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導入事例

経営戦略と人材戦略を連動させるため、「HRBP」と「カオナビ」を同時に導入

三菱UFJ信託銀行株式会社

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  • 公開日:2025/09/22
  • 更新日:2025/09/22

事例概要

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背景・課題

私たちは2025年度から、社員約7000人の人事権について、各部門への段階的な移譲を視野に入れた取り組みを進めています。併せて各部門に「HRBP」を配置し、タレントマネジメントシステム「カオナビ」を導入しました。その背景の1つに「人材版伊藤レポート」があります。部門ごとのAs Is-To Beギャップを定期的に把握し、経営戦略と人材戦略を継続的に連動させるためには、中央集権型人事から脱却する必要があるのです。

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検討プロセス・実行施策

タレントマネジメントシステムに関して、自社開発を含めたさまざまな可能性を検討した結果、「現場社員がアクセスしやすい人材データプラットフォーム」が必須であるという結論に達しました。「カオナビ」に決めたのは、直感的に扱いやすく、社員に日常的に活用してもらいやすいと感じたからです。現在は「カオナビ」を活用し、人事・現場・個人の情報集約を進めている最中です。

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成果・今後の取り組み

「カオナビ」は各部門にも社員にもおおむね好評です。また、機能アップデートが想定以上に頻繁な点についても、良い意味で驚いています。今後は、社員個人に得意業務や希望業務なども記載してもらい、人事部のみならず各部門でも社員のキャリア機会を発見・創造できるシステムにしたいと考えています。さらに、個人が自律的にキャリアを形成する「手挙げ文化」を醸成するツールとしても有効だと考えています。

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背景・課題

組織を強くするために、異動・登用・採用・育成などの意思決定を各部門に移譲

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中村:私たち三菱UFJ信託銀行は、2025年度から、社員約7000人の人事権を各部門(リテール部門・法人マーケット部門・受託財産部門・市場部門など)に段階的に移譲しています。2025年度は試行期間で、各部門が主要ポストの異動・登用の原案作成を開始します。

2026年度以降は試行結果を踏まえ、本格的に権限を移譲し、異動・登用だけでなく、採用や幹部育成の仕組みづくりなどを各部門が主導することも検討しています。

三菱UFJ信託銀行は、リテール、不動産、証券代行、法人、年金、金法・非営利、資産運用、資産管理、市場運用など広範かつ専門的な事業分野を有し、各分野に知識や経験豊富なスペシャリストを揃えています。信託銀行の業務は極めて多岐にわたり、部門ごとに必要な専門スキルや経験などが大きく異なるのです。そのため、組織を強くするためには各部門に人事権を移譲し、採用・育成・異動・登用などの意思決定を現場に移した方がよいと判断しました。

併せて、私たちは2025年から、各部門に「ヒューマンリソースビジネスパートナー(以下、HRBP)」を配置しました。また、リクルートマネジメントソリューションズの協力を得て、タレントマネジメントシステム「カオナビ」を導入しました。この2つは、部門への人事権移譲に必須の仕組みだと考えています。

君島:人事権移譲の背景の1つに、2020年に公表された「人材版伊藤レポート」があります。人材版伊藤レポートは、人材戦略に求められる3つの視点として、経営戦略と人材戦略の連動、As Is-To Beギャップの定量把握、企業文化への定着を挙げていました。しかし、部門ごとの人材のAs Is-To Beギャップを定期的に把握し、経営戦略と人材戦略を継続的に連動させていくためには、従来の中央集権型人事から脱却する必要があります。このことが、人事権移譲の大きなきっかけの1つとなりました。

中村:また、私たちは人事制度の見直しも進めてきました。2020年度から2024年度にかけて全社人事制度を改定し、ジョブ型人事制度(アクティブファンドマネジャー人事制度、シニアジョブコース、Professional Job人事制度)を段階的に導入したのです。従来のメンバーシップ型と新たなジョブ型の人事制度を併用して、キャリアパスを多様化し、社員が選択できるキャリアの幅を拡大しました。HRBPとタレントマネジメントシステムは、この新人事制度を運用するうえでも必要な仕組みです。

