【事業成長期のHRMを考える】vol.4 HRBP勉強会レポート 入社者が早期に活躍するためにHRができる仕掛けづくりを議論する

2019年10月、私たちは新たな試みとして、「事業成長期のHRMを考える勉強会」シリーズを始めました。急激な事業成長のなかで、人材の熱量・才能を最大限に引き出し、事業成長を力強く推し進める人・組織づくりのために何ができるかを、ベンチャー企業の人事の皆さんと共に探索する学びのコミュニティです。

今回は、「入社者が早期に活躍するためにHRができる仕掛けづくり」について議論。その内容と様子をダイジェストでご紹介します。

今回のご参加企業(ご掲載許諾企業様のみ/敬称略)
ウイングアーク1st / ウェルスナビ / サイバーエージェント / サイバー・バズ / 空/ スタークス / ツナググループ・ホールディングス / FABRIC TOKYO / freee / フルスピード / VOYAGE GROUP / MUGENUP / リーズンホワイ / WAmazing

ナビゲーター
リクルートマネジメントソリューションズ HRテクノロジー事業開発部
野崎日土志・荒井理江・奥野康太郎・藤江嘉彦

※本イベントは2019年12月に開催されました


優れたオンボーディングの仕組みをゼロから構築する方法

野崎:事業成長期のHRMを考えるHRBP勉強会、今回は「入社者が早期に活躍するためにHRができる仕掛けづくりを議論する」と題してお送りします。テーマは「新卒・中途のオンボーディング」です。

最初に、新卒・中途のオンボーディング施策についての情報提供をします。一般的なオンボーディングプロセスはこのようなものです(図表1)。

野崎:このオンボーディングプロセスの課題を、例えば課題解決のフレーム(図表2)に照らして考えてみると、第一に尺度を決めることが肝要ですが、尺度は会社適応度合い(ミッション・ビジョン・バリューへの共感度)、職場適応度合い(人間関係に関する負担感・モチベーション)、仕事適応度合い(仕事に関する負担感・モチベーション)、本人の担える「等級」(発揮行動/知識・スキル/仕事・組織観/姿勢・態度など)、一定等級に達するまでの「期間」などがあり得ます。

最初に尺度を決めるのは、尺度に応じて目指す状態の決め方が変わってくるからです。会社適応や職場適応はサーベイで判定し、仕事適応は本人の行動を基準に照らして判定し、等級に関しては年次評価で判定するケースが一般的です。ここまでを決めた上で、新卒・中途入社者の現状を把握し、どのようにギャップを埋めるかを考え、実行していきます。

野崎:また、オンボーディングの支援体制づくりも欠かせません(図表3)。入社者を早く活躍させたいのなら、上司・メンター・人事を中心として、どのような体制を組むかをよく考える必要があります。ここでポイントとなるのは、「多くの人を巻き込むこと」と「職場ぐるみの環境・ルールづくり」です。この2つがうまくいけば、支援体制は整うはずです。

野崎:それから、オンボーディングで気をつけなければならないのは、仕事適応より先に組織適応を重視する必要があることです(図表4)。なぜなら、どれだけ優秀な人材でも、組織に適応しなければ、実力を十分に発揮するのは難しいからです。では、組織適応を進めるために、バリューをどう浸透させればよいのか。その上で、どうやって仕事適応を図っていくのか。こうしたことも考えていかなくてはなりません。

野崎:以上を踏まえて、A社の事例をご紹介します。A社は事業拡大に伴い、新卒1期生の採用を決定しました。そこで私たちは、A社のオンボーディングの仕組みをゼロから構築するところからお手伝いに入りました。A社はまず、短期的には仕事適応、中長期的には人事等級の尺度を採用しました。それに従って目指す状態を設定し、その状態を実現するために、新卒社員研修に加えて数カ月おきの「フォローアップセッション」を導入。また、「上司・メンター・人事の3面支援体制」をつくり上げ、その上で「上司・メンターへのトレーニング」を実施して、支援体制を強化。また、適性検査SPI3ReCobookという弊社の入社者のコンディションモニタリング・支援ツールや1on1といった施策によって入社者たちの状態の可視化・モニタリングを行い、成果を計測しつつ、コンディションが悪い状況の時は少しでも早く介入する仕組みを整えていきました。

