- 公開日:2025/09/01
- 更新日:2025/09/01

弊社では2023年4月より、社内公募制度「キャリアプラス」を導入しました。現職を続けながら新しい業務やプロジェクトに挑戦できる本制度について、他社の方々から「どんな制度なのか詳しく知りたい」という声をいただくことも増えています。
そこで、「キャリアプラスをつくった社員たち」と「キャリアプラスを使った社員たち」から、制度の概要や魅力をご紹介します。前編となる今回は、キャリアプラスの立ち上げ・運用を担う弊社人事からお伝えします。
- 目次
- 経験者数は右肩上がり。「キャリアプラス」が生まれたきっかけ
- 「キャリアプラス×キャリア自己申告制度」の合わせ技で、社員のキャリア実現をサポート
- こだわったのは、「キャリアプラスに参加するハードル」を下げること
- キャリアプラスから生まれた、さまざまな副次効果
経験者数は右肩上がり。「キャリアプラス」が生まれたきっかけ

社内公募制度「キャリアプラス」の概要
B:キャリアプラスは、現職を続けながら新しい業務やプロジェクトにもかかわることができる社内公募制度です。2023年4月に導入して以来、キャリア形成やリスキリングの機会として、多くの社員が活用しています。
C:制度の立ち上げにあたっては、「自ら、キャリア形成やリスキリングの可能性を拓いていくこと」を大切にしました。制度の細かいところは皆でつくっていきたいという気持ちもあったので、人事として決めるべきことは決めつつも、調整の幅を持たせられるようにしています。
まず、兼務期間は半年間。4月から9月、10月から3月の半期ごとで固定です。兼務比率は10%に収め、応募条件も設けていません。兼務内容も制度の目的に照らして、「キャリア形成やリスキリングにつながるミッション設定になっていますか?」「兼務比率は10%に収まりそうですか?」と、部門長の方々と相談しながら丁寧に調整しています。
キャリアプラスがスタートしてから2年ほど経ちますが、社員からの評判は概ね好評です。案件数や経験者数も年々増えていまして、キャリアプラスをきっかけに主務異動や通常兼務への変更を叶えた社員も出てきています。異動希望がある場合は、双方のお試し期間としても活用してもらえているようです。
2023年にスタートした理由
B:やはり社会全体でキャリア形成への関心が高まっていたことや、リスキリングの機会が求められ始めていたことが大きいです。また、私たちも人事として、「人が成長し、知見を最大限に生かし続けられる機会を、率先して提供していきたい」という想いがあります。こうした背景もあり、今のキャリアに“プラス”して、自ら可能性を拓きやすくなる本制度の設計を進めていきました。
C:2023年あたりは、世間におけるキャリアの考え方が変わりつつあるタイミングでもありました。世のなかでは転職が当たり前になり、入社から数年ほどで次のキャリアを考える方も珍しくありません。弊社でも「もっと成長したい。いろいろなスキルを磨きたい」という声が増える一方で、当時はリモートワークによって出社頻度が減り、社内にある成長のチャンスに気づきにくいというジレンマもありました。
「成長できるチャンスは社内にもたくさんあるのに、経験できないのはもったいない。もっと気軽に、新しい環境にチャレンジしてもらえたら」――。こうした人事としての願いも、キャリアプラスが生まれたきっかけの1つです。
「キャリアプラス×キャリア自己申告制度」の合わせ技で、社員のキャリア実現をサポート

キャリアプラスのエントリーと並行した「キャリア自己申告」制度とは
<キャリアプラスの全体フロー>

C:キャリア自己申告制度は、弊社の設立時から実施しているキャリア支援施策です。社員が今の仕事に対して感じていることや、異動も含めた今後のキャリア希望を、会社に申告します。役員や統括部長といった事業のトップ層との面談希望も出せるので、「あの部署に異動して、こんな力を身につけたい」「この先どんなキャリアの選択肢がありそうか」といった本音を、直接話すこともできます。このような申告内容が、毎年4月と10月にある人事異動の検討材料にもなっています。
ただ、人事異動は事業戦略上の必要性が大前提であり、弊社は人員数に余力があるわけでもありません。個人の配置は合理的な判断が必要になります。キャリア自己申告制度で自身のキャリアを自律的に考え、異動希望を申告したとしても、短期での実現はやはり難しいことが多く、個人の目線ではタイミングを逃しかねないという課題も感じていました。
A:一方、キャリアプラスでは「次の半年間」という、よりタイムリーな時間軸でのジョブマッチングが叶います。もちろん、各案件には定員や選考がありますし、必ず希望が通るとは限らないのですが、それでも翌半期に新しいジョブにチャレンジするチャンスにはぐっと恵まれやすくなりました。キャリアプラスが追加されたことで、キャリア自己申告制度だけではカバーしにくかった「想いを実現する手段」が、より具体的になったのではないかと感じています。
▼キャリア自律についてさらに知りたい方はこちら
人事になったら知っておきたい10のこと 〜人事トレンド編〜 第5回
「会社は社員のキャリア自律を支援するべきなのですか?」
こだわったのは、「キャリアプラスに参加するハードル」を下げること

キャリアプラス導入にあたって特にこだわったポイント
C:やはり「兼務比率10%」というラインがポイントだと思っています。同じ社内であっても、主務の異動は心理的なハードルが生まれやすいですよね。だからこそ軸は主務に置いたまま、兼務比率10%でチャレンジできるという気軽さが、意外と大事なのではないかと……。多くの社員に安心して制度を使ってもらうためにも、「心理的なハードルをいかに下げるか」は、大事な要素なのではないかと感じています。
新しい制度に参加するハードルを下げる方法
A:やはり制度のスタートに向けて、社内をちゃんと盛り上げていくことは意識しました。
まず力を入れたのが、公募案件数の確保です。「キャリアプラスがスタートします。皆さん、ぜひ制度を活用してください!」と社内に告知した後で、「公募案件数はたったの5件しかありません……」なんて流れになったら、寂しいですよね。ですので、一定数の案件を確保できるよう、経営陣にも協力・推進をお願いしました。「他部署のメンバーを受け入れることで、要員調整や業務の棚卸しにもつながりますよ」など、受け入れ側のメリットを丁寧に伝えたことも追い風になったのではないかと思います。
B:個人的に人事制度は、「社員の皆さんに使ってもらえなければ意味がない」と感じています。だからこそ、エントリーを前向きに検討してもらえるように、定期的にアプローチすることが大切です。例えば今期も、「今までエントリーしたことがない人にエントリーしてもらおう」という目標のもとで、大きくわけて2つの試みを実施しました。
1つ目は、事前告知です。キャリアプラスのエントリーがスタートしてから「もうそんな時期?」と思われないように、前もってキャリアプラスの良いところや体験談を発信するようにしました。
もう1つの試みは、これまでキャリアプラスに応募したことがない社員に対して、個別に訴求することです。特に入社間もない方は社内制度を把握しきれていないことも多いので、社内のポータルサイトに広報記事を出したり、個別にメールを送ったりしながら、制度が広く認知されるように働きかけました。
A:制度がある程度軌道に乗ってくると体験者は増えますし、「会社が力を入れている制度だ」という認知も広まって、勢いが生まれます。組織に何か新しい試みを導入する時は、「この制度、私も使ってみたよ。面白いね!」という声が早めに出るように、制度の運用側から盛り上げていく意識が大切かもしれません。
キャリアプラスから生まれた、さまざまな副次効果

キャリアプラスのスタートから2年で感じる効果
A:キャリアプラスの一番の目的は「個人のキャリアを広げていくこと」なのですが、思っていた以上にさまざまな副次効果がありました。部署を超えた社員同士のつながりも増えますし、「この制度がなかったら仕事を辞めていたかも」という声ももらっています。
受け入れ側にもメリットがありまして、例えば新しいメンバーから問題意識を投げかけてもらいやすくなります。どうしても組織って、慣性が働くことがありますよね。特に部署のメンバーが変わらないと、毎年同じ流れで業務を進めることも増えていきます。
その点、キャリアプラスの新しいメンバーが入ると、仕事内容を説明したりノウハウを教えたりするうちに、「この作業にはどういう意味があったっけ?」「この業務の進め方を、どう伝えたら分かってもらえるかな?」という問いを持ち、業務改善にも意識を向けやすくなります。個のキャリア形成を支えながら、組織のブラッシュアップも促せるというポイントは、キャリアプラスのなかでもかなり嬉しい副次成果だと思っています。
B:個人的には、選考の過程にも学びがあると思いました。実際にキャリアプラスを使ってみたのですが、選考前には自分のスキルや経験をしっかりと棚卸しできます。選考に際しても、受け入れ先の部長から仕事内容や魅力について1対1でじっくり教えてもらえるので、キャリアの摺り合わせもしやすいです。だからこそもっと気軽に、いろいろな方に制度を使ってもらえたらと思っています。
C:キャリアプラスの今後としては、ベテラン層にも活用してもらえるようになったら嬉しいですね。今でもキャリアプラスを使っている中堅・ベテラン層はいますし、新人・若手世代を中心にリピーターも増えているのですが、まだまだ機会を広げる余地はあると思っています。
同じ会社に勤めながら、自分が気になるキャリアを気軽に経験できる。そんなキャリアプラスが、これからも多くの社員のキャリア形成の機会になったら嬉しいです。
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