検討プロセス・実行施策

人事権の移譲には「現場社員がアクセスしやすい人材データプラットフォーム」が必須だった

中村:当然ながら、一口に人事権の移譲といっても、会社によって方法はさまざまです。HRBPの役割や所属先なども各社に違いが見られ、タレントマネジメントシステムの導入方法や使用率も異なります。そこで私たちは、他社の先行事例をヒアリングしながら、私たちに最も適した形を定めていきました。

金融機関は、勘定系システムをはじめとしてITシステムを自社開発する傾向があります。タレントマネジメントシステムに関しても、私たちは自社開発を含めてさまざまな可能性を検討しました。その結果、人事権を部門に移譲するためには、「現場社員がアクセスしやすい人材データプラットフォーム」が必須だ、という結論に達しました。社員に実際に活用してもらうことが最も大事だからです。

私たちは現場社員のアクセスしやすさを第一に考え、SaaS(Software as a Service)の活用を決めました。最終的には、リクルートマネジメントソリューションズのコンサルティングを受けながら「カオナビ」を導入する道を選びました。「カオナビ」に決めたのは、直感的に扱いやすく、現場社員に日常的に活用してもらいやすいと感じたからです。

また、「カオナビ×リクルートマネジメントソリューションズ」を選んだ理由は、第一にコンサルタントの導入支援を受けられたからです。第二に、私たちは以前から、リクルートマネジメントソリューションズの経営人材360度評価システム(PRO-MOA)を活用しており、そのデータを「カオナビ」と連動させたいと考えたからです。

2025年から「カオナビ」導入。現在は人事・現場・個人の情報統合を進めている最中

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君島:私たちは2023年に「カオナビ」の導入を決定しました。システムチェックを経て、2024年前半にコンサルタントに伴走してもらいながら基本データを入力し、運用できる状態にしました。2024年後半は、各部門の上層部・HRBPと「カオナビ」を使って何を実現したいかを相談しながら準備を進め、2025年1月に全社に導入しました。

三浦:私が、「カオナビ」の人事側の運用を主に担当しています。基本データ入力の際は、3カ月間、リクルートマネジメントソリューションズのコンサルタントと定期的にミーティングし、一緒になってデータの種類や量、権限設定などの詳細を詰めながら、データ入力を進めました。その後も、不明点などがあればすぐにコンサルタントに連絡するようにしているのですが、いつも迅速に返信してくれて助かっています。

君島:導入から半年ほどが経過し(※取材時は2025年6月)、現在は社員に経歴・趣味・担当業務などの自己紹介を書いてもらっている段階です。また、各部門がExcelなどで管理していた人事関連情報も「カオナビ」への一元化を進めており、現場に順次入力してもらっています。「カオナビ」を活用して、人事・現場・個人の情報集約を進めているのです。

成果・今後の取り組み

「カオナビ」の頻繁な機能アップデートは、想定以上のメリット

君島:現時点では、「カオナビ」は各部門にも社員にもおおむね好評です。「カオナビ」を部門内で運用しているのは各部門のHRBPと企画部署の人事担当ラインですが、彼らからは「アンケート設定が意外と簡単で助かる」「さまざまな切り口で社員を検索できるのが嬉しい」といった声が届いています。彼らは早速、社員のスキル・経験の可視化や、特定の業務経験を有する社員の特定などの際に「カオナビ」の社員検索を使い始めています。今後、採用企画や異動・登用にもどんどん活用してもらいたいと考えています。

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三浦:人事側の運用担当としては、「カオナビ」の機能アップデートが想定以上に頻繁で、新たな機能がどんどん追加されることに良い意味で驚いています。これはSaaSのメリットの1つです。ただ、新機能が増えても、使いこなせなくては意味がありません。

リクルートマネジメントソリューションズには、今後も「カオナビ」の機能アップデートにまつわる追加提案や支援を随時お願いできればと思っています。

中村:また、「カオナビ」は「シングルサインオン(一度の認証で、複数サービスを利用できる仕組み)」が可能で、そのことで便利になったと喜ぶ社員たちの声を多く耳にします。これもSaaSを活用する大きなメリットの1つです。

