従来の対面研修を「新入社員共育プログラム オンライン1年間伴走型」にバージョンチェンジ

従来の対面研修を「新入社員共育プログラム オンライン1年間伴走型」にバージョンチェンジ

プロジェクト概要

背景・課題

2010年から、新人のモチベーション向上、戦力化、離職率低下に効果が高い新入社員研修を行っています。2020年はコロナ禍を踏まえ、新人たちの顔を定期的に見て、一人ひとりの状態を継続的に把握するため、また、新人にとっても、実際の仕事に対する悩み・問題を抱えた、秋〜冬にに受講するのがよいと考え、集合研修から「オンライン1年間伴走型」にバージョンチェンジしました。

検討プロセス・実行施策

2020年度は、すべてZoomで「短時間×6回」のオンライン1年間伴走型研修を実施。新人の状況・心境の変化を踏まえながら、各時期に最も適した学びを得られるよう、従来の内容をほぼ変更せずに6回に振り分ける形でオンライン化を進めました。新人同士の信頼関係づくりから始めて、仕事の意味の確認、悩みや失敗談の共有、独自の工夫の共有などを行い、3月に1年間の振り返りを行いました。

成果・今後の取り組み

想定以上の効果がありました。特に大きいのは、対面研修以上に一人ひとりの表情をはっきり確認でき、より細かくフォローできることです。新人たちにとっては、同期との絆を強めたり、知恵や悩みを共有したり、自分の経験を振り返ったりするうえでプラスに働いているようです。一人前になる土台をつくる機会として必須の研修になりました。今後は2年次・3年次にも追加施策を実施したいと考えています。

背景・課題

新人たちを継続的にフォローし、醸成したマインドを持続させたかった

背景・課題 画像_堀川様

堀川:私たちタキヒヨーでは、2010年から、リクルートマネジメントソリューションズ コミュニケーションエンジニアリング部(当時:リクルートコミュニケーションエンジニアリング)の協力を得て、新入社員向けプログラム(社内では「マインドセット研修」と呼んでいます)を行ってきました。

華やかなイメージの強いアパレル業界ですが、実際には地道で泥くさい仕事も多く、入社前後のイメージギャップが大きいためにモチベーションを失ってしまう新人が少なくありませんでした。また、タキヒヨーは若手社員にどんどん仕事を任せる社風で、新人時から自分で考えて行動を起こし、周囲を巻き込んで、自分らしいクリエイティビティを積極的に発揮するマインドセットが求められる会社です。そのため、受け身の新人はなかなか職場に馴染めません。

そこで、入社後のイメージギャップを減らし、現実を見つめてポジティブに前に進んでもらうために新入社員研修を始めました。実際の仕事内容はどのようなものか、自分の仕事にはどのような意味があるのか、早く仕事を覚えるコツや工夫は何か、どうしたら仕事のミスを減らせるのか、上司・先輩・お客様とどう関わったらよいのか……。新入社員共育プログラムでは、以上のようなことを新人に伝えながら、自分たちでもどうしたらよいのかを考えてもらいます。自分で振り返る習慣を持つことや、問題に対して前向きに進むための自分なりの答えを、他者の視点も参考にしつつ自分で考えられるようになることを目的としています。その結果として受け身体質が改善されていく仕掛けにしました。

新入社員共育プログラムの効果は大きく、彼らのモチベーション向上、戦力化、離職率低下に明らかな効果を発揮しています。多くの新人が目の前の現実を見据え、自分なりに考えて行動するようになるのです。そのためにかれこれ10年以上、定番の新入社員研修プログラムの1つとなっています。

ところが、ご存じのように2020年はコロナ禍で、新人はしばらく自宅待機となり、対面研修を一切開催できなくなってしまいました。私たちは早々に、新入社員研修の全プログラムをオンラインで開催することに決めました。研修を止めるつもりはまったくなく、リクルートマネジメントソリューションズに相談のうえ、オンライン化を決定しました。

ただし、従来の新入社員研修は5〜6月に計3日間の集合研修型式で開催していましたが、オンライン化にあたっては、この内容を細かく分けて、1年間伴走型の「新入社員共育プログラム」にバージョンチェンジすることにしました。

「1年間伴走型」に変えた理由は、新人たちの顔を定期的に見て、一人ひとりの状態を継続的に把握したかったからです。コロナ禍では、人材開発セクションの私たちが気軽にオフィスに赴き、新人たちの顔を見ることが難しくなりました。また、上司や先輩がお客様先に同行したり、OJTでさまざまなことを教えたりすることにも限界が出てきました。新入社員研修を1年間伴走型にすれば、新人一人ひとりを継続的にフォローすることができる。これは私たちにとって、大きなメリットだったのです。

