創業から上場、そして次のステージへ。事業に伴走し、成長を加速させる

株式会社ツクルバ

プロジェクト概要

背景・課題

2019年の東証マザーズ上場に向け組織の急拡大期にあったツクルバでは、人事制度の整備、それを運用するマネジャー層のマネジメント行動の習得、そして、新卒採用の本格化にともない、新卒メンバーの受け入れ体制の構築と課題が山積みでした。

検討プロセス・実行施策

組織づくりの初期フェーズであるからこそ、速やかに内製で各種仕組みの構築を進めることを優先し、その支援ツールとして、メンバーのコンディションの変化を確認できる「ReCoBook(レコブック)」、マネジメントのノウハウを短期で学習できる「マネスタ」や「トランジション・デザイン・モデル2.0」を「アドバイザリーサービス」と共に活用。

成果・今後の取り組み

上場後、あらためてツクルバが今後目指すべき姿や大事にするビジョンとバリューを再定義すると共に、さらなる成長に向けた各事業への投資方針と事業推進を加速させるうえで最適なマネジメントのあり方を設定。このタイミングでもう一段各事業と人事諸制度の整合性を整えつつ、組織風土の醸成にも取り組んでいきます。

背景・課題

組織の急拡大期に差しかかり、将来を見据えた人事制度整備が急務に

私が人事責任者として入社する約1年前までは20人程度の社員数だったツクルバですが、2017年には30〜40人程度と社員数が倍近くに増加し、まさに組織の急拡大期といえる状況に差しかかっていました。
さらに、東証マザーズへの上場も予定しており、上場に向けたマイルストーンとして、これまでにない規模で人員を拡大していく計画も打ち出していました。
規模が拡大すれば、小規模な組織であったころには必要性がなかった人事制度も、いよいよ整備する必要に迫られます。
そこで、今後突き当たることになるであろう「30人の壁」や「50人の壁」を想定し、数年後を見据えた、人事の仕組みづくりを着任直後から進めていくことになったのです。

「自律分散型」文化の組織を大事にし、組織の土台づくりへ優先投資

一般的に、創業期の企業は経験者を中心に採用して規模を拡大するものですが、ツクルバではカルチャーマッチの採用を最優先しました。社員数が100名くらいになるまでは経験者の採用もしていましたが、未経験のメンバーも積極的に採用するようになり、必然的にマネジメント経験を持つ社員は少ない状況でした。
そうした場合、ベテランのマネジャーを中途で採用し、人事主導で細かくつくり込んだ評価体制や型にはまった賃金制度を、トップダウンで導入し、マネジメント体制を整える方法もあります。しかし、ツクルバは「自律分散型」の文化を大切にしていましたから、型にはめるともいえるこの方法を選択しませんでした。組織の背骨となる人事制度設計においても、人材マネジメントポリシーや人事制度の大枠の構築は、経営と人事で主導しましたが、人事が細部までつくり込んだりせずに、マネジャー陣が制度を運用する際のサポートに、人事として力を割きました。マネジャー陣が気軽に相談できるように、組織コミュニティ内のマネジャーと人事との間の信頼貯金形成を優先しました。

創業者の想いを尊重しつつ、適切なタイミングで現場支援の仕組みづくりに着手

さらに、創業者の「新卒文化をつくりたい」という強い想いもあり、2019年入社を目指し、2018年から新卒採用も強化し始めました。上場の直前期である2018年、人員計画上の採用人数は新卒・中途を含めて、年間50人以上にまで膨らんでいました。まさに組織の急拡大期です。組織にひずみがでることは想定していたものの、ツクルバがこれまで蓄積してきた組織コミュニティ内の信頼貯金もあったため、それを信じて事業成長とそのための採用に強くアクセルを踏みました。
一方で、若い組織であり、まだまだマネジメント能力の未熟なメンバーが多い状況でしたので、現場から新卒の受け入れに不安を感じるといった声も少なからず聞こえてきました。

検討プロセス・実行施策

上場前の事業成長の勢いを感じつつ、現場負荷の少ない最低限の仕組みを内製で構築

この時、上場前特有の勢いも梃子にしながら、事業成長へドライブをかけたかったため、その勢いを殺すことのないように、現場の負荷には気をつけました。
また、課題となったのが、上場前で人事予算も少なく、採用要件の言語化や面接活動で企画の時間も取れないなか、いかに新人を受け入れる状態を築くかという点でした。具体的には、ウィークリーで変化する新人メンバーのコンディションを把握し、マネジャーと人事で連携しながら、必要に応じた「今ここ」の対策を打てる体制が必要だと考えていました。では、新人メンバーのコンディションをどのように把握するのか、マネジャー陣にどのようなアドバイスをすれば、事業の勢いをとめることなく、新人のマネジメントができるのか。ベンチャー企業の人事を担当されている方であれば誰もがぶつかる壁に、私も直面していました。

入社2年目でユニットリーダーに昇進する新卒も

その時出会ったのが、リクルートマネジメントソリューションズでした。オンボーディング施策設計に定期的な壁打ち役として加わっていただきながら、初めてメンバーを持つマネジャーやリーダーが、現場負荷なく、最低限のピープルマネジメント行動を身につけられるようにする施策「マネスタ」と、新人・若手のコンディションを把握するサーベイ「ReCoBook(レコブック)」を活用しました。
※参考:ツクルバ様事例