君島:社員個人については、先ほども話したとおり、「カオナビ」に経歴・趣味・担当業務などの自己紹介を書いてもらっている段階です。社員のなかには、初対面の社員と会う前に「カオナビ」で相手の自己紹介をチェックし、コミュニケーションを円滑にしようとする人も出てきました。今後このような使い方をする社員が増え、社員間の相互理解が深まることを期待しています。また、「カオナビ」で社員情報をオープンにすること自体に、社風の変化を感じ取っている社員も少なくありません。これも嬉しい反響です。

個人が自律的にキャリアを形成する「手挙げ文化」醸成に、「カオナビ」を有効活用

君島:今後は、社員個人に自分の得意業務や希望業務なども記載してもらい、各部門が社員のキャリア機会を発見・創造できるシステムにしたいと考えています。さらに、「カオナビ」を「キャリアチャレンジ制度(自らが希望する部署や他業態にチャレンジできる制度)」の選考などに活用することも積極的に検討しています。

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中村:私たちは、「カオナビ」で社員情報をオープンにすることで、企業風土を変革しようとしています。簡単に言えば、個人が自律的にキャリアを形成する「手挙げ文化」を醸成したいのです。「カオナビ」は、そのためのツールとしても有効だと考えています。

リクルートマネジメントソリューションズには、「カオナビ」のコンサルティングだけでなく、各種コンサルティング相談や人事データ分析など、さまざまな場面で支援してもらってきました。今後も、例えば「カオナビ」の活用方法をHRBPに直接指導してもらったり、「カオナビ」と経営人材360度評価システム(PRO-MOA)の連携活用の仕方を提案してもらったりと、さまざまなことをお願いできたらと思っています。

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ソリューションプランナーの声

中川の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
シニアソリューションプランナー
中川 聖一

私たちソリューションプランナーの仕事は、お客様の今後の事業の方向性やその実現に向けた人材戦略を理解し、未来に向けて何に取り組むべきかという“青写真”を描き、お客様に問いかけ、お客様のより良い意思決定の一助となることだと考えています。

今回の取り組みは、お客様のさらなる事業成長に向けた人事機能・企業文化変革の初手だと思います。今後も、三菱UFJ信託銀行様が目指されている人・組織の姿と現場を正しく捉え、これまで提供してきたアセスメントやトレーニング、HRtechによるソリューションや新たなサービスをより効果的に組み合わせていくことで、三菱UFJ信託銀行様や三菱UFJフィナンシャル・グループ全体で掲げる重点課題である「プロ度追求」や「エンゲージメント向上」などの推進に向けたより実効性の高い支援ができるよう、精進してまいります。

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シニアコンサルタントの声

鈴木の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
シニアコンサルタント
鈴木 玄令

現場で日常的に活用してもらうサービスの選定にあたっては、機能の豊富さよりも、

  • 直感的で使いやすか? 分かりやすいか?
  • 触ってみたいと思えるユーザーインターフェースか?

といった「現場で受け入れてもらえるか」という観点が重要なポイントです。
また、中央集権型人事から脱却するには、部門に適切な権限と情報を与えると共に、現場に主体性を持たせるべく、現場を巻き込みながらプロジェクトを進めることも非常に大事です。三菱UFJ信託銀行様では、この両輪がしっかりしていたことが成功要因であったと感じます。

今後の「手挙げ文化」醸成への展開は非常に興味深く、個人の自律的キャリア形成と組織の人材活用の両立という理想的な姿を実現される可能性を感じます。三菱UFJ信託銀行様の取り組み成果が、日本企業のタレントマネジメント進化のモデルケースとなることを期待しております。

取材日:2025/06/20

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企業紹介

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三菱UFJ信託銀行株式会社

三菱UFJフィナンシャル・グループの中核を担う信託銀行として、リテール、不動産、証券代行、法人、年金、金法・非営利、資産運用、資産管理、市場運用など広範かつ専門的な事業分野を有する。各分野には知識や経験豊富なスペシャリストを揃えて、コンサルティング&ソリューションの機能を個人・法人・機関投資家といったクライアントに提供し、金融インフラを担っている。

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