新人にとっても、7月に各部署に配属された後、秋〜冬になって実際の仕事上の悩み・問題を抱えたタイミングで継続的に研修を受けた方が、マインドセットの実践的な醸成・持続につながるのではないか、とも考えました。

なお、1年間伴走型研修を実現できたのは、オンライン化したからです。対面研修では、年に6回も全国から本社・名古屋に集まってもらうのは、時間的にもコスト的にも難しい。オンラインなら何度でも行うことが可能で、移動や宿泊のコストも一切かかりません。しかも新人たちは、研修時間の前後は通常通り働くことができます。さまざまな意味で、オンライン化にはプラスがあると感じています。

検討プロセス・実行施策

「短時間×6回」のオンライン1年間伴走型研修を実施

検討・実行_堀川様

堀川:2020年度の新入社員共育プログラムは、5月の1回目のみ4.5時間、2〜5回目は8月から毎月1.5時間、最終回となる6回目は3月に2.5時間で開催しました。

研修の内容は、従来と大きく変わっていません。新人の状況・心境の変化を踏まえながら、各時期に最も適した学びを得られるよう、従来の内容を6回に振り分ける形でオンライン化を進めました。

1〜2回目の主な目的は、新人同士の信頼関係をつくることです。そのために、お互いのことを知ってもらう時間を長く取りました。3回目は9月で、営業なら担当顧客が、スタッフなら担当業務が割り振られる時期です。そろそろ入社前後のイメージギャップが明確になってくる頃なので、自分の仕事の意味を確認してもらいました。4回目は、早く仕事を覚える独自のやり方、仕事のミスを減らす自分なりの工夫などを皆に共有してもらいました。5回目は、職場の上司・先輩との関係をより良くしたり、もっと上手に協働したりするためにどうしたらよいかを皆で考えてもらいました。6回目は3月に、1年間の振り返りをしてもらいました。悩みや失敗談、成功体験の共有などは随時行っています。

オンライン会議ツールのブレイクアウトセッションを適宜活用してチーム分けを行いながら進めました。新人たちの通信環境を少し心配していたのですが、大きな問題が起こることなく予定通りに実施できました。

受講者の声
受講者の声_榎本様

悩んでいた同期との絆を深めることができた
勇気を得ることができた研修です

アパレルグループ メンズセクション メンズチーム 営業
榎本 真那 様


2021年4月に入社しました。2021年11月現在、新入社員共育プログラムを受講している真っ最中です。私にとってこの研修は、同期の仲間たちと話し合えるチャンスです。私は今、名古屋本社と東京支店を行き来しており、お昼休みなどに同期と会うことはよくありますが、そこでは軽い雑談しかできません。「今どのような仕事をしているのか」「何に悩んでいるのか」「どんな失敗談、どんな成功体験があったのか」「職場の上司や先輩がどんな人たちなのか」といったことは、このプログラムでしか話し合わないので、とても大切な時間です。

新入社員共育プログラムで皆の想いや考えを聞けることは、自分にとって間違いなくプラスになっています。例えば、仕事を早く覚えるための同期のアイディアが素晴らしかったので、私は今それを真似しています。また、他の人の悩みを聞いて、自分と一緒だと共感して勇気を得たこともあります。自分自身と仲間たちの成功体験を振り返ったときは、心に深く感じるものがありました。以前の研修で思いつめるほど悩んでいた同期がいたので、研修後にあらためて時間をつくって相談に乗り、絆を深めたこともあります。前回の研修は、一人ひとりの職場の様子や上司や先輩について話し合う場があったのですが、盛り上がって時間が延びてしまいました。皆、そのくらい同期や社内のことをいろいろと知りたくてたまらないのです。新入社員共育プログラムは、さまざまな意味で貴重な学びの場だと感じています。

成果・今後の取り組み

一人前になるうえで必須の研修になった。今後は2年次・3年次のフォローもしたい

成果・今後_堀川様

堀川:当然ながら、オンライン研修の実施前には不安がありました。しかし、1回目を行っただけで、不安はほぼなくなりました。オンライン研修には想定以上の効果があることがすぐに分かったからです。

特に大きいのは、新人たちの表情をはっきり確認できるようになったことです。画面を通すと、対面研修以上に一人ひとりの顔をしっかりと見られるのです。「疲れているな、忙しいのだろう」「悩みがあるようだ、集中力がなくなっている」「この前よりも元気になった、仕事を楽しんでいるようだ」といったことをすぐに察知でき、彼らをより細かくフォローできるようになりました。