組織適応への対応は経営方針・風土などによって違う

野崎:ここまでの内容を踏まえつつ、各社の事例や課題を共有する時間に入りたいと思います。各グループに分かれて、事例や課題をシェアしながら、自由に語り合いたいと思います。

〜40分ほどグループ共有を行う〜

野崎:時間になりましたので、グループ共有を終わります。では、各グループでどのような話が出たのか、「全体共有」をしていただけますか? まずは、グループ1からお願いします。今回は、各グループについた弊社のナビゲーターにまとめて話していただきましょう。

藤江:うちのグループでまず話題になったのは、新人と上司・メンターとの「相性」の問題です。やはり最初に誰のもとにつくかが、その人が定着するかどうかを決めるからです。相性を見極める上で第一に重要なのは、新人一人ひとりがどのようなキャラクターで、どういった特徴があるかを示す「共通言語」や「トリセツ」を、チーム内で早く共有すること。ただ、そのためには新人側から自分のことを積極的に情報発信してもらうことも大切で、ある会社では自分史を作成したり、月に1度自分についてプレゼンする機会を設けたりもしているそうです。

次に出たのは、そもそも「オンボーディングとは何か?」という定義の話です。これは各社違って、入社してから6か月〜1年ほどで一人前になって独り立ちするところまでを支援すること、という会社もあれば、入社3カ月の研修期間が終わるときまで、というところもありました。また、会議などの場で自分から手を挙げられるようになったらオンボーディング完了という定性的な目安がある組織も。
それから、オンボーディングは入社後ではなく採用時からが始まっているという意見もありました。各社が一定の合理性と意志をもって決めているところと言えるでしょう。

最後に、「仕事適応」と「組織適応」に話題が移りました。仕事適応、つまりスキルアップに関しては、基本的には現場に任せるという意見が多くみられました。反対に、組織適応は各社いろいろと工夫していて、例えば、弱音や愚痴を言っても全然かまわないという風土をつくって「心理的安全性」を高めている会社がありました。また、社風や社内ルール・慣習を教えるのが上手な社員と一緒に、ご飯を食べに行ってもらうのが効果的だという方もいました。もう1つ面白かったのは、ある企業では内発的モチベーションを重視しており、そのために「承認欲求の否定」を組織のバリューに据えていることです。このように、組織適応への対策は、やはり経営方針や風土などによってかなりの違いがあるようです。

設計5つの観点――中途入社者は前職のアンラーニングも必要になる

野崎:ありがとうございます。グループ2はいかがでしたか?

荒井:このグループでは、入社者の支援を設計する上での観点として、1.採用・配属マッチング、2.初期の導入インプット、3.現場でのフォロー体制、4.コンディションモニタリング体制、5.成果モニタリング方法、の5つが話題に上りました。

1つ目の「採用・配属マッチング」については、ある企業では、社員の90%をインターンから採用しているのですが、インターンの時点でマッチングにこだわり、誰にどの仕事をどのレベルで任せるかを具体的に想定した上で採用を決めているそうです。そして、一度マッチングした後の人材育成は現場が責任をもってリードしているとのこと。採用する前から人材と多く接点を持ち、働きぶりを理解して採用・配属を決めていくことに、徹底してこだわっている事例です。

2つ目の「初期の導入インプット」については、新卒と中途でインプットすべき情報が違うという声があがりました。例えば、新卒社員は自社の文化やマインドの伝承、業績数字に対する意識改革を行う一方で、中途入社者はまず前職のアンラーニングを重視する必要があり、その上で役割を伝え、社内の人間関係を広げてもらいやすいようなインプットをしているというとの事例もありました。確かに、新卒と中途では、最初にぶつかる壁が異なり、そのために必要な情報も異なるというわけですね。