予算も時間もないなか、急ピッチで構築したオンボーディング施策でしたが、新入社員の様子をタイムリーに把握しつつ、人事とマネジャー陣がマネジメントの共通言語を持ちながら連携し、「今ここ」の対策を打つことができたと思います。その結果、離職者も出ず、2019年入社のメンバーが複数名、入社2年目にしてユニットリーダーに複数名昇進するなど、一定の成果を得られています。あくまで、人事主導で整えたのは最低限の仕組みだけでした。ここでも、できるだけ人事と現場がスクラムを組み、現場とクロスしての枠組みづくりを大事にしながら、受け入れ体制を全社一丸となって構築していったことが、上記の成果につながったと考えています。具体的には、直属の上長の業務支援に加え、マネジャーなどにコーチ役を担ってもらったり、人事が経験学習サイクルを活用したリフレクションの機会をつくったり、他部署の職能が違うメンバーをバディのような形で配置したりと、各メンバーの状態に応じた必要な取り組みを皆で対話し、試行錯誤しながら進めていきました。

マネジャーの渇望感に応じて、実践型のマネジメントワークショップを設計

おもしろいもので、当初はゆるやかな等級制度による格付けや評価制度を導入することに対して抵抗感を持っていたマネジャーから、人事評価制度を整備し、評価サイクルを3回回したくらいのタイミングで、マネジメントの応用編といえるような課題に関する相談が、人事や各事業部長のもとに頻繁に寄せられるようになりました。リーダークラスの人材をより短期で育成するにはどうしたらよいのか、専門性の異なるメンバーのキャリア開発にどう寄り添えばいいのかといった悩みです。人事として、各部門の評価会議にも陪席していましたので、その変化は明確でした。

このタイミングを逃す手はありません。元来、ツクルバでは職場で人が育つと信じており、外部の研修を1回実施して解決できる類の課題でもないと考えていたため、この機に継続的でかつ実践型のマネジャー育成の仕組みを内製でつくれないかと考えました。リクルートマネジメントソリューションズとの壁打ちを通じて、「マネスタ」の学習構造や社会人の成長のモデルを体系化した「トランジション・デザイン・モデル2.0」を教えてもらいつつ、一緒に企画の議論をしながら、ツクルバ独自のマネジャー向けワークショップを開発していきました。具体的には、定期的にマネジャー陣で集まり、今抱えているマネジメント課題を共有します。その上で、「トランジション・デザイン・ブック2.0」の、伸ばす行動として定義されている行動を参考に、自分が注力するマネジメント行動を決めます。決めた行動を上司との1on1で共有のうえ、上司のサポートも受けながら、職場で実践し、その結果をマネジャー同士で振り返ります。定期的に各職場のパルスサーベイの結果や上司・マネジャー本人からの評価を収集し、チューニングを行っていますが、経験学習サイクルを継続的に回していくシンプルな仕組みです。

成果・今後の取り組み

メンバーとマネジャーの状態を把握し、真摯に向き合い、事業推進に貢献する

先述の新卒社員の定着・戦力化に加え、マネジャー向けワークショップの結果もまずまずの成果と手ごたえが得られました。各マネジャーからメンバーの行動変容が見られた、とのコメントが寄せられ、パルスサーベイや上司評価もよい状態で推移しています。人が変わるには、現状を認識した上で、経験と内省をすることが重要だと考えています。自分自身が身をもってマネジメントの体験をした上で、それを定期的に振り返る習慣です。このワークショップが、日々の業務に追われるマネジャーの成長に少しでもつながり、結果として事業推進が加速すれば、人事としてはとても嬉しいです。今後は、マネジャー向けの施策の質を徐々に高めつつ、新卒向けのオンボーディング施策を中途採用にも適用拡大していきます。

ベンチャー企業は、とにかく制約条件(予算・人的リソース)が多いです。そうした環境下、リクルートマネジメントソリューションズさんの人事・組織に関する豊富な知見と原理原則をベースとした、幅広いプロダクトやアドバイザリーサービスは有効でした。単発でサービスを納品して終わりの関係ではなく、私たちにとっては同じ方向を向き、一緒に事業成長や組織づくりを考えてくれる存在です。

ツクルバの今後の姿を見据えた上で、人事として事業に伴走する

今までは、上場のタイミングも重なり、とにかく駆け上がってきました。そのなかで、ツクルバの文化を大事にしつつ、組織コミュニティにおける信頼貯金の蓄積に注力してきましたが、急激な成長においては、どうしても組織にひずみが生じます。
そこで、上場後、組織として何を大事にするかを徹底的に討議する時間をマネジメントチームで意図的に設け、今後の目指すべき姿として「VISION2025」を策定しました。
この「VISION2025」の核となるのが、「やがて文化になる事業をつくり続けるリーディングカンパニー」を目指すというものです。
また、「VISION2025」に連動して、「TSUKURUBA 3 VALUES」など新しいVALUEや、2023年までの中期目標を事業部ごとに細かく具体的に定めています。そのなかには、我々がどのような組織や人材を目指し、どのような行動を取るか、といったことも意志を込めています。
事業としては、より大きな成長の柱としてプラットフォーム事業を拡大する予定です。それにともなって新たなエンジニアやデザイナー、ビジネス職の採用などもさらに必要になってきますし、各事業と人事諸制度の整合性を整えていく必要もあります。一方で、組織としての強さを考えた時、事業へのコミットメントに加えて、その組織のビジョンやバリューでつながっていることが大事であると考えているため、組織のビジョンやバリューの実践を通じた組織コミュニティにおける信頼貯金の蓄積にも、引き続き取り組んでいきます。
これからも課題は山積です。ツクルバらしく、対話とスピードを大事にしつつ、変に繕わず、時に誤ってしまった場合には高速で改善を繰り返しながら、「VISION 2025」の実現に人事として貢献していきます。

企業紹介

株式会社ツクルバ
「『場の発明』を通じて欲しい未来をつくる」というミッションのもと、デザイン、ビジネス、テクノロジーをかけあわせた場のデザインを行っています。主な事業として、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」、あらゆるチャレンジを応援する、会員制シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」などを展開しています。


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