また、新人たちにとっては、同期との絆を強めたり、知恵や悩みを共有したり、自分の経験を振り返ったりするうえで、1年間伴走型研修がプラスに働いているようです。特に新人のときは、自分の仕事を振り返るような心の余裕がないはずなので、定期的に振り返ることが彼らの力を伸ばすに違いありません。また、同期と繰り返し話し合いながら、自分の価値観を発見してもらうことにも意味があると考えています。人材開発セクションにとっても新人たちにとっても、オンライン1年間伴走型へのバージョンチェンジはメリットが大きいと感じています。

なお、2021年度の新入社員共育プログラムは、5月の1回目だけは、新人全員を名古屋本社に集めて対面で開催しました。オンラインがいくら便利だといっても、お互いに仲良くなって信頼関係を築くためには、やはり実際に顔を合わせる機会が一度はあった方がよいからです。2回目以降は2020年同様、オンラインで進めています。来年度以降も対面とオンラインのハイブリッドで開催していく予定です。

私たち人材開発セクションは、新卒入社から3年で一人前を目指してもらうことを重視しています。オンライン1年間伴走型の新入社員共育プログラムは、一人前になる土台をつくる機会として必須の研修です。今後は2年次・3年次にも追加施策を実施して、若手社員の育成をより強化していきたいと考えています。

コミュニケーションエンジニアの声
藤野正規

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
シニアコミュニケーションエンジニア 藤野 正規

タキヒヨー様の新人が現場配属後に直面する問題は、新人の立場に立つと「そうは言っても現実は……」と言いたくなる悩ましいものです。そんな新人のマインドセット醸成のポイントは、問題を前にしたときに自分の力を引き出す見方・感じ方の獲得。その核心は本人のなかにあるファッションへの夢・憧れや、一人前になり新たなファッションを生み出したいという想いを引き出すこと。それを同期同士の交流のなかで増幅し、固めることが大事だと考え、これまで10年間、対面・集合型の研修を実施させていただいてきました。
 
しかし2020年の4月にコロナ禍による緊急事態宣言が発令されると、リモートワークが導入され働き方が変わりました。私は、せっかく固めた思いが、孤立しやすい環境で働くうちに薄れてしまうのではないかと思いました。そこで、同期との交流を促し、問題を乗り越える想いを再発見する場を1年間のなかに分散させることで、マインドセットを醸成し続けることができるのではと考え、堀川様と相談しバージョンチェンジを進めてまいりました。

分散開催により、セッションでは新人が直面しているリアルな問題を巡って話し合われることが増えました。「自分が忙しいときに先輩から仕事の依頼が来てさらに焦っている……」「お客様の問い合わせに答えるために確認すべきことが後から分かり、お客様に何度も電話して叱られながら対応している……」といった生々しい話が披露されるため、セッションへの集中力が高くなりました。また、学んだことを職場で早速実践してみたという話も次の回で聞けるので、それがお互いへの刺激にもつながりました。新人同士で自然と「このまま責任を果たせないのは嫌だ」「少しでもいい状況をつくるために試行錯誤したい」と目の前の現実に真正面から向き合い始めていく姿が大変印象的でした。この姿からは、自立と主体性の萌芽を感じましたし、回を重ねるごとにその力が強くなっていきました。

OJTの肝である職場の存在が薄まりつつあるなかで、真の自律人材の育成が求められる今の時代に合ったプログラムだと自負しています。Off-JTによる新人育成支援の新たな形を生かしつつ、これからもタキヒヨー様をご支援していきたいと思っております。

企業紹介

タキヒヨー株式会社
1751年(宝暦元年)の創業以来、270年を超え、常に「お客さま第一」の精神で変化する社会に対応し貢献してまいりました。「常に新しいことにチャレンジする」という経営方針の下、ファッションを通じお客さまに夢と感動を提供し続けてまいります。当社は、「衣食住」の中での「衣」の分野を主力事業としており、生地から製品まで、製品もベビーからキッズ、レディス、メンズ、インテリアなど幅広く取り扱っています。大手衣料品専門店から、大手量販店(GMS)、百貨店やショッピングセンターのブランドやショップ、通販など、幅広い小売業者に年間4,000万枚を超えるアパレル製品を卸しています。トレンドや季節に合わせた売れ筋商品の企画、デザイン提案力を強みとしており、さらには、旬の商品を迅速に提案・生産・お届けできる体制を備えています。近年は、繊維にとどまらず、「美」を提供する総合商社を目指し、化粧品をはじめとした新規事業の立ち上げに注力しています。


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