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導入事例

経営人財育成の第一歩として「経営人財育成研修」を実施。同時期に「2025年委員会」を立ち上げ、現在「変革推進本部」が変革を主導し始めている

フジモトHD株式会社(ピップグループ)

経営人財育成の第一歩として「経営人財育成研修」を実施。同時期に「2025年委員会」を立ち上げ、現在「変革推進本部」が変革を主導し始めている
  • 公開日:2023/02/20
  • 更新日:2024/09/05

事例概要

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背景・課題

経営者の視点で物事を見られる「将来の経営人財」を社内に増やしたい、という想いがあります。営業視点だけでなく投資回収の視点でも考えることができ、そのつど必要な施策を自ら企画・実行できる部長・課長や、ビジネス環境の激しい変化への対応を常に考えて手を打てる部長・課長を多くしたいのです。そのため2013~14年に実施した「経営人財育成研修」をあらためて2021年に行うことを決めました。

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検討プロセス・実行施策

経営人財育成研修の第一のポイントは、最初に受講者全員に「PRO-MOA」を受けてもらい、自分には経営視点がまだまだ足りないと気づいてもらうことです。第二のポイントは、最後に組織・ビジネス変革案や新規事業案を自ら企画し、経営陣に直接プレゼンテーションしてもらうことです。受講前は、大半の受講者は当事者意識が薄いのですが、経営プレゼン時には、誰もが主体的に企画・提案する変化が起きています。

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成果・今後の取り組み

プレゼンテーションを受けた企画のなかで、実際に動き始めているものがあることを評価しています。今後さらに成果が出ることを期待しています。また、この研修と同時期に「2025年委員会」を立ち上げ、現在「変革推進本部」が変革を主導し始めていることが組織的に大きな変化です。経営人財育成研修を3期で終わらせず、今後も継続的に行うことを企画しています。また次のステップも模索している最中です。

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背景・課題

経営視点を持った「将来の経営人財」を増やしたい

藤本:経営人財育成に取り組み始めたのは、2012年頃です。私たちは2010年、ピップフジモトとピップトウキョウの2社を合併しました。2社は元は一つの会社だったのですが、60年以上も別会社になっていたものですから、合併は実に大変でした。これが落ち着いて、2011年の東日本大震災への対応も一段落した2012年頃、次に取り組むのは私や松浦(由治氏・代表取締役副社長)の後継者と、後継者を支える経営人財を育てることだ、とクリアに見えてきたのです。

近藤:そこで、私たちは2012年にいくつかのサービスを検討したうえで、2013~14年に一度、リクルートマネジメントソリューションズの「経営人財育成研修」を実施しました。当時、私はその研修の担当者ではありませんでしたが、完成度が高いと経営陣からも受講者からも評判になっていました。その後、2021年にあらためて経営人財育成を行うことが決まりました。

藤本:2012年も今も、背景にある基本的な課題や想いは同じです。私は、経営者の視点で物事を見られる「将来の経営人財」を社内に増やしたいのです。弊社は卸売業(リテールサポート事業)が主体で、社員の多くが営業職です。役員や部長・課長も、営業職から昇進する者が大勢います。彼らは、どうしても予算達成や売上・利益を中心に考えてしまいがちです。営業の視点で物事を見ることが習性になっているのです。もちろん現場視点もあった方がよいのですが、一方で経営には「投資回収」の視点が欠かせません。今何に投資すべきか、どうやったら投資を回収できるのか、と考えるのは、予算達成を考えるのとはまったく違う頭を使います。目標数字に到達すればよいという考え方だけでは、経営はできません。

また、企業は「環境適応業」でもあります。特に最近は、ビジネス環境の変化がどんどん激しくなっています。周囲の経営者の皆さんからは、中期経営計画をなかなか立てられなくて困っている、という話をよく耳にします。そのくらい、先が読みにくくなっているのです。経営陣は環境の変化にどう対応するかを常に考え、手を打たなくてはなりませんが、これも営業的な視点ではまったく歯が立ちません。

