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調査レポート

マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2021年

ニューノーマル時代に新価値を生み出す、自律促進マネジメント

  • 公開日:2021/08/23
  • 更新日:2024/06/10
マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2021年

近年ビジネス環境は大きな変化の時代にありましたが、2020年に始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた変化の波はけた違いに大きく、私たちの働き方に、大きな変化を起こしました。 企業においては、社会環境の変化に対応する戦略の転換や新価値創造が求められ、リモートワークに対応した人事制度やマネジメントの対応など組織内での変革が必要となっています。 弊社では、このように大きな変化に晒された企業環境において、管理職層(ミドルマネジメント層)の現状はどうなっているのか、昨年に続いて人事担当者と管理職層を対象とした調査を行いました。 調査結果をもとに、今後の管理職・マネジャー育成の指針や、これからの組織のあり方について紹介していきます。

調査概要
「次世代リーダーの育成」と 「ミドルマネジメントの負担軽減」が課題に
管理職層に求められる改善と新価値創造
マネジメントアプローチは実行型から学習型へ
メンバーの自律性を高めて新価値創造へつなげていくために

調査概要

企業の人事担当者および管理職層(マネジャー・課長・部長)を対象としました。

調査概要

「次世代リーダーの育成」と 「ミドルマネジメントの負担軽減」が課題に

人事担当者と管理職層に会社の組織課題について尋ねたところ、双方とも選択率1位は「次世代の経営を担う人材が育っていない」、2位は「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」でした。(図表1)

<図表1> 会社の組織課題(2021年)

<図表1> 会社の組織課題

(参考)2020年の調査結果

会社の組織課題2020年

変化の激しい1年を経験して、これからの会社を牽引していく次世代リーダーの必要性への認識がさらに増していると考えられます。また、事業面に加えて、リモートでのやり取りが増えるなど働き方についても大きな変化を受けたこの1年は、人事の目から見ても管理職層の負担は高かったのではないでしょうか。
実際に弊社でもリモート下でのマネジメントや人事評価のあり方についてのお問い合わせが急増しました。

では、具体的に管理職層に寄せられている期待や困りごとについて見ていきます。

管理職層に求められる改善と新価値創造

管理職はプレイヤー業務をこなしながら、日々の業務管理やチームワークの維持、メンバー育成など、幅広い役割を果たしています。また、管轄する組織のメンバーからの要望と、上司からの要望との間に挟まれながら、業務面・人材面での調整を不断に行っています。
そのように多岐にわたる管理職への期待のなかで、人事と管理職自身が特に重要な役割と捉えているものは何でしょうか。

<図表2>管理職に期待していること・管理職の役割(2021年)

<図表2>管理職に期待していること・管理職の役割

※(参考)2020年の調査結果

管理職に期待していること・管理職の役割2020年

2021年の調査で、人事担当者に「管理職に期待していること」を尋ねたところ、最も選ばれた項目は、「メンバーの育成」(47.3%)でした。次いで、「業務改善」(34.0%)、「担当部署の目標達成/業務完遂」(30.0%)、が続きました。
また、管理職層に「管理職として重要な役割」を尋ねたところ、「メンバーの育成」(47.3%)、「業務改善」(34.0%)、「会社・事業の戦略テーマ(重点テーマ)の推進」(33.3%)が選ばれました(図表2)。

人事担当者、管理職層とも管理職の役割として「メンバーの育成」を最も重要なものと捉えているという結果となり、この結果は2020年に行った調査結果とも共通しています。
また、次いでに選ばれたのは、人事担当者、管理職層とも「業務改善」でしたが、2020年は人事が2番目に重要視するのは「担当部署の目標達成/業務完遂」であったため、こちらは違った結果となりました。変化の激しい1年のなかで、これまでとは違う対応やマネジメントスタイルがより求められるようになっているのかもしれません。

では、管理職層が求められている役割のなかで困っていることは何なのかについて見ていきます。

<図表3>【管理職層】困っていること(2021年)

<図表3>【管理職層】困っていること

(参考)2020年の調査結果

【管理職層】困っていること2020年

管理職層に、日々の管理職業務で「困っていること」(いくつでも選択可)を尋ねたところ、「メンバーの育成」(48.7%)、「業務改善」(45.3%)、「新価値・イノベーションの創造」(42.7%)が選ばれました(図表3)。
「メンバーの育成」や「業務改善」は、管理職が考える重要な役割でも上位の2つでした。一方「新価値・イノベーションの創造」は、重要な役割としては選択率5位でしたが、困っていることとしては3位に挙げられています。
「新価値・イノベーションの創造」はこれまでも企業において求められてきたことではありますが、ニューノーマル時代におけるビジネスモデルの転換など一気にその必要性が増したことにより、管理職にとっても目前の課題として差し迫ってきているのかもしれません。また、図表2においては管理職層と人事の選択率の差が最も大きい項目でした。第一線にいる管理職は変化の必要性を強く感じているが、会社・人事のサポートが遅れている可能性も考えられます。