3つ目の「現場フォロー体制」は、「組織」的なフォローと「業務」的なフォローを分けて考えたほうがいいというアイデアが出ましたね。組織的なフォローは、入社者の近くの席に何でも聞きやすいメンバーを配置しておくことが重要であり、それに対して、業務的なフォローは業務に熟達した人材(例えばマネジャーなど)を中心にして進めていく必要がある、という議論になりました。

4つ目の「コンディション・モニタリング体制」については各社の違いが鮮明で、ある会社では心理的なフォローを重視し、SlackやSNS、コンディションモニタリング用のツールで入社者が本音を共有しやすい場や仕組みをつくるなど、現場のフォロー体制を組んでいる場合は、特に情報共有を密に行たりもしていました。人事が入社者と上司の面談内容をモニタリングして、必要に応じて介入するケースなどもありました。また、特にTOP20%がどれだけ成長しているかに注目し、上位20%が伸びていれば、残りの80%はついてくるという考えに基づいた戦略を取ってモニタリングをしている会社もありました。

5つ目の「成果のモニタリングの方法」については、上記の成長速度にせよ、数値だけでは測れないという声が多く、各社とも、もちろん業績や人事評価も見ているけれど、それに加えて、その人材が、一定の役割・ポストを担える程度に成長してきているのかどうかについて、多くの目線で検証し、その主観を磨き、すり合わせて精度を高めていくことが重要だろうという結論にいたりました。

施策を通じた人とのつながりが文化をつなぐ

野崎:では最後に、グループ3の情報共有をお願いします。

奥野:こちらは、「初日・2日目をどうするか?」という話題で盛り上がりました。全体的には簡素化が進んでおり、初日はPC設定や最低限の説明で済ませている会社が多くありました。なかには、簡単にPCを設定できるようになっていて、入社者が初日から本来の業務に入れる会社もあるそうです。1日目はPC設定やセキュリティ・ダイバーシティ・コンプライアンスなど必要最低限の説明を行って、2日目にCEO・CFO・各事業部トップなどが順番に話して終了というところもありましたが、手厚い会社でもその程度でした。

そこから、「どうやって初日・2日目の選択と集中を行ったのか?」というテーマが派生しました。ある人事の方は、できるだけ上位の役職者を集めると、事業や組織についてまとめて話してくれるので、時間や人数を節約できてありがたいとおっしゃっていました。実は、上位役職者にとっては入社者と直接話せる貴重な機会なので、その企業では喜んで担当してもらえることが多いのだそうです。

一方で、「カルチャーの伝承」については、入社後少し経ってから行う会社が多く見られました。ある企業では、3カ月くらいに一度、入社者とグループ代表のランチ会を開催して、そこでカルチャーを伝えたり、グループの組織の壁を越えた中途入社者の同期感を高めたりしているそうです。加えてこの企業では、入社者と同じビジネス領域の同僚が1on1で雑談する機会をつくり、社内人脈を広げてもらうといった工夫もしています。その後、この話題をきっかけにして、同期のつながりをつくる機会はできるだけ設けた方がいいという意見が集まりました。

それから「バリュー」についても議論を深めました。このグループでは、社員が50名程度になったとき、あるいは新卒社員採用を始めたときに、バリューを言語化した企業がありました。誰もが共感できるバリューが言葉になっていると、その言葉でつながることができる、とは、多くの方の同意を得た見解です。

野崎:人と人とがつながり、組織の文化と事業のバトンを受け取っていく。そのために、コミュニケーションの質量の担保が重要であるということでしょう。今回も密度が濃く、あっという間の2時間。ありがとうございました。
次回は、まさに人がつながりを作りたくなる組織作り、「人が仲間を誘いたくなる会社とは?―エンゲージメントが高まる組織の条件」をテーマに、議論を深めます。次回もどうぞよろしくお願いします。

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