こうした経営視点を持ち、そのつど必要な施策を自ら企画・実行できる部長や課長を増やしたい。私は長らくそう思ってきました。私自身は若いときから、社内のよくないこと、おかしなこと、筋が通っていないことに対して、積極的に提案し変革してきた自負があります。同じように考え、行動できる社員を多くしたいのです。弊社の社員たちは真面目ですから、経営者の視点を学べば、きっと真摯に学んで実践に移してくれるでしょう。そう考えて、「経営人財育成研修」を実施することに決めたわけです。

検討プロセス・実行施策

受講前は大半の受講者の当事者意識が薄いが、社長プレゼン時には主体的に企画するように

受講前は大半の受講者の当事者意識が薄いが、社長プレゼン時には主体的に企画するように

近藤:2021年にあらためて経営人財育成を行うことが決まり、それなら2013~14年に行った経営人財育成研修をもう一度そのまま実施すればよいだろう、という流れになりました。そこで再度リクルートマネジメントソリューションズにお願いした次第です。

また、講師の杉浦トレーナーには3年ほど前から別の研修でお世話になっており、その点でも信頼感がありました。検討はスムーズでした。

研修は3期に分けて実施する計画を立てました。すでに第1期は2021年、第2期は2022年に実施し終えており、これから第3期を2023年2月に実施する予定です。各期10~12名ほどの部長・課長を受講生として選抜しています。

経営人財育成研修のポイントは2つあります。第一に、最初に受講者全員に「PRO-MOA(経営人材360度評価システム)」を受けてもらい、自らの強み・弱みを客観的に見つめる時間を用意しています。このとき受講者の大半が、自分には経営視点が欠けていると気づきます。なかには一時的に落ち込む者もいますが、トレーナーのフォローで、弱点こそが伸びしろなのだという理解を深めてもらっています。

第二に、経営人財育成研修の基本的内容は「bセッション(経営人材・次世代リーダー育成のためのアクションラーニング)」です。bセッションのポイントは、単に知識やスキルを習得するだけでなく、受講者一人ひとりの実践につなげることです。具体的には、研修の最後に組織・ビジネスの変革案や新規事業案を自ら企画し、経営陣に直接プレゼンテーションしてもらっています。藤本社長や私たち人財能力開発室は、本人の仕事の領域を超えた変革案を期待しています。

<図表1>経営人財育成研修全体像
<図表1>経営人財育成研修全体像
受講前は大半の受講者の当事者意識が薄いが、社長プレゼン時には主体的に企画するように

太田:私は研修運営を担当していますが、実施時に特に気をつけていることが2つあります。1つは、受講者チームの組み合わせです。なぜならこの研修には、ピップグループ内の人財交流や仲間づくりの側面もあるからです。

グループ全社から参加しており、こうした機会がなければまず出会うことがないメンバーも多いのです。どの組み合わせが会社にとってベストなのか、本人たちのよりよい学びにつながるのかをよく考えたうえでチームを構成しています。

もう1つは、経営プレゼンテーション前のフォローです。受講者全員が、プレゼンテーションに対して何らかの不安を抱きます。社長や経営陣に直接プレゼンテーションをする機会などめったにありませんから、これは当然のことです。私たちが丁寧にフォローを行い、この不安をできるだけ払拭することが大切だと感じています。

近藤:受講前は、大半の受講者の当事者意識が薄く、「経営は自分とは関係がない」「自分の仕事をしていれば十分だ」と考えているように見えます。ところが、最後の経営プレゼンテーションのときには、誰もが変革案や新規事業案を主体的に企画し、前向きにプレゼンテーションしています。研修受講中に、私の目にもはっきりと見えるほどの変化が起きています。

成果・今後の取り組み

研修と同時期に「2025年委員会」を立ち上げ、現在「変革推進本部」が変革を主導し始めている

藤本:社長の私の目から見ても、受講者たちのプレゼンテーションは総じてなかなか面白く、実際に形にしたい提案がいくつもあります。ただ、最も大事なのは、プレゼンテーションの提案をいかに行動につなげて成果を上げるか、ということです。その点、プレゼンテーションを受けた企画のなかで、実際に動き始めているものがあることを評価しています。今後さらに成果が出ることを期待しています。

また、この研修と同時期に、社内に「2025年委員会」を立ち上げ、現在「変革推進本部」が変革を主導し始めていることが組織的に大きな変化です。私たちは1908年創業の100年以上続く会社です。だからこそ、新しく変わるためには、変革専任の組織を独立的に設ける必要があります。営業部門の管理職はどうしても目先の業績に引っ張られてしまいますから、彼らだけで変革を力強く推進するのは難しい。専任組織があれば、上層部の意見と現場の意見を合わせながら、意識的に変革を前に進めていけるのです。

研修と同時期に「2025年委員会」を立ち上げ、現在「変革推進本部」が変革を主導し始めている

近藤:人財能力開発室としては、経営人財育成研修を3期で終わらせず、今後も継続的に行うことを企画しています。また、経営人財育成研修の次のステップも模索している最中です。

藤本:新型コロナウイルス感染症の流行によって、2020年以降、全世界の人々が一斉に行動変容を起こしました。これまで誰も経験したことのないような大変化が起こっています。例えば、欧米ではこの機会にリタイアする人がかなりの数に上っている、と聞いています。そのために人員不足で十分に輸送できないといった事態も起きているようです。

東京大学の渡辺努先生は、コロナ禍によって「供給不足のインフレ」が起きていると喝破しています。これは従来の需要過多のインフレとは質が異なり、既存の指標が通用しないために分析できないのだそうです。これも世界規模のとんでもない変化の一側面です。私は、弊社の管理職一人ひとりに、この大きな変化に対応するためにどうしたらよいのかを、自らの頭で考えられるようになってほしい、と願っています。経営人財育成研修によって、私たちはそのための大きな一歩を踏み出したのだ、と捉えています。

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HRDトレーナーの声

杉浦重信の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDトレーナー 杉浦 重信

私は、フジモト様とお仕事をさせていただいて日々、従業員の方々の誠実さを実感しています。お客様の要望に応えきろうと日々努力を続けていることが、共に進めている施策のなかでそれぞれの立場の方々からにじみ出ています。その要因の1つには、経営理念として掲げている「THE WELLNESS COMPANY」に代表されるような、意義を重視した経営姿勢があると思います。

ただ、その一方で環境変化のなかでこれまでの強みだけでは限界が来ているという共通認識もあります。多くの企業がそうであるように、環境変化への対応が企業全体の課題となっているのです。強みを大事にしながらも、変革を進めるというのは口で言うほど簡単ではなく、他企業においては、現場で「どこまで、本気なのだろう」との声が出ていることもなくはないでしょう。本施策が効果を発揮しているとすれば、経営・事務局から受講者までが肌感覚で取り組みの意義を実感して進めていることにあると思います。

少し前からいわれていた“DX”“働き方改革”などの変化、そしてコロナによる人々の生活様式の変化など、まさにフジモト様が掲げる“THE WELLNESS”が人々にとってあらためてかけがえのないものであることが実感されています。
そこに向けてフジモト様が貢献していくとすれば、それはそこで働く一人ひとりの行動にかかっているでしょう。フジモト様の存在によって新しい時代のよりよい社会の実現により貢献できるよう、私も引き続き緊張感を持って取り組みを続けたいと思います。

取材日:2023/02/20

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企業紹介

フジモトHD株式会社(ピップグループ)

フジモトHD株式会社(ピップグループ)

「ピップエレキバン」「ピップマグネループ」「スリムウォーク」でおなじみのピップは、明治41(1908)年に医療用品の卸問屋として創業し、110年にわたって卸売業を営む。昭和43(1968)年には自社商品の開発を開始し、「シャンプーハット」等を発売、以降上記商品やベビー用品、健康関連商品等にラインアップを広げ、メーカーとしても成長を続ける。またグループ内には、受託物流事業のピップ物流、医薬品・健康食品メーカーのワダカルシウム製薬等を擁し、シナジー効果を追求している。

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