マネジメントアプローチは実行型から学習型へ

次に管理職層が担当している組織について見ていきます。Aの選択肢で表される組織像は、方針や仕事の進め方は固定的で、決定した目標を効率的に実行していくことが業績達成へとつながるような、以前から多かった「実行型」のマネジメントが有効な組織です。一方Bの選択肢で表されるような組織は、先が読みづらく変化のスピードが速い環境下にあり、その変化に合わせて個人や組織が学習しながら自律して判断をしていく「学習型」のマネジメントが有効な組織です。

<図表4>「実行型」のマネジメントが適する組織と、「学習型」のマネジメントが適する組織

<図表4>「実行型」のマネジメントが適する組織と、「学習型」のマネジメントが適する組織

管理職層に、担当している組織についてAとBのどちらの傾向が強いか質問した結果が図表5です。

<図表5>【管理職層】担当している組織の状況

<図表5>【管理職層】担当している組織の状況

図表5の結果を見ると1~8の設問においてはAの選択率の方が高いものの、Bの選択率も40%台に達しています。9、10の設問についてはBの選択率の方が高い結果となりました。現在では多くの組織において、学習型のマネジメントが求められていることが想定されます。
また、Bの選択率が高かった9、10の設問は自律的な判断や仕事への意味づけの必要性の項目でした。管理職から部下への関わりにおいては、より自律を促す働きかけが求められるようになりそうです。

メンバーの自律性を高めて新価値創造へつなげていくために

ここまで、昨年に引き続き管理職における現状や人事担当者からの期待、管理職自身の負担感、また、組織の現状について調査結果を示しながら考察してきました。

管理職にはメンバー育成や業績達成、戦略推進が期待されていることは変わりませんが、「業務改善」や「新価値・イノベーションの創造」など、変化への対応に関連する項目が期待や困りごととして挙がってきていることが特徴的な結果となりました。また、組織の状況に関する結果からは、学習型への転換、特にメンバーへの自律を促す働きかけの必要性が増していると考えられます。

最後に、これらに関連して人事と管理職層に伺った、会社における「キャリア自律」についての回答結果を見てみます。

<図表6>【管理職層】キャリア自律について

<図表6>【管理職層】キャリア自律について

「会社は社員にキャリア自律を求めている」の選択率(「そう思う」「ややそう思う」合計)が、77.4%、「社員のキャリア自律を進めるべきだ」の選択率が84.0%でした。
キャリア自律への必要性が80%以上の会社で感じられていると共に、70%以上の企業がすでに社員に対して実際に求めている、という状況です。

このように企業が従業員にキャリア自律を強く求めるのには、昨今のジョブ型雇用への注目に象徴されるように、企業における終身雇用の考えが弱まっていることがあるといえます。
さらにその背景には、企業の外部環境変化があいまいかつ急速になっているため、雇用の柔軟性を高めたり、新価値創造の促進をしたりといった、変化対応力を高める施策がどの企業にも求められていることがあります。
そういった施策の必要性を肌身で感じているのが、現場の管理職といえるでしょう。今回の調査で「業務改善」や「新価値創造」を重要な役割だと強く認識していることからも、それが分かります。だからこそ管理職はメンバーに対して、自分の仕事やキャリアは“上司や会社が決めるもの”ではなく“自ら自律的に設定するもの”という考え方の転換を求めているのだといえます。

現在の環境下では、計画・方針を確信をもって立案・実行することは、経営層にも管理職層にも困難です。そのため、市場の一次情報に接しているメンバーからの情報・フィードバックが極めて重要になります。従って、管理職は「自分1人で考えることを期待されている」と考えてはいけません。先ほど言及した「実行型」のマネジメントパラダイムから抜け出すことが重要だといえます。
今後の管理職は、自分の方針は出しつつも、メンバーと「今後自分たちはどうしたらいいだろう?」などと対話の機会をつくるべきでしょう。「こうした方がいいんじゃないか?」「私はこうしたい!」という、メンバーの自律的な発言をいかに引き出せるかが、変化の激しい環境下で、足元の業績達成と業務改善や新価値創造を両立させていくうえでのキーになるのではないでしょうか。メンバーの自律を促す学習型のマネジメントへの転換は、多くの組織、また管理職にとって、今後の重要課題になると思われます。

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◆メンバーが自律的に考え、行動できる組織づくりに向けて、これからのマネジャーに求められることとは?
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