連載・コラム
中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
第2回 Starter編 ~新人の特徴と期待される役割~
- 公開日:2025/01/27
- 更新日:2025/01/27

本連載では、「中小企業の組織づくり」をテーマに、組織における階層別育成の考え方をご紹介しています。
第1回では、組織階層の変遷、昨今のフラット化からの揺り戻しで求められる階層別期待役割について取り上げました。社会人が入社してから社長になるまでに10のステージ(階層)があり、それぞれのステージで期待されている役割、期待された役割を全うするために必要なスキル、経験などをまとめた「トランジション・デザイン・モデル」についてご紹介しました。

第2回の今回は、今の新人に期待される役割と実践へのつなげ方のヒントをお伝えします。
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第3回 Starter編 ~新人の伸ばし方とは~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第2回 Starter編 ~新人の特徴と期待される役割~
- 中小企業はどのように組織づくりをしていけばよいのか?
- 第1回 上下関係のある組織とフラットな組織
(1)新人の特徴とは
今回は、社会人になったばかり新入社員にフォーカスをあてたいと思います。
トランジション・デザイン・モデルでは「Starter=スターター」と呼び、「ビジネスの基本を身につけ組織の一員となるステージ」と定義しています。
このステージの方の特徴については、いわゆる新卒新人の方、4月に一斉入社、学生からまさに社会人になりたてほやほやの方をイメージしていただけるとよいでしょう。
希望した会社に入社して意気揚々と張り切っている方、さほど志望度は高くない会社だったけれどなんとか就職した方、また、希望した会社だったけれど希望した職種には配属されなかった方、まだ環境に慣れず少し緊張しながら毎日出社している方……等々、さまざまな想いの中で過ごしているのではないでしょうか。
図表1および図表2は弊社の新入社員意識調査から抜粋したデータです。
今年度、新人の方を対象とした調査を実施したところ、仕事をするうえで重視したいこととして以下3項目が上位の回答となりました。
- 「成長:自分が成長できる」
- 「貢献:人や社会の役に立つ、感謝される」
- 「専門性:専門性を深める、第一人者になる」
一方で、最も選択されなかった項目は「競争:競争に勝つ、No.1になる」という結果となりました。

【図表1】出典:リクルートマネジメントソリューションズ 「新入社員意識調査2024」
昭和世代かつ団塊ジュニアでもある筆者は、世代人口も多く、学生の頃も社会に入ってからも、とにかく競争を強いられたように思います。他人との競争や比較よりも、自分の成長や社会貢献に目が向いているのは、まさに今の世代の特徴といえるのではないでしょうか。
また、同調査によると、就職先での勤続意向については「定年まで現在の会社で勤めたい・どちらかと言えば勤めたい」を、「現在の会社で勤め続けることにこだわらない・どちらかと言えばこだわらない」が上回る結果となりました。

【図表2】出典:リクルートマネジメントソリューションズ 「新入社員意識調査2024」
こちらも終身雇用が前提だった筆者からすると、ずいぶんと時代は変わったものだな、と感じる結果です。「自分に合わない会社に長くいるなんて時間の無駄」というような、タイパ(タイムパフォーマンス)も重視して考えることが今の新人の特徴といえるでしょう。
(2)期待役割とは
新人の皆さんに対して、どのような期待役割があるかみていきたいと思います。
新人の皆さんに求められることについて、一言でいうと「まずは自分の仕事を1人でできるようになる」ということです。簡単なようで、ちゃんとやろうとすると実は結構難しいのではと思います。目の前に用意された仕事は、新人にとっては「初めて取り組む業務」。
例えばコピー1つとっても、コピー機ってどう操作するの? ホチキスってどうするの? 両面で取るの? カラーなの?……と、いざ取り組もうとすると分からないことがたくさん出てきます。「1人でできる」ためには、操作そのものやコピーを依頼した相手に条件を確認するというタスクがついてきて、「1人では完結できない」ということもあるでしょう。
「1人でできるようになる」ためには、まず上司や先輩に必要なことを尋ねることができないといけませんし、尋ねやすいように普段から良好な関係性を築いておいた方がいいですし、任せて安心と思わせる信頼感も醸し出さないといけないですし、何なら相手が何を好むか察することができるようになればなお可……と「1人でできるようになる」には、実はさまざまなことをクリアしていかなければいけません。
トランジション・デザイン・モデルでは、新人の期待役割を以下のようにまとめています。

先に挙げた「まずは自分の仕事を1人でできるようになる」ということが、簡単そうに見えて実は結構難しく、ここでつまずいてしまう新人の方もいらっしゃるかもしれません。
(3)ケーススタディ~こんなことは起きていませんか?~
ケーススタディを2つご用意しました。皆さんの周りにこんな新人はいないでしょうか。
またそんな新人がいた場合、上司として、どのように関わるのがよいか、考えてみましょう。
ケース①
直属上司Aさんに新人Bさんに対する印象をききました
新人Bさんは入社してしばらくは元気な様子だったが、3カ月たつ頃には、なんだか顔色がさえず、あいさつの声も小さいと感じることが増えた。先日資料づくりを依頼したけれどなかなか仕上がってこず、「あの資料どうなったの?」と尋ねると「すみません……」というばかり。結局納期に間に合わず、私が作ることになってしまった。雑談にものってこないし、遅刻や寝坊も増えたようだ。

ケース②
直属上司Cさんに新人Dさんに対する印象をききました
新人Dさんはここのところ、態度が少し反抗的に感じ気になっている。同期入社の新人に会社への不平・不満をもらしているようだ。先日資料づくりを依頼したけれどなかなか仕上がってこず、「あの資料どうなったの?」と尋ねると「この仕事って僕がやる意味ありますか?」と質問を投げかけられた。今の新人が考えることに応えるのは難しいな……と感じてしまった。半年たった頃、Dさんは何の前ぶれもなく突然辞めてしまった。

次回は、このケースの対応策について一緒に考えてみたいと思います。
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執筆者

営業統括部
マーケティング営業部
佐藤 修美
2007年リクルートマネジメントソリューションズ入社。以来、一貫して中小・中堅企業様を対象としたセクションに在籍、営業、営業マネージャー、北海道支社長を務める。人事制度構築、風土変革、マネジメント変革、オンボーディング、営業力強化、ダイバーシティ…など人材育成、組織づくりにまつわる、中小企業特有の悩みに幅広く対応してきた。担当した企業は延べ1,000社に上る。セミナーの企画運営・講師担当。
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