覚的に学べるのが特徴です。
自分のペースで繰り返し学べるため、コーチングの基本的な考え方やスキルを無理なく理解できます。また、テストやワークなどのアウトプット機会を通じて、学んだ知識を定着させやすいのもメリットです。
コーチングを受けて体感する
コーチングを実際に受けることで、その効果やスキルの本質を体感することができます。
プロのコーチによるセッションを通じて、コミュニケーションの流れや相手への関わり方を肌で感じることで、学習の理解を補強しやすくなります。
また、コーチの立場ではなく受け手の視点を経験することで、相手の気持ちに寄り添う感覚や信頼関係の築き方を実感でき、他の学習手段と組み合わせることでスキル定着につなげやすくなります。
おわりに
ルールや知識、やり方を教えるための指導がティーチングなら、コーチングは相手のなかにある答えを引き出すことで行動を促すための指導です。状況に応じて、じっくりとコーチングを行うことが必要な場面もあれば、ティーチングですぐに解決しなければならない場面もあるでしょう。
コーチングが求められる状況においては、指導者は対象者の自主的な課題解決をサポートする意思を持って指導にあたりましょう。
コーチングについては下記の研修で詳しくご紹介しています
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