- 公開日:2025/06/30
- 更新日:2025/06/30

本連載では、「中小企業の組織づくり」をテーマに、組織における階層別育成の考え方をご紹介しています。第1回では、現代の企業において従業員に期待される役割を階層別に可視化した「トランジション・デザイン・モデル」について取り上げました。

第8回は、昇進して日の浅い新任マネジャーに期待される役割と、その実践におけるヒントをお伝えします。
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第8回 Manager(前期)編~マネジャー(前期)の特徴と期待される役割~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第7回 Leading Player編 ~中堅リーダーの成長のカギは期待役割の理解~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第6回 Leading Player編 ~中堅社員(リーダークラス)の特徴と期待される役割~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第5回 Main Player編 ~転換キーワードは周囲への影響力~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第4回 Main Player編 ~中堅社員の特徴と期待される役割~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第3回 Starter編 ~新人の伸ばし方とは~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第2回 Starter編 ~新人の特徴と期待される役割~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第1回 上下関係のある組織とフラットな組織
(1)マネジャー(前期)の特徴とは
「マネジャー」という言葉からイメージされる存在は人によりさまざまですが、弊社トランジション・デザイン・モデルではマネジャーになって間もない社員を「前期」、マネジャーとして一定の経験を積んだベテランを「後期」として、2つの区分に分けて整理しています。
なかでも今回は、「前期」のマネジャーに焦点を合わせていきたいと思います。イメージとしては、「課長クラスで部下を抱えている」方を想像して読み進めていただければ分かりやすいでしょう。
(2)期待される役割
では、「Manager=マネジャー」の前期にはどのような役割が期待されるのでしょうか。弊社トランジション・デザイン・モデルでは、以下のように定義しています。

第6回/第7回では「Manager=マネジャー」の1つ下の階層である、「Leading Player=リーディングプレイヤー」の階層について解説しました。このリーディングプレイヤーからマネジャーへの移行は、いわば「一般社員」から「管理職」への移行であり、トランジションのなかでも特に大きな変化であるといえます。
これまでの階層はプレイヤーの1人として直接実務に携わり、自ら業績・成果を残すことが最大の期待役割とされてきました。しかし、マネジャーには部下のサポート・マネジメントを通じ、組織全体の業績・成果に間接的に貢献することが求められます。
さらに、業務目標の達成以外にも部下の育成状況や心身の健康の管理、コンプライアンスの遵守など、マネジャーに期待される役割は複雑かつ多岐にわたります。なかでも他者の業務量やスケジュールの管理には、プレイヤーとしての自己管理とはまた違った難しさがあるでしょう。
そのうえ、マネジャーは複数名の部下を抱えるケースが一般的であり、何人ものメンバーの働きぶりを並行してコントロールする難度の高い役割が期待されます。一方で、昨今はプレイヤーとしての役割を兼ねるプレイングマネジャーも多く、場合によっては自ら業績をあげながら部下の業績も管理しなくてはなりません。
こうした要因もあり、近年では「管理職になりたい」と考える若手・中堅社員は減少傾向にあるようです。独りで多くの業務を抱え、日々奔走する上司の姿は部下の目にも大変そうに映るのでしょう。しかし、逆に上司が部下から憧れられるような存在になれば、メンバーの成長意欲を高め、組織全体に活力をもたらすことができるはずです。
では、マネジャーに存分に力を発揮してもらうためには、周囲はどのように関わるべきなのでしょうか。以下のケースをもとに、一緒に考えてみましょう。
(3)ケーススタディ~こんなことは起きていませんか?~
今回も、ケーススタディを2つご用意しました。皆さんのまわりには、こんなマネジャーはいませんでしょうか。また、こうしたマネジャーが実際にいた場合、周囲にはどのような関わり方が求められるでしょうか。
ケース①
4月に営業1課の課長に昇進して4カ月になるAさん。プレイヤー時代には圧倒的な業績をあげていたAさんのマネジャー就任に、異論を唱えるメンバーはいませんでした。実際に、もうすぐ半期が終わろうとしている現時点でも、Aさんはプレイングマネジャーとして自身の業績をしっかりと残しているようです。
そんな頼もしい上司であるAさんの印象を、直属の部下であるBさんにききました。
「Aマネジャーは本当に頼りになる人です。自らも現場で活躍して業績を上乗せしてくれるので、部下としても安心して働けています。1課には現在4名が在籍しており、私を含め他のメンバーは皆苦戦しているのですが、Aマネジャーのおかげで今月も課の目標は無事に達成できそうです。もちろん私もAマネジャーのやり方を学ぼうとはしているものの、みているだけでは分からないことが多く、難しくてとても真似できるとは思えません。とはいえ、課としては毎期目標を達成できているので、個人目標が未達成に終わりそうでもそれほど不安はありませんね」

ケース②
Cマネジャーに対する印象を、直属の部下であるDさんにききました。
「大きな声では言えませんが、正直なところうんざりしています。Cマネジャーの部下になってもう1年になりますが、なかでも呆れたのは約2カ月前のこと。『▲▲は売れる。今は▲▲の拡販に注力しよう』とCマネジャーから会議で提案があり、皆も営業活動に力をいれたのですが、1カ月たっても売れ行きに変化はありませんでした。しかし、Cマネジャーは反省もなく、今度は『■■がトレンドだ、■■を拡販すべき』と方向転換。▲▲も■■も、私としてはなぜその商品が販促強化の対象に選ばれたのか判然としなかったので、本人に選定基準をたずねてみたところ、返ってきたのは『営業の勘』との答えでした。
あれだけ頑張っていたのに、その根拠がただの勘だったと知ってしまった今では、次に『この商品を売ってほしい』と言われてももう二度とやる気は起きません。あとは、評価フィードバック面談でも許せないことがありました。結果が思っていたよりも悪かったので、そのような評価になった理由を質問したのですが、Cマネジャーによると『私はDさんを評価していたが、部長の評価が低かったので仕方なかった』とのこと。評価基準に関してもそれ以上の説明は何もないので、今でも全く納得できていないというのが本音です」

次回は、これらのケースの対応策について一緒に考えてみたいと思います。
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執筆者

営業統括部
マーケティング営業部 3グループ
シニアソリューションプランナー
佐藤 修美
2007年リクルートマネジメントソリューションズ入社。以来、一貫して中小・中堅企業様を対象としたセクションに在籍、営業、営業マネージャー、北海道支社長を務める。人事制度構築、風土変革、マネジメント変革、オンボーディング、営業力強化、ダイバーシティ…など人材育成、組織づくりにまつわる、中小企業特有の悩みに幅広く対応してきた。担当した企業は延べ1,000社に上る。セミナーの企画運営・講師